みんなのGood

しあわせなみらい「24Good」
良質:9票トリック:5票物語:10票
死んでしまった彼女が自分に宛てた手紙を偶然見つけた田中。

手紙には

ちゃんと自分で料理しているのか?
嫌いだったトマトもちゃんと食べられるようになったのか?
部屋はちゃんと掃除しているのか?
あなたはズボラだから心配だ

そのような内容の最後に

どうかあなたが幸せに暮らしていますように

と彼女の可愛らしい字で書かれていた。

もし田中が彼女の死に目に会っていなかったら、田中はこの手紙を見つけることはなかったという。

Q.彼女が手紙をしまった場所はどこか?
理由とともにお答えください

※質問数の制限はなし!
22年03月23日 20:53
【20の扉】 [ダニー]

がふー




解説を見る
A.タイムカプセルの中

「簡易解説」
地元の小学校に教師として勤めている田中と幼馴染の彼女。
田中は彼女と些細なことで口論となり、校内で彼女を殺してしまう。
死体を隠す為校庭に穴を掘っている時、偶然過去に自分たちが埋めたタイムカプセルを掘り起こす。
タイムカプセルには彼女が20年後の自分(彼女自身)に宛てた手紙が入っていた。

以下、ながあい解説


彼女の長い髪を指で梳ることも、彼女の柔らかい頬に触れることも、抱きしめることも、キスをすることも。

いつからそれが当たり前になっていたのだろうか。

そしていつからその当たり前がつまらなく思ってしまうようになったのだろうか。

小さい時からずっとそばにいた。

小学校も中学校も高校も大学も。

そして就職先も。

僕は彼女以外の女性を知らず、このまま生涯を終えるのだろうか。

僕は漠然とした不満を抱えながら彼女と付き合っていた。


地元の小学校。

僕と彼女はそこの教師として働いている。

正直自分が教師に向いているとは思えない。

なぜ教師になったのか、自分でもよくわからない。

昨日友人から、今の会社を辞めて服飾デザイナーを目指して東京に行く、という話を聞かされてからずっとモヤモヤしてる。

このままでは僕はダメになる。


僕は彼女と別れることを決意した。


放課後。

夕日が教室の中を真っ赤に染めている。

しかし彼女の顔が赤く汚れているのは夕日のせいではない。

「どうして…こんなことに…」

僕はぼんやりする頭でついさっきの出来事を思い出す。


彼女は僕との別れ話に聞く耳を持たなかった。

当たり前だ。
特に明確な理由があるわけではないのだから。
漠然とした不満が不安となり、子供のような語彙足らずの言葉を彼女にぶつけただけなのだから。

言葉に詰まった僕はヒステリックに詰め寄る彼女を突き飛ばしてしまった。

彼女は体勢を崩し、床に頭を強打して動かなくなった。

床に広がっていく彼女の血液。

すぐに彼女に駆け寄り、声をかける。

しかし彼女は目覚めない。

彼女の血液の温かさ、ぬめり。
閉じたままの瞼。
彼女の、死。

ああ嘘だろ。

僕は当たり前を、普通を拒んだだけだ。
こんな非日常の結末が待っているとは知らずに。



深夜。

僕は穴を掘っている。

蝉の声。土の匂い。生温い風。

スコップで土を掘るという単純な作業が頭をクリアにさせ、僕を冷静にさせた。

取り戻す。

彼女を埋めて、また校舎に戻り、全ての痕跡を拭き取る。

まずは彼女を隠すんだ。

校庭の隅を掘り進めていくうちに、スコップに何か硬いものがぶつかった感触があった。

「タイム…カプセル…」

奇跡のような偶然。

出てきたそれは僕と彼女のクラスが小学校6年生の時に埋めたタイムカプセルだった。

「10年後の私へ 雛形澄」
彼女が彼女自身に宛てた手紙。

血と泥で汚れた手でその可愛らしい便箋を開く。

『10年後の私へ
元気ですか?
私は今お母さんに料理を教えてもらってるけど、ちゃんと自分で料理できるようになった?
嫌いだったトマト。食べれるようになった?
部屋は綺麗に掃除してる?
あなたはズボラだから心配だな(笑)
ちゃんとしてないとあいつに愛想尽かされるかもよ。
結婚はしてるのかな?
子供もいたりして。
色んなことがあるだろうけど、あいつがいたら安心って思ってる。

どうかあなたが

幸せに暮らしていますように』

子供の頃の可愛らしい彼女の字だ。

その字が涙で滲む。

なぜ僕は僕自身のことしか見えていなかったんだろうか。
当たり前が怖いのなら彼女に頼れば良かったんだ。
彼女と話して、彼女と共に解決する。
それだけで、良かったんだ。

当たり前を拒み手放したのに、その当たり前を取り戻す為に必死になって穴を掘っている自分が酷く滑稽だった。

そんな情け無い顔の僕を懐中電灯の灯りが照らした。

「なんか学校から変な音がするって通報があって来てみたらお前かあ。
何してんだ?そんな泥まみれで。
お? これあれか? タイムカプセル? 小6の時に埋めたやつじゃん。
・・・ってお前、ひでえ顔してるぞ」

地元の警察に勤めている友人だった。

「おれ、さ。澄を、殺したんだ…
おかしいよな? おれ、澄が大好きなのに。大好きなのにこんなところに、こんな暗いところに埋めてさ。んでバレないだろうとか都合のいいこと、考えてさ」

「・・・わかった。話は交番で聞く。とりあえず涙と鼻水拭け」

「ご、ごめんけんちゃん。ごめんなさい。ごめんなさい、こんな、こと、ごめ、ごめんなさい」

「うん。ほれタオル。んで澄ちゃん、どこだ?」

友人は泣き崩れて立ち上がれない僕を背中に背負い、亡き彼女の元へと向かった。

「・・・けんちゃん」

「ん?」

「来てくれてありがとう」

「ん」






夜が明けて。

再度現場を確認するために戻ってきた田中の友人。

「懐かしいな」

掘り起こされたタイムカプセルを目の前にしてそう独りごちる。

そこには田中が未来の自分に宛てた手紙も入っていた。




『10年後のお前は安定した公務員になって、安定した収入を得て、老後までに2000万円貯めるんだ!
澄をちゃんと幸せにしろよ!』
我輩は猫なのに「23Good」
良質:18票トリック:4票物語:1票
僕は猫のミケ。どこからどう見ても立派な猫なのに、僕を見た人は口々に「犬だ、犬がいる」と言うんだ。
でも僕のご主人は僕を見ると「どう考えたって猫じゃないか」って言ってくれた。そしたらみんなも「猫だ猫だ」って認めてくれた。さすが僕のご主人だニャ。
…でも最初に犬と間違えられたのはニャんでだろう?
19年02月22日 22:38
【ウミガメのスープ】 [靴下]

ギリギリ猫の日間に合った…!




解説を見る
ミケはご主人と一緒に、図のように寝ていたので「(漢字の)犬だ」と言われた。それを聞いたご主人が起き上がってミケを見たら、大の字がなくなってしまい、誰が見ても普通な猫になってしまった。
ひみつのイヤフォン「23Good」
良質:18票物語:5票
ある日の昼下がり。
古びたテープレコーダーから流れ出すのは途切れ途切れの音。

その音を聴きながら、
《縁側に腰掛けてこのテープレコーダーを片手に日向ぼっこをする祖母が、いつもイヤフォンをしていたこと》を思い出した私は
“あの時”とは違う涙を流した。


では、“あの時”の涙の理由はいったい何だろうか?
19年06月13日 01:24
【ウミガメのスープ】 [藤井]



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【解答】
途切れ途切れの音は、幼き頃のピアノの発表会での私の演奏。たくさん間違えて聴くに堪えない失敗の演奏だった。
それを録音した母が祖母に聴かせようと再生した“あの時”、私は恥ずかしさや悔しさから祖母に聴かせるのが嫌で泣いた。


【解説】
私は幼き頃からピアノを習っていた。
小学1年生の頃、初めての発表会に挑んだ。課題曲には祖母の大好きな童謡『茶摘み』を選んだ。家で何度も何度も練習をし、ついに本番を迎える。
しかし当日私はひどく緊張していて、たくさん間違えてしまった。いつもはミスなく弾けるところも指が震えて何度もつっかえてしまい、聴くに堪えない演奏だった。どうにか最後まで弾き終えて礼をする。響き渡る拍手は全然嬉しくなんかなくて、私は泣きたい気持ちをこらえるのに必死だった。

客席で見守っていた母は私の演奏をテープに録音しており、帰宅後、あのひどい演奏を祖母に聴かせたのだ。
私は声を荒げて怒った。
「そんなの聴かせないでよ!!!!」
恥ずかしくて悔しくて涙が溢れた。あんなにたくさん練習したのに、あんなにたくさん間違えて……二度と聴きたくない演奏だ。祖母は私の背中を撫で、テープの再生を止めた。

それ以来、私の前でそのテープが再生されることはなかった。



歌が好きな祖母は日頃からよく童謡などを口ずさんでいて、たまに天気のいい日には縁側に腰掛けてテープレコーダーを片手に音楽を聴いているようだった。しかし、常にイヤフォンを装着していたので、祖母が何の曲を聴いているのかわからなかった。
私が近づいて隣に座ると、祖母はテープを止めてイヤフォンを外し、手遊びなどをたくさん教えてくれたものだ。
私は祖母が大好きだった。


季節は巡り、私は中学生になった。祖母は年々老衰により耳が遠くなり、声も出にくくなっているようだった。次第に部屋にこもりがちになり、縁側に置かれたテープレコーダーはついに再生されることがなくなってしまった。

私はふと、気になった。
祖母はイヤフォンで何の曲を聴いていたのだろうか?
興味本意でテープレコーダーを手に取り、イヤフォンを取り外して、再生ボタンを押す。


流れ出したのは、途切れ途切れのピアノの音。
聴くに堪えなかったあの日の私の演奏。


祖母はずっと、これを聴いていたのだ。
私が悔しさと恥ずかしさで泣き出したあの日から、私が傷つくことのないように、私に聴かれることのないように、わざわざイヤフォンをつけて。


「……おばあちゃんね、ウミコが発表会でその曲弾くって知ったとき、すっごく喜んだのよ」

いつの間にか後ろにいた母がそっと囁いた。

「おばあちゃんの好きな曲を選んでくれたことが嬉しくて仕方なかったみたいでね。ウミコにとっては失敗の演奏だったかもしれないけど、おばあちゃんにとってはとびっきりの宝物よ」


下手くそな演奏が終わり、拍手が響く。
それはとても温かくて、まるでその中に笑顔で手を叩く祖母の姿が見えるようで……

こらえきれず溢れる涙を、私は震える指で拭った。
 
塗られた毒「23Good」
良質:18票物語:3票納得感:2票
寿司を食べていたカメオは毒で死んだ。
箸にも寿司にも毒はついていなかった。
そうすると、どこに毒がついていたのだろう?
19年07月13日 21:20
【新・形式】 [Rest]

簡単かな?5人正解出ましたら諦めます。(元は名無しでした)




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出題者は寿司屋の大将。




<彼は人を殺した。おしぼりに{毒}を塗り込んで。>



彼は自信がなかった。自分の仕掛けた精いっぱいのトリックに。


あることを思いついた。

ここ、らてらてで出題し、5人の正解者が出たら諦めて自首しよう。

<簡単かな?5人正解者が出ましたら諦(あきら)めます。>

そう一言コメントに記し、問題を出題した。




その結果、5人に毒のトリックを見破られ、

やっぱりこのトリックはいつかはバレるのだと悟ったカメオは

{警察署へ走った。}


※流石にネット上で犯人が自分だとは言えないので、大将は犯人が出題者であることは隠します。
※出題しているのはRestではない感をだすために名無し出題しております。
※最初の大将が質問に答えるフェーズは大将目線で、そのあとの自首の理由フェーズはRest目線でお答えしています。
良質:15票物語:8票
ある日、男は女の自宅に食事に招かれた。
テーブルに置かれたウミガメのスープを前にした男は、少し考えた後、「温めてくれないか」と遠慮がちに女に告げた。
「どうして?」と女が問うと、男は「いろんなことを話せるようになったから」と答えた。


女はなぜ、「どうして?」と問うたのだろう?
19年11月01日 22:00
【ウミガメのスープ】 [藤井]

たくさんのらてらてメンにお祝いしていただけて超幸せでした。ありがとう。ラブ!




解説を見る
【解答】
男が猫舌であると思っていたから。



【解説】
初めてのデートは喫茶店だった。
二人は互いに緊張しており、会話はなかなか続かない。
「僕、猫舌なんだ」
そう男は告げた。そうなんですね、と女は微笑む。
テーブルに置かれたホットコーヒーを男はゆっくりと時間をかけて飲んだ。

二回目のデートはレストランだった。
前回よりは少しほぐれたものの、二人の間にはまだぎこちなさが残る。
男は注文したウミガメのスープを、これまた時間をかけてゆっくりと飲んだ。

そんな調子で幾度かデートを重ね、二人の距離はずいぶんと縮まったようだった。


ある日、女は男を自宅に招き手料理を振る舞うことにした。
男の好物であるウミガメのスープを作った女は、猫舌の彼に配慮し、軽く冷ましてあるスープを差し出した。
器に触れた男は一瞬動作を止めた。そして顔を上げると、やや遠慮がちに女にこう告げた。

「……このスープ、温めてくれないか?」

女は少し驚いた。

「どうして?あなた、猫舌でしょう?」
「本当のことを言うと、僕……猫舌なんかじゃないんだ」

申し訳なさと気恥ずかしさの入り交じる表情で男は言う。

「猫舌だって言ったのは、そう言い訳してゆっくり食べることで少しでも長く君と一緒にいたかったんだ」

うまく話せなくても、会話が続かなくても、ただ一緒にいたかったのだと。
男は伏し目がちに笑って、それからまっすぐに女の目を見た。

「でも、もう猫舌だなんて誤魔化して時間を稼がなくても、君とはいろんなことを話せるようになったから。せっかく作ってくれたこのスープも、熱々の一番おいしい状態で食べてみたい」

女は頬を染め、嬉しそうに頷いた。




●○●○●○●○

いつも遊んでくださる皆さん、ありがとうございます。藤井です。

ラテシンに登録したのが約9年前。以来、ウミガメを介してたくさんの方々と交流をさせていただきました。
私にとってのウミガメのスープは、大切なコミュニケーションツールのひとつです。

登場人物の心情が溶け込んでいる奥行きのあるスープが好きで、そういったスープ作りを目指しています。
記念すべき100問目のスープには『うまく話せないけど、それでも一緒にいたい』…そんな思いを溶かしました。

どうかこれからも気ままに遊んでいただけると嬉しいです!ラブ!