「風紀の乱れは心の乱れ」「19Good」
良質:3票トリック:4票物語:12票
風紀委員長の西園は、校則違反を絶対に許さないことで有名だ。
時に先生を注意することもあるくらい、風紀の乱れには厳しい。
そんな西園がその日、日頃から素行不良な武田に校則を破るよう促したのは、
武田が実は驚くほど成績がいいと知ってしまったからだという。
一体どういうこと?
『簡易解説』
制服のボタンはきちんと留めることが定められている高校で、風紀委員長を務める西園とそのクラスメートの武田。
武田に恋する西園は、武田が実は成績優秀で遠くの大学に進学することを知り、もう逢えなくなるならばと第二ボタンをくれるよう頼んだ。
「高橋さん、スカートの丈が短すぎるわ!」
「太田くん、今はスマホを見ていい時間じゃないでしょう?」
「田中くん、他人のリコーダーを舐めるのは人倫にもとるわ。」
風紀委員長の西園は、校則に詳しく、時間に厳しい、眼鏡をかけた典型的な委員長。
平均から見れば真面目なこの学校でも、彼女の怒声は日常茶飯事だった。
中でも彼は西園と事あるごとに衝突する、素行不良の生徒だった。
「こら、武田くん!
学ランのボタンは上から下まで全部留めなさいっていつも言ってるでしょ!」
「うわ、また委員長来たよ…
ちょっとくらいいーじゃん、ボタンくらいバレねーって」
「ダメよ、服装にルーズでいたら社会に出てから大変なんだからね!」
「はいはい、わかりましたよーっと。
それにしても委員長、細かいとこまでよく見てるよなぁ」
「え!? それは……そう、風紀委員長だからよ!みんなのことをしっかり見て、学校の風紀を良くしないといけないの!
べ、別に武田くんのことだけ見てるわけじゃないんだからねっ!!」
「誰もそんなこと言ってないじゃん…
まあいいや、明日からテストらしいね、頑張って〜」
「あ、ちょっと待ちなさいよ!
武田くんもちゃんと勉強して、サボらずに来るのよ!」
(まったく、本当に困った人……)
------------------------------------
「いいんちょ〜、来週バレンタインだね!
委員長は誰かにチョコあげるの?」
「ああ、高橋さん。特にあげる予定はないわ。見ての通り、仲の良い男子もいないもの。
高橋さんはあげる相手はいるのかしら?」
「私?私は武田にあげようかなーって。
あんなだけど、根はいいやつだしね。」
「そ、そうなの。それは……校則違反じゃないわね。」
(バレンタイン、か…好きな相手に、ねぇ…
た、武田くん!?
どうして武田くんのことを思い起こしちゃったのかしら…
そ、そうよ、高橋さんが変なこと言うからだわ。きっとそう。
……高橋さん、渡すのは本命チョコなのかしら…そのまま告白するのかしら…
気になるけど、そんなの、聞けない……)
------------------------------------
『卒業生、退場。
皆様、拍手でお送りください。』
「いや〜今日でこの高校も卒業だなんて、ホントにあっという間だったね!」
「そうね、高橋さん。怒ってばかりだった気がするけれど、終わってしまうとなると寂しいものね。」
「みんなバラバラになっちゃうもんね〜
太田は理工学系に進むっていうし、田中は警察のご厄介になりそうだし。」
「そうなのね、同窓会でも開けばまたみんなで集まれるかしら。」
(そういえば武田くんの進路、全然知らないわね…勉強している様子もなかったし、近くにでも就職するのかしら…)
「あ、委員長、武田の進路聞いた?」
「ふぇっ!?
あぁ、た、武田くんね、何も聞いてないわ。」
「アメリカの大学行って、そのまま向こうに住んじゃうらしいよ〜
あいつめちゃめちゃ頭いいもんね!」
(え?)
「素行不良で優秀ってズルいよね〜
にしても外国行っちゃったら、そう簡単には帰ってこられないよね、同窓会とか来なそう。」
(もう、会うことはない…?
このまま、ずっと…?)
「委員長、どうかした?顔色悪いよ?」
「あ、ううん、なんでもないの。
寂しくなるわ、またね。」
(……どうしてこんなに苦しくなるんだろう…
ただのクラスメートなのに…
もしかして私、武田くんのこと…)
「うわっ!」
「あ、ごめんなさい!考え事をしていたの…って、武田くん!?」
「なんだ、委員長か。委員長でもよそ見してることあるんだね〜」
(今日でもう、逢えない…
それならいっそ…)
「武田くん!」
「な、なんだよ?式の間は静かにしてたでしょ?」
「そ、そのことじゃないの。
あの、その、よければ、ボタンを…」
{「第二ボタンを、私にください」}
------------------------------------
「へぇ〜そんな出来事があったんですね、なんだか少女漫画みたいじゃないですか〜」
「そんなこと言わないでよ、恥ずかしいじゃないの…」
「だって、普段ボタンはしっかり留めろって言ってた委員長が、ボタンをください、だなんて…
部長の普段の雰囲気からは全然想像できないです。」
「コンタクトに変えれば少しは怖くなくなるかと思ったの。でもあまり効果はなかったみたいね。」
「まあ、そうですね、特に最初のうちは。
ほら、こっちに向かってきてる新入社員もビクビクしてますよ。」
コンコン
「し、失礼します!
今お時間よろしいでしょうか、
武田部長?」
風紀委員長の西園は、校則違反を絶対に許さないことで有名だ。
時に先生を注意することもあるくらい、風紀の乱れには厳しい。
そんな西園がその日、日頃から素行不良な武田に校則を破るよう促したのは、
武田が実は驚くほど成績がいいと知ってしまったからだという。
一体どういうこと?
20年02月09日 20:13
【ウミガメのスープ】 [「マクガフィン」]
【ウミガメのスープ】 [「マクガフィン」]

ラテシン記念日1日前のスープ
解説を見る
『簡易解説』
制服のボタンはきちんと留めることが定められている高校で、風紀委員長を務める西園とそのクラスメートの武田。
武田に恋する西園は、武田が実は成績優秀で遠くの大学に進学することを知り、もう逢えなくなるならばと第二ボタンをくれるよう頼んだ。
「高橋さん、スカートの丈が短すぎるわ!」
「太田くん、今はスマホを見ていい時間じゃないでしょう?」
「田中くん、他人のリコーダーを舐めるのは人倫にもとるわ。」
風紀委員長の西園は、校則に詳しく、時間に厳しい、眼鏡をかけた典型的な委員長。
平均から見れば真面目なこの学校でも、彼女の怒声は日常茶飯事だった。
中でも彼は西園と事あるごとに衝突する、素行不良の生徒だった。
「こら、武田くん!
学ランのボタンは上から下まで全部留めなさいっていつも言ってるでしょ!」
「うわ、また委員長来たよ…
ちょっとくらいいーじゃん、ボタンくらいバレねーって」
「ダメよ、服装にルーズでいたら社会に出てから大変なんだからね!」
「はいはい、わかりましたよーっと。
それにしても委員長、細かいとこまでよく見てるよなぁ」
「え!? それは……そう、風紀委員長だからよ!みんなのことをしっかり見て、学校の風紀を良くしないといけないの!
べ、別に武田くんのことだけ見てるわけじゃないんだからねっ!!」
「誰もそんなこと言ってないじゃん…
まあいいや、明日からテストらしいね、頑張って〜」
「あ、ちょっと待ちなさいよ!
武田くんもちゃんと勉強して、サボらずに来るのよ!」
(まったく、本当に困った人……)
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「いいんちょ〜、来週バレンタインだね!
委員長は誰かにチョコあげるの?」
「ああ、高橋さん。特にあげる予定はないわ。見ての通り、仲の良い男子もいないもの。
高橋さんはあげる相手はいるのかしら?」
「私?私は武田にあげようかなーって。
あんなだけど、根はいいやつだしね。」
「そ、そうなの。それは……校則違反じゃないわね。」
(バレンタイン、か…好きな相手に、ねぇ…
た、武田くん!?
どうして武田くんのことを思い起こしちゃったのかしら…
そ、そうよ、高橋さんが変なこと言うからだわ。きっとそう。
……高橋さん、渡すのは本命チョコなのかしら…そのまま告白するのかしら…
気になるけど、そんなの、聞けない……)
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『卒業生、退場。
皆様、拍手でお送りください。』
「いや〜今日でこの高校も卒業だなんて、ホントにあっという間だったね!」
「そうね、高橋さん。怒ってばかりだった気がするけれど、終わってしまうとなると寂しいものね。」
「みんなバラバラになっちゃうもんね〜
太田は理工学系に進むっていうし、田中は警察のご厄介になりそうだし。」
「そうなのね、同窓会でも開けばまたみんなで集まれるかしら。」
(そういえば武田くんの進路、全然知らないわね…勉強している様子もなかったし、近くにでも就職するのかしら…)
「あ、委員長、武田の進路聞いた?」
「ふぇっ!?
あぁ、た、武田くんね、何も聞いてないわ。」
「アメリカの大学行って、そのまま向こうに住んじゃうらしいよ〜
あいつめちゃめちゃ頭いいもんね!」
(え?)
「素行不良で優秀ってズルいよね〜
にしても外国行っちゃったら、そう簡単には帰ってこられないよね、同窓会とか来なそう。」
(もう、会うことはない…?
このまま、ずっと…?)
「委員長、どうかした?顔色悪いよ?」
「あ、ううん、なんでもないの。
寂しくなるわ、またね。」
(……どうしてこんなに苦しくなるんだろう…
ただのクラスメートなのに…
もしかして私、武田くんのこと…)
「うわっ!」
「あ、ごめんなさい!考え事をしていたの…って、武田くん!?」
「なんだ、委員長か。委員長でもよそ見してることあるんだね〜」
(今日でもう、逢えない…
それならいっそ…)
「武田くん!」
「な、なんだよ?式の間は静かにしてたでしょ?」
「そ、そのことじゃないの。
あの、その、よければ、ボタンを…」
{「第二ボタンを、私にください」}
------------------------------------
「へぇ〜そんな出来事があったんですね、なんだか少女漫画みたいじゃないですか〜」
「そんなこと言わないでよ、恥ずかしいじゃないの…」
「だって、普段ボタンはしっかり留めろって言ってた委員長が、ボタンをください、だなんて…
部長の普段の雰囲気からは全然想像できないです。」
「コンタクトに変えれば少しは怖くなくなるかと思ったの。でもあまり効果はなかったみたいね。」
「まあ、そうですね、特に最初のうちは。
ほら、こっちに向かってきてる新入社員もビクビクしてますよ。」
コンコン
「し、失礼します!
今お時間よろしいでしょうか、
武田部長?」
「背伸びしたっていいよ。」「19Good」
良質:9票物語:10票
伸び盛りの弟を持つ私は、家の柱に傷をつけては彼の身長を記録していた。
弟「ちぇっ、まだ全然だぁ。」
1ヶ月で5cmも伸びれば大したものだと思ったが、
弟はなんだか不満そうである。
私「じゃあこれ、おまけね。」
そう言って、私が弟の身長より少し高い場所に印をつけると、
弟は途端に怒り出した。
それは私の優しさだよって言っても聞いてくれない…一体なぜだろう??
弟「ちぇっ、まだ全然だぁ。」
1ヶ月で5cmも伸びれば大したものだと思ったが、
弟はなんだか不満そうである。
私「じゃあこれ、おまけね。」
そう言って、私が弟の身長より少し高い場所に印をつけると、
弟は途端に怒り出した。
それは私の優しさだよって言っても聞いてくれない…一体なぜだろう??
20年04月01日 21:28
【ウミガメのスープ】 [弥七]
【ウミガメのスープ】 [弥七]

Special Thanks!!! さなめ。さん^ ^
解説を見る
<解説>
簡易解答:ただ姉の身長を追い越す瞬間が見たいなら、お互い背中を合わせればそれでいい。弟は柱に私の身長を刻んだことを、「もうこの家に帰ってくることはない」という意思表示だと捉えたから。
春から県外の大学へ進学する私。家族との別れに寂しさを覚えつつ、弟が私の身長を追い越す瞬間が見られるように、【私の身長】を柱に刻んだ。すると弟は「寂しいっていう割に、帰ってくる気ないじゃん!」と怒り始めたのだった。
ーーーーーーーーーー
もし、もしも。
私が今抱いている感情が、私一人だけのものだとしたら。
それはとても、悲しいことだと思う。
「まあ、そうですよね。七海先輩くらいの成績だったら、進学しますよねー。」
「七海ちゃん、よく勉強してたもんね。」
「県外の大学だって??いいなー頭の良い子は。」
ああ、そういうもんなのかなって。
「ーーー私、東京の大学に行くんだ。」
私の一世一代の決心は、そうして、すんなりと周囲の人に受け入れられていった。
それは、家族に対しても同じことだ。
三者面談の日。
読み上げられた進路希望に、母は何も言わずただ頷いてくれた。家に帰って父にそのことを話すと、「お金のことは心配するな」と、たった一言交わしただけで終わった。
先生に何度教えられたことか。
「進路はよく考えること」「よく悩んで選ぶこと」
誰に勧められたわけでもない。自分の好きなものを選んで、絞って。その末に、私の将来はこれしかないと決めた。
私の中で、とても大切な決断だったのに。
しかしその結末は、あまりにあっさりしすぎていた。
どうして?
どうしてそんなにすっきりはっきり、感情を入れ替えれるのだろう??
私には理解できない。
だって、私が東京の大学に行くということは、つまりーーー
「……姉ちゃん!!聞いてんの!?」
はっと我に帰る。
私は家の柱の前でぼうっと立ち尽くしていた。隣では弟が壁に張り付いたまま私に向かって話しかけている。
「姉ちゃん、まだ??」
「ああ、ごめんね、すぐやるから。」
私は弟の身長に合わせて柱に傷をつけた。過去の自分とを交互に見比べながら、弟は不満そうに鼻を鳴らした。
「ちぇっ、まだ全然だぁ。」
1ヶ月で5cmも伸びれば大したものだと思ったが。それでも物足りないのだろうか??
台所にいた母がひょっこりと顔を出す。
「はあ〜男の子の成長期ってすごいね〜。制服、もっと大きいサイズにしておけばよかったね〜。」
「やだよ!だぼだぼしてダサいじゃん!!」
「新しく買うよりいいでしょうが。」
ああケンカしてる。いつもの家族風景だ。
私がいなくとも、きっと何も変わらないだろう。
「…今に七海の身長、追い越しちゃうかもしれないねえ。」
私は柱の方を振り返った。
不揃いに重ねられた、弟の成長の記録。なんとも誇らしく、そして悲しいのだろう。
私の身長を弟が越す瞬間を、私は見ることができないのだから。
強烈な寂しさに背中を押されて、私は再びナイフの柄を強く握った。
カリカリ…
「姉ちゃん、なにしてるの??」
「これ、おまけね。これでいつでも、比べられるでしょ。」
私は自分の身長を測って、柱に傷をつけた。
「やめろよ。」
急に肩を掴まれたので、私の傷は大きく曲がってしまった。誰の声だろうと思うくらい、真剣な口調で弟は言った。
「姉ちゃんって、ほんとずるいわ。試すようなことばっかりして。」
「え?」
「急に東京の大学に行くって言うから、みんなすげー心配して。
でも姉ちゃんが決めたことだから、そんな悲しい顔しないようにしゃんとしてたのに…。母ちゃんだって言ってたよ。ほんとに一人で生活できるのかって、寂しくなるって言ってたし。
でも姉ちゃんからは『寂しい』なんて一言も聞かなかった!!」
「……」
「俺、ずっと一緒だからまだわかんないけど、姉ちゃんがいなくなったらきっと寂しいと思う。けど、けどさ!!寂しいなら、帰って来ればいいじゃんか、戻って来ればいいじゃんか!」
「……ごめん。」
私は下を向いて、ただ謝った。涙が出るかと思ったからだ。
「謝ってばっかりだ、姉ちゃんなんて、もう知らねえよ。」
こんな調子で東京でやっていけるのかねえ、と母親のようなことを言った。そして、柱の方にぐいと私を押し付けた。もうすぐ私を追い越してしまう彼の身長が、ことさら大きく見えた。
「もういい、姉ちゃんは、東京で大人しく勉強でもしてろ。
……俺が迎えに行ってやるから待っとけ。」
いつの間に
人間というものは、人知れず成長してゆくものなのだろう。
随分と男らしくなったなぁ、なんて思いながら
こくりと、私は頷いた。
柱の傷は、おとどしの。
窓辺からそよそよとやってくる柔らかな風を感じながら、私はベッドの上でうんと背伸びをして周囲を見渡した。
私だけのテレビに、私だけの本棚。ソファの上のパーカーは、誰に片付けられることもなく無造作に、おとなしくそこにかけられている。
目覚まし時計が鳴る前なんて…全く行儀の良い時間に起きてしまったものだ。
(……どうして目が覚めてしまったのだろう?)
耳をすますと、繰り返し鳴っているインターフォンの音を、寝ぼけた私の頭がやっと認知した。
(ああ、なるほどね。)
私はスキップしながらリビングを後にした。
そう、きっとこれは、私の待ち望んでいた春の訪れ。
しかし決して悟られないようにどうぞ、と少しぶっきらぼうに玄関の扉を開ける。
「久しぶり、姉ちゃん。
やっと迎えに来たよ^ ^」
不意に口元が緩んだのを、私はちゃんと隠せただろうか??
いてっ、
などと言いながら戸枠に頭をぶつける彼が、小憎らしいほど愛らしかった。
(おしまい)(この物語は全てフィクションです。)
簡易解答:ただ姉の身長を追い越す瞬間が見たいなら、お互い背中を合わせればそれでいい。弟は柱に私の身長を刻んだことを、「もうこの家に帰ってくることはない」という意思表示だと捉えたから。
春から県外の大学へ進学する私。家族との別れに寂しさを覚えつつ、弟が私の身長を追い越す瞬間が見られるように、【私の身長】を柱に刻んだ。すると弟は「寂しいっていう割に、帰ってくる気ないじゃん!」と怒り始めたのだった。
ーーーーーーーーーー
もし、もしも。
私が今抱いている感情が、私一人だけのものだとしたら。
それはとても、悲しいことだと思う。
「まあ、そうですよね。七海先輩くらいの成績だったら、進学しますよねー。」
「七海ちゃん、よく勉強してたもんね。」
「県外の大学だって??いいなー頭の良い子は。」
ああ、そういうもんなのかなって。
「ーーー私、東京の大学に行くんだ。」
私の一世一代の決心は、そうして、すんなりと周囲の人に受け入れられていった。
それは、家族に対しても同じことだ。
三者面談の日。
読み上げられた進路希望に、母は何も言わずただ頷いてくれた。家に帰って父にそのことを話すと、「お金のことは心配するな」と、たった一言交わしただけで終わった。
先生に何度教えられたことか。
「進路はよく考えること」「よく悩んで選ぶこと」
誰に勧められたわけでもない。自分の好きなものを選んで、絞って。その末に、私の将来はこれしかないと決めた。
私の中で、とても大切な決断だったのに。
しかしその結末は、あまりにあっさりしすぎていた。
どうして?
どうしてそんなにすっきりはっきり、感情を入れ替えれるのだろう??
私には理解できない。
だって、私が東京の大学に行くということは、つまりーーー
「……姉ちゃん!!聞いてんの!?」
はっと我に帰る。
私は家の柱の前でぼうっと立ち尽くしていた。隣では弟が壁に張り付いたまま私に向かって話しかけている。
「姉ちゃん、まだ??」
「ああ、ごめんね、すぐやるから。」
私は弟の身長に合わせて柱に傷をつけた。過去の自分とを交互に見比べながら、弟は不満そうに鼻を鳴らした。
「ちぇっ、まだ全然だぁ。」
1ヶ月で5cmも伸びれば大したものだと思ったが。それでも物足りないのだろうか??
台所にいた母がひょっこりと顔を出す。
「はあ〜男の子の成長期ってすごいね〜。制服、もっと大きいサイズにしておけばよかったね〜。」
「やだよ!だぼだぼしてダサいじゃん!!」
「新しく買うよりいいでしょうが。」
ああケンカしてる。いつもの家族風景だ。
私がいなくとも、きっと何も変わらないだろう。
「…今に七海の身長、追い越しちゃうかもしれないねえ。」
私は柱の方を振り返った。
不揃いに重ねられた、弟の成長の記録。なんとも誇らしく、そして悲しいのだろう。
私の身長を弟が越す瞬間を、私は見ることができないのだから。
強烈な寂しさに背中を押されて、私は再びナイフの柄を強く握った。
カリカリ…
「姉ちゃん、なにしてるの??」
「これ、おまけね。これでいつでも、比べられるでしょ。」
私は自分の身長を測って、柱に傷をつけた。
「やめろよ。」
急に肩を掴まれたので、私の傷は大きく曲がってしまった。誰の声だろうと思うくらい、真剣な口調で弟は言った。
「姉ちゃんって、ほんとずるいわ。試すようなことばっかりして。」
「え?」
「急に東京の大学に行くって言うから、みんなすげー心配して。
でも姉ちゃんが決めたことだから、そんな悲しい顔しないようにしゃんとしてたのに…。母ちゃんだって言ってたよ。ほんとに一人で生活できるのかって、寂しくなるって言ってたし。
でも姉ちゃんからは『寂しい』なんて一言も聞かなかった!!」
「……」
「俺、ずっと一緒だからまだわかんないけど、姉ちゃんがいなくなったらきっと寂しいと思う。けど、けどさ!!寂しいなら、帰って来ればいいじゃんか、戻って来ればいいじゃんか!」
「……ごめん。」
私は下を向いて、ただ謝った。涙が出るかと思ったからだ。
「謝ってばっかりだ、姉ちゃんなんて、もう知らねえよ。」
こんな調子で東京でやっていけるのかねえ、と母親のようなことを言った。そして、柱の方にぐいと私を押し付けた。もうすぐ私を追い越してしまう彼の身長が、ことさら大きく見えた。
「もういい、姉ちゃんは、東京で大人しく勉強でもしてろ。
……俺が迎えに行ってやるから待っとけ。」
いつの間に
人間というものは、人知れず成長してゆくものなのだろう。
随分と男らしくなったなぁ、なんて思いながら
こくりと、私は頷いた。
柱の傷は、おとどしの。
窓辺からそよそよとやってくる柔らかな風を感じながら、私はベッドの上でうんと背伸びをして周囲を見渡した。
私だけのテレビに、私だけの本棚。ソファの上のパーカーは、誰に片付けられることもなく無造作に、おとなしくそこにかけられている。
目覚まし時計が鳴る前なんて…全く行儀の良い時間に起きてしまったものだ。
(……どうして目が覚めてしまったのだろう?)
耳をすますと、繰り返し鳴っているインターフォンの音を、寝ぼけた私の頭がやっと認知した。
(ああ、なるほどね。)
私はスキップしながらリビングを後にした。
そう、きっとこれは、私の待ち望んでいた春の訪れ。
しかし決して悟られないようにどうぞ、と少しぶっきらぼうに玄関の扉を開ける。
「久しぶり、姉ちゃん。
やっと迎えに来たよ^ ^」
不意に口元が緩んだのを、私はちゃんと隠せただろうか??
いてっ、
などと言いながら戸枠に頭をぶつける彼が、小憎らしいほど愛らしかった。
(おしまい)(この物語は全てフィクションです。)
「キビヤックレストラン」「19Good」
良質:6票トリック:6票納得感:7票
「お待たせしました。名物の鶏刺しです!」
店員が持って来た美味そうな鶏刺しを見て、男は吐き気を催した。
自分で注文したというのに、一体何故だろうか?
店員が持って来た美味そうな鶏刺しを見て、男は吐き気を催した。
自分で注文したというのに、一体何故だろうか?
20年04月04日 09:18
【ウミガメのスープ】 [ゴリリーマン]
【ウミガメのスープ】 [ゴリリーマン]
解説を見る
一人でちょっと高めの焼肉屋に来た男は、先ずはビールを注文し、カルビやハラミ、鶏ももやせせりなど適当に色々な肉を注文しつつ、名物の鶏刺しも美味そうだと思い一つ注文した。
待っている間男はトイレに行くため席を立ったが、席に戻ると肉が並んでいたので食べ始めた。
「楽しみにしてた鶏刺しはどれかな…お、これか。美味そうだ。醤油をつけて…うん、弾力があって美味い!」
しばらく食べていると、店員がやってきて
【「お待たせしました。名物の鶏刺しです!」】と言った。
(今店員が鳥刺しを持って来たってことは、今俺が食ってるこれは…【加熱用の鶏もも肉じゃねーか!!】)
男は吐き気を催した。
待っている間男はトイレに行くため席を立ったが、席に戻ると肉が並んでいたので食べ始めた。
「楽しみにしてた鶏刺しはどれかな…お、これか。美味そうだ。醤油をつけて…うん、弾力があって美味い!」
しばらく食べていると、店員がやってきて
【「お待たせしました。名物の鶏刺しです!」】と言った。
(今店員が鳥刺しを持って来たってことは、今俺が食ってるこれは…【加熱用の鶏もも肉じゃねーか!!】)
男は吐き気を催した。
「新ラテシン お洗濯日和予報注意報」「19Good」
良質:6票トリック:3票物語:4票納得感:6票
浮気をしていたカメオとその愛人のツーショット写真がテレビで全国公開された。
カメオの妻のカメコがカメオの浮気を知り激怒したので
翌日、洗濯物の量が増加した。
一体なぜ?
カメオの妻のカメコがカメオの浮気を知り激怒したので
翌日、洗濯物の量が増加した。
一体なぜ?
20年06月13日 15:04
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]
解説を見る
{それではこちらの写真をご確認ください}
{カップルと思わしき男女を睨みつける鬼の形相をした女性の霊がはっきりと映っています}
{非常に恨みの強さが写真を通じてありありと伝わってきますね。}
心霊番組で心霊写真として紹介されたカメコの怒りの形相があまりに怖かったので
夜トイレに行けない子供たちが増加しお漏らししてしまったので翌日全国で洗濯物が増えたのです
(´;ω;`) ひぃ~
{カップルと思わしき男女を睨みつける鬼の形相をした女性の霊がはっきりと映っています}
{非常に恨みの強さが写真を通じてありありと伝わってきますね。}
心霊番組で心霊写真として紹介されたカメコの怒りの形相があまりに怖かったので
夜トイレに行けない子供たちが増加しお漏らししてしまったので翌日全国で洗濯物が増えたのです
(´;ω;`) ひぃ~
「ウィークエンド・ラプソディー」「19Good」
良質:9票トリック:1票物語:5票納得感:4票
ーカメオの日記ー
○月×日(金)
最悪。
あさって、カメコをユニバーチャル・スタジオ・ジャポンに連れて行くことになった。
母さんの都合が急に悪くなったって。
あんたどうせ土日はゴロゴロしてるんだから、って。横暴だぜ、まったく。
せっかくの休みに中坊のお守りかよ。だりー。
テーマパークなんか俺、行ったことねえし、興味すらねえよ。
しかも、妹とふたりってか。マジユウウツ。
○月△日(日)
っぶねー。うっかりあの店入るとこだったよ。ギリギリでその危険性に気付いた俺、天才。間一髪。やべー。
まあ、杞憂ってやつかも知んないけど、万が一ってことがあるし。
男にはプライドってもんがあるのだ。
ーカメコの日記ー
○月△日(日)
今日は楽しかった!お兄ちゃんに感謝。
二人とも初めてのUSJだから、もっとうろうろしちゃうかと思ったけど、案外大丈夫だったな。
あ、でも、ひとつだけ変なことがあったぞ。
「昼めしはここにしよう」ってお兄ちゃんがお店決めたんだよね。
ガイドブックには『気さくで話好きなスタッフがおもてなし。ウミガメのスープも★★★!』って書いてあるお店。
なのにお兄ちゃん、そのレストランに入ろうとしてドアの前に立ったら、なんかちょっと考えてクルッと振り返って「やっぱりやめる」ってスタスタ行っちゃった。
追いかけて訳を聞いても「別に」「なんとなく」って。
あれ、なんだったんだろ?
…さて、カメコが不思議に思っているカメオの行動。なぜ一度は入ろうとしたレストランに入らなかったのか?その理由を推理してみてくださいませんか?
○月×日(金)
最悪。
あさって、カメコをユニバーチャル・スタジオ・ジャポンに連れて行くことになった。
母さんの都合が急に悪くなったって。
あんたどうせ土日はゴロゴロしてるんだから、って。横暴だぜ、まったく。
せっかくの休みに中坊のお守りかよ。だりー。
テーマパークなんか俺、行ったことねえし、興味すらねえよ。
しかも、妹とふたりってか。マジユウウツ。
○月△日(日)
っぶねー。うっかりあの店入るとこだったよ。ギリギリでその危険性に気付いた俺、天才。間一髪。やべー。
まあ、杞憂ってやつかも知んないけど、万が一ってことがあるし。
男にはプライドってもんがあるのだ。
ーカメコの日記ー
○月△日(日)
今日は楽しかった!お兄ちゃんに感謝。
二人とも初めてのUSJだから、もっとうろうろしちゃうかと思ったけど、案外大丈夫だったな。
あ、でも、ひとつだけ変なことがあったぞ。
「昼めしはここにしよう」ってお兄ちゃんがお店決めたんだよね。
ガイドブックには『気さくで話好きなスタッフがおもてなし。ウミガメのスープも★★★!』って書いてあるお店。
なのにお兄ちゃん、そのレストランに入ろうとしてドアの前に立ったら、なんかちょっと考えてクルッと振り返って「やっぱりやめる」ってスタスタ行っちゃった。
追いかけて訳を聞いても「別に」「なんとなく」って。
あれ、なんだったんだろ?
…さて、カメコが不思議に思っているカメオの行動。なぜ一度は入ろうとしたレストランに入らなかったのか?その理由を推理してみてくださいませんか?
20年06月25日 21:58
【ウミガメのスープ】 [名無します]
【ウミガメのスープ】 [名無します]

あー楽しかった~
解説を見る
日曜日のデート(?)がうまくいくように前日の土曜日に下見に来たことを、カメコに知られるのが照れ臭かったのです。
気さくで話し好きなスタッフが、悪気無くしゃべっちゃうかもしれませんものね。「イケメン君、昨日も来てくれたよね!」なんて。
実際はスタッフもいちいち客の顔なんて覚えてないでしょうけど、そこはほら、男子高校生といえば自意識過剰なお年頃ですから…
ー書かれなかったカメオの日記ー
○月□日(土)
ガイドブックとかネットの情報だけじゃ不安だからさ。
現地に視察に行って来ました("`д´)ゞ
やっぱ、大事だわ、現地行くの。
電車の乗り継ぎとか、アトラクションの場所とか待ち時間とか満足度とか、効率的な移動ルートとか、どの時間帯が混むかとかさ。
実際に歩いてみないとわかんねーもんだ。
実証的っていうの?フィールドワーク?なんでもいいけどw
とにかくカメコのヤツ、トロくせーからなあ。ちゃんと調べといてやんねーと、まごまごしてるうちに1日終わっちゃうよ、アイツ。
苦労するぜ、俺も。
それにしても、あのレストラン、美味かったなあ。
店員もみんな気さくで、いっぱい話し掛けてくれたし。
アットホームって感じ?
ま、俺がイケメンだからってのが大きいんですけどw 嘘w フツメンw それも嘘w ブサメンw そこまでいうW
カメコの好きなウミガメのスープもメニューに載ってたな。
うん、明日の昼めしはあそこに決定だ。
カメコ喜ぶかなあ。
別にどうでもいいけど。
さあ、明日に備えて早目に寝るべ。
気さくで話し好きなスタッフが、悪気無くしゃべっちゃうかもしれませんものね。「イケメン君、昨日も来てくれたよね!」なんて。
実際はスタッフもいちいち客の顔なんて覚えてないでしょうけど、そこはほら、男子高校生といえば自意識過剰なお年頃ですから…
ー書かれなかったカメオの日記ー
○月□日(土)
ガイドブックとかネットの情報だけじゃ不安だからさ。
現地に視察に行って来ました("`д´)ゞ
やっぱ、大事だわ、現地行くの。
電車の乗り継ぎとか、アトラクションの場所とか待ち時間とか満足度とか、効率的な移動ルートとか、どの時間帯が混むかとかさ。
実際に歩いてみないとわかんねーもんだ。
実証的っていうの?フィールドワーク?なんでもいいけどw
とにかくカメコのヤツ、トロくせーからなあ。ちゃんと調べといてやんねーと、まごまごしてるうちに1日終わっちゃうよ、アイツ。
苦労するぜ、俺も。
それにしても、あのレストラン、美味かったなあ。
店員もみんな気さくで、いっぱい話し掛けてくれたし。
アットホームって感じ?
ま、俺がイケメンだからってのが大きいんですけどw 嘘w フツメンw それも嘘w ブサメンw そこまでいうW
カメコの好きなウミガメのスープもメニューに載ってたな。
うん、明日の昼めしはあそこに決定だ。
カメコ喜ぶかなあ。
別にどうでもいいけど。
さあ、明日に備えて早目に寝るべ。