みんなのブックマーク

しあわせなみらい「11ブックマーク」
死んでしまった彼女が自分に宛てた手紙を偶然見つけた田中。

手紙には

ちゃんと自分で料理しているのか?
嫌いだったトマトもちゃんと食べられるようになったのか?
部屋はちゃんと掃除しているのか?
あなたはズボラだから心配だ

そのような内容の最後に

どうかあなたが幸せに暮らしていますように

と彼女の可愛らしい字で書かれていた。

もし田中が彼女の死に目に会っていなかったら、田中はこの手紙を見つけることはなかったという。

Q.彼女が手紙をしまった場所はどこか?
理由とともにお答えください

※質問数の制限はなし!
22年03月23日 20:53
【20の扉】 [ダニー]

がふー




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A.タイムカプセルの中

「簡易解説」
地元の小学校に教師として勤めている田中と幼馴染の彼女。
田中は彼女と些細なことで口論となり、校内で彼女を殺してしまう。
死体を隠す為校庭に穴を掘っている時、偶然過去に自分たちが埋めたタイムカプセルを掘り起こす。
タイムカプセルには彼女が20年後の自分(彼女自身)に宛てた手紙が入っていた。

以下、ながあい解説


彼女の長い髪を指で梳ることも、彼女の柔らかい頬に触れることも、抱きしめることも、キスをすることも。

いつからそれが当たり前になっていたのだろうか。

そしていつからその当たり前がつまらなく思ってしまうようになったのだろうか。

小さい時からずっとそばにいた。

小学校も中学校も高校も大学も。

そして就職先も。

僕は彼女以外の女性を知らず、このまま生涯を終えるのだろうか。

僕は漠然とした不満を抱えながら彼女と付き合っていた。


地元の小学校。

僕と彼女はそこの教師として働いている。

正直自分が教師に向いているとは思えない。

なぜ教師になったのか、自分でもよくわからない。

昨日友人から、今の会社を辞めて服飾デザイナーを目指して東京に行く、という話を聞かされてからずっとモヤモヤしてる。

このままでは僕はダメになる。


僕は彼女と別れることを決意した。


放課後。

夕日が教室の中を真っ赤に染めている。

しかし彼女の顔が赤く汚れているのは夕日のせいではない。

「どうして…こんなことに…」

僕はぼんやりする頭でついさっきの出来事を思い出す。


彼女は僕との別れ話に聞く耳を持たなかった。

当たり前だ。
特に明確な理由があるわけではないのだから。
漠然とした不満が不安となり、子供のような語彙足らずの言葉を彼女にぶつけただけなのだから。

言葉に詰まった僕はヒステリックに詰め寄る彼女を突き飛ばしてしまった。

彼女は体勢を崩し、床に頭を強打して動かなくなった。

床に広がっていく彼女の血液。

すぐに彼女に駆け寄り、声をかける。

しかし彼女は目覚めない。

彼女の血液の温かさ、ぬめり。
閉じたままの瞼。
彼女の、死。

ああ嘘だろ。

僕は当たり前を、普通を拒んだだけだ。
こんな非日常の結末が待っているとは知らずに。



深夜。

僕は穴を掘っている。

蝉の声。土の匂い。生温い風。

スコップで土を掘るという単純な作業が頭をクリアにさせ、僕を冷静にさせた。

取り戻す。

彼女を埋めて、また校舎に戻り、全ての痕跡を拭き取る。

まずは彼女を隠すんだ。

校庭の隅を掘り進めていくうちに、スコップに何か硬いものがぶつかった感触があった。

「タイム…カプセル…」

奇跡のような偶然。

出てきたそれは僕と彼女のクラスが小学校6年生の時に埋めたタイムカプセルだった。

「10年後の私へ 雛形澄」
彼女が彼女自身に宛てた手紙。

血と泥で汚れた手でその可愛らしい便箋を開く。

『10年後の私へ
元気ですか?
私は今お母さんに料理を教えてもらってるけど、ちゃんと自分で料理できるようになった?
嫌いだったトマト。食べれるようになった?
部屋は綺麗に掃除してる?
あなたはズボラだから心配だな(笑)
ちゃんとしてないとあいつに愛想尽かされるかもよ。
結婚はしてるのかな?
子供もいたりして。
色んなことがあるだろうけど、あいつがいたら安心って思ってる。

どうかあなたが

幸せに暮らしていますように』

子供の頃の可愛らしい彼女の字だ。

その字が涙で滲む。

なぜ僕は僕自身のことしか見えていなかったんだろうか。
当たり前が怖いのなら彼女に頼れば良かったんだ。
彼女と話して、彼女と共に解決する。
それだけで、良かったんだ。

当たり前を拒み手放したのに、その当たり前を取り戻す為に必死になって穴を掘っている自分が酷く滑稽だった。

そんな情け無い顔の僕を懐中電灯の灯りが照らした。

「なんか学校から変な音がするって通報があって来てみたらお前かあ。
何してんだ?そんな泥まみれで。
お? これあれか? タイムカプセル? 小6の時に埋めたやつじゃん。
・・・ってお前、ひでえ顔してるぞ」

地元の警察に勤めている友人だった。

「おれ、さ。澄を、殺したんだ…
おかしいよな? おれ、澄が大好きなのに。大好きなのにこんなところに、こんな暗いところに埋めてさ。んでバレないだろうとか都合のいいこと、考えてさ」

「・・・わかった。話は交番で聞く。とりあえず涙と鼻水拭け」

「ご、ごめんけんちゃん。ごめんなさい。ごめんなさい、こんな、こと、ごめ、ごめんなさい」

「うん。ほれタオル。んで澄ちゃん、どこだ?」

友人は泣き崩れて立ち上がれない僕を背中に背負い、亡き彼女の元へと向かった。

「・・・けんちゃん」

「ん?」

「来てくれてありがとう」

「ん」






夜が明けて。

再度現場を確認するために戻ってきた田中の友人。

「懐かしいな」

掘り起こされたタイムカプセルを目の前にしてそう独りごちる。

そこには田中が未来の自分に宛てた手紙も入っていた。




『10年後のお前は安定した公務員になって、安定した収入を得て、老後までに2000万円貯めるんだ!
澄をちゃんと幸せにしろよ!』
正犯罪と逆犯罪「11ブックマーク」
元銀行員が、今度は{逆}に公然わいせつ罪で逮捕された。

前回は何をした?
22年04月30日 20:37
【20の扉】 [わかめ]

締め切りました




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前回は【{「着服」}】
今回は【「全裸」】
気づいてほしい「11ブックマーク」
日頃からのストレスが祟り、ついに失声症(心の問題で声が出せなくなる病気)に罹ってしまった緋紗子。

《一度でいいから、"すみません"と言ってほしい。》
彼女は発症してまもない頃、クラスメイトの千秋にこう要求した。

ただし、千秋は緋紗子を虐めていたわけでは全くない。彼女の意図は何?
22年08月02日 23:21
【ウミガメのスープ】 [みさこ]

ありがとうございました!




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【"すみません"を録音素材として使うため。】

緋紗子は控えめで大人しい子だったので、手帳に文字を書いて会話する最低限の方法でも安泰なことが多かった。

そんな彼女だが、すぐに悩みができた。{相手の注目を惹けない。}

例えば、前を歩くクラスメイト、騒がしい飲食店内。いくら手を挙げたりメモを振りかざしたりしても、そう簡単に相手は気づいてくれない。親友の千秋といる時や、相手が触れられるほど近くにいる時ならば問題ないのだが、なんとも煩わしい有り様だった。

そんな折、緋紗子は名案を考えついた。{千秋の助けをいつでも借りられるようにしよう。}騒がしい中でもよく通る彼女の"すみません(Excuse me)"を録音すれば、相手の注意をいつでも惹ける。

《一度でいいから、"すみません"と言ってほしい。》

例によって千秋の肩を叩いてから、スマホ片手にそのメモを見せる緋紗子。察しのいい千秋は二つ返事で快諾してくれた。

この音声のおかげで、食券制ではないラーメン屋でも、一人で楽しめる。千秋との他愛ない雑談LINEを閉じ、店内に録音音声を響かせる緋紗子。

無事注文を終え、大好きな塩ラーメンを啜る緋紗子。

「…おいし〜!」

ストレスと向き合う時は、やっぱり心の友と美味しいご馳走だよね。

【要約】
声が出せないのでお店で店員さんを呼ぶ"すみません"が出来ず、注文に難儀を感じていた緋紗子は、千秋の"すみません"を録音しお店で再生することを考えた。
Hip! Step! Jump!「11ブックマーク」
スリが多いことで有名な大都市「ラテライツ」に住むカメオ。

彼は人混みを往来する時、絶対に財布を尻ポケットに入れないようにしている。死角になる上に盗られても気付きにくいため、スリに狙われやすいからだ。

そんなカメオだが、{あるもの}を失くして以来、人混みを往来する時は財布を尻ポケットに入れることにしたのだという。

{あるもの}とは何だろうか?

理由も含めて答えて欲しい。
22年10月14日 20:13
【20の扉】 [だだだだ3号機]

17日(月)23:00までに延長しました!




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【解説】

A.{両足}

事故で両足を失くし、車椅子で生活するようになったカメオ。
人混みを往来する時は、体重をかけるため盗まれにくく、一番安全であろう尻ポケットに財布を入れるようになった。






【ストーリー】({読まなくていいです})

国内有数の大都市『ラテライツ』。
人口が多く、時間帯によって道路が人や車で大変混雑するこの街は、有名な観光地である一方、スリが大変多いことでも知られている。

そんなラテライツに住むサラリーマン、カメオ。
高校時代に運動部だった彼は、その持ち前と体力と人柄の良さから職場では大いに慕われている。
その上昔から困っている人を見過ごせない性分で、近所でも有名な好青年というやつだった。

そんなカメオも当然スリへの警戒は怠っておらず、人混みを往来する時は、彼は絶対に財布を尻ポケットに入れないようにしている。死角になる上盗られても気付きにくく、スリにとって格好の的だからだ。





その日は、酷い雨だった。

通勤中、いつものように人混みを歩いていたカメオは、その日の夜に病院で目を覚ましていた。
困惑しながらも、曖昧な記憶を辿っていくカメオ。
人混み、横断歩道、女の子、赤信号───。


(そうだ、俺は…)

トラックに轢かれそうになった女の子を庇って、そのまま…


事の顛末を全て悟ったカメオが身体を起こす。
鈍い痛みが残る全身に気をやりながらも、自然と自分の足先に目を向ける形になった。
目覚めた時から、漠然と感じていた下半身の違和感。その正体が解った。


「両の膝から下」が、無かった。



カメオが目覚めたことを聞きつけ病室までやって来た医師は、なんともばつの悪そうな顔をしながら、ゆっくりと仔細を説明した。
カメオはそれを黙って聞いていた。
ただ、女の子が無事だったことを告げられた時だけ、小さな声で「ありがとうございます」と、そう言ったきりだった。


入院中、助けた女の子とその母親がお見舞いに来て、主に金銭面で援助をしてもらうことになった。
最初は「勝手にやったことだから」と断っていたのだが、承諾するまで帰ってくれそうになかった上、仕舞いには娘のいる前で土下座までしようとしたので、最終的にはカメオが折れた。

帰り際、二人が病室を出た後、女の子だけがこっそり病室に戻ってきた。カメオが「どうしたの?忘れ物?」と尋ねると、心配しているのか、申し訳ないのか、なんとも言えない表情で此方を見つめた。
少ししてから、女の子は二つ折の小さな紙切れをカメオに渡して、何も言わず駆け足で病室を出てってしまった。

渡されたのは、ピンク色のメッセージカードだった。
まず間違いなく女の子の字だろう。「たすけてくれて ありがとう」という言葉と共に、名前と小さな押し花が添えられていた。
きっと彼女は幼い子供ながらに、後ろめたさを感じていたのだろう。あるいは、元々恥ずかしがり屋な子なのかもしれない。
それでも彼女なりに、心からの感謝を伝えようとしてくれたのだ。

カメオは暫く一人でメッセージカードを見つめた後、それを丁寧に畳んで仕舞った。


それからも、女の子は母親に連れられて何度もお見舞いに来た。
最初は母親の後ろでモジモジしていた女の子だったが、日を重ねるごとに少しずつ心を開いてくれるようになった。
カメオの退院の日程が決まる頃には二人はすっかり仲良くなり、病室でよく絵を描いたりして遊んでいた。


「すみませんカメオさん…怪我もまだ治りきっていないのに。」


ある日、女の子の母親が申し訳なさそうに言った。


「いや良いですよ全然!どうせ暇ですし。こちらこそいつもわざわざお見舞いに来てもらってすみませんね。」

「いえ、娘の命の恩人ですから…それに、最近は娘がお見舞いに行きたいと言って聞かないんですよ。」


え、とカメオは声を上げた。母親は話を続ける。


「旦那はこの子が産まれてすぐに亡くなりました。それからは私も必死で、あまり構ってあげられなかったんです。ですから、カメオさんに遊んで貰うのが本当に嬉しいんだと思います。」


「そう…なんですか。」


カメオはしばらく考え込んだ後、女の子に向かって言った。


「もし良かったらさ、退院した後もまた遊ぼうか。今度は外で。」

「…いいの?」

「もちろん。何がしたい?」


それを聞いた女の子は物凄く悩ましい顔をして、口をつぐんでしまった。カメオが「なんでも、正直に言って良いよ。」と言うと、女の子は目を伏せながら呟いた。


「…鬼ごっこ。」


母親はしまった、という顔をしたが、カメオは真っ直ぐな瞳で


「わかった。約束ね。」


と返した。
嬉しそうに笑う女の子を見て、カメオは思わず口元が緩んでしまった。

きっと母親は、カメオの足の話もしているはずだ。でもまだ幼い女の子には、失った足が二度と戻らないことまでは分からなかったのだろう。あるいは、なんとなく分かっていて、それで口をつぐんだのかもしれない。


ただ、そんなことはカメオにはどうでも良かった。
お見舞いも鬼ごっこのことも、恥ずかしがり屋のあの子がやっと溢したわがままなら。
母子家庭で、一人で遊ぶことが多かったあの子が初めて誰かと交わした約束なら。

カメオの中には、確かな決意があった。








…それから少し時が経って。
退院し、車椅子での生活にも慣れてきたカメオ。
当たり前と言えば当たり前だが、カメオの生活は随分と様変わりしていた。仕事も辞めたし、住居は車椅子でも過ごしやすい段差の無い家に引っ越した。
細かいところでは、財布の持ち歩き方も変わった。

最近、カメオは以前と異なり、財布を尻ポケットに入れるようにしている。
車椅子の身だろうと、スリは警戒しなければならない。
無理はできない身体であるため、用事の時にはできるだけ人混みを避けているのだが、人口飽和気味のラテライツではいつでもそうとはいかない。
どうしても、人通りの多い時間帯に被る時がある。
他のポケットや鞄に入れても安全性は高いが、この身体では、力ずくで盗られるリスクもあるだろう。そうなれば、きっと抵抗すらままならない。
しかし、しかしである。
かつてなら盗まれないよう尻ポケットは避けるが、車椅子を使う場合は話は別だ。
体重をかけて座っている以上、取り出すときは大変だが、その分盗まれる危険は限りなく低い。
そう考えたカメオは、人混みを往く時は財布を尻ポケットに入れるようになった。

…財布という生活の切れ端からすら、「足が無い」という事実を実感する日々。
もちろん、財布の持ち方一つに懊悩できるほど、気持ちに余裕ができたとも言えるのだが。


「最近特に物騒ですからね~。良いアイデアだと思いますよ。」

「でしょ?まあ、財布を取り出すと体温でものすごく温いんですけど。」


あれから、カメオはリハビリのため病院に通い詰めていた。
彼のために用意された、義足による歩行訓練。
ひたむきな努力が実を結んだのか、少しずつ歩ける距離は増えていった。
医師曰く、早ければ半年もすれば歩いて生活できるようになるだろう、と。

きっとまだ、たくさん不安はあるけれど。


「アハハ…良いじゃないですか。お財布が温かいのは、カメオさんが元気な証拠ですよ。」


すっかり顔馴染みの看護師がそう返すと、ほんの少しの沈黙が流れた後、噛み締めるようにカメオが呟いた。


「元気な証拠、かぁ…。」


看護師の手を借りながら、休憩用の椅子に腰を降ろしたカメオは、自身の温もりを確かめるように腿を擦る。
そして財布を取り出すと、その中から丁寧に折り畳まれたメッセージカードを手に取った。
その様子を見た看護師が尋ねる。


「かわいいメッセージカードですね~。彼女さんからですか?」

「…いいえ。ただ、大切な約束なんです。リハビリを頑張れるのも、これのお陰ですから。」


そう言うと、カメオは開いたメッセージカードを見つめた。
何も知らない看護師は最初は不思議そうな顔をしていたが、何かを察したのだろう、途中で穏やかな表情になった。


「じゃあ尚更、盗られるわけにはいかないですね。」

「…そうですね。」


そう返事をしながら、カメオはメッセージカードを丁寧に折り畳むと、財布の中に入れた。

いつか果たされる日まで、二人の約束を胸に仕舞い込むように、そっと。


END
8012 ※12468?「11ブックマーク」
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①4483
③2726
⑥7485
⑧6322
⑨10912
⑩7622
⑫10250
⑬880
⑮13118
⑯5730
⑰7874
⑲17583
⑳15407
㉑11111

②16051
③8701
④8077
⑤16672
⑦638
⑧7215
⑪10056
⑬10839
⑭11557
⑱15476
22年12月21日 18:07
【新・形式】 [たけの子]

1920!!(14540)




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<解いてくださった皆様に。{9453}>