みんなのGood

閃きのバラッド「23Good」
良質:3票トリック:7票物語:5票納得感:8票
小説家の三葉慶勝(みつばよしかつ)は、明朝の午前10時に控えた原稿の締切に追われていた。

(あと少し…あと少しだ…)

今彼が書いているのは、新作におけるクライマックスの場面。他の部分は数日前に完成済みだったのだが、このラストシーンの一説のみ納得のいくアイデアが出ず、今日まで手付かずの状態であった。夕方、やっと得心のいく構想を思いつき、大急ぎで執筆に取りかかったのだった。

そんな最中、三葉は突如休憩をしたくなった。
現在の時刻は午前4時。夕方から今まで休まず作業しているのだから、無理もなかった。
幸いにも今の進捗なら、1時間程度の仮眠なら出来そうだ。仮眠を取って、体力を回復させてから仕上げにかかるのも悪くない。

だが少し思案した三葉は、最終的に仮眠を取らないことにした。体力の回復より、筆が乗っている今の状態を維持することを優先したのだった。

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

…さて、結末から言うと、三葉は締切に間に合わず原稿を落としてしまった。
その後力尽きてうっかり眠ってしまったわけでも、何らかの要因で急に筆が進まなくなったわけでもない。

一つ言えることは、{「あの時仮眠を取っていたなら、締切に間に合っていた可能性が高い」}ということだ。


<問>
執筆作業中、{三葉がずっと聞いていた音}はどんな音だろうか?
25年04月22日 20:12
【20の扉】 [器用]

4/25(金)いっぱいで締めます。※延長中!




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{A、雷が落ちる音}


三葉が仮眠を取らないことを決め、少し経ったある時………

{ゴロゴロ…}

<{ピシャーン!!}>

執筆作業をしている間、ずっと聞いていた雷の音がひときわ大きく響いた。

それと同時に、三葉の部屋の灯りがパタリと消え、今まで執筆作業をしていたデスクトップPCの電源が落ちた。

「あっ!!!」

三葉が思わず叫んだのも当然。夕方に構想が浮かんでから大急ぎで執筆作業をしていたのだ。途中で保存などしていない。

恐らく、ほぼ確実に、半日に及ぶ作業が水泡に帰した。

幸いにも電源はすぐに復旧した。一縷の望みをかけてPCを立ち上げたが、彼が目にしたのは白紙に戻った最終章の一説であった。

{もしも、もしもあの時仮眠を取っていたなら。}
作業を中断するついでに一時保存をしていた可能性は低くない。

三葉は時計を見た。時刻は午前5時を回っていた。いくら一度書き上げたものとはいえ、半日かけて清書したものを5時間足らずで仕上げるのは不可能だった。

呆然とスクリーンを見つめるばかりの三葉。

そんな彼を嘲るかのように、未だ遠くの空では雷雲がゴロゴロと嗤っていた。
我輩は猫なのに「23Good」
良質:18票トリック:4票物語:1票
僕は猫のミケ。どこからどう見ても立派な猫なのに、僕を見た人は口々に「犬だ、犬がいる」と言うんだ。
でも僕のご主人は僕を見ると「どう考えたって猫じゃないか」って言ってくれた。そしたらみんなも「猫だ猫だ」って認めてくれた。さすが僕のご主人だニャ。
…でも最初に犬と間違えられたのはニャんでだろう?
19年02月22日 22:38
【ウミガメのスープ】 [靴下]

ギリギリ猫の日間に合った…!




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ミケはご主人と一緒に、図のように寝ていたので「(漢字の)犬だ」と言われた。それを聞いたご主人が起き上がってミケを見たら、大の字がなくなってしまい、誰が見ても普通な猫になってしまった。
ひみつのイヤフォン「23Good」
良質:18票物語:5票
ある日の昼下がり。
古びたテープレコーダーから流れ出すのは途切れ途切れの音。

その音を聴きながら、
《縁側に腰掛けてこのテープレコーダーを片手に日向ぼっこをする祖母が、いつもイヤフォンをしていたこと》を思い出した私は
“あの時”とは違う涙を流した。


では、“あの時”の涙の理由はいったい何だろうか?
19年06月13日 01:24
【ウミガメのスープ】 [藤井]



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【解答】
途切れ途切れの音は、幼き頃のピアノの発表会での私の演奏。たくさん間違えて聴くに堪えない失敗の演奏だった。
それを録音した母が祖母に聴かせようと再生した“あの時”、私は恥ずかしさや悔しさから祖母に聴かせるのが嫌で泣いた。


【解説】
私は幼き頃からピアノを習っていた。
小学1年生の頃、初めての発表会に挑んだ。課題曲には祖母の大好きな童謡『茶摘み』を選んだ。家で何度も何度も練習をし、ついに本番を迎える。
しかし当日私はひどく緊張していて、たくさん間違えてしまった。いつもはミスなく弾けるところも指が震えて何度もつっかえてしまい、聴くに堪えない演奏だった。どうにか最後まで弾き終えて礼をする。響き渡る拍手は全然嬉しくなんかなくて、私は泣きたい気持ちをこらえるのに必死だった。

客席で見守っていた母は私の演奏をテープに録音しており、帰宅後、あのひどい演奏を祖母に聴かせたのだ。
私は声を荒げて怒った。
「そんなの聴かせないでよ!!!!」
恥ずかしくて悔しくて涙が溢れた。あんなにたくさん練習したのに、あんなにたくさん間違えて……二度と聴きたくない演奏だ。祖母は私の背中を撫で、テープの再生を止めた。

それ以来、私の前でそのテープが再生されることはなかった。



歌が好きな祖母は日頃からよく童謡などを口ずさんでいて、たまに天気のいい日には縁側に腰掛けてテープレコーダーを片手に音楽を聴いているようだった。しかし、常にイヤフォンを装着していたので、祖母が何の曲を聴いているのかわからなかった。
私が近づいて隣に座ると、祖母はテープを止めてイヤフォンを外し、手遊びなどをたくさん教えてくれたものだ。
私は祖母が大好きだった。


季節は巡り、私は中学生になった。祖母は年々老衰により耳が遠くなり、声も出にくくなっているようだった。次第に部屋にこもりがちになり、縁側に置かれたテープレコーダーはついに再生されることがなくなってしまった。

私はふと、気になった。
祖母はイヤフォンで何の曲を聴いていたのだろうか?
興味本意でテープレコーダーを手に取り、イヤフォンを取り外して、再生ボタンを押す。


流れ出したのは、途切れ途切れのピアノの音。
聴くに堪えなかったあの日の私の演奏。


祖母はずっと、これを聴いていたのだ。
私が悔しさと恥ずかしさで泣き出したあの日から、私が傷つくことのないように、私に聴かれることのないように、わざわざイヤフォンをつけて。


「……おばあちゃんね、ウミコが発表会でその曲弾くって知ったとき、すっごく喜んだのよ」

いつの間にか後ろにいた母がそっと囁いた。

「おばあちゃんの好きな曲を選んでくれたことが嬉しくて仕方なかったみたいでね。ウミコにとっては失敗の演奏だったかもしれないけど、おばあちゃんにとってはとびっきりの宝物よ」


下手くそな演奏が終わり、拍手が響く。
それはとても温かくて、まるでその中に笑顔で手を叩く祖母の姿が見えるようで……

こらえきれず溢れる涙を、私は震える指で拭った。
 
塗られた毒「23Good」
良質:18票物語:3票納得感:2票
寿司を食べていたカメオは毒で死んだ。
箸にも寿司にも毒はついていなかった。
そうすると、どこに毒がついていたのだろう?
19年07月13日 21:20
【新・形式】 [Rest]

簡単かな?5人正解出ましたら諦めます。(元は名無しでした)




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出題者は寿司屋の大将。




<彼は人を殺した。おしぼりに{毒}を塗り込んで。>



彼は自信がなかった。自分の仕掛けた精いっぱいのトリックに。


あることを思いついた。

ここ、らてらてで出題し、5人の正解者が出たら諦めて自首しよう。

<簡単かな?5人正解者が出ましたら諦(あきら)めます。>

そう一言コメントに記し、問題を出題した。




その結果、5人に毒のトリックを見破られ、

やっぱりこのトリックはいつかはバレるのだと悟ったカメオは

{警察署へ走った。}


※流石にネット上で犯人が自分だとは言えないので、大将は犯人が出題者であることは隠します。
※出題しているのはRestではない感をだすために名無し出題しております。
※最初の大将が質問に答えるフェーズは大将目線で、そのあとの自首の理由フェーズはRest目線でお答えしています。
良質:15票物語:8票
ある日、男は女の自宅に食事に招かれた。
テーブルに置かれたウミガメのスープを前にした男は、少し考えた後、「温めてくれないか」と遠慮がちに女に告げた。
「どうして?」と女が問うと、男は「いろんなことを話せるようになったから」と答えた。


女はなぜ、「どうして?」と問うたのだろう?
19年11月01日 22:00
【ウミガメのスープ】 [藤井]

たくさんのらてらてメンにお祝いしていただけて超幸せでした。ありがとう。ラブ!




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【解答】
男が猫舌であると思っていたから。



【解説】
初めてのデートは喫茶店だった。
二人は互いに緊張しており、会話はなかなか続かない。
「僕、猫舌なんだ」
そう男は告げた。そうなんですね、と女は微笑む。
テーブルに置かれたホットコーヒーを男はゆっくりと時間をかけて飲んだ。

二回目のデートはレストランだった。
前回よりは少しほぐれたものの、二人の間にはまだぎこちなさが残る。
男は注文したウミガメのスープを、これまた時間をかけてゆっくりと飲んだ。

そんな調子で幾度かデートを重ね、二人の距離はずいぶんと縮まったようだった。


ある日、女は男を自宅に招き手料理を振る舞うことにした。
男の好物であるウミガメのスープを作った女は、猫舌の彼に配慮し、軽く冷ましてあるスープを差し出した。
器に触れた男は一瞬動作を止めた。そして顔を上げると、やや遠慮がちに女にこう告げた。

「……このスープ、温めてくれないか?」

女は少し驚いた。

「どうして?あなた、猫舌でしょう?」
「本当のことを言うと、僕……猫舌なんかじゃないんだ」

申し訳なさと気恥ずかしさの入り交じる表情で男は言う。

「猫舌だって言ったのは、そう言い訳してゆっくり食べることで少しでも長く君と一緒にいたかったんだ」

うまく話せなくても、会話が続かなくても、ただ一緒にいたかったのだと。
男は伏し目がちに笑って、それからまっすぐに女の目を見た。

「でも、もう猫舌だなんて誤魔化して時間を稼がなくても、君とはいろんなことを話せるようになったから。せっかく作ってくれたこのスープも、熱々の一番おいしい状態で食べてみたい」

女は頬を染め、嬉しそうに頷いた。




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いつも遊んでくださる皆さん、ありがとうございます。藤井です。

ラテシンに登録したのが約9年前。以来、ウミガメを介してたくさんの方々と交流をさせていただきました。
私にとってのウミガメのスープは、大切なコミュニケーションツールのひとつです。

登場人物の心情が溶け込んでいる奥行きのあるスープが好きで、そういったスープ作りを目指しています。
記念すべき100問目のスープには『うまく話せないけど、それでも一緒にいたい』…そんな思いを溶かしました。

どうかこれからも気ままに遊んでいただけると嬉しいです!ラブ!