「猿あつかいされる男」「8Good」
良質:3票トリック:5票
犬も
猿も
雉も
鬼に金棒
で叩かれて
負けてしまい
猿と同じ目にあった彼
そんな目に合わせた敵
がびっくりしていたのはなぜ?
猿も
雉も
鬼に金棒
で叩かれて
負けてしまい
猿と同じ目にあった彼
そんな目に合わせた敵
がびっくりしていたのはなぜ?
19年10月06日 22:47
【ウミガメのスープ】 [霜ばしら]
【ウミガメのスープ】 [霜ばしら]
解説を見る
{犬も(歩けば棒に当たる)}
{猿も(木から落ちる)}
{雉も(鳴かずば撃たれまい)}
{鬼に金棒}
と札を4枚多く
とられた彼は
かるたで負けてしまった
いつも負け知らず
の彼が負けた
この状況はまさに
{猿も木から落ちる}だったので
敵もびっくりしていたのだ
{猿も木から落ちる}
その道にすぐれた者でも、時には失敗することがあるという意味
{猿も(木から落ちる)}
{雉も(鳴かずば撃たれまい)}
{鬼に金棒}
と札を4枚多く
とられた彼は
かるたで負けてしまった
いつも負け知らず
の彼が負けた
この状況はまさに
{猿も木から落ちる}だったので
敵もびっくりしていたのだ
{猿も木から落ちる}
その道にすぐれた者でも、時には失敗することがあるという意味
「【悔】」「8Good」
良質:3票トリック:5票
【とある漢字一文字】を当てて、{適当な回答しかしない、すごく大らかな性格の押井君}のことを{悔しがらせて}みて下さい。
質問は私(=出題者オリオン)か押井君にすることができますが、
押井君には『●ですか?』のように、{漢字そのものズバリを尋ねる質問しかできません。}
(例:漢ですか?字ですか?等)
オリオンへの質問は、イエスノーで答えられる質問であればOKですが、答えの漢字が何なのかについて直接掘り下げるような質問はNGとさせていただきます。
(例:答えは言偏の漢字ですか?等)
質問は私(=出題者オリオン)か押井君にすることができますが、
押井君には『●ですか?』のように、{漢字そのものズバリを尋ねる質問しかできません。}
(例:漢ですか?字ですか?等)
オリオンへの質問は、イエスノーで答えられる質問であればOKですが、答えの漢字が何なのかについて直接掘り下げるような質問はNGとさせていただきます。
(例:答えは言偏の漢字ですか?等)
19年10月27日 12:00
【新・形式】 [オリオン]
【新・形式】 [オリオン]
おかぷリクエストが来ていたので。キリがいいところで締めます。
解説を見る
<答え:口>
ルールに書いてあるように『●ですか?』と漢字一文字の質問をした方ならば、すぐに、押井君が漢字の質問に対して必ず『●惜しいです!』という回答をしていることに気づかれたと思います。
その回答の仕方に着目する(あるいはイエスノーの質問によってこの問題について掘り下げる)ことによって、
この問題の目的が、
{『●惜しい』という形に当てはまる『悔しい』という意味の漢字}を当てれば良いということに気がつき、そこから『口惜しい』というワードを導き出した正解者の皆様、お見事でした!
ルールに書いてあるように『●ですか?』と漢字一文字の質問をした方ならば、すぐに、押井君が漢字の質問に対して必ず『●惜しいです!』という回答をしていることに気づかれたと思います。
その回答の仕方に着目する(あるいはイエスノーの質問によってこの問題について掘り下げる)ことによって、
この問題の目的が、
{『●惜しい』という形に当てはまる『悔しい』という意味の漢字}を当てれば良いということに気がつき、そこから『口惜しい』というワードを導き出した正解者の皆様、お見事でした!
「【1on1】リボン【for めしるか】」「8Good」
物語:7票納得感:1票
いつものようにリコの制服のリボンを結びながら、ヤスが密かに喜んでいたのは
1か月前からリコがスニーカーを履き出したせいだという。
カメオは何が嬉しかったのだろう?
---------------------
本問は藤井とめしるかさんの1on1であり、参加できるのはめしるかさんのみとなります。
他の方はチャットにて応援・ご観戦ください!
(答えがわかった方は出のみコメントでも受け付けます)
1か月前からリコがスニーカーを履き出したせいだという。
カメオは何が嬉しかったのだろう?
---------------------
本問は藤井とめしるかさんの1on1であり、参加できるのはめしるかさんのみとなります。
他の方はチャットにて応援・ご観戦ください!
(答えがわかった方は出のみコメントでも受け付けます)
19年11月13日 00:33
【ウミガメのスープ】 [藤井]
【ウミガメのスープ】 [藤井]
オフ飲みの帰り道に作ったスープ。
解説を見る
【解答】
蝶々結びができるようになったリコが、それでも尚自分を頼ってくれること
【解説】
幼い頃から手先がひどく不器用で、洋服のリボンも靴紐も自分で結ぶことができなかったリコ。
靴紐を結ぶのにあまりにも時間がかかるため、彼女はずっと紐のない靴を選んで履いていた。
かたや手先が器用な幼馴染みのヤス。いつしかリコのリボンを結んであげるのがヤスの役目になっていた。
中学生になり、男女が互いを意識する頃。
リコの制服のリボンを結びながら、ヤスは自分の役目がもう終わってしまうのではないかと考えた。
それは少し前からリコがスニーカーを履くようになったせいだ。
靴紐はいつも綺麗な蝶々結び。リコは自分で靴紐を結べるようになったのだろうか。
尋ねたかったが、尋ねた瞬間に自分が用無しになってしまう気がしてなにも言えずにいた。
一週間、二週間。
過ぎ行く日々の中、リコは変わらず毎朝ヤスにリボンを差し出した。
「ヤッちゃん、結んで」
ヤスはこくりと頷いてリボンを結ぶ。
左右をきゅっと引っ張ると、綺麗なリボンの形になる。
満足そうに微笑むリコを見て、ヤスの胸はきゅっと締め付けられるのだった。
蝶々結びができるようになったリコが、それでも尚自分を頼ってくれること
【解説】
幼い頃から手先がひどく不器用で、洋服のリボンも靴紐も自分で結ぶことができなかったリコ。
靴紐を結ぶのにあまりにも時間がかかるため、彼女はずっと紐のない靴を選んで履いていた。
かたや手先が器用な幼馴染みのヤス。いつしかリコのリボンを結んであげるのがヤスの役目になっていた。
中学生になり、男女が互いを意識する頃。
リコの制服のリボンを結びながら、ヤスは自分の役目がもう終わってしまうのではないかと考えた。
それは少し前からリコがスニーカーを履くようになったせいだ。
靴紐はいつも綺麗な蝶々結び。リコは自分で靴紐を結べるようになったのだろうか。
尋ねたかったが、尋ねた瞬間に自分が用無しになってしまう気がしてなにも言えずにいた。
一週間、二週間。
過ぎ行く日々の中、リコは変わらず毎朝ヤスにリボンを差し出した。
「ヤッちゃん、結んで」
ヤスはこくりと頷いてリボンを結ぶ。
左右をきゅっと引っ張ると、綺麗なリボンの形になる。
満足そうに微笑むリコを見て、ヤスの胸はきゅっと締め付けられるのだった。
「さがしもの」「8Good」
物語:6票納得感:2票
今年高校3年生になったマユミは、友人のカナコが
「今回めちゃくちゃ頑張ったんだよ~!」と言ってテストの答案用紙を広げたのを見て
数年前、自分がゴミ箱を漁って探していたものはそもそも初めから無かったのではないか と考えた。
マユミはなぜ、ゴミ箱を漁ったのだろうか?
「今回めちゃくちゃ頑張ったんだよ~!」と言ってテストの答案用紙を広げたのを見て
数年前、自分がゴミ箱を漁って探していたものはそもそも初めから無かったのではないか と考えた。
マユミはなぜ、ゴミ箱を漁ったのだろうか?
19年11月19日 01:31
【ウミガメのスープ】 [藤井]
【ウミガメのスープ】 [藤井]
解説を見る
【解答】
友人が「捨てた」と言った答案用紙を探すため
【解説】
「ナッちゃん、見て!今回すごい点数良かったんだ~!!」
中学1年生の夏、放課後。隣のクラスの親友のナツコにマユミはテストの答案用紙を広げて見せた。たくさんの赤マル、右上には94点の文字。
「……すごいねぇ!マユちゃん」
「ナッちゃん何点だった?」
「ええとね……78点!今回難しかったよ~」
「やったー!ナッちゃんに勝てたー!!」
無邪気に喜ぶマユミに、ナツコはへへへと笑う。
「マユちゃん、勉強頑張ってたもんね」
「ナッちゃんに負けられないからね~。ねぇねぇ、答案用紙見せてよ」
えっ、と一瞬ナツコはうろたえる。そして申し訳なさそうに頭を掻いた。
「実は捨てちゃったんだよね~、あんまり点数よくなかったから」
「ええっ!そうなの?でも確かにナッちゃんが78点って珍しいよねぇ。いつももっと点数高いのに」
「今回の範囲、苦手だったみたい」
そして部活へ向かうナツコを見送ったマユミは、やがて人がいなくなると、こっそり教室のゴミ箱を探った。
ナツコの答案用紙が気になったのだ。
頭のいいナツコとマユミは、小学生の頃からテストで高得点を叩き出していた。しかしナツコの方が点数が高いことの方が多かった。
今回ばかりはマユミは自信があった。そしてその手応え通り、いつにも増して高得点を叩き出した。クラスの皆からも尊敬された。
がさごそ、がさごそ。
ナツコの答案用紙は見当たらない。
(掃除の時間に一旦ゴミ回収されちゃったとかかな……?)
マユミは探すのを諦めた。そして、改めて自分の答案用紙を見る。
94点。誇らしかった。
月日は流れ、二人は中学を卒業。それぞれ別の進路に進み、マユミはいっそう勉学に励んだ。
そして、カナコという友人ができた。彼女も頭がよく、努力家だった。
「マユミ、頭いいよねぇ」
プライドの高いカナコがマユミをライバル視していることは、マユミにもひしひしと伝わっていた。
ある日のこと。
中間テストが返却され、担任の教師が「今回平均点低かったぞー。65点だ」と告げた。
授業終了のチャイムが鳴り響くなり、カナコはマユミのもとへ駆けてきた。
「マユミ!テストどうだった?」
「え、まぁそこそこ……。カナコは?」
「それがね、めっちゃ良かった!!」
嬉々として答案用紙を広げるカナコ。たくさんの赤マル、右上には91点の文字。
すると周りにいた生徒が振り返り、
「うおっ、すげーじゃん」
「カナコちゃんあったまいい~」
と口々にカナコを褒めた。
「……すご!平均65点なのにめっちゃいいじゃん」
「今回マジで頑張ったからね~。で、マユミは?」
「あー……84点」
「っしゃ!勝ったー!!」
「お前らマジ頭いいなー」と周りの生徒は感嘆の声をあげ、カナコの答案用紙を覗き込む。
誇らしげなカナコに「ちょっとトイレ行ってくるね」と告げ、マユミはその場を離れた。
マユミの机の中には、94点の答案用紙があった。
カナコは自分がとびきり良い点数を取ったとき、マユミの答案用紙を見たがる。帰り道に答案用紙を見比べあって、ここはこうだとか振り返るのがお決まりのパターンだ。
別にそれは良かった。いい復習にもなる。
だが今回は別だ。
咄嗟に嘘をついてしまった。
(……テスト、失くしたことにしようかな)
そう考えたところで、マユミの思考は数年前の風景をとらえた。
ぼんやりとナツコの顔が浮かぶ。
『捨てちゃったんだよね』
彼女の答案用紙は、彼女の手元にあったのではないか?
ちょうど今の自分と同じように。
とびきりの高得点を叩き出していたのではないか。
つまり、あの日自分が漁っていた教室のゴミ箱の中にナツコの答案用紙なんてそもそも無かったのではないか。
授業開始のチャイムが鳴り響く。
はっと顔を上げたマユミは、慌てて教室へ駆けていった。
友人が「捨てた」と言った答案用紙を探すため
【解説】
「ナッちゃん、見て!今回すごい点数良かったんだ~!!」
中学1年生の夏、放課後。隣のクラスの親友のナツコにマユミはテストの答案用紙を広げて見せた。たくさんの赤マル、右上には94点の文字。
「……すごいねぇ!マユちゃん」
「ナッちゃん何点だった?」
「ええとね……78点!今回難しかったよ~」
「やったー!ナッちゃんに勝てたー!!」
無邪気に喜ぶマユミに、ナツコはへへへと笑う。
「マユちゃん、勉強頑張ってたもんね」
「ナッちゃんに負けられないからね~。ねぇねぇ、答案用紙見せてよ」
えっ、と一瞬ナツコはうろたえる。そして申し訳なさそうに頭を掻いた。
「実は捨てちゃったんだよね~、あんまり点数よくなかったから」
「ええっ!そうなの?でも確かにナッちゃんが78点って珍しいよねぇ。いつももっと点数高いのに」
「今回の範囲、苦手だったみたい」
そして部活へ向かうナツコを見送ったマユミは、やがて人がいなくなると、こっそり教室のゴミ箱を探った。
ナツコの答案用紙が気になったのだ。
頭のいいナツコとマユミは、小学生の頃からテストで高得点を叩き出していた。しかしナツコの方が点数が高いことの方が多かった。
今回ばかりはマユミは自信があった。そしてその手応え通り、いつにも増して高得点を叩き出した。クラスの皆からも尊敬された。
がさごそ、がさごそ。
ナツコの答案用紙は見当たらない。
(掃除の時間に一旦ゴミ回収されちゃったとかかな……?)
マユミは探すのを諦めた。そして、改めて自分の答案用紙を見る。
94点。誇らしかった。
月日は流れ、二人は中学を卒業。それぞれ別の進路に進み、マユミはいっそう勉学に励んだ。
そして、カナコという友人ができた。彼女も頭がよく、努力家だった。
「マユミ、頭いいよねぇ」
プライドの高いカナコがマユミをライバル視していることは、マユミにもひしひしと伝わっていた。
ある日のこと。
中間テストが返却され、担任の教師が「今回平均点低かったぞー。65点だ」と告げた。
授業終了のチャイムが鳴り響くなり、カナコはマユミのもとへ駆けてきた。
「マユミ!テストどうだった?」
「え、まぁそこそこ……。カナコは?」
「それがね、めっちゃ良かった!!」
嬉々として答案用紙を広げるカナコ。たくさんの赤マル、右上には91点の文字。
すると周りにいた生徒が振り返り、
「うおっ、すげーじゃん」
「カナコちゃんあったまいい~」
と口々にカナコを褒めた。
「……すご!平均65点なのにめっちゃいいじゃん」
「今回マジで頑張ったからね~。で、マユミは?」
「あー……84点」
「っしゃ!勝ったー!!」
「お前らマジ頭いいなー」と周りの生徒は感嘆の声をあげ、カナコの答案用紙を覗き込む。
誇らしげなカナコに「ちょっとトイレ行ってくるね」と告げ、マユミはその場を離れた。
マユミの机の中には、94点の答案用紙があった。
カナコは自分がとびきり良い点数を取ったとき、マユミの答案用紙を見たがる。帰り道に答案用紙を見比べあって、ここはこうだとか振り返るのがお決まりのパターンだ。
別にそれは良かった。いい復習にもなる。
だが今回は別だ。
咄嗟に嘘をついてしまった。
(……テスト、失くしたことにしようかな)
そう考えたところで、マユミの思考は数年前の風景をとらえた。
ぼんやりとナツコの顔が浮かぶ。
『捨てちゃったんだよね』
彼女の答案用紙は、彼女の手元にあったのではないか?
ちょうど今の自分と同じように。
とびきりの高得点を叩き出していたのではないか。
つまり、あの日自分が漁っていた教室のゴミ箱の中にナツコの答案用紙なんてそもそも無かったのではないか。
授業開始のチャイムが鳴り響く。
はっと顔を上げたマユミは、慌てて教室へ駆けていった。
「歌と子供」「8Good」
物語:4票納得感:4票
カメコは歌が上手い。
しかしあるときカメコは、自分の娘に「ママ、おうたがへたー」と言われてしまった。
何故でしょうか?
しかしあるときカメコは、自分の娘に「ママ、おうたがへたー」と言われてしまった。
何故でしょうか?
19年11月19日 22:06
【ウミガメのスープ】 [フィンディル]
【ウミガメのスープ】 [フィンディル]
解説を見る
カメコが子供の頃、音痴の親から聞かされていた子守唄が、大人になっても耳に残ってしまっていたから。
―――――――――――――――――――
カメコは可愛い一人娘を、夫と二人で協力して育てていました。
いつも娘を寝かしつけるのは夫の役割ですが、今日は別のことで夫の手が離せないようです。
そのためカメコが寝かしつけることにしました。
「ママー、おうたをうたって」
「おうたって?」
「えっとねー、こもりうた。パパがいつも歌ってくれるの」
「へー、そうなんだ」
夫が寝かしつけるとき、カメコは別の部屋で作業をしているため、そのことは知りませんでした。
「子守唄って、ねんねーん、で始まるおうた?」
「そうそれ!」
「ふふ。わかった。じゃあ歌うね」
「うん」
「ねんねーん♪ ころーりーよー♪」
「ママ、おうたがへたー」
「えっ?」
このときカメコは、自分の子供の頃を思い出しました。
子供の頃、カメコを寝かしつけるのは父親の役目でした。そして父親はいつも子守唄を歌ってくれました。
父親の子守唄はカメコにとって心地よく、毎晩幸せな気持ちで眠りにつくことができました。
しかしカメコがある程度大きくなってから知るのですが、父親は酷い音痴だったのです。
当然、父親が歌う子守唄も酷い音痴。ですが幼いカメコにはその音程のズレが心地よかったのかもしれません。
そしてこのズレた子守唄が、無意識の内にカメコの耳に強く残っていたのでしょう。
例えるなら、学生時代の合唱コンクールでアルトパートを担当した歌を、大人になってもアルトパートで歌ってしまう感覚でしょうか。
滅多に歌う機会のない江戸子守唄。カメコは今の今までこの事実に気付いていませんでした。
カメコは歌が上手です。それはカメコの母親からの遺伝だろうと言われていました。カメコの母親も歌が上手だからです。
カメコの父親はあるときこう言いました。
「俺の音痴を全く受け継がなくてよかったな」と。
カメコは笑ってしまいました。
子守唄だけは、お父さんの音痴を受け継いでしまったね。
「ママー?」
娘がカメコの顔を覗いています。
娘は夫の歌う、音程のきちんとした子守唄に親しんでいます。
「ごめんごめん。じゃあご本を読んであげる」
「やったー!」
カメコが父親から受け継いだ音痴の子守唄は、娘に継がれることはないでしょう。
それがどうしたと思うと同時に、カメコの胸裏に少しだけ寂しさが通り過ぎました。
―――――――――――――――――――
カメコは可愛い一人娘を、夫と二人で協力して育てていました。
いつも娘を寝かしつけるのは夫の役割ですが、今日は別のことで夫の手が離せないようです。
そのためカメコが寝かしつけることにしました。
「ママー、おうたをうたって」
「おうたって?」
「えっとねー、こもりうた。パパがいつも歌ってくれるの」
「へー、そうなんだ」
夫が寝かしつけるとき、カメコは別の部屋で作業をしているため、そのことは知りませんでした。
「子守唄って、ねんねーん、で始まるおうた?」
「そうそれ!」
「ふふ。わかった。じゃあ歌うね」
「うん」
「ねんねーん♪ ころーりーよー♪」
「ママ、おうたがへたー」
「えっ?」
このときカメコは、自分の子供の頃を思い出しました。
子供の頃、カメコを寝かしつけるのは父親の役目でした。そして父親はいつも子守唄を歌ってくれました。
父親の子守唄はカメコにとって心地よく、毎晩幸せな気持ちで眠りにつくことができました。
しかしカメコがある程度大きくなってから知るのですが、父親は酷い音痴だったのです。
当然、父親が歌う子守唄も酷い音痴。ですが幼いカメコにはその音程のズレが心地よかったのかもしれません。
そしてこのズレた子守唄が、無意識の内にカメコの耳に強く残っていたのでしょう。
例えるなら、学生時代の合唱コンクールでアルトパートを担当した歌を、大人になってもアルトパートで歌ってしまう感覚でしょうか。
滅多に歌う機会のない江戸子守唄。カメコは今の今までこの事実に気付いていませんでした。
カメコは歌が上手です。それはカメコの母親からの遺伝だろうと言われていました。カメコの母親も歌が上手だからです。
カメコの父親はあるときこう言いました。
「俺の音痴を全く受け継がなくてよかったな」と。
カメコは笑ってしまいました。
子守唄だけは、お父さんの音痴を受け継いでしまったね。
「ママー?」
娘がカメコの顔を覗いています。
娘は夫の歌う、音程のきちんとした子守唄に親しんでいます。
「ごめんごめん。じゃあご本を読んであげる」
「やったー!」
カメコが父親から受け継いだ音痴の子守唄は、娘に継がれることはないでしょう。
それがどうしたと思うと同時に、カメコの胸裏に少しだけ寂しさが通り過ぎました。