みんなのブックマーク

ちがう そーじゃない「9ブックマーク」
「チズルさんですか?」
と訊かれたチズルが、
「うふふ。はい、そうです」
と、耳の辺りをくすぐったそうにしながら答えると、
「ちがうでしょ!」
と相手に怒られたのは何故?
22年06月10日 07:14
【ウミガメのスープ】 [きまぐれ夫人]

あはは




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紙コップを耳に当てたまま返答したから。

「もー、チーちゃん、しゃべるときはコップを口にあてるんだよ!」
「だって、くすぐったいんだもん。あはは」
「くすぐったいとかじゃなくって!」
「あはは」

糸電話で遊ぶ兄妹でした~ あはは。
邪道プロポーズ「9ブックマーク」
◆◆◆
新作映画『Ankward Love』。
生真面目だがお人好しの主人公と、内気で恥ずかしがり屋な病弱ヒロインの恋愛模様を描く映画で、その感動的なストーリーと、ラストシーンにおけるヒロインの詩的で遠回しな逆プロポーズが様々な解釈を呼び、話題を集めているラブロマンスである。
◆◆◆

ある日のこと。
映画への拘りが強く、血も涙も無い辛口レビューで有名な百戦錬磨の映画批評YouTuberカメオ。

彼による、

「{最後のプロポーズのシーンは全く理解できなかった}」

という内容のレビューを見た人々が、

「{この映画は名作だ}」

と思ったのはいったいなぜ?
22年06月12日 22:02
【ウミガメのスープ】 [だだだだ3号機]



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【簡易解説】
あの血も涙も無いカメオですら{涙で字幕が見えなくなる}ほど感動できる映画だと判断されたから。

【冗長な解説】
『Ankward Love』は{洋画}である。難解で婉曲的なセリフ回しを好むダダスリー監督によるこの映画は、その感動的なストーリーと印象的なラストシーンが全米で大きな話題を呼び、つい先日日本でも劇場公開する運びとなった。
当然ながら全編英語であるのだが、カメオは百戦錬磨の映画批評YouTuber。日常会話程度なら字幕無しでも意味が取れる程度には洋画を観ている。(とはいえあくまで「ある程度」であるため字幕を付けるが。)こと洋画に関してはできるだけ原文そのままのニュアンスで楽しみたいカメオは、『Ankward Love』も吹替版ではなく、当然{字幕版}で観ることにした。
さて、カメオはかなりドライかつ辛口であり、よくあるお涙頂戴系の映画で感動を覚えることは殆どない。至って冷静に批評する男として巷では有名であった。
しかしこの『Ankward Love』、あまりにも見事な監督の手腕と役者の名演により、全米が秒で大泣きするレベルの大傑作であった。
それでも中盤までは泣くのを堪えていたカメオであったが、ラストシーン直前でとうとう号泣してしまう。
そして…

<「{な、涙で前が見えなぁぁぁいっ!!}」>

ラストシーンのプロポーズは{表現が婉曲的}であり、詩的な言い回しが多く含まれるため、ネイティブでもなければ{字幕無しで意図を汲み取ることが難しい}。
ただでさえ難解な表現、加えて内気なヒロインの一世一代の逆プロポーズ故に、割と声量もギリッギリである。
しかしあまりの感動で号泣しているカメオの視界は{涙で滲んで}おり、字幕をまともに視認することができない。鼻をすする音で元の台詞も聞き辛い。
感動のラストシーンにもかかわらず、{ヒロインの告白の台詞の意味が全くわからない!}
仕方ないので、今度は吹き替えで観ることにしたのであった。

以下はカメオのレビューである。





『もうラストシーンは涙でマトモに字幕が見えなくてね、主人公より顔ぐちゃぐちゃにしちゃったよ。いや別に洋画は沢山観てるから字幕無しでも何となくのニュアンスはわかるんだがね、あそこのプロポーズは表現が遠回しでネイティブでもなければ翻訳が無いと全く真意が掴めないし、何よりあの詩的な愛の言葉をどう日本語訳したかというのも一種の楽しみだろうから映画評論家としてそこを疎かにするのは良くな…あっ思い出したらまたちょっと泣けてきた…あそこのヒロインの情緒エグいよね。だって逆プロポーズだぜ当初は服屋で店員さんに話しかけられて地蔵になってたあのヒロインがだよヤバくな【(中略)】初は何を考えているかわからない上に物語自体がちょっと鬱々した感じだったんだけど、段々物語が進むにつれ彼女なりの芯の強さというか気品みたいなものが観ている側にも伝わってきて最高【(中略)】っぱりこう、初デートの時に初めてちょっと良い雰囲気になるんだけど、そのときの時間帯がちょうど日が沈みかけて夕焼けの時でさ、それまで全く意識してなかった主人公が夕日に照らされたヒロインの横顔を見て少【(中略)】難病を患ってることが判明してさ、その時の告白も初デートと同じ夕焼け空の下でやるわけよ。もうここの時点で泣きそうになったよね。そんで主人公も葛藤するわけよこのまま何もしなくていいのかとか彼女のためにできること【(中略)】人公の返しも良いよね。最高にクールだった。実は救われてたのは彼女だけじゃないんだよね主人公も主人公で色々【(中略)】いや~洋画は字幕で見る派なんだが、次は吹き替えで見ることにするかな!』



こんなレビューを見た人々は「{あのカメオが涙で前が見えなくなるほど感動できるなんて、本当に凄い名作なんだ!}」と思ったとさ。
As you do「9ブックマーク」
日本史は大の苦手の高校生美奈子。

彼女がとある模試で、一番難しい日本史の問題を解いている時のことであるが、彼女の母親が美奈子のことを精一杯応援していたがゆえに、{彼女がその問題に正解する可能性は0に下がってしまった}という。

これは一体なぜ?
22年06月16日 00:12
【ウミガメのスープ】 [みさこ]



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美奈子の母親は、彼女の合格を精一杯願っていた。それで、験担ぎにと{合格鉛筆}をあげたのだった。まだ本番まで半年はあるのに。

【-合格鉛筆がない場合-】

次のうち正しい選択肢を選びなさい。
①…
②…
③…
④…
⑤…
⑥…

美奈子は六角形の鉛筆の転がりにその命運を託した。正解の確率:1/6

【-合格鉛筆で揃えた場合-】

美奈子は五角形の鉛筆の転がりにその命運を託した。選択肢を精査する能力もないので⑥は自動的に選択肢から外してしまったが、実はこれが正解。正解の確率:0
刑事たちの夏「9ブックマーク」
容疑者・八咫烏亀夫の自供が取れぬまま、取り調べ室は勾留期間の最終日を迎えた。
担当刑事・曼珠沙華海子の顔にも焦りの色が見える…
「…そろそろ楽になりましょうよ。八咫烏さん。ね。…もう一度聞くわ。あなたがやったんでしょ?」
すると亀夫はニヤリと笑い、
「…ああ、そうだよ、刑事さん。俺がやったんだ」
曼珠沙華刑事はフウッと息を吐いた。
とうとう落ちた。
捜査員全員の苦労がこれでやっと報われる…
と安堵したのも束の間、このあと曼珠沙華は亀夫の胸ぐらを掴み「警察ナメんじゃねえぞ!てめぇ!」と怒鳴ることになるのである。

いったい何があったのか?
22年06月16日 22:27
【ウミガメのスープ】 [きまぐれ夫人]

吐け!吐くんだじょ〜




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八咫烏亀夫は続けて言ったのだ。
「俺、苗字が八咫烏だろ?だから友達がみんな『ヤッたん』てあだ名で呼ぶん…だ、ぼ、暴力反対、お巡りさ〜ん…お、俺がやりまし、た…ぐえっ」
人を食った話「9ブックマーク」
【南米の奥地に住む少数民族・リバニ族には、今もなお食人の風習が残っている】……との噂がある。

噂がある、というのはつまり、リバニ族が実際に人間を食しているところを見た者は誰もいない、ということだ。いや、何も、真実を知った者は生きては彼らの集落から出られないとか、迷い込んだ旅人はことごとく襲われ喰われるので誰も近づきたがらないとか、そういう恐ろしい話ではない。

噂によるとこうだ。{リバニ族は、民族の誰かが死亡すると、その親族が集まり、死者の肉を食べ、血を飲む。これは、死者の血肉を己の身体に取り込むことで、その魂をこの世に留め、不滅のものとするという、リバニ族流の弔いの儀式である}……とのことらしい。
そして、その儀式の場には死者の親族以外は決して立ち入ることを許されない。そのため、実際の儀式の場で何が行われているのか、リバニ族以外は誰も見たことがないのだ。

{文化人類学者である私}は、リバニ族のこの噂に大いに興味を持ち、その真相を確かめるべく、フィールドワークとして彼らの住む小さな集落を訪れた。
いきなり噂のことを尋ねてもまともに答えてくれる訳がないと思った私は、とにかくまずは彼らとの交流を深めることに注力。やがて、カメルという一人の若者と親しくなった私は、彼の家に住まわせてもらえるようになった。昼はカメルの仕事――彼の仕事は主に森から資材を切り出し、それを集落の倉庫へ運ぶことだ――を手伝い、夜はカメルの家族から、リバニ族に伝わる言い伝えや昔話を収集し記録するという、学者としての本業を行う日々。カメルの家族や、その他のリバニ族からの信頼も得て、私はすっかり彼らの暮らしに溶け込んでいった。

そんな暮らしを続けることおよそ3ヶ月。{カメルの祖父・ウミスが死んだ。}
横たわるウミスの遺体と、すすり泣く彼の親族たち。そんな中、カメルは私に、「弔いの儀式を行うので、しばらく家を出ていてほしい」と伝えてきた。
私は思いきって、儀式に同席させてくれないかと尋ねたが、カメルは申し訳なさそうに首を振った。
「君が我々のことをよく知ろうとしてくれていることは嬉しく思うし、本当は儀式のことも気になっていたのだろうけれど、それを無闇に口にないようにしていたことも分かっている。僕もウミスも、君のその誠実さがとても好きだ。けれど、すまない、儀式には家族しか立ち会えない……これは我々の掟なんだ、分かってくれ」
「分かった。無理を言ってすまなかった。すぐに出て行くとするよ。外で待っているから、終わったら声をかけてくれ」
そう言うと私は、彼の家を出た。

――それから2時間程が経った後。

儀式が終わったのか、家からカメルが出てきた。
「ありがとう。おかげで儀式は無事に終わり、ウミスを弔うことが出来た。ウミスの魂は僕とともにある。彼も君に感謝しているよ。今の僕にはそれが分かる」
「礼を言うのはこちらの方だ。君たちのおかげで私は多くを知ることができた。ありがとうカメル、そしてウミス」

私はカメルと固く抱き合いながら、

 【――リバニ族が人を食うという話は、どうやら嘘のようだな。】

{と結論付けたのだった。}

さて、それは何故だか、わかるだろうか?
22年06月19日 00:58
【ウミガメのスープ】 [ブルーエール]



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カメルに家を追い出される直前。
私は、{ウミスの遺体に、極めて強力な毒物をこっそり注射しておいた。}

もしカメルや他の親族が、その遺体の肉や血を口にしようものなら、たちまち彼らはウミスの後を追うことになっていただろう。
そして、カメルは今、私と力強く抱き合っている。それが私にとっては答えだった。


「……100年くらい前までは、本当に死肉を食べていたらしいんだ」

ずいぶん後になって、カメルはそう教えてくれた。もっとも、そのときの彼は、アマゾンの奥地に暮らす少数民族ではなく、シアトルに本社を置く某巨大企業の社員という肩書きだったが。森の奥で木を運ぶだけの暮らしに飽きた彼は集落を出て、指先ひとつで世界中のあらゆる物を動かすエリート会社員へ転身したのだった。

「でも、さすがに人肉を食らうのはどうなんだという話になって、形だけ儀式を行った後、そのまま遺体を土葬するように変わったんだ。本当はそれだけの話のはずだったんだが、その直後くらいから、どこからなのか、"リバニ族が人間を喰っているらしい"って噂が広まったらしくてな。学者や作家、テレビ局なんかが入れ替わり集落に取材やら調査やらに来るようになったんだ。連中も、取材に来るだけ来てこっちには何も渡さない、ってほど無作法じゃあなかったからな、リバニ族にとっては、ちょっとした小遣い稼ぎになったわけだ。そういえば、集落でも仕事がしたいって言って、ネット回線をわざわざ引いてくれた学者がいたっけな……。ま、そういうわけだから、『人を食ってる』って誤解されたままの方が都合が良かったから、儀式の実態は秘密っていう体にして、噂をそのままにしておいたのさ」
「なるほど、そういうことだったのか。教えてくれてありがとう、カメル。やはり君は心の友だ」
そう言うと私たちは、グラスになみなみと注いだ真っ赤なワイン――これには特に何も入れていない、その必要がないから――で乾杯するのだった。