「おわりなきよのめでたさを」「6ブックマーク」
「今年はお爺さんの声を聞きに来てください」
住職がそう言ったので、大晦日の予定が決まった。
祖父は既に亡くなっている。
どういうことだろう?
住職がそう言ったので、大晦日の予定が決まった。
祖父は既に亡くなっている。
どういうことだろう?
18年12月27日 21:42
【ウミガメのスープ】 [ZenigokE]
【ウミガメのスープ】 [ZenigokE]
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皆様よいお年を!
解説を見る
「本当に立派な鐘をいただきまして。有り難いことです」
この寺に元あった鐘は、戦時中に供出したそうだ。
今ある鐘は終戦後に祖父が寄贈したもので、住職は度々その話を持ち出し、一言聞いてから帰ってくれと言う。
弟は喜々として走り、体重をかけて撞木を引っ張り、鐘を鳴らした。
大きな音が山間の寺から扇状地に響き、むこうの山から遅れて返事が届く。
父はこれを聞く度に、叱られたことを思い出すと言った。
「さて、線香あげて帰るか」
今年の年越しは、数年ぶりに母とも一緒だ。
【正解】
住職は鐘の音を「声」と表現した。
この寺に元あった鐘は、戦時中に供出したそうだ。
今ある鐘は終戦後に祖父が寄贈したもので、住職は度々その話を持ち出し、一言聞いてから帰ってくれと言う。
弟は喜々として走り、体重をかけて撞木を引っ張り、鐘を鳴らした。
大きな音が山間の寺から扇状地に響き、むこうの山から遅れて返事が届く。
父はこれを聞く度に、叱られたことを思い出すと言った。
「さて、線香あげて帰るか」
今年の年越しは、数年ぶりに母とも一緒だ。
【正解】
住職は鐘の音を「声」と表現した。
「話をしようよ」「6ブックマーク」
ユキヤの口からユキヤ自身のことを知れば知るほど、不安が増していくチカコ。
一体どうして?
一体どうして?
19年01月09日 23:21
【ウミガメのスープ】 [藤井]
【ウミガメのスープ】 [藤井]
解説を見る
チカコには3歳の息子、タカシが居る。
そしてチカコの友人、マミの子どもも同じく3歳だ。名をユキヤと言う。
チカコとマミは仲が良く、互いの家で一緒に遊んだりしている。タカシとユキヤも仲が良い。
「ユキヤくんは、でんしゃが好きなの?」
「でんしゃ!すき!あとね、しょーぼーしゃ!」
「消防車も好きなんだ。かっこいいよね」
「うん!きゅーきゅーしゃ、ぱとかー、しょべるかー」
「わぁ、いろんな車の名前知ってるんだねぇ」
褒めるチカコに、得意気に話すユキヤ。
その隣では、タカシが真剣に動物の絵本を見ている。
そんなタカシと一緒に絵本を覗き込んで、マミが尋ねる。
「タカシくん、どの動物が好き?」
「ん、んー」
「わんわん?犬が好きなのね」
「んー」
へらりと嬉しそうに笑うタカシ。
チカコはずっと気がかりだった。同い年のユキヤはたくさん言葉を喋るのに、タカシはなかなか言葉が出ない。
個人差があるし焦らなくていいよと人は言う。分かっているつもりだが、やはり実際に言葉巧みに話すユキヤと対面すると、その不安は膨らんでしまうものだ。
"どうして、うちの子は。どうして、よその子は。"
比べたくなくても、比べずにはいられない。
「ターくん、チカちゃん、またねー」
帰り際、にっこり笑って手を振るユキヤ。
「ユキヤくん、またね。タカシ、ばいばいしよっか」
「ばーい」
「あはは、ばいばーい」
ぎこちなく手を振るタカシに笑いかけるマミ。
あのドアが閉まったら、マミはユキヤくんとたくさんお話するのかな。
マミの家を出て歩き出したチカコは、ほとんど口を開かないタカシの手を握り、少し切なくなった。
その日の晩。
真っ白な画用紙に、黙々と絵を描くタカシの姿があった。
風呂からあがった夫のヒロユキがタカシに歩み寄る。
「おー、何描いてんだ?タカシ」
「ん、まーま」
「おっ、これママか?こっちは?」
「んんん、」
「あ、ひょっとしてこれ友達のユキヤくんだろ」
「ん!」
「あはは。これがわんわんでー、これは?」
「ぶー、ぶーぶー」
「おぉ、ぶーぶーか。ユキヤくんはぶーぶーが好きなのか」
「ん!」
ぱあっと嬉しそうに笑うタカシ。
あぁ。この子にはこの子なりの表現方法がある。
嬉しい、楽しい、好き、嫌い。そんな豊かな感情が、この子の中にしっかりと存在するのだ。
「タカシは絵がうまいなぁ。ほら、ママに見せてやれ」
「まーま」
「わぁ、上手に描けたねぇタカシ。今日、マミちゃんにたくさん絵本読んでもらったんだよね」
「ん!」
「楽しかったね。また行きたい?」
「ん!!」
こっくりと大きく頷くタカシに、自然と心がほぐれていく。
何度も不安になりながら、少しずつ自分の歩幅を見つけていくのだろう。
この子も、私も。
【要約】
チカコは、自分の息子と同い年のユキヤがたくさん言葉を喋るのを見て、なかなか言葉が出てこない我が子と比べてしまい、不安がつのるのでした。
そしてチカコの友人、マミの子どもも同じく3歳だ。名をユキヤと言う。
チカコとマミは仲が良く、互いの家で一緒に遊んだりしている。タカシとユキヤも仲が良い。
「ユキヤくんは、でんしゃが好きなの?」
「でんしゃ!すき!あとね、しょーぼーしゃ!」
「消防車も好きなんだ。かっこいいよね」
「うん!きゅーきゅーしゃ、ぱとかー、しょべるかー」
「わぁ、いろんな車の名前知ってるんだねぇ」
褒めるチカコに、得意気に話すユキヤ。
その隣では、タカシが真剣に動物の絵本を見ている。
そんなタカシと一緒に絵本を覗き込んで、マミが尋ねる。
「タカシくん、どの動物が好き?」
「ん、んー」
「わんわん?犬が好きなのね」
「んー」
へらりと嬉しそうに笑うタカシ。
チカコはずっと気がかりだった。同い年のユキヤはたくさん言葉を喋るのに、タカシはなかなか言葉が出ない。
個人差があるし焦らなくていいよと人は言う。分かっているつもりだが、やはり実際に言葉巧みに話すユキヤと対面すると、その不安は膨らんでしまうものだ。
"どうして、うちの子は。どうして、よその子は。"
比べたくなくても、比べずにはいられない。
「ターくん、チカちゃん、またねー」
帰り際、にっこり笑って手を振るユキヤ。
「ユキヤくん、またね。タカシ、ばいばいしよっか」
「ばーい」
「あはは、ばいばーい」
ぎこちなく手を振るタカシに笑いかけるマミ。
あのドアが閉まったら、マミはユキヤくんとたくさんお話するのかな。
マミの家を出て歩き出したチカコは、ほとんど口を開かないタカシの手を握り、少し切なくなった。
その日の晩。
真っ白な画用紙に、黙々と絵を描くタカシの姿があった。
風呂からあがった夫のヒロユキがタカシに歩み寄る。
「おー、何描いてんだ?タカシ」
「ん、まーま」
「おっ、これママか?こっちは?」
「んんん、」
「あ、ひょっとしてこれ友達のユキヤくんだろ」
「ん!」
「あはは。これがわんわんでー、これは?」
「ぶー、ぶーぶー」
「おぉ、ぶーぶーか。ユキヤくんはぶーぶーが好きなのか」
「ん!」
ぱあっと嬉しそうに笑うタカシ。
あぁ。この子にはこの子なりの表現方法がある。
嬉しい、楽しい、好き、嫌い。そんな豊かな感情が、この子の中にしっかりと存在するのだ。
「タカシは絵がうまいなぁ。ほら、ママに見せてやれ」
「まーま」
「わぁ、上手に描けたねぇタカシ。今日、マミちゃんにたくさん絵本読んでもらったんだよね」
「ん!」
「楽しかったね。また行きたい?」
「ん!!」
こっくりと大きく頷くタカシに、自然と心がほぐれていく。
何度も不安になりながら、少しずつ自分の歩幅を見つけていくのだろう。
この子も、私も。
【要約】
チカコは、自分の息子と同い年のユキヤがたくさん言葉を喋るのを見て、なかなか言葉が出てこない我が子と比べてしまい、不安がつのるのでした。
「TPOを弁えてこそのファッション」「6ブックマーク」
俺はオタクだがファッションにうるさい男だ。
いつもその場所に合った服装を心がけている。
今日はいつもと違う場所に出かける予定だったのだが、もちろん事前リサーチ済み。
しっかりその場所に合った服装を選んだんだぜ?
それ故に俺はいま、後悔している。なぜだと思う?
いつもその場所に合った服装を心がけている。
今日はいつもと違う場所に出かける予定だったのだが、もちろん事前リサーチ済み。
しっかりその場所に合った服装を選んだんだぜ?
それ故に俺はいま、後悔している。なぜだと思う?
18年06月01日 19:37
【ウミガメのスープ】 [RYO]
【ウミガメのスープ】 [RYO]
解説を見る
俺はいわゆる軍装オタクだ。
街中では都市迷彩、森なら森林迷彩を選んで着用している。(※あまりマナーはよくないので真似しないでね)
そんな俺が登山に出かける際に、しっかりその場所に合った迷彩を選ぶのは当然だろ?
そして俺は滑落した。
身体に激痛が走り意識が朦朧とする絶体絶命の中、しかし救助のヘリコプターや捜索隊の音が聴こえてきた!
声も出せない状況だが一安心する俺。
しかしすぐにその音は遠ざかっていく。
疑問に思ったが――すぐに俺は後悔した。
地上からも上空からも発見を困難にする、迷彩服なんて着用してこなければ良かったと。
※T(時)、P(場所)だけでなくO(場合)も考慮しようね!
街中では都市迷彩、森なら森林迷彩を選んで着用している。(※あまりマナーはよくないので真似しないでね)
そんな俺が登山に出かける際に、しっかりその場所に合った迷彩を選ぶのは当然だろ?
そして俺は滑落した。
身体に激痛が走り意識が朦朧とする絶体絶命の中、しかし救助のヘリコプターや捜索隊の音が聴こえてきた!
声も出せない状況だが一安心する俺。
しかしすぐにその音は遠ざかっていく。
疑問に思ったが――すぐに俺は後悔した。
地上からも上空からも発見を困難にする、迷彩服なんて着用してこなければ良かったと。
※T(時)、P(場所)だけでなくO(場合)も考慮しようね!
「誉の残飯」「6ブックマーク」
多くの客が笑顔で料理や飲み物やお菓子を残したり捨てたりしていく様子を見て、作った本人は嬉しくなった。
なぜだろう?
なぜだろう?
19年01月19日 22:00
【ウミガメのスープ】 [koto]
【ウミガメのスープ】 [koto]
解説を見る
作った本人の職業は映画監督。
制作した最新作の反応が気になって、とある大手の映画館へとやって来た。
その結果、映画を見た客が、飲食を忘れるほど夢中になってくれたのがわかって、嬉しくなったのだ。
制作した最新作の反応が気になって、とある大手の映画館へとやって来た。
その結果、映画を見た客が、飲食を忘れるほど夢中になってくれたのがわかって、嬉しくなったのだ。
「致死性の記憶」「6ブックマーク」
午前0時に突然鳴り出したスマホのアラームが
一年前に車の中でも鳴っていたことに気づいたぼくは、
死んだ。
いったいなぜ?
一年前に車の中でも鳴っていたことに気づいたぼくは、
死んだ。
いったいなぜ?
19年01月22日 21:16
【ウミガメのスープ】 [ぽんぽこぺん]
【ウミガメのスープ】 [ぽんぽこぺん]
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解説を見る
大好きな彼女は交通事故で死んだ。彼女の誕生日に。
いつも過剰なくらいに安全運転な彼女が、どうして事故に遭ったのか、ずっとわからなかった。
遺留品として預かった彼女のスマホ。
消したら彼女が本当に居なくなってしまう気がして、いつも充電しっぱなしにしていた。
彼女が死んで一年後、彼女の誕生日の0:00に、突然そのアラームが鳴った。
「誕生日おめでとう!!!」
やたら長いサウンドつき
2年前の彼女の誕生日、僕は彼女とお酒を飲んで、彼女は酔って眠ってしまった。
僕は酔っ払って彼女のスマホにサプライズを仕掛けた。
毎年彼女の誕生日0:00に、お祝いメッセージとともにアラームが鳴るリマインダーを仕掛けたのだ。
そんなこと、すっかり忘れていた。
彼女の事故は、夜勤へ向かう途中、ちょうど日付が変わる頃だった。
彼女は普段マナーモードにしない。
運転中、突然鳴り出すスマホ、慌てる彼女、目に浮かぶようだった。
僕は彼女のスマホを握りしめ、ふらふらと外に出た。
気づくとホームに立っていた。
もう、全部どうでもよくなった。
要約:
大好きな彼女が交通事故に遭って死んでしまったのは、自分が彼女のスマホにサプライズで仕掛けたリマインダー(毎年彼女の誕生日になった瞬間に鳴る)が原因であったのだと気づいたから。
いつも過剰なくらいに安全運転な彼女が、どうして事故に遭ったのか、ずっとわからなかった。
遺留品として預かった彼女のスマホ。
消したら彼女が本当に居なくなってしまう気がして、いつも充電しっぱなしにしていた。
彼女が死んで一年後、彼女の誕生日の0:00に、突然そのアラームが鳴った。
「誕生日おめでとう!!!」
やたら長いサウンドつき
2年前の彼女の誕生日、僕は彼女とお酒を飲んで、彼女は酔って眠ってしまった。
僕は酔っ払って彼女のスマホにサプライズを仕掛けた。
毎年彼女の誕生日0:00に、お祝いメッセージとともにアラームが鳴るリマインダーを仕掛けたのだ。
そんなこと、すっかり忘れていた。
彼女の事故は、夜勤へ向かう途中、ちょうど日付が変わる頃だった。
彼女は普段マナーモードにしない。
運転中、突然鳴り出すスマホ、慌てる彼女、目に浮かぶようだった。
僕は彼女のスマホを握りしめ、ふらふらと外に出た。
気づくとホームに立っていた。
もう、全部どうでもよくなった。
要約:
大好きな彼女が交通事故に遭って死んでしまったのは、自分が彼女のスマホにサプライズで仕掛けたリマインダー(毎年彼女の誕生日になった瞬間に鳴る)が原因であったのだと気づいたから。