みんなのGood

哀のチョコレート「11Good」
物語:11票
柚香はチョコレートを渡すとき、悲しくなって、透の綺麗な手をぎゅっと握りしめた。
柚香がフラれたわけではないとしたら、いったい何故?
22年02月14日 11:57
【ウミガメのスープ】 [こはいち]

ハッピーバレンタイン!




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【簡易解説】

透は柚香の親友で、毎年彼氏のために手作りチョコを作っていた。この時期になると不器用な彼女の手は火傷や切り傷だらけだった。
しかしそんな彼女が、綺麗な手で、既製品のチョコレートを買いに来ている。
柚香は破局の予感に悲しみを抱いた。


【解説】

柚香は売り子である。その日はバレンタインの特設会場でレジをしていた。

柚香は驚いた。大好きな友人である透が、チョコレートを買いに来たのだ。しかも製菓用ではなく贈答用の美しいチョコレートをである。
透は毎年、不器用ながらも彼氏のために手作りチョコを作っていたのに。彼女の手はこの時期になると、火傷や切り傷などでボロボロだった。

透に手作りなんてやめてしまえばいいと言った日。
透の手は柚香が施した薬やガーゼが大げさで、痛々しいことには変わりなかった。見ていられなくて、言ったのだ。
でも薄情な透は、親友の想いを無下にして、「彼が喜ぶから」とにっこり笑った。その素敵さといえば、過保護な柚香が口を噤む程であった。

そんな彼女が目元にクマをたたえ、傷1つない綺麗な手で既製品のチョコレートを買いに来ている。
胸が締め付けられる思いだった。透から彼氏との関係が上手くいっていないことは聞いていた。しかし、話を聞いていただけだ。柚香の心のどこかでは、まだ幸せそうな透が彼と寄り添っていた。それが幻想にすぎないことに気付いて、この瞬間柚香はとてつもなく泣きそうになった。

驚きか、慰めか、はたまた確認だったのか柚香自身にもよく分からない。しかし何かせねばならぬと思って、客である透の手をぎゅっと握ってしまった。
彼女は突然店員に手を握られて、驚いたように顔を上げた。そして柚香に気付くと、まだ2人で遊んでいた頃のように、「やあ、久しぶり」と笑った。
トリック:10票納得感:1票
田中家のとある朝のワンシーン。

ちゃぶ台を挟んで向かい合っているピロシとポタ郎は実の親子の関係ではない。

血の繋がりはないがポタ郎はピロシのことを本当の父親だと思うように努力している。

そしてその日初めてポタ郎はピロシのことをお父さんと呼んだ。

「お、お父さん。ご飯食べてる時くらい新聞読むのやめたら?」

そう言われたピロシは新聞に書いてあることをそのまま朗読し始めた。

一体なぜ?
22年02月10日 16:39
【ウミガメのスープ】 [ダニー]

2/14の23時に締めるのでチョコレートください(´・_・`)




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ドラマ「田中家の風景」のクランクイン。

最初の撮影は田中家のとある朝のワンシーン。

父親役の広島ピロシと息子役の帆立ポタ郎が朝から喧嘩するシーンである。

ポタ郎は役に入り込むため、ピロシのことを本当の父親だと思うように息子役に感情移入している。

一方のピロシはセリフさえ覚えてきてないダメ俳優である。

そしてその日初めてのドラマ内でのセリフ。

「お、お父さん。ご飯食べてる時くらい新聞読むのやめたら?」
昔気質で厳しい父親に緊張しながら注意するシーン。

「まだ新聞読んでるでしょうが!」
ピロシはセリフを覚えてきてないので新聞紙に直接書き込んだカンペを読んで対応した。

それくらいは覚えよう。
むぎのゆりかご「11Good」
良質:3票物語:7票納得感:1票
ミズエは自分で揺らした買い物カゴの中で転がるビールの缶を見ると、
つい手に取っていたビスケットを棚に戻した。一体なぜ?
22年02月26日 20:47
【ウミガメのスープ】 [春雨]



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◆簡易まとめ◆
ベビーカーを揺すって息子をあやす癖で買い物カートを前後に動かしてしまったミズエは
カゴの中で転がるビールの缶を見て「もう息子は亡くなったのだ」と改めて実感し、
いつものように手に取った息子のおやつのビスケットをそっと棚に戻した。


--

『…… xx日xx時xx分頃、xx市xx区の県道でベビーカーを押しながら横断歩道を歩いていたxx歳の主婦が減速しないまま進行してきた乗用車に撥ねられた。この事故でベビーカーに乗っていたx歳の幼児がx時間後に死亡。幼児の母にあたる主婦も軽傷を負った。xx県警xx署の調べによると ……』

--


痛ましい事故から少し経った後、ミズエの怪我は回復したが心の傷は癒えないままだった。迫る軽自動車、信号機、横断歩道、ベビーカー……。あの日のあの瞬間のあの光景が目に焼き付いたまま、毎日眠れぬ夜を過ごすミズエは久しぶりにお酒でも飲もうかと小雨のそぼ降る中、傘もささずにスーパーマーケットへと向かった。
子育てに必死だった日々、ビールを飲む余裕も無かった日々を、全て忘れ去ってしまいたい気持ちで手に取った缶は買い物カゴのすみに大人しくおさまっていた。

(今日の晩御飯は何にしようかな……。簡単に作れるものが良いかな……)

ぼうっと考え事をしながらも、通いなれたスーパーでは歩みを緩めることもなく、いつも通りにお菓子コーナーの一角で、息子のおやつのビスケットを手に取った……。



ころん――



ふと買い物カゴに目を落とすと先ほどのビール缶が前後に揺られていた。その時、無意識に息子をあやすためベビーカーのように買い物カートを前後に揺すっていたことを自覚した。

ああ、これはベビーカーではないのだ、息子はもういないのだ

と無機質な銀色の缶に改めて突きつけられた思いがして、手に取ったおやつをそっと、棚に戻したのだった。

(やっぱり、元気が出るご飯にしよう)


外に出れば、雨はあがっていた。
まだまだ晴れ間は見えないけれど曇ったままでも進んでいこう。
ミズエはそう思った。
刑事たちの夏「11Good」
良質:3票トリック:6票納得感:2票
容疑者・八咫烏亀夫の自供が取れぬまま、取り調べ室は勾留期間の最終日を迎えた。
担当刑事・曼珠沙華海子の顔にも焦りの色が見える…
「…そろそろ楽になりましょうよ。八咫烏さん。ね。…もう一度聞くわ。あなたがやったんでしょ?」
すると亀夫はニヤリと笑い、
「…ああ、そうだよ、刑事さん。俺がやったんだ」
曼珠沙華刑事はフウッと息を吐いた。
とうとう落ちた。
捜査員全員の苦労がこれでやっと報われる…
と安堵したのも束の間、このあと曼珠沙華は亀夫の胸ぐらを掴み「警察ナメんじゃねえぞ!てめぇ!」と怒鳴ることになるのである。

いったい何があったのか?
22年06月16日 22:27
【ウミガメのスープ】 [きまぐれ夫人]

吐け!吐くんだじょ〜




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八咫烏亀夫は続けて言ったのだ。
「俺、苗字が八咫烏だろ?だから友達がみんな『ヤッたん』てあだ名で呼ぶん…だ、ぼ、暴力反対、お巡りさ〜ん…お、俺がやりまし、た…ぐえっ」
SCARLET ROT「11Good」
トリック:4票物語:4票納得感:3票
甘い香りを放つ「ラテハーブ」と呼ばれる赤い草は、
今やウミガメ国の一般家庭で見られる、メジャーなハーブの一種である。

そんなラテハーブブームの真っ只中、
カメコはカメオの元を訪れていた。

久しぶりに再会したカメオは、かなり痩せており、
ひと目で病気であることがわかるほどに顔色も悪い。

カメコは彼を元気づけようと「ラテハーブ」の包みを持ってきた。

彼女の記憶が確かなら、
彼は自分と同じく、このハーブが大好きなはずだ。

「…ああ、それはラテハーブ…。」

彼は鼻先に差し出された包みに顔を近づけると、眉をひそめて言葉を続けた。

「いつ嗅いでも嫌な香りだ…果実が腐ったような甘い香り…。
 そうだよ…。俺は昔からずっとラテハーブの香りが大嫌いだったんだ。」

・・・

さて、カメコが『カメオはラテハーブが大好きだ』
と誤解していたのは、一体なぜ?
22年06月29日 22:00
【ウミガメのスープ】 [るょ]



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ウミガメ国では麻薬密売の横行により、
今や一般家庭にまで、麻薬というものが浸透しつつある。

元刑事・カメオといえば、
かつて麻薬を憎み、取り締まりに心血を注いでいた熱血刑事である。

彼が今や、麻薬中毒者に成り果てている…。
真偽を確かめるべく、我々は抜き打ちで彼の家宅捜索に向かう。

捜査にあたったのは、彼の意志を継ぐ後輩の私と、
彼の元相棒・カメコ。

「元相棒を逮捕させるのは心苦しいが、
 お前より優秀な麻薬探知犬がいないんだ。」

・・・

当日。

数人の警察官でカメオ宅を訪れ、彼を抑えている間に、
カメコに麻薬の匂いを探知させる。

その甘い香りを頼りに、
彼の荷物からあっさりと麻薬の包みを見つけ出した彼女は、
私が制止するより早く、急いで包みを彼の元へ咥えて走っていった。

…嬉しそうに、尻尾をブンブンと振り回しながら。

麻薬を見つけてカメオに報告すれば、
彼も嬉しそうに笑い、自分を褒めてくれる。

彼女にとっては、その程度の認識だったのだろう。

・・・

大粒の涙を流しながら、カメオは言った。

「いつ嗅いでも嫌な香りだ…果実が腐ったような甘い香り…。
 そうだよ…。俺は昔からずっとラテハーブの香りが大嫌いだったんだ。」

…それなのに、いつから道を間違えたんだろうな。
そう独白しながら、カメコの頭を撫でるカメオ。


事情を知っている周りの警察官は、
何も言えず、黙ってその光景を見守っていた。



【答え:】
かつて、麻薬探知犬であるカメコのパートナーだったカメオ。

ラテハーブを見つけるといつも彼に褒めてもらえる。
そして、彼もいつも嬉しそうに笑ってくれる。
きっと彼も、自分と同じでラテハーブの香りが好きなのだろう。
彼女はそう思っていたのだった。
(問題文の詳細な状況は長い解説参照)