「【Cらて】日常に潜む猫おじさんの恐怖」「22Good」
良質:6票トリック:2票物語:7票納得感:7票
我が家の裏の空き地は、
野良猫の溜まり場になっている。
あまり褒められた行為ではないが、
都会の生活で心が疲れた時、
私は、猫たちにエサをやって癒やされていた。
ある日。
外から仔猫の鳴き声がすることに気づいた私は、
いつものように、煮干しの入った袋を手に空き地に向かった。
…結論から言うと、仔猫はいなかった。
空き地には、いつも集まっている猫たちの姿すらない。
代わりに、小太りのおじさんがいた。
おじさんは口を開く。
「ンニャアオ…ニャアオ……🐾」
……なんてことだ。
仔猫の鳴き声だと思っていた声は、
小太りのおじさんの口から発せられていたのだった。
私は、
猫にあげるために持ってきた煮干しを、
小太りのおじさんに与えた。
一体なぜ?
野良猫の溜まり場になっている。
あまり褒められた行為ではないが、
都会の生活で心が疲れた時、
私は、猫たちにエサをやって癒やされていた。
ある日。
外から仔猫の鳴き声がすることに気づいた私は、
いつものように、煮干しの入った袋を手に空き地に向かった。
…結論から言うと、仔猫はいなかった。
空き地には、いつも集まっている猫たちの姿すらない。
代わりに、小太りのおじさんがいた。
おじさんは口を開く。
「ンニャアオ…ニャアオ……🐾」
……なんてことだ。
仔猫の鳴き声だと思っていた声は、
小太りのおじさんの口から発せられていたのだった。
私は、
猫にあげるために持ってきた煮干しを、
小太りのおじさんに与えた。
一体なぜ?
24年01月21日 21:35
【ウミガメのスープ】 [るょ]
【ウミガメのスープ】 [るょ]
解説を見る
四つん這いで草むらに鳴き続けるおじさん。
私は彼の肩に手を置くと、静かに首を振った。
「ここらの猫は現金でね。エサでも無いと触らせてくれないよ。」
煮干しの袋を渡す。
手のひらに煮干しを出して呼ぶと、
ものの数分で、隠れていた猫たちが集まってきた。
「地元の猫たちなら、鳴きマネに釣られて集まってくるんですがね…。」
猫ちゃんも都会っ子なんですね。
そう言って苦笑いするおじさん。
彼もまた、都会のストレスを猫で癒やそうとしていたのだった。
・・・
都会では、隣人のことなど気にかけていられない。
いつもの電車であなたの隣に座るそのおじさんも、
実は生活の中で、ストレスを感じていたりするのかもしれない。
…或いは、異様に猫の鳴きマネが上手だったりするかもしれない。
答え:
隠れている猫を呼んで触らせてあげるため
私は彼の肩に手を置くと、静かに首を振った。
「ここらの猫は現金でね。エサでも無いと触らせてくれないよ。」
煮干しの袋を渡す。
手のひらに煮干しを出して呼ぶと、
ものの数分で、隠れていた猫たちが集まってきた。
「地元の猫たちなら、鳴きマネに釣られて集まってくるんですがね…。」
猫ちゃんも都会っ子なんですね。
そう言って苦笑いするおじさん。
彼もまた、都会のストレスを猫で癒やそうとしていたのだった。
・・・
都会では、隣人のことなど気にかけていられない。
いつもの電車であなたの隣に座るそのおじさんも、
実は生活の中で、ストレスを感じていたりするのかもしれない。
…或いは、異様に猫の鳴きマネが上手だったりするかもしれない。
答え:
隠れている猫を呼んで触らせてあげるため
「ならば競歩よ」「22Good」
良質:3票トリック:15票物語:2票納得感:2票
らてらて小学校で教師をしているカメコは、毎日のように廊下を走り回るカメオに頭を悩ませている。
とある日の休み時間、廊下を歩くカメオの姿を見かけたカメコは、廊下を走らないように注意した。
一体なぜだろうか?
とある日の休み時間、廊下を歩くカメオの姿を見かけたカメコは、廊下を走らないように注意した。
一体なぜだろうか?
24年05月23日 17:57
【ウミガメのスープ】 [ぺてー]
【ウミガメのスープ】 [ぺてー]

5/25(土)の21:00まで(たぶん)!
解説を見る
【A.】 廊下を走らないようにとカメオに再三注意している手前、自分が廊下を走っているところを見られるわけにはいかないと思ったため。
わんぱく小僧のカメオに対し、廊下を走らないようにと何度も注意してきたカメコ。
再三の注意も虚しく、カメオは今でも毎日のように廊下を走り回っており、カメコも半ば諦めモードである。
とある日の授業前、準備に時間がかかってしまったカメコは、{授業に遅刻しないために廊下を走っていた}。
急いで教室へと向かう途中、前方に廊下を歩くカメオの姿が見えた。
カメコ【(まずい!カメオにいつも廊下を走るなって注意してるのに、自分が走ってるところを見られたら絶対いじられる!)】
カメオに走っているところを見られたくなかったカメコは、{カメオの前では廊下を走らないように注意した}のであった。
ウミオ「カメコ先生遅刻〜!いっつも遅刻するなって言ってるのに〜!(^Д^)9m」
カメコ(そういえば遅刻魔のこいつもいたな(´・_・`))
わんぱく小僧のカメオに対し、廊下を走らないようにと何度も注意してきたカメコ。
再三の注意も虚しく、カメオは今でも毎日のように廊下を走り回っており、カメコも半ば諦めモードである。
とある日の授業前、準備に時間がかかってしまったカメコは、{授業に遅刻しないために廊下を走っていた}。
急いで教室へと向かう途中、前方に廊下を歩くカメオの姿が見えた。
カメコ【(まずい!カメオにいつも廊下を走るなって注意してるのに、自分が走ってるところを見られたら絶対いじられる!)】
カメオに走っているところを見られたくなかったカメコは、{カメオの前では廊下を走らないように注意した}のであった。
ウミオ「カメコ先生遅刻〜!いっつも遅刻するなって言ってるのに〜!(^Д^)9m」
カメコ(そういえば遅刻魔のこいつもいたな(´・_・`))
「TSUNAMI」「22Good」
良質:3票トリック:5票物語:6票納得感:8票
「水が!た、大量の水が!」
「み、皆のもの!は、早く!城の外へお逃げなさい!」
水に流され割れてしまった高価な調度品が散乱した城内で呆然と立ち尽くす姫。
「なにかお困りですかな?」
そんな姫に一人のじいさんが話しかけた。
遠い地よりはるばるやってきたじいさんはその特別な力で、割れたAを元通りにしたのだが、そのせいで姫に怒られてしまった。
さてAに当てはまる単語を答えよ。
※質問数制限なし!
「み、皆のもの!は、早く!城の外へお逃げなさい!」
水に流され割れてしまった高価な調度品が散乱した城内で呆然と立ち尽くす姫。
「なにかお困りですかな?」
そんな姫に一人のじいさんが話しかけた。
遠い地よりはるばるやってきたじいさんはその特別な力で、割れたAを元通りにしたのだが、そのせいで姫に怒られてしまった。
さてAに当てはまる単語を答えよ。
※質問数制限なし!
25年03月05日 18:22
【20の扉】 [ダニー]
【20の扉】 [ダニー]

3/9(日)の22:00ごろに締めます
解説を見る
「そうだ日本に行こう」
「海割って」
ある日そう思い立ったモーゼのじいさんは、{海を割って}日本までの道をつくりました。
一方その頃。
「水が!た、大量の水が!」
「城から流れ出る!!!」
モーゼが作った道筋にちょうど建立されていた竜宮城。
{海水が無くなってしまったことで城内の水がすごい勢いで外に流れ出て}いきます。
「み、皆のもの!は、早く!城の外へお逃げなさい!」
乙姫や亀以外のエラ呼吸しかできない鯛やヒラメたちは急いで外に避難。
また水が流れ出る際に壺などの高級な調度品も流され、城内に散乱してしまいました。
「いったいどうしてこんなことに…」
一夜明け。
城内の惨状を前に呆然と立ち尽くす乙姫。
「なにかお困りですかな?」
そこに海を割った張本人のモーゼが話しかけました。
まあ言葉が通じないので、なんとなく状況を察したモーゼは、なんかごっつい杖を天に翳し{割れた海を元に戻しました。}
その奇跡の御業を目の当たりにした乙姫。
こいつがこの天変地異の発端だとわかり怒り心頭。
モーゼにジャンピングソバットからのシャイニングウィザードのコンボを喰らわせましたとさ。
めでたしめでたし。
※私の地元・石川県にはモーゼの墓があるよ!
能登の宝達山って山で583歳まで余生を過ごしたらしい。
モーゼファンのみんな、石川県にきたら墓参りしてね。
「海割って」
ある日そう思い立ったモーゼのじいさんは、{海を割って}日本までの道をつくりました。
一方その頃。
「水が!た、大量の水が!」
「城から流れ出る!!!」
モーゼが作った道筋にちょうど建立されていた竜宮城。
{海水が無くなってしまったことで城内の水がすごい勢いで外に流れ出て}いきます。
「み、皆のもの!は、早く!城の外へお逃げなさい!」
乙姫や亀以外のエラ呼吸しかできない鯛やヒラメたちは急いで外に避難。
また水が流れ出る際に壺などの高級な調度品も流され、城内に散乱してしまいました。
「いったいどうしてこんなことに…」
一夜明け。
城内の惨状を前に呆然と立ち尽くす乙姫。
「なにかお困りですかな?」
そこに海を割った張本人のモーゼが話しかけました。
まあ言葉が通じないので、なんとなく状況を察したモーゼは、なんかごっつい杖を天に翳し{割れた海を元に戻しました。}
その奇跡の御業を目の当たりにした乙姫。
こいつがこの天変地異の発端だとわかり怒り心頭。
モーゼにジャンピングソバットからのシャイニングウィザードのコンボを喰らわせましたとさ。
めでたしめでたし。
※私の地元・石川県にはモーゼの墓があるよ!
能登の宝達山って山で583歳まで余生を過ごしたらしい。
モーゼファンのみんな、石川県にきたら墓参りしてね。
「或る「告り日記」伝 」「22Good」
良質:15票トリック:5票納得感:2票
木村の彼女が川島であると伝え聞いて、田中は思わず声を上げた。
「えぇぇっ!!マジで?!よりにもよって川島かよ!」
川島は美人で秀才。言い寄る男子生徒もたくさんいたが、全て撃沈。身持ちの堅さが更に人気を上昇させていた。
かく言う田中も川島の熱狂的ファンである。
川島への想いを日々日記帳にしたためているほどなのだが…
嗚呼、田中の恋、破れたり。
それはともかく、その田中の純愛日記のタイトルが『オッケー日記』(田中はそのタイトルがちょっと暗号めいていて気に入っている)となっているのは何故だろう?
タイトルに隠された秘密を解き明かして欲しい。
「えぇぇっ!!マジで?!よりにもよって川島かよ!」
川島は美人で秀才。言い寄る男子生徒もたくさんいたが、全て撃沈。身持ちの堅さが更に人気を上昇させていた。
かく言う田中も川島の熱狂的ファンである。
川島への想いを日々日記帳にしたためているほどなのだが…
嗚呼、田中の恋、破れたり。
それはともかく、その田中の純愛日記のタイトルが『オッケー日記』(田中はそのタイトルがちょっと暗号めいていて気に入っている)となっているのは何故だろう?
タイトルに隠された秘密を解き明かして欲しい。
25年03月15日 22:20
【ウミガメのスープ】 [プロテインX]
【ウミガメのスープ】 [プロテインX]

オッケー牧場
解説を見る
「オッケー(OKAY)」は川島の名前「かよ(KAYO)」のアナグラムなのである。
「Hip! Step! Jump!」「21Good」
良質:6票トリック:3票物語:2票納得感:10票
スリが多いことで有名な大都市「ラテライツ」に住むカメオ。
彼は人混みを往来する時、絶対に財布を尻ポケットに入れないようにしている。死角になる上に盗られても気付きにくいため、スリに狙われやすいからだ。
そんなカメオだが、{あるもの}を失くして以来、人混みを往来する時は財布を尻ポケットに入れることにしたのだという。
{あるもの}とは何だろうか?
理由も含めて答えて欲しい。
彼は人混みを往来する時、絶対に財布を尻ポケットに入れないようにしている。死角になる上に盗られても気付きにくいため、スリに狙われやすいからだ。
そんなカメオだが、{あるもの}を失くして以来、人混みを往来する時は財布を尻ポケットに入れることにしたのだという。
{あるもの}とは何だろうか?
理由も含めて答えて欲しい。
22年10月14日 20:13
【20の扉】 [だだだだ3号機]
【20の扉】 [だだだだ3号機]

17日(月)23:00までに延長しました!
解説を見る
【解説】
A.{両足}
事故で両足を失くし、車椅子で生活するようになったカメオ。
人混みを往来する時は、体重をかけるため盗まれにくく、一番安全であろう尻ポケットに財布を入れるようになった。
【ストーリー】({読まなくていいです})
国内有数の大都市『ラテライツ』。
人口が多く、時間帯によって道路が人や車で大変混雑するこの街は、有名な観光地である一方、スリが大変多いことでも知られている。
そんなラテライツに住むサラリーマン、カメオ。
高校時代に運動部だった彼は、その持ち前と体力と人柄の良さから職場では大いに慕われている。
その上昔から困っている人を見過ごせない性分で、近所でも有名な好青年というやつだった。
そんなカメオも当然スリへの警戒は怠っておらず、人混みを往来する時は、彼は絶対に財布を尻ポケットに入れないようにしている。死角になる上盗られても気付きにくく、スリにとって格好の的だからだ。
その日は、酷い雨だった。
通勤中、いつものように人混みを歩いていたカメオは、その日の夜に病院で目を覚ましていた。
困惑しながらも、曖昧な記憶を辿っていくカメオ。
人混み、横断歩道、女の子、赤信号───。
(そうだ、俺は…)
トラックに轢かれそうになった女の子を庇って、そのまま…
事の顛末を全て悟ったカメオが身体を起こす。
鈍い痛みが残る全身に気をやりながらも、自然と自分の足先に目を向ける形になった。
目覚めた時から、漠然と感じていた下半身の違和感。その正体が解った。
「両の膝から下」が、無かった。
カメオが目覚めたことを聞きつけ病室までやって来た医師は、なんともばつの悪そうな顔をしながら、ゆっくりと仔細を説明した。
カメオはそれを黙って聞いていた。
ただ、女の子が無事だったことを告げられた時だけ、小さな声で「ありがとうございます」と、そう言ったきりだった。
入院中、助けた女の子とその母親がお見舞いに来て、主に金銭面で援助をしてもらうことになった。
最初は「勝手にやったことだから」と断っていたのだが、承諾するまで帰ってくれそうになかった上、仕舞いには娘のいる前で土下座までしようとしたので、最終的にはカメオが折れた。
帰り際、二人が病室を出た後、女の子だけがこっそり病室に戻ってきた。カメオが「どうしたの?忘れ物?」と尋ねると、心配しているのか、申し訳ないのか、なんとも言えない表情で此方を見つめた。
少ししてから、女の子は二つ折の小さな紙切れをカメオに渡して、何も言わず駆け足で病室を出てってしまった。
渡されたのは、ピンク色のメッセージカードだった。
まず間違いなく女の子の字だろう。「たすけてくれて ありがとう」という言葉と共に、名前と小さな押し花が添えられていた。
きっと彼女は幼い子供ながらに、後ろめたさを感じていたのだろう。あるいは、元々恥ずかしがり屋な子なのかもしれない。
それでも彼女なりに、心からの感謝を伝えようとしてくれたのだ。
カメオは暫く一人でメッセージカードを見つめた後、それを丁寧に畳んで仕舞った。
それからも、女の子は母親に連れられて何度もお見舞いに来た。
最初は母親の後ろでモジモジしていた女の子だったが、日を重ねるごとに少しずつ心を開いてくれるようになった。
カメオの退院の日程が決まる頃には二人はすっかり仲良くなり、病室でよく絵を描いたりして遊んでいた。
「すみませんカメオさん…怪我もまだ治りきっていないのに。」
ある日、女の子の母親が申し訳なさそうに言った。
「いや良いですよ全然!どうせ暇ですし。こちらこそいつもわざわざお見舞いに来てもらってすみませんね。」
「いえ、娘の命の恩人ですから…それに、最近は娘がお見舞いに行きたいと言って聞かないんですよ。」
え、とカメオは声を上げた。母親は話を続ける。
「旦那はこの子が産まれてすぐに亡くなりました。それからは私も必死で、あまり構ってあげられなかったんです。ですから、カメオさんに遊んで貰うのが本当に嬉しいんだと思います。」
「そう…なんですか。」
カメオはしばらく考え込んだ後、女の子に向かって言った。
「もし良かったらさ、退院した後もまた遊ぼうか。今度は外で。」
「…いいの?」
「もちろん。何がしたい?」
それを聞いた女の子は物凄く悩ましい顔をして、口をつぐんでしまった。カメオが「なんでも、正直に言って良いよ。」と言うと、女の子は目を伏せながら呟いた。
「…鬼ごっこ。」
母親はしまった、という顔をしたが、カメオは真っ直ぐな瞳で
「わかった。約束ね。」
と返した。
嬉しそうに笑う女の子を見て、カメオは思わず口元が緩んでしまった。
きっと母親は、カメオの足の話もしているはずだ。でもまだ幼い女の子には、失った足が二度と戻らないことまでは分からなかったのだろう。あるいは、なんとなく分かっていて、それで口をつぐんだのかもしれない。
ただ、そんなことはカメオにはどうでも良かった。
お見舞いも鬼ごっこのことも、恥ずかしがり屋のあの子がやっと溢したわがままなら。
母子家庭で、一人で遊ぶことが多かったあの子が初めて誰かと交わした約束なら。
カメオの中には、確かな決意があった。
…それから少し時が経って。
退院し、車椅子での生活にも慣れてきたカメオ。
当たり前と言えば当たり前だが、カメオの生活は随分と様変わりしていた。仕事も辞めたし、住居は車椅子でも過ごしやすい段差の無い家に引っ越した。
細かいところでは、財布の持ち歩き方も変わった。
最近、カメオは以前と異なり、財布を尻ポケットに入れるようにしている。
車椅子の身だろうと、スリは警戒しなければならない。
無理はできない身体であるため、用事の時にはできるだけ人混みを避けているのだが、人口飽和気味のラテライツではいつでもそうとはいかない。
どうしても、人通りの多い時間帯に被る時がある。
他のポケットや鞄に入れても安全性は高いが、この身体では、力ずくで盗られるリスクもあるだろう。そうなれば、きっと抵抗すらままならない。
しかし、しかしである。
かつてなら盗まれないよう尻ポケットは避けるが、車椅子を使う場合は話は別だ。
体重をかけて座っている以上、取り出すときは大変だが、その分盗まれる危険は限りなく低い。
そう考えたカメオは、人混みを往く時は財布を尻ポケットに入れるようになった。
…財布という生活の切れ端からすら、「足が無い」という事実を実感する日々。
もちろん、財布の持ち方一つに懊悩できるほど、気持ちに余裕ができたとも言えるのだが。
「最近特に物騒ですからね~。良いアイデアだと思いますよ。」
「でしょ?まあ、財布を取り出すと体温でものすごく温いんですけど。」
あれから、カメオはリハビリのため病院に通い詰めていた。
彼のために用意された、義足による歩行訓練。
ひたむきな努力が実を結んだのか、少しずつ歩ける距離は増えていった。
医師曰く、早ければ半年もすれば歩いて生活できるようになるだろう、と。
きっとまだ、たくさん不安はあるけれど。
「アハハ…良いじゃないですか。お財布が温かいのは、カメオさんが元気な証拠ですよ。」
すっかり顔馴染みの看護師がそう返すと、ほんの少しの沈黙が流れた後、噛み締めるようにカメオが呟いた。
「元気な証拠、かぁ…。」
看護師の手を借りながら、休憩用の椅子に腰を降ろしたカメオは、自身の温もりを確かめるように腿を擦る。
そして財布を取り出すと、その中から丁寧に折り畳まれたメッセージカードを手に取った。
その様子を見た看護師が尋ねる。
「かわいいメッセージカードですね~。彼女さんからですか?」
「…いいえ。ただ、大切な約束なんです。リハビリを頑張れるのも、これのお陰ですから。」
そう言うと、カメオは開いたメッセージカードを見つめた。
何も知らない看護師は最初は不思議そうな顔をしていたが、何かを察したのだろう、途中で穏やかな表情になった。
「じゃあ尚更、盗られるわけにはいかないですね。」
「…そうですね。」
そう返事をしながら、カメオはメッセージカードを丁寧に折り畳むと、財布の中に入れた。
いつか果たされる日まで、二人の約束を胸に仕舞い込むように、そっと。
END
A.{両足}
事故で両足を失くし、車椅子で生活するようになったカメオ。
人混みを往来する時は、体重をかけるため盗まれにくく、一番安全であろう尻ポケットに財布を入れるようになった。
【ストーリー】({読まなくていいです})
国内有数の大都市『ラテライツ』。
人口が多く、時間帯によって道路が人や車で大変混雑するこの街は、有名な観光地である一方、スリが大変多いことでも知られている。
そんなラテライツに住むサラリーマン、カメオ。
高校時代に運動部だった彼は、その持ち前と体力と人柄の良さから職場では大いに慕われている。
その上昔から困っている人を見過ごせない性分で、近所でも有名な好青年というやつだった。
そんなカメオも当然スリへの警戒は怠っておらず、人混みを往来する時は、彼は絶対に財布を尻ポケットに入れないようにしている。死角になる上盗られても気付きにくく、スリにとって格好の的だからだ。
その日は、酷い雨だった。
通勤中、いつものように人混みを歩いていたカメオは、その日の夜に病院で目を覚ましていた。
困惑しながらも、曖昧な記憶を辿っていくカメオ。
人混み、横断歩道、女の子、赤信号───。
(そうだ、俺は…)
トラックに轢かれそうになった女の子を庇って、そのまま…
事の顛末を全て悟ったカメオが身体を起こす。
鈍い痛みが残る全身に気をやりながらも、自然と自分の足先に目を向ける形になった。
目覚めた時から、漠然と感じていた下半身の違和感。その正体が解った。
「両の膝から下」が、無かった。
カメオが目覚めたことを聞きつけ病室までやって来た医師は、なんともばつの悪そうな顔をしながら、ゆっくりと仔細を説明した。
カメオはそれを黙って聞いていた。
ただ、女の子が無事だったことを告げられた時だけ、小さな声で「ありがとうございます」と、そう言ったきりだった。
入院中、助けた女の子とその母親がお見舞いに来て、主に金銭面で援助をしてもらうことになった。
最初は「勝手にやったことだから」と断っていたのだが、承諾するまで帰ってくれそうになかった上、仕舞いには娘のいる前で土下座までしようとしたので、最終的にはカメオが折れた。
帰り際、二人が病室を出た後、女の子だけがこっそり病室に戻ってきた。カメオが「どうしたの?忘れ物?」と尋ねると、心配しているのか、申し訳ないのか、なんとも言えない表情で此方を見つめた。
少ししてから、女の子は二つ折の小さな紙切れをカメオに渡して、何も言わず駆け足で病室を出てってしまった。
渡されたのは、ピンク色のメッセージカードだった。
まず間違いなく女の子の字だろう。「たすけてくれて ありがとう」という言葉と共に、名前と小さな押し花が添えられていた。
きっと彼女は幼い子供ながらに、後ろめたさを感じていたのだろう。あるいは、元々恥ずかしがり屋な子なのかもしれない。
それでも彼女なりに、心からの感謝を伝えようとしてくれたのだ。
カメオは暫く一人でメッセージカードを見つめた後、それを丁寧に畳んで仕舞った。
それからも、女の子は母親に連れられて何度もお見舞いに来た。
最初は母親の後ろでモジモジしていた女の子だったが、日を重ねるごとに少しずつ心を開いてくれるようになった。
カメオの退院の日程が決まる頃には二人はすっかり仲良くなり、病室でよく絵を描いたりして遊んでいた。
「すみませんカメオさん…怪我もまだ治りきっていないのに。」
ある日、女の子の母親が申し訳なさそうに言った。
「いや良いですよ全然!どうせ暇ですし。こちらこそいつもわざわざお見舞いに来てもらってすみませんね。」
「いえ、娘の命の恩人ですから…それに、最近は娘がお見舞いに行きたいと言って聞かないんですよ。」
え、とカメオは声を上げた。母親は話を続ける。
「旦那はこの子が産まれてすぐに亡くなりました。それからは私も必死で、あまり構ってあげられなかったんです。ですから、カメオさんに遊んで貰うのが本当に嬉しいんだと思います。」
「そう…なんですか。」
カメオはしばらく考え込んだ後、女の子に向かって言った。
「もし良かったらさ、退院した後もまた遊ぼうか。今度は外で。」
「…いいの?」
「もちろん。何がしたい?」
それを聞いた女の子は物凄く悩ましい顔をして、口をつぐんでしまった。カメオが「なんでも、正直に言って良いよ。」と言うと、女の子は目を伏せながら呟いた。
「…鬼ごっこ。」
母親はしまった、という顔をしたが、カメオは真っ直ぐな瞳で
「わかった。約束ね。」
と返した。
嬉しそうに笑う女の子を見て、カメオは思わず口元が緩んでしまった。
きっと母親は、カメオの足の話もしているはずだ。でもまだ幼い女の子には、失った足が二度と戻らないことまでは分からなかったのだろう。あるいは、なんとなく分かっていて、それで口をつぐんだのかもしれない。
ただ、そんなことはカメオにはどうでも良かった。
お見舞いも鬼ごっこのことも、恥ずかしがり屋のあの子がやっと溢したわがままなら。
母子家庭で、一人で遊ぶことが多かったあの子が初めて誰かと交わした約束なら。
カメオの中には、確かな決意があった。
…それから少し時が経って。
退院し、車椅子での生活にも慣れてきたカメオ。
当たり前と言えば当たり前だが、カメオの生活は随分と様変わりしていた。仕事も辞めたし、住居は車椅子でも過ごしやすい段差の無い家に引っ越した。
細かいところでは、財布の持ち歩き方も変わった。
最近、カメオは以前と異なり、財布を尻ポケットに入れるようにしている。
車椅子の身だろうと、スリは警戒しなければならない。
無理はできない身体であるため、用事の時にはできるだけ人混みを避けているのだが、人口飽和気味のラテライツではいつでもそうとはいかない。
どうしても、人通りの多い時間帯に被る時がある。
他のポケットや鞄に入れても安全性は高いが、この身体では、力ずくで盗られるリスクもあるだろう。そうなれば、きっと抵抗すらままならない。
しかし、しかしである。
かつてなら盗まれないよう尻ポケットは避けるが、車椅子を使う場合は話は別だ。
体重をかけて座っている以上、取り出すときは大変だが、その分盗まれる危険は限りなく低い。
そう考えたカメオは、人混みを往く時は財布を尻ポケットに入れるようになった。
…財布という生活の切れ端からすら、「足が無い」という事実を実感する日々。
もちろん、財布の持ち方一つに懊悩できるほど、気持ちに余裕ができたとも言えるのだが。
「最近特に物騒ですからね~。良いアイデアだと思いますよ。」
「でしょ?まあ、財布を取り出すと体温でものすごく温いんですけど。」
あれから、カメオはリハビリのため病院に通い詰めていた。
彼のために用意された、義足による歩行訓練。
ひたむきな努力が実を結んだのか、少しずつ歩ける距離は増えていった。
医師曰く、早ければ半年もすれば歩いて生活できるようになるだろう、と。
きっとまだ、たくさん不安はあるけれど。
「アハハ…良いじゃないですか。お財布が温かいのは、カメオさんが元気な証拠ですよ。」
すっかり顔馴染みの看護師がそう返すと、ほんの少しの沈黙が流れた後、噛み締めるようにカメオが呟いた。
「元気な証拠、かぁ…。」
看護師の手を借りながら、休憩用の椅子に腰を降ろしたカメオは、自身の温もりを確かめるように腿を擦る。
そして財布を取り出すと、その中から丁寧に折り畳まれたメッセージカードを手に取った。
その様子を見た看護師が尋ねる。
「かわいいメッセージカードですね~。彼女さんからですか?」
「…いいえ。ただ、大切な約束なんです。リハビリを頑張れるのも、これのお陰ですから。」
そう言うと、カメオは開いたメッセージカードを見つめた。
何も知らない看護師は最初は不思議そうな顔をしていたが、何かを察したのだろう、途中で穏やかな表情になった。
「じゃあ尚更、盗られるわけにはいかないですね。」
「…そうですね。」
そう返事をしながら、カメオはメッセージカードを丁寧に折り畳むと、財布の中に入れた。
いつか果たされる日まで、二人の約束を胸に仕舞い込むように、そっと。
END