「礼儀知らずにサヨウナラ」「25Good」
良質:12票物語:12票納得感:1票
葬式の香典は、急なことで十分な用意ができなかったことを表すため、あえて新札ではなく使用済みの紙幣を使うのが礼儀とされている。
このマナーを忘れていなかった男は、病気で余命一年の親友の葬儀に使うために、今のうちから新札を用意することにした。
なぜ?
このマナーを忘れていなかった男は、病気で余命一年の親友の葬儀に使うために、今のうちから新札を用意することにした。
なぜ?
20年01月19日 23:15
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]

音をたてて飲むスープ
解説を見る
【新札であれば前から準備していたことになるため、認知症の男が記憶を失いまともな判断ができなくなる前に、自分自身で大切な友人の香典を用意したことが、友人の家族に伝わるだろうと考えたから。】
余命一年だという話は、奴にはもったいないくらい気立ての良い奥方から聞いた。
彼女だって私にそんな話をするのは辛かろう。それでも穏やかに笑って、「きっと泣きそうになる自分を見せたくないのよ、あの人」と、からかうような口調で、奴が病気で先が長くないことを伝えに来てくれた。そうだ、「私や子ども達の前でも無理して平気な顔をしているけれど、何十年も付き合いのある親友相手じゃ、本音を隠していられる自信がないのね」などとも言っていた。一度も結婚せずにきたことを今更後悔なんぞしないが、自分の想いを託せる誰かがいるというのは、まあ、少々羨ましさを感じなくもない。
そうか、あいつは死ぬのか。彼女が帰ってから、今聞いたばかりの話を丁寧に思い出しながら、なるべく言葉そのままを手帳に記録した。そして一年後の自分を想像してみた。
一年後、奴の見舞いに行く自分。
奴が死んでから、葬式に向かう自分。
あのよくできた奥方と、子ども達、孫達に出迎えられる自分。
つまるところ、家族のいない自分にはその手が使えないのだ。誰かに伝言を頼むにしても、名前も覚えられていないヘルパーあたりに依頼するしかないだろう。事務的に処理されるのならまだいい。勝手な感情移入をされて美談のように語られたら、たまったものじゃない。
そのときふと、思い付いたのだ。
奴はよく、私の頭が固いだとか、時代遅れだとかで、何かにつけて私の昔の話を思い出しては、奥方や子ども達の前でもよく話していた。私から言わせれば奴がいい加減過ぎるのだが、しかし世間からすれば確かに私は頑固者のじいさんなのだろう。奴に対してだって、最低限の礼儀は守ってきた。そんな私が礼儀知らずな振る舞いをしたら……きっとその意図を理解してくれるに違いない。
奥方は確か言っていた……そう、「泣きそうになる自分を見せたくないのよ、あの人」だったか。奴とは考えが合わないことが多いのだが、これは同意できる。見せたくはない。しかし何も伝えられないのももどかしい。だからあいつは彼女を寄越したのだろう。寄越したのではなく、私に話すと決めたのは彼女の方なのかもしれないが、それを奴は止めなかったのだろうから、同じことだ。独り身の自分にはよくわからないが、そうやって託せる相手がいるというのはどういう感覚なのだろうな。まあ、ないものを望んでも仕方ないので、私は自分でやるしかない。
葬儀などの不祝儀の場合、急なことで十分な用意ができなかったことを表すために、あえて新札ではなく使用済みの紙幣を香典に使う。つまり、逆に新札だと前もって準備していたことになり、故人の死を待っていたという意味になってしまうので、失礼にあたる、と聞く。マナーというのは多種多様で、覚えていられないものもあるのだが、この歳になると葬式も多い。さすがにこのマナーは忘れていない。
だから、新札を用意しようと考えたのだ。今から新札を用意して、不祝儀袋の宛名も書いて、すべてを準備しておくのだ。
きっと、家族は疑問に思うだろう。頑固者の私が、あえて礼儀知らずに振る舞うとは、何か理由があるはずだと。そして私自身の姿を見て……きっと、理解してくれるに違いない。一年後にどうなっているかは正直、はっきりしないのだが、少なくとも今よりは悪化しているだろうし、そのときすぐにはわからずとも、その後の私の変化を見て、察することはできるのではないか。奴にはもったいないような、よくできた奥方だ。子ども達も聡明で、幼い頃から付き合いがあるから、私のこの性格もわかっているだろう。誰か一人でも気づいてくれれば、もしかしてそうかもしれないと思ってくれれば、それでいい。もしかしたら誰にも気付かれず、私自身すらその意図がわからなくなってしまっているのかもしれないが、少なくとも今現在の私の自己満足にはなる。よく知らない誰かに勝手に代弁されるよりはマシだ。
ああ、そうだ。新札を用意しよう。これは良い考えだ。不祝儀では新札はご法度、なぜなら……ああ、いや、それはもうさっき手帳に書いたな。そうだそうだ、「故人の死を待っていたという意味になってしまう」からだ。普通なら、早く亡くなって欲しかったから準備した、ということになろう。しかし、奴の家族がまさかそう受け取りはすまい。何かあるはずだと考えてくれるに違いない。あえて礼儀知らずに別れを告げるのはなぜか。万が一まだ正気を保っていられたら、そのときはきちんと使用済みの紙幣で香典を渡す。これはいわば保険だ。新札であいつあての香典を用意して、誰でもわかる場所に普段から置いておこう。普通なら縁起でもないことだが……いや、そこまでするのはやはりおかしいのだろうか? すでに少々おかしいのかもしれないな。まあ仕方ない。奴にもよく言われるが、私は頑固者なのだ。私の好きなようにやらせてもらおう。いつまでまともな判断ができるかわからんのだから、今のうちにきちんと考えておかねば。いやもうできていないのかもしれないのか。こういうとき、家族がいないと判断が難しいから不便に思ってしまう。今更、結婚しなかったことを後悔することはないが。
本来、香典に新札を使うのは、礼儀知らずだ。新札というのは、すぐに手に入るものじゃない。わざわざ新札を手に入れる暇があったということは、前々からそいつが死ぬのを待っていた、準備していた、という意味になるからだ。
つまり、私が新札で香典を渡したら、前々から準備していたことが伝わるだろう。
もうこの歳だ、周りの人間が死ぬことはそう珍しい話じゃない。今年だけで何回葬式に行ったことか。奴が死ぬのも、病気で少々早くなったというだけだ。幼少期からの付き合いだ、もう飽きるぐらいの時間を過ごした。もし今奴が死んでも、私は泣かないだろう。一年後でも同じことだ、泣かないのではなく泣けないのだけれども、周りから見れば同じことだろう。誰だったかな、泣きそうな自分を見せたくないとか言っていたのは……まあ、そういう気持ちもなくはないが。泣かない薄情な男だと思われるのは構わないのだ。ただ、奴が死んで、私の気持ちが私の意図とは違うように伝えられてしまったらたまらないというだけだ。もはやそんなことすら理解できなくなっているのだとしても、それでも嫌なものは嫌なのだ。一年後の私が、もはや私でなくても、勝手に悲しんでいることにされてしまうのは耐えがたい。どうせ、偶然正気に戻った瞬間があったとか、ふと奴の名前を口にしたとか、何も関係ない出来事をこじつけに繋げられて、「きっと大切なご友人が亡くなられたのがわかるのね、悲しいのね」などと良い話のようにまとめられるのだろう。まったく、なんでも陳腐な感動物語にしてありがたがるのは、勘弁願いたい。
余命一年か。まあ、奴のことだから意外と五年十年と生き延びる可能性もあるが、私より先に死ぬと考えた方がいいだろう。私の方が先に私でなくなるだろうに、おかしなもんだ。奴も死ぬ前に気付くかもしれんが、私から何か言うことはない。残念ながら、私には代わりに伝えてくれる家族がいないのだ。
ああ、新札を用意することを書いておかねば……おや、もう手帳に書いてあったか。まあ、人間、死ぬときは死ぬ。奴の方が少しだけ先にいなくなるというだけのこと。
ただ、まあ、香典くらいは用意しておいてやる。
奴の死を理解できなくなった私ではなく、私の意思を勝手に解釈する第三者でもなく、今の私が用意してやる。少しばかり早いが、年寄りの一年なんぞあっという間で誤差みたいなものだろう。なあ?
少し早いが、さようなら。
先にそっちで待っていろ。
END
余命一年だという話は、奴にはもったいないくらい気立ての良い奥方から聞いた。
彼女だって私にそんな話をするのは辛かろう。それでも穏やかに笑って、「きっと泣きそうになる自分を見せたくないのよ、あの人」と、からかうような口調で、奴が病気で先が長くないことを伝えに来てくれた。そうだ、「私や子ども達の前でも無理して平気な顔をしているけれど、何十年も付き合いのある親友相手じゃ、本音を隠していられる自信がないのね」などとも言っていた。一度も結婚せずにきたことを今更後悔なんぞしないが、自分の想いを託せる誰かがいるというのは、まあ、少々羨ましさを感じなくもない。
そうか、あいつは死ぬのか。彼女が帰ってから、今聞いたばかりの話を丁寧に思い出しながら、なるべく言葉そのままを手帳に記録した。そして一年後の自分を想像してみた。
一年後、奴の見舞いに行く自分。
奴が死んでから、葬式に向かう自分。
あのよくできた奥方と、子ども達、孫達に出迎えられる自分。
つまるところ、家族のいない自分にはその手が使えないのだ。誰かに伝言を頼むにしても、名前も覚えられていないヘルパーあたりに依頼するしかないだろう。事務的に処理されるのならまだいい。勝手な感情移入をされて美談のように語られたら、たまったものじゃない。
そのときふと、思い付いたのだ。
奴はよく、私の頭が固いだとか、時代遅れだとかで、何かにつけて私の昔の話を思い出しては、奥方や子ども達の前でもよく話していた。私から言わせれば奴がいい加減過ぎるのだが、しかし世間からすれば確かに私は頑固者のじいさんなのだろう。奴に対してだって、最低限の礼儀は守ってきた。そんな私が礼儀知らずな振る舞いをしたら……きっとその意図を理解してくれるに違いない。
奥方は確か言っていた……そう、「泣きそうになる自分を見せたくないのよ、あの人」だったか。奴とは考えが合わないことが多いのだが、これは同意できる。見せたくはない。しかし何も伝えられないのももどかしい。だからあいつは彼女を寄越したのだろう。寄越したのではなく、私に話すと決めたのは彼女の方なのかもしれないが、それを奴は止めなかったのだろうから、同じことだ。独り身の自分にはよくわからないが、そうやって託せる相手がいるというのはどういう感覚なのだろうな。まあ、ないものを望んでも仕方ないので、私は自分でやるしかない。
葬儀などの不祝儀の場合、急なことで十分な用意ができなかったことを表すために、あえて新札ではなく使用済みの紙幣を香典に使う。つまり、逆に新札だと前もって準備していたことになり、故人の死を待っていたという意味になってしまうので、失礼にあたる、と聞く。マナーというのは多種多様で、覚えていられないものもあるのだが、この歳になると葬式も多い。さすがにこのマナーは忘れていない。
だから、新札を用意しようと考えたのだ。今から新札を用意して、不祝儀袋の宛名も書いて、すべてを準備しておくのだ。
きっと、家族は疑問に思うだろう。頑固者の私が、あえて礼儀知らずに振る舞うとは、何か理由があるはずだと。そして私自身の姿を見て……きっと、理解してくれるに違いない。一年後にどうなっているかは正直、はっきりしないのだが、少なくとも今よりは悪化しているだろうし、そのときすぐにはわからずとも、その後の私の変化を見て、察することはできるのではないか。奴にはもったいないような、よくできた奥方だ。子ども達も聡明で、幼い頃から付き合いがあるから、私のこの性格もわかっているだろう。誰か一人でも気づいてくれれば、もしかしてそうかもしれないと思ってくれれば、それでいい。もしかしたら誰にも気付かれず、私自身すらその意図がわからなくなってしまっているのかもしれないが、少なくとも今現在の私の自己満足にはなる。よく知らない誰かに勝手に代弁されるよりはマシだ。
ああ、そうだ。新札を用意しよう。これは良い考えだ。不祝儀では新札はご法度、なぜなら……ああ、いや、それはもうさっき手帳に書いたな。そうだそうだ、「故人の死を待っていたという意味になってしまう」からだ。普通なら、早く亡くなって欲しかったから準備した、ということになろう。しかし、奴の家族がまさかそう受け取りはすまい。何かあるはずだと考えてくれるに違いない。あえて礼儀知らずに別れを告げるのはなぜか。万が一まだ正気を保っていられたら、そのときはきちんと使用済みの紙幣で香典を渡す。これはいわば保険だ。新札であいつあての香典を用意して、誰でもわかる場所に普段から置いておこう。普通なら縁起でもないことだが……いや、そこまでするのはやはりおかしいのだろうか? すでに少々おかしいのかもしれないな。まあ仕方ない。奴にもよく言われるが、私は頑固者なのだ。私の好きなようにやらせてもらおう。いつまでまともな判断ができるかわからんのだから、今のうちにきちんと考えておかねば。いやもうできていないのかもしれないのか。こういうとき、家族がいないと判断が難しいから不便に思ってしまう。今更、結婚しなかったことを後悔することはないが。
本来、香典に新札を使うのは、礼儀知らずだ。新札というのは、すぐに手に入るものじゃない。わざわざ新札を手に入れる暇があったということは、前々からそいつが死ぬのを待っていた、準備していた、という意味になるからだ。
つまり、私が新札で香典を渡したら、前々から準備していたことが伝わるだろう。
もうこの歳だ、周りの人間が死ぬことはそう珍しい話じゃない。今年だけで何回葬式に行ったことか。奴が死ぬのも、病気で少々早くなったというだけだ。幼少期からの付き合いだ、もう飽きるぐらいの時間を過ごした。もし今奴が死んでも、私は泣かないだろう。一年後でも同じことだ、泣かないのではなく泣けないのだけれども、周りから見れば同じことだろう。誰だったかな、泣きそうな自分を見せたくないとか言っていたのは……まあ、そういう気持ちもなくはないが。泣かない薄情な男だと思われるのは構わないのだ。ただ、奴が死んで、私の気持ちが私の意図とは違うように伝えられてしまったらたまらないというだけだ。もはやそんなことすら理解できなくなっているのだとしても、それでも嫌なものは嫌なのだ。一年後の私が、もはや私でなくても、勝手に悲しんでいることにされてしまうのは耐えがたい。どうせ、偶然正気に戻った瞬間があったとか、ふと奴の名前を口にしたとか、何も関係ない出来事をこじつけに繋げられて、「きっと大切なご友人が亡くなられたのがわかるのね、悲しいのね」などと良い話のようにまとめられるのだろう。まったく、なんでも陳腐な感動物語にしてありがたがるのは、勘弁願いたい。
余命一年か。まあ、奴のことだから意外と五年十年と生き延びる可能性もあるが、私より先に死ぬと考えた方がいいだろう。私の方が先に私でなくなるだろうに、おかしなもんだ。奴も死ぬ前に気付くかもしれんが、私から何か言うことはない。残念ながら、私には代わりに伝えてくれる家族がいないのだ。
ああ、新札を用意することを書いておかねば……おや、もう手帳に書いてあったか。まあ、人間、死ぬときは死ぬ。奴の方が少しだけ先にいなくなるというだけのこと。
ただ、まあ、香典くらいは用意しておいてやる。
奴の死を理解できなくなった私ではなく、私の意思を勝手に解釈する第三者でもなく、今の私が用意してやる。少しばかり早いが、年寄りの一年なんぞあっという間で誤差みたいなものだろう。なあ?
少し早いが、さようなら。
先にそっちで待っていろ。
END
「逆走暴走車」「25Good」
「ワケワカメミソスープ」「25Good」
良質:6票トリック:8票納得感:11票
五条食堂では、この店に初めて来る客のほとんどが{味の薄い味噌汁}と{味の濃い味噌汁}を飲む。
しかし2回目以降の来店になると、ほぼ全員の客が{普通の濃さの味噌汁}を飲むそうだ。
一体どうして?
しかし2回目以降の来店になると、ほぼ全員の客が{普通の濃さの味噌汁}を飲むそうだ。
一体どうして?
20年03月12日 10:57
【ウミガメのスープ】 [五条断]
【ウミガメのスープ】 [五条断]

1+1は? みそスープ
解説を見る
五条食堂では、お湯を注いでとかすだけの{インスタント味噌汁}が提供されている。
店員があまりよくかき混ぜてくれないので、お椀の底には完全には解け切らなかった味噌が溜まっているのだが、味噌汁の色のせいでよく見えない。
初めてこの店に来た客は、最初は{薄い味付けの健康的な味噌汁}なのだと思って味噌汁を飲み進め、汁が少なくなって視認できるようになってからようやく味噌が底に溜まっていたことに気が付く。
そこで慌てて味噌をかき混ぜるので、途中から{濃い味の味噌汁}を飲む羽目になる。
そして二度目以降の客は一度目の経験から「この店の味噌汁はよく混ざっていない」ということを理解しているので、自分で味噌汁をしっかりとかき混ぜるようになり、{普通の濃さの味噌汁}を飲むようになるわけである。
(出題者は最近入った飯屋の味噌汁で底の方に味噌が溜まっていることに気がつかず 非常にしょっぱい思いをしました)
店員があまりよくかき混ぜてくれないので、お椀の底には完全には解け切らなかった味噌が溜まっているのだが、味噌汁の色のせいでよく見えない。
初めてこの店に来た客は、最初は{薄い味付けの健康的な味噌汁}なのだと思って味噌汁を飲み進め、汁が少なくなって視認できるようになってからようやく味噌が底に溜まっていたことに気が付く。
そこで慌てて味噌をかき混ぜるので、途中から{濃い味の味噌汁}を飲む羽目になる。
そして二度目以降の客は一度目の経験から「この店の味噌汁はよく混ざっていない」ということを理解しているので、自分で味噌汁をしっかりとかき混ぜるようになり、{普通の濃さの味噌汁}を飲むようになるわけである。
(出題者は最近入った飯屋の味噌汁で底の方に味噌が溜まっていることに気がつかず 非常にしょっぱい思いをしました)
「扉」「25Good」
良質:15票トリック:1票物語:7票納得感:2票
大学の友人であるライナスが、朝から授業に出席していないことに気がついたあなたたち。
メッセージアプリでメッセージを送るも、既読がつかないことを心配したあなたたちは、
午前の授業が終わった後、午後のバイトが始まるまでの時間で彼の自宅へ向かい、様子を伺うことにした。
インターホンを押すと、ライナスの母親が出てきた───
【「はーい。あら、君たち、ライナスの友達?
ライナス、今日は体調悪いから大学は休むって言ってたけど……」】
{MISSION:
午後のバイトが始まるまでの3時間以内に、彼が音信不通となった原因の真相を解明せよ。}
メッセージアプリでメッセージを送るも、既読がつかないことを心配したあなたたちは、
午前の授業が終わった後、午後のバイトが始まるまでの時間で彼の自宅へ向かい、様子を伺うことにした。
インターホンを押すと、ライナスの母親が出てきた───
【「はーい。あら、君たち、ライナスの友達?
ライナス、今日は体調悪いから大学は休むって言ってたけど……」】
{MISSION:
午後のバイトが始まるまでの3時間以内に、彼が音信不通となった原因の真相を解明せよ。}
20年09月05日 19:59
【ウミガメのスープ】 [キュアピース]
【ウミガメのスープ】 [キュアピース]

テストプレイ・SP監修:ちくたくさん。ジャンルミス:ウミガメ→亀夫君問題です。
解説を見る
───次の日の朝。
ライナス
「いやー、本当に心配かけてごめん!悪かった。
実は、一昨日の晩……
───12月17日、水平思考サークル部室内にて───
「あの!サンディ先輩。」
「んー?なんだい、ライナス君。」
「あの。イブの日って、何してますか…?」
「え。イブってクリスマスイブのこと?」
「そ、そうです」
「えっと……【あいては、いるけど。】ライナs」
「あっあっそうですよね!!変なこと言ってすみません!それじゃ、また明日!」
「えっ。ちょっ、ちょっと待っ……」
────────────────────────
……ってことがあったんだ。
てっきり、先輩にはイブを一緒に過ごす【『相手』】がいるんだと思ってたけど、イブの予定が【『空いて』】いるって意味だったとは…。
俺、サンディ先輩のこと全然知らなくて。彼氏がいるかどうかもわからずに誘ってたから、
イブを一緒に過ごす相手がいるかいないかがめちゃくちゃ気になってたんだよな。
それで、あんな聞き違いをしてしまったんだと思う。
早速、昨日サークルの部室に先輩に会いに行って、謝って、もう一度誘ってみたよ。そしたらOKだって!!
お前らがいなかったら、ずっと勘違いしてしまっていたところだった。
本当にありがとう!!今度必ず飯おごるな!」
───そして、クリスマス当日。
ライナスの告白を受け入れたサンディ。二人は晴れて付き合うこととなった。
そして、ライナスの友人である異邦人、休み鶴は
ライナスの母親リートと共に、ささやかではあるがとても楽しいクリスマスの時間を過ごすこととなった。
密かにリートに恋慕する二人であったが、それが受け入れられるかどうかはまた別のお話───。
ライナス
「いやー、本当に心配かけてごめん!悪かった。
実は、一昨日の晩……
───12月17日、水平思考サークル部室内にて───
「あの!サンディ先輩。」
「んー?なんだい、ライナス君。」
「あの。イブの日って、何してますか…?」
「え。イブってクリスマスイブのこと?」
「そ、そうです」
「えっと……【あいては、いるけど。】ライナs」
「あっあっそうですよね!!変なこと言ってすみません!それじゃ、また明日!」
「えっ。ちょっ、ちょっと待っ……」
────────────────────────
……ってことがあったんだ。
てっきり、先輩にはイブを一緒に過ごす【『相手』】がいるんだと思ってたけど、イブの予定が【『空いて』】いるって意味だったとは…。
俺、サンディ先輩のこと全然知らなくて。彼氏がいるかどうかもわからずに誘ってたから、
イブを一緒に過ごす相手がいるかいないかがめちゃくちゃ気になってたんだよな。
それで、あんな聞き違いをしてしまったんだと思う。
早速、昨日サークルの部室に先輩に会いに行って、謝って、もう一度誘ってみたよ。そしたらOKだって!!
お前らがいなかったら、ずっと勘違いしてしまっていたところだった。
本当にありがとう!!今度必ず飯おごるな!」
───そして、クリスマス当日。
ライナスの告白を受け入れたサンディ。二人は晴れて付き合うこととなった。
そして、ライナスの友人である異邦人、休み鶴は
ライナスの母親リートと共に、ささやかではあるがとても楽しいクリスマスの時間を過ごすこととなった。
密かにリートに恋慕する二人であったが、それが受け入れられるかどうかはまた別のお話───。
「はかのひ」「25Good」
良質:12票トリック:9票物語:3票納得感:1票
母の日。
親不孝者のカメオが今年も花を買った。
母の日の贈り物の定番。カーネーションである。
だが、カメオはいつもそれを母の墓ではなく赤の他人の墓に供えるのだと言う。
いったいなぜ?
親不孝者のカメオが今年も花を買った。
母の日の贈り物の定番。カーネーションである。
だが、カメオはいつもそれを母の墓ではなく赤の他人の墓に供えるのだと言う。
いったいなぜ?
20年09月08日 01:05
【ウミガメのスープ】 [るょ]
【ウミガメのスープ】 [るょ]

新・深夜の小ネタ集14
解説を見る
カメオには、母はいない。
いや、正確には、昔は居た。
カメオには、血の繋がっていない母がいたのだ。
やんちゃばかりしていたカメオの世話を甲斐甲斐しく焼いてくれた母だった。
言葉にこそ出さなかったが、カメオは母の事が大好きだった。
…しかし、母の方は違っていたようだ。
ある日、ヤクザまがいの商売を終えて帰宅したカメオに、母はこう言った。
『親子の縁を切りたい』
…氷のように冷たい声だった。
そこから先の事はよく覚えていない。
今まで自分が、いかに我慢してきたかを訴える母の声を背に、
気がつけば、カメオは家を飛び出していた。
…あれから、数年が経つ。
連絡も一切取っていなかったが、風のうわさであの人が亡くなったと聞く。
カメオは、彼女を『母』と呼ぶ資格など無いことを知っている。
墓参りに行くときも、いつも決まって「他人の墓だ」と言う。
だから、カメオは今から、『赤の他人』の墓にカーネーションを供える。
それだけのことだ。
かつて母であった赤の他人に、謝罪と感謝を込めて。
答え:
自分の素行の悪さが原因で親子(家族)の縁を切ることになってしまったので、
カメオはその人の墓を『母の墓』と呼ぶ資格は無いと思っているから。
または、単に勘当されて他人になってしまったから。
いや、正確には、昔は居た。
カメオには、血の繋がっていない母がいたのだ。
やんちゃばかりしていたカメオの世話を甲斐甲斐しく焼いてくれた母だった。
言葉にこそ出さなかったが、カメオは母の事が大好きだった。
…しかし、母の方は違っていたようだ。
ある日、ヤクザまがいの商売を終えて帰宅したカメオに、母はこう言った。
『親子の縁を切りたい』
…氷のように冷たい声だった。
そこから先の事はよく覚えていない。
今まで自分が、いかに我慢してきたかを訴える母の声を背に、
気がつけば、カメオは家を飛び出していた。
…あれから、数年が経つ。
連絡も一切取っていなかったが、風のうわさであの人が亡くなったと聞く。
カメオは、彼女を『母』と呼ぶ資格など無いことを知っている。
墓参りに行くときも、いつも決まって「他人の墓だ」と言う。
だから、カメオは今から、『赤の他人』の墓にカーネーションを供える。
それだけのことだ。
かつて母であった赤の他人に、謝罪と感謝を込めて。
答え:
自分の素行の悪さが原因で親子(家族)の縁を切ることになってしまったので、
カメオはその人の墓を『母の墓』と呼ぶ資格は無いと思っているから。
または、単に勘当されて他人になってしまったから。