みんなのGood

良質:21票トリック:3票物語:4票納得感:4票
クラスいち地味で目立たないミサト。

いたずらっ子のタケシは、そんな彼女によくちょっかいをかけている。

ある日の放課後、二人きりの教室でタケシはいつものようにミサトのことをからかっていた。
「ミサトって地味な顔だよな!」

それを聞いて少しムッとした様子の彼女は唐突に、学校では滅多に外さないビン底メガネを外した。

突然のことに驚いたタケシだが、メガネを外したミサトの顔を見て思わずつぶやく。
「嘘だろ、ミサトが可愛く見えるなんて…」

照れるあまりうつむいた彼女は、もう二度と人前でこのメガネを外すまい、と心に決めた。

一体なぜ?
20年11月21日 21:00
【ウミガメのスープ】 [「マクガフィン」]

SP…るょさん、ダニーさんと挿絵提供フェルンヴェーに全力感謝!




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『簡易解説』
ちょっかいをかけられた仕返しに、タケシがかけているメガネをさっと外したミサト。
どこにでもいる地味な顔だと思っていたタケシは、実は野暮ったいメガネを外すと抜群にイケメンだということにその時気がついた。
彼の素顔がみんなに見られると恋のライバルが増えてしまうと思ったミサトは、人がいる所では彼のメガネを外さないことを決めた。




拝啓

枯葉舞う季節となり冬の気配を感じるこの頃、谷本タケシ様におかれましては、平素とお変わりなく……
みたいなことを本当は書かなきゃいけないみたいなんだけど、タケシ君はきっとそういうの気にしないと思うからやめちゃいます。手紙なんて初めて渡すのに、最初からこんな調子でごめんね。

突然だけど、私たちが今みたいによく話すようになったのって、いつ頃からか覚えてる?
きっと忘れてるだろうけど、ちょうど一年前の今頃からだったんだよ。
去年は高校に入って最初の年だったから友達も全然いなかったし、あんまり誰かと関わろうっていう気にもなれなかったから、ずっと教室で本を読んでたんだ。影の薄さで言えば、私、クラスでも一番だったんじゃないかな?

隣のクラスのヒロナちゃんってわかる?
前にちょっとだけ話したけど、この学校で一人だけ私と中学校が同じでね、毎日授業の愚痴とか全部聞いてもらってて、あの子さえいれば友達なんていらないやーって思ってたの。お互いに知らないことなんてないくらい何でも話してたからさ。

それで、ヒロナちゃんに愚痴る内容が増えたのが夏休み明けくらいかな。なんでだと思う?
そう、その頃からだよ、タケシ君が私にちょっかいかけ始めたのは。
その頃ですらクラスの人の半分くらいしか名前知らなかったけど、さすがにタケシ君は知ってました。だっていっつも小学生みたいなイタズラして、先生に怒られてるんだもん。見た目はガリ勉っぽいのに変なのって思ってたのは内緒だよ。

そんなタケシ君が、どういうわけだか私に毎日いたずらしてくるようになったもんだから、すごく驚いたし、正直迷惑だなって思ってた。別に面白いリアクションするわけでもないし、なんで私なの?って。
まあ無視すれば済む程度だったから、うっとうしいってだけだったけどね。

だからあの日の放課後、いつもみたいに絡んでくるタケシ君をスルーできなかったのは、前の日にヒロナちゃんが顔がかわいいとどうのこうのって話をしてたからかな。もしかしたらそのとき読んでた小説が面白くて、邪魔されたくなかったのかもしれないけど。

「ミサトって地味な顔だよな。」
たぶんそんな感じだったと思うんだけど、なぜかいつもよりイラッとしちゃって。気づいたら手が動いて、タケシ君のメガネ、取っちゃってたんだよね。
タケシ君がメガネ外してるとこなんて見たことなかったからさ、いつものイタズラの仕返しをしてやったって心の中で叫んでたんだ。

どうだ!見たか!ってにやにやしながら見上げたら案の定びっくりしてるみたいだったけど、たぶん驚くポイントが違ったと思う。
「ミサトが可愛く見えるなんて…」って、タケシ君そう言ったんだよ? 私がびっくりするよ。
いや、確かに言われたその時は嬉しかったよ、そんな風に言われたことなかったから。でもよくよく考えたらひどくない? タケシ君まあまあ目が悪いじゃん。メガネ外した方が可愛く見えるって、よく見たら可愛くないってことでしょ? まったく失礼しちゃう。

でもタケシ君以上に、私の方が驚いてたと思う。正直言って、普段のタケシ君って全然かっこよくないの。ビン底メガネの印象が強すぎて、みんなしっかり顔を見てないんじゃないかな。
どうしてこんな悪口言うのかって怒るかもしれないね。でも、でもね、自分では気づいてないだろうけど、メガネを外したタケシ君は、すごくかっこいいんだよ。

あの時初めてタケシ君の素顔を見て、こんなにかっこいい人本当にいるんだって思った。目がぱっちりしてて、鼻立ちもシュッとしてて。そんなイケメンから「可愛く見える」なんて言われたら、そりゃ照れるし目もそらすよ。
もしもタケシ君がメガネじゃなくてコンタクトだったら、今ごろモテすぎてファンクラブができてるんじゃないかって本気で想像してる。

だからその時、不意に思ったの。
タケシ君の素顔は、誰にも見せちゃいけないって。
みんなの前でメガネを外したら大騒ぎになって、きっと今までみたいに絡んでくれなくなるだろうなって。

私がタケシ君のメガネを外すのは、誰にも見られてない時にしようって、その瞬間に決めたんだ。


ヒロナちゃんにも言えない気持ちは、初めてだったんだよ。


その日から私は、学校に行くのが楽しくなったの。タケシ君に会えるってだけで、勉強も全然大変じゃなかった。
タケシ君がいつもいたずらばっかりなのも、みんなを笑顔にしたいからなんだってわかったし、一緒に話しててこんなに楽しい相手がいるなんて思いもしなかったよ。
今年も同じクラスになれた時は、涙が出るほど嬉しかった。いつも本当にありがとう。


さて、ここまで来ればものすごーく鈍感なタケシ君でもわかったかな?
そう、この手紙はいわゆるラブレターってやつなんです。びっくりした?

できれば直接伝えたかったんだけど、そんな勇気私にはないので、この手紙に託します。
書くだけでもすごく緊張するけど、聞いてください。


私、寺澤ミサトは、タケシ君のことが好きです。

{私と、付き合ってくれませんか?}


21の天使の蒸留酒「31Good」
良質:21票物語:10票
昔、男は警察の目を盗んで深夜の駅のホームに侵入し、設置されたピアノを演奏する事を日課としていた。

ある日彼は酒場に行くと、一番安い蒸留酒を注文した。

そして一口飲んだところでマスターを呼びつけた。

「すまんが、これはなんて名前だ?」

「…これは、La grâce de Dieu(神様のお恵み)です。」

それをきいた男は、グラスを虚空に向かって突き上げた。

一体なぜ?
19年05月05日 13:36
【ウミガメのスープ】 [弥七]

ご参加ありがとうございました!




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<解説>
簡易解答:ホームレスの老人は駅のピアノを使って孤児に音楽を教えていた。時を経てピアニストとして大成した少女の曲に出会い、彼女の人生を祝福したのだった。

ーーーーーー
最初は単なる憂さ晴らしだった。

日がな1日迷子を預かったり、ろくでもない紛失届の裏でせっせと五目並べをしている奴らのために、神が仕事を与えてやろうというのだ。(自分の風貌を見れば、誰だって神様と勘違いするだろう)

こんな俺でも、昔は人間に音楽を教えて金をもらったこともあった。そんな俺様がどうして、こんなに落ちぶれたのだろう。

きっと酒が足りないせいだな。

深夜の21番ホームでは、都会の喧騒も、俺を嘲り罵しる世間も全ては無に伏せる。

老人は汚い鹿撃ち帽を外し、それを座布団代わりに椅子へ座った。

すると、今日はおかしなことが起こった。

鍵盤に手を置くと、文字も読めなそうな子供がひとり、ピアノの前に立つではないか。

鬱陶しくも片目で観察していると、なにやら演奏に合わせて指を必死に動かしている。俺の動きを真似しているのか?なんだってそんなことを??

ははあ、さては。

ピアノを買ってもらう親も金もない孤児が、興味本位で俺に付いてきたんだろう。

ふん、勝手にするといい。と俺は思った。

好き勝手に弾いていた男は、いつの間にか少女を椅子に座らせ、しまいにはブルグミュラーの25の練習曲を一通りやる羽目になっていた。

お前は若い、きっと人生をひっくり返せるさ。

そんな言葉が、ポツリと口をついて出た。

それから少女は半年後に姿を消す日まで、毎日のように駅に訪れた。

消えたのは孤児院から離れたのか、捕まって少年院送りか、きっとそのどちらかだろう。

別れから、二度目の春。

胸いっぱいに朝の新鮮な空気を吸いこんだ老人は、ついでにアルコールとタバコの汚い煙も吸いたいと思ったので、近くの酒場に飛び込み、有り金全部使って安い蒸留酒を買った。

ふと、ボトルを空ける手を止めると、まるで荒んだ心の傷を温かい何かで埋めるような、恍惚に似た感覚が彼の中へと侵入してきた。

それは酒の匂いのせいなどではなかった。

店内に響きわたるピアノと天使の歌声。

「…これは、La grâce de Dieu(神様のお恵み)です。いい曲でしょう?最近デビューしたんですよ、まだ若いのに、素敵だねぇ…」

マスターの声は最後まで男に届かなかった。

老人は、虚空に向かってグラスを突き上げた。


乾杯...!


これは、21番ホームの天使に捧げる蒸留酒。

(おしまい)
甘い涙「31Good」
良質:12票トリック:4票物語:11票納得感:4票
ラテコと初めての食事を終えたウミコは、食器を全てゴミ箱に捨てた。

それを見たラテコは、ウミコを怒りもせず、涙を流したという。

一体どういうことだろう?
19年12月10日 00:05
【ウミガメのスープ】 [マトリ]

若干要知識かもしれません。たくさんのイイネ本当にありがとうございます(泣)




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ラテコ「今日から一緒に暮らすことになったラテコです。ウミコちゃん、これから宜しくね!」

ウミコ「・・・よろしく」


ここは、予期できない災害や事故、親の離婚や病気、また不適切な養育を受けているなどさまざまな事情により、家族による養育が困難な子供を保護する児童養護施設『らてらての園』。
私、ラテコはこの施設で働いています。

今日からこの施設に預けられることになったウミコちゃんは幼い頃から、所謂ネグレクトの両親より愛情を受けずに育ってきており、この度肉体的な虐待が発覚したため児童相談所の決定により、この施設にやってきました。


ラテコ「園のみんなは優しいからね。最初は慣れないところもあると思うけど、一緒に楽しい生活を送りましょうね!」

ウミコ「・・・はい」


その晩、ウミコちゃんにとってらてらて園での初めての食事。
初めてであまり食べられないかな?という私の心配をよそに、ウミコちゃんは出されたものを綺麗に平らげました。

すると、他の子供達が台所に食器を運ぶ中、ウミコちゃんは徐に食器をゴミ箱に捨てたのです。
その行動に驚いた私は思わずウミコちゃんに聞きました。

ラテコ「ウミコちゃん、どうして食器をゴミ箱に捨てたのかな?」

ウミコ「・・・え?・・・だってご飯食べた後は【お皿とお箸はゴミ箱に捨てなさい】っていつもお母さんが言ってた」


その時私は分かったのです。
そう、幼い頃から両親が夜遅くまで出歩いていたウミコちゃんにとって、食事は常にコンビニの弁当やパンだったのでしょう。
だから、ご飯を食べた後【いつもそのゴミをゴミ箱に捨てていたため、食器やお箸は捨てるものと認識していた】のです。

その事実に気づいた私は、『ウミコちゃんに美味しい、温かいご飯をいっぱい食べさせてあげよう。愛情いっぱい注いで育ててあげよう』と心に誓い、今までのウミコちゃんの境遇を想像し、涙を流したのでした。

〈要約〉
ネグレクトの親元を離れ児童養護施設にやってきたウミコは、今までコンビニの弁当やパンしか食べたことがなく、食後はそのゴミをゴミ箱に捨てていた。そうやって育ってきたウミコのの境遇を想像した職員のラテコは、ウミコを不憫に思い涙を流した。
※実際にこういう子供は多いみたいです。哀しい現実ですね
。ちなみに哀しいときに流れる涙は塩辛くなく「甘い」そうです。
灰猫救出物語「31Good」
良質:18票トリック:8票物語:4票納得感:1票

いつも通り 私が退屈な仕事をしていた時の話です

ふと気付くと交差点の中央に 灰色の猫が丸まっていました

交通量が少ない道路ですので そういうこともあるでしょう

そこに珍しくトラックが かなりの速度でやってきました

運転手は道路に同化した猫に気付いておらず 猫も呑気に眠っています

すぐに【最悪の事態】が想像され 本当に顔が青ざめましたね...


この状況から猫は助かったのです この私が助けました!
それも 一切動かず 声も出さず 人の力を借りることも無く
私がしたことは {ある箇所に精一杯力を込めること}だけでした
どうやって 猫を助けることができたのか 分かりますか?


【諸注意】
※Yes/Noで答えられる質問をお願いします
※質問制限があります 相談してから質問しましょう
※私=出題者 だとお考えください
20年04月26日 22:00
【新・形式】 [青信号]

これは とある物語




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【私(青信号)は顔に力を込めて 赤信号になった】


【『解説』】
いつも通り 私が交通整理の仕事をしていた時のお話です
呑気に丸くなっている灰猫と そこに突っ込んでくるトラック
猫がひかれることを想像した私は "本当に" 顔が青くなりました
そこで逆に 私は顔に精一杯の力を込めたのです

青い顔はだんだん{赤}くなっていきます {赤く 赤}く {ついには真っ赤に}

{それを見たトラックの運転手は大慌てで ブレーキを踏みます
【<<キィィィィィィイイイ】<イイ!!>【>>】
間一髪。猫は激しいブレーキ音に驚き 逃げ去って行きました
そしてトラックも走り去り 残されたのは信号機だけ
青信号が赤くなった 赤黄赤の信号機}


※私=出題者=青信号 だとお考えください
革命の先に見える闇「31Good」
良質:12票トリック:14票物語:2票納得感:3票
スマートフォンを持つ者が、限られたごく少数しかいない時代のことである。
スマートフォン開発に携わっていたスティーブは、スマートフォンの未来に絶望していた。

今や我々の生活には欠かせなくなったスマートフォンであるが、いったいなぜそう思ったのだろうか?
20年10月21日 14:22
【ウミガメのスープ】 [ちくたく]

もう!どうなっちゃってんだよ!




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「もう」スマートフォンを持つ者が、限られたごく少数しかいない時代のことである。
スマートフォン開発に携わっていたスティーブは、スマートフォンの未来に絶望していた。

なぜなら、スマートフォンはもはや過去の遺物となっており 全く売れない。
スマートフォン業界に未来を感じることができないからであった。