「愛に捨てられ、アイスを捨てて。」「9ブックマーク」
「もうあなたのことを{愛}してないの」恋人にそう告げられた男が、その日の夜、たくさんの{アイスクリーム}を捨てたのは何故だろう?
21年08月16日 22:00
【ウミガメのスープ】 [az]
【ウミガメのスープ】 [az]
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冷凍庫を空けて死体を隠すため。
別れ話の末、衝動的に恋人を殺してしまった男。リビングに転がった死体を前に、男は頭を抱える。
さて困った。どうにかして死体を処分しなければ。どこかに埋めるか? バラバラにするか? どうするにしても準備がいる。近所の住民の目を考えれば迂闊に動かすこともできない。
しかしこの暑さだ、このまま放っておいたら死体はすぐに腐って臭いだす。異臭をきっかけに死体が見つかる、なんてのはサスペンスじゃよくある話だ――。
そうだ、うまい処理方法を思いつくまで、とりあえず冷凍庫に入れておこう。当面の隠し場所になるし、きっと腐敗も抑えられるはずだ。
そう思いつくと、男は冷凍庫を開けた。中には恋人の好物だったアイスクリームはたくさん詰まっていたが、そのままでは死体を入れるだけのスペースがない。仕方ないので男は冷凍庫の中身を全部捨てて空にして、そこに死体を押し込んだのだった。
別れ話の末、衝動的に恋人を殺してしまった男。リビングに転がった死体を前に、男は頭を抱える。
さて困った。どうにかして死体を処分しなければ。どこかに埋めるか? バラバラにするか? どうするにしても準備がいる。近所の住民の目を考えれば迂闊に動かすこともできない。
しかしこの暑さだ、このまま放っておいたら死体はすぐに腐って臭いだす。異臭をきっかけに死体が見つかる、なんてのはサスペンスじゃよくある話だ――。
そうだ、うまい処理方法を思いつくまで、とりあえず冷凍庫に入れておこう。当面の隠し場所になるし、きっと腐敗も抑えられるはずだ。
そう思いつくと、男は冷凍庫を開けた。中には恋人の好物だったアイスクリームはたくさん詰まっていたが、そのままでは死体を入れるだけのスペースがない。仕方ないので男は冷凍庫の中身を全部捨てて空にして、そこに死体を押し込んだのだった。
「消せない火」「9ブックマーク」
ある日を堺に「もう煙草を吸わなくてもいい」と考えた喫煙者の男。
しかし、男が完全に煙草をやめたのはそれから数ヶ月経ってからのことだった。
煙草への依存などは特別なかった男が、すぐに煙草をやめなかったのは何故だろうか?
しかし、男が完全に煙草をやめたのはそれから数ヶ月経ってからのことだった。
煙草への依存などは特別なかった男が、すぐに煙草をやめなかったのは何故だろうか?
21年08月25日 00:46
【ウミガメのスープ】 [藤井]
【ウミガメのスープ】 [藤井]
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【解答】
意中の女性が喫煙者であり、喫煙所で会話のきっかけを作るために煙草を吸い始めた男。
ある日女性が煙草をやめたことにより、男には煙草を吸う理由がなくなった。
しかし、同時に煙草をやめると自分の想いが(話したくて煙草を吸っていたのが)悟られてしまうのではと思い、しばらく煙草を吸い続けた。
【解説】
バイト先の先輩、萩原さんに僕は密かに想いを寄せていた。
しかしシャイな性格の僕は会話のきっかけが掴めず、なかなか距離を縮めることができない。
ある日、喫煙所に萩原さんの姿を見つけた。どうやら彼女は煙草を吸うらしい。
職場で煙草を吸う人はそう多くなく、喫煙所での時間が彼女との会話のチャンスではないかと僕は思った。
以前少し吸ったことはあったものの、特別好きでもなかった煙草。
帰り道、久しぶりに煙草を買った。
僕はあからさまにならないよう、バイトのある日には毎回2本、適当な時間に喫煙所で煙草を吸った。
萩原さんに会えるのは10回のうち3回くらい。それでも充分だった。
仕事は慣れたかとか、困ってることは無いかとか、彼女は色々と声をかけてくれた。僕から話題を振ることはほとんど出来なかったけれど、一緒に過ごす僅かな時間が幸せだった。
そんな日々がしばらく続いたある日、喫煙所で萩原さんはこう言った。
「煙草、やめようと思うんだ」
話を聞くと、彼女は結婚するのだという。
子どもも欲しいからそろそろ身体に気を遣っていこうと思う、と。
そうなんですね、と僕は笑った。
おめでとうございます、と僕は笑った。
その日を堺に、彼女は喫煙所に立ち寄らなくなった。
僕はもう、吸いたいわけでもない煙草を吸う理由がなくなった。
かといって、同じタイミングでぴたりとやめてしまったら、それこそあからさまじゃないか。
萩原さんと話したいがために煙草を吸っていた、なんて。
誰にも悟られたくなかった。
僕はそれから数ヶ月、これまでと同じように煙草を吸い続けた。
時折そこを通りがかった萩原さんが「お疲れさま」と声をかけてくれたりした。
それ以上の会話はない。以前の状態に戻っただけだ。
それなのに、何故か萩原さんのことがずっとずっと遠くに感じられるようになった。
口の中に広がる苦味を、その時僕は初めて美味しいと思った。
意中の女性が喫煙者であり、喫煙所で会話のきっかけを作るために煙草を吸い始めた男。
ある日女性が煙草をやめたことにより、男には煙草を吸う理由がなくなった。
しかし、同時に煙草をやめると自分の想いが(話したくて煙草を吸っていたのが)悟られてしまうのではと思い、しばらく煙草を吸い続けた。
【解説】
バイト先の先輩、萩原さんに僕は密かに想いを寄せていた。
しかしシャイな性格の僕は会話のきっかけが掴めず、なかなか距離を縮めることができない。
ある日、喫煙所に萩原さんの姿を見つけた。どうやら彼女は煙草を吸うらしい。
職場で煙草を吸う人はそう多くなく、喫煙所での時間が彼女との会話のチャンスではないかと僕は思った。
以前少し吸ったことはあったものの、特別好きでもなかった煙草。
帰り道、久しぶりに煙草を買った。
僕はあからさまにならないよう、バイトのある日には毎回2本、適当な時間に喫煙所で煙草を吸った。
萩原さんに会えるのは10回のうち3回くらい。それでも充分だった。
仕事は慣れたかとか、困ってることは無いかとか、彼女は色々と声をかけてくれた。僕から話題を振ることはほとんど出来なかったけれど、一緒に過ごす僅かな時間が幸せだった。
そんな日々がしばらく続いたある日、喫煙所で萩原さんはこう言った。
「煙草、やめようと思うんだ」
話を聞くと、彼女は結婚するのだという。
子どもも欲しいからそろそろ身体に気を遣っていこうと思う、と。
そうなんですね、と僕は笑った。
おめでとうございます、と僕は笑った。
その日を堺に、彼女は喫煙所に立ち寄らなくなった。
僕はもう、吸いたいわけでもない煙草を吸う理由がなくなった。
かといって、同じタイミングでぴたりとやめてしまったら、それこそあからさまじゃないか。
萩原さんと話したいがために煙草を吸っていた、なんて。
誰にも悟られたくなかった。
僕はそれから数ヶ月、これまでと同じように煙草を吸い続けた。
時折そこを通りがかった萩原さんが「お疲れさま」と声をかけてくれたりした。
それ以上の会話はない。以前の状態に戻っただけだ。
それなのに、何故か萩原さんのことがずっとずっと遠くに感じられるようになった。
口の中に広がる苦味を、その時僕は初めて美味しいと思った。
「3年2組 33名」「9ブックマーク」
ワタナベ ジロウは口数が少なく普段から人と話すことが少ない。
以前から遠くの席のヤマダ カオリのことが気になっており、密かに想いを寄せていた。
ある時、ワタナベの隣の席にいるヨシダ タカシの方が、ヤマダと話す回数に恵まれていると気がついたのでヨシダのことを殺したのだが、クラスの中でイジメが行われていたことを知って、ヨシダを殺したことを後悔した。
どうしてワタナベはヨシダのことを殺したことを後悔したのだろう? ただし、ワタナベは殺人の罪悪感を抱いていないものとする。
SP:靴下さん ありがとうございました!
以前から遠くの席のヤマダ カオリのことが気になっており、密かに想いを寄せていた。
ある時、ワタナベの隣の席にいるヨシダ タカシの方が、ヤマダと話す回数に恵まれていると気がついたのでヨシダのことを殺したのだが、クラスの中でイジメが行われていたことを知って、ヨシダを殺したことを後悔した。
どうしてワタナベはヨシダのことを殺したことを後悔したのだろう? ただし、ワタナベは殺人の罪悪感を抱いていないものとする。
SP:靴下さん ありがとうございました!
21年09月23日 21:05
【ウミガメのスープ】 [フレンチトースト]
【ウミガメのスープ】 [フレンチトースト]
解説を見る
ワタナベのクラスは男子17名、女子16名の合計33名だった。
人と話すことが苦手なワタナベは同じクラスのヤマダのことが気になりつつも、どのように話せばよいのか分からず仲良くなれずにいた。
あるとき、自分より出席番号が一つ先のヨシダがヤマダと日直で会話している姿を目撃し、ヤマダと日直になれば口下手な自分でも話せるのではないかと期待した。
だからワタナベはヨシダを殺した。出席番号の都合上、ヨシダがいなくなればヤマダと一緒に日直になるのは自分だと思って。
しかし、物語はワタナベの想像している通りに進まなかった。
人と話す機会の少なかったワタナベは、自分のクラスで過酷なイジメが行われていたことを知らなかった。
イジメの標的はホンダという男子。ホンダはイジメに耐えかねて自殺した。
結果、ワタナベのクラスから二人の男子がいなくなったので、ワタナベはヤマシロという女子と日直をすることになった。
「ホンダが自殺すると分かっていればヨシダは殺さなかったのに。ああ、面倒なことになった。女子を1人殺さなければ……」
<要約解説>
クラスから男子が1人いなくなれば自分がヤマダと日直できると思っていたが、イジメのことを知らなかったので自殺のことを予想できず、2人死者をだしてしまったため。
人と話すことが苦手なワタナベは同じクラスのヤマダのことが気になりつつも、どのように話せばよいのか分からず仲良くなれずにいた。
あるとき、自分より出席番号が一つ先のヨシダがヤマダと日直で会話している姿を目撃し、ヤマダと日直になれば口下手な自分でも話せるのではないかと期待した。
だからワタナベはヨシダを殺した。出席番号の都合上、ヨシダがいなくなればヤマダと一緒に日直になるのは自分だと思って。
しかし、物語はワタナベの想像している通りに進まなかった。
人と話す機会の少なかったワタナベは、自分のクラスで過酷なイジメが行われていたことを知らなかった。
イジメの標的はホンダという男子。ホンダはイジメに耐えかねて自殺した。
結果、ワタナベのクラスから二人の男子がいなくなったので、ワタナベはヤマシロという女子と日直をすることになった。
「ホンダが自殺すると分かっていればヨシダは殺さなかったのに。ああ、面倒なことになった。女子を1人殺さなければ……」
<要約解説>
クラスから男子が1人いなくなれば自分がヤマダと日直できると思っていたが、イジメのことを知らなかったので自殺のことを予想できず、2人死者をだしてしまったため。
「澄んだウミガメのスープ」「9ブックマーク」
ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文しました。
しかし、彼はその「ウミガメのスープ」を一口飲んだところで止め、シェフを呼びました。
「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい。ウミガメのスープに間違いございません。ちなみに、当店本日のウミガメのスープは{ラテラテ海という海域に生息するウミガメの肉を使っております。}」
男は勘定を済ませ、帰宅した後、{自分は今後二度とウミガメのスープという料理を飲むことはないだろうと思った。}
男がそう思った理由は、ラテラテ海という海域が男にとって馴染みのない場所であったからだという。
一体どういうことだろう?
しかし、彼はその「ウミガメのスープ」を一口飲んだところで止め、シェフを呼びました。
「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい。ウミガメのスープに間違いございません。ちなみに、当店本日のウミガメのスープは{ラテラテ海という海域に生息するウミガメの肉を使っております。}」
男は勘定を済ませ、帰宅した後、{自分は今後二度とウミガメのスープという料理を飲むことはないだろうと思った。}
男がそう思った理由は、ラテラテ海という海域が男にとって馴染みのない場所であったからだという。
一体どういうことだろう?
21年10月11日 23:50
【ウミガメのスープ】 [甘木]
【ウミガメのスープ】 [甘木]
本家ウミガメオマージュ問題です!
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男は本家ウミガメのスープの物語と同様に、過去の遭難で人肉のスープをウミガメのスープとして仲間から飲まされていた。
レストランで飲んだウミガメのスープの味の違いに違和感を覚え、シェフに確認した。
「はい。ウミガメのスープに間違いございません。ちなみに、当店本日のウミガメのスープは{ラテラテ海という海域に生息するウミガメの肉を使っております。}」
ラテラテ海とは男が遭難した海域と遠く離れた場所である。
男は『遠く離れた海域に住むウミガメであれば、環境やエサの違いによってウミガメの肉の味に大きく差が出ることもあり得るだろう』とその場は納得し、勘定を済ませ、帰宅した。
しかし、男は帰宅してからも心のどこかで納得しきれていない部分があった。
(本当に海域が違うだけであそこまで味に違いが出るのか?……やはり、遭難時に出されたのはウミガメの肉ではなく…………?)
真実をはっきりさせる方法はある。
日よって使用するウミガメの肉が違うのであれば、また別の日にあのレストランに行って別の海域に生息したウミガメのスープを飲んで味を確かめればいい。
いっそ思い切って、自分が遭難した海域に生息するウミガメのスープを出すレストランを探してもいい。
しかし……男は恐ろしかった。
【遭難時に自分が口にしたのはウミガメの肉ではなく、人肉だったと確定してしまうことが。】
現状は“生息する海域が違うウミガメだったから味が違った”という心のよりどころがある。
(そうだ、それでいいではないか。それが事実に違いない。きっとそれが真実なのだ。そうに違いない!またウミガメのスープを飲んで、確認する必要などないんだ!)
男は真実を確認することを恐れ、{自分自身を騙し通すために、自分は今後二度とウミガメのスープという料理を口にすることはないだろうと思った。}
<簡易解説>
男は本家ウミガメのスープの物語と同様に、過去の遭難で人肉のスープをウミガメのスープとして飲んでいた。
レストランで本物のウミガメの肉の味を知ってシェフに確認した際、シェフに伝えられた情報から「遭難した海域とは別の場所に生息するウミガメの肉を使っているから味が違うのだ」と自分自身を無理に納得させようとし、その不確かな心のよりどころを失わないために、機会を改めて別のウミガメのスープを飲む(≒改めて真実を確認する)ことをしないと決心したのだ。
レストランで飲んだウミガメのスープの味の違いに違和感を覚え、シェフに確認した。
「はい。ウミガメのスープに間違いございません。ちなみに、当店本日のウミガメのスープは{ラテラテ海という海域に生息するウミガメの肉を使っております。}」
ラテラテ海とは男が遭難した海域と遠く離れた場所である。
男は『遠く離れた海域に住むウミガメであれば、環境やエサの違いによってウミガメの肉の味に大きく差が出ることもあり得るだろう』とその場は納得し、勘定を済ませ、帰宅した。
しかし、男は帰宅してからも心のどこかで納得しきれていない部分があった。
(本当に海域が違うだけであそこまで味に違いが出るのか?……やはり、遭難時に出されたのはウミガメの肉ではなく…………?)
真実をはっきりさせる方法はある。
日よって使用するウミガメの肉が違うのであれば、また別の日にあのレストランに行って別の海域に生息したウミガメのスープを飲んで味を確かめればいい。
いっそ思い切って、自分が遭難した海域に生息するウミガメのスープを出すレストランを探してもいい。
しかし……男は恐ろしかった。
【遭難時に自分が口にしたのはウミガメの肉ではなく、人肉だったと確定してしまうことが。】
現状は“生息する海域が違うウミガメだったから味が違った”という心のよりどころがある。
(そうだ、それでいいではないか。それが事実に違いない。きっとそれが真実なのだ。そうに違いない!またウミガメのスープを飲んで、確認する必要などないんだ!)
男は真実を確認することを恐れ、{自分自身を騙し通すために、自分は今後二度とウミガメのスープという料理を口にすることはないだろうと思った。}
<簡易解説>
男は本家ウミガメのスープの物語と同様に、過去の遭難で人肉のスープをウミガメのスープとして飲んでいた。
レストランで本物のウミガメの肉の味を知ってシェフに確認した際、シェフに伝えられた情報から「遭難した海域とは別の場所に生息するウミガメの肉を使っているから味が違うのだ」と自分自身を無理に納得させようとし、その不確かな心のよりどころを失わないために、機会を改めて別のウミガメのスープを飲む(≒改めて真実を確認する)ことをしないと決心したのだ。
「贋作 ウミガメのスープ」「9ブックマーク」
ある海にほど近い街のレストラン。
運ばれてきたウミガメのスープを万感の思いを込めて一口すすると、男は店員にこう尋ねた。
「これは本当にウミガメのスープですか?」
店員は「はい。間違いなくウミガメのスープです」と答えた。
すると男は立ち上がり、代金を支払って店を出た。
そして、予定していたこの後の海行きを取りやめることにした。
なぜか?
運ばれてきたウミガメのスープを万感の思いを込めて一口すすると、男は店員にこう尋ねた。
「これは本当にウミガメのスープですか?」
店員は「はい。間違いなくウミガメのスープです」と答えた。
すると男は立ち上がり、代金を支払って店を出た。
そして、予定していたこの後の海行きを取りやめることにした。
なぜか?
21年11月08日 21:35
【ウミガメのスープ】 [きまぐれ夫人]
【ウミガメのスープ】 [きまぐれ夫人]
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最後の晩餐にふさわしい食事ができなかったから。
あの日、死を決意して樹海に向かった男は、道の途中で空腹を覚え、目に付いたレストランに入った。
そうだ。最後の晩餐は大好きなウミガメのスープにしよう。
死を目前にして猶、心躍らせている自分が可笑しくもあり、哀れでもあった。
程なくして、出されたスープを一口すすって男は仰天する。
不味い。
こんな不味いウミガメのスープがこの世にあるのか。
手違いで違う料理を出されたのではないか。
そう思い、店員に問い質してみたが、返ってきた答えは非情なものだった。
駄目だ。
最後の晩餐がこれでは哀しすぎる。
とりあえず今夜の自殺は取りやめだ。
もっと美味いウミガメのスープを食してからでなければ、死んでも死にきれない…
最後の晩餐にふさわしいものを、という思いが強過ぎたのだろう、男のウミガメのスープに求めるレベルは日増しに高くなってゆき、とうとうあれから30年。
なかなか死ねない。
あの日、死を決意して樹海に向かった男は、道の途中で空腹を覚え、目に付いたレストランに入った。
そうだ。最後の晩餐は大好きなウミガメのスープにしよう。
死を目前にして猶、心躍らせている自分が可笑しくもあり、哀れでもあった。
程なくして、出されたスープを一口すすって男は仰天する。
不味い。
こんな不味いウミガメのスープがこの世にあるのか。
手違いで違う料理を出されたのではないか。
そう思い、店員に問い質してみたが、返ってきた答えは非情なものだった。
駄目だ。
最後の晩餐がこれでは哀しすぎる。
とりあえず今夜の自殺は取りやめだ。
もっと美味いウミガメのスープを食してからでなければ、死んでも死にきれない…
最後の晩餐にふさわしいものを、という思いが強過ぎたのだろう、男のウミガメのスープに求めるレベルは日増しに高くなってゆき、とうとうあれから30年。
なかなか死ねない。