「ミケランジェロの慟哭」「11ブックマーク」
国内でも数少ない像職人、マクガフ。
ある年、国王から彼に、国の中央広場に設置する純金製の国王像を造ってほしいとの依頼があった。
しかしその像を造る費用としてマクガフが提示した予算は莫大なものであった。
そのあまりの金額に難色を示す国王の前に、一人の彫刻家が現れる。
彼はマクガフの提示した予算よりはるかに少ない金額で黄金に光り輝く像を造り、国王に献上した。
たいそう喜んだ国王は彼を重用する一方、マクガフを予算を偽って王から金銀を騙し取ろうとした詐欺師だと断じた。
無実を訴えるも耳を貸してもらえないマクガフは、家族もろともその国から追い出されることとなる。
その決定を聞いたマクガフは、出国までの間に、『広場の国王像に願えばどんな病気や怪我でも治る』という噂を国中に広め、国王や像の素晴らしさを皆に説いてまわった。
一体なぜ?
ある年、国王から彼に、国の中央広場に設置する純金製の国王像を造ってほしいとの依頼があった。
しかしその像を造る費用としてマクガフが提示した予算は莫大なものであった。
そのあまりの金額に難色を示す国王の前に、一人の彫刻家が現れる。
彼はマクガフの提示した予算よりはるかに少ない金額で黄金に光り輝く像を造り、国王に献上した。
たいそう喜んだ国王は彼を重用する一方、マクガフを予算を偽って王から金銀を騙し取ろうとした詐欺師だと断じた。
無実を訴えるも耳を貸してもらえないマクガフは、家族もろともその国から追い出されることとなる。
その決定を聞いたマクガフは、出国までの間に、『広場の国王像に願えばどんな病気や怪我でも治る』という噂を国中に広め、国王や像の素晴らしさを皆に説いてまわった。
一体なぜ?
20年12月26日 20:33
【ウミガメのスープ】 [「マクガフィン」]
【ウミガメのスープ】 [「マクガフィン」]

様子を見ながら本日の23:30を目処に締め切りなのです。
解説を見る
マクガフは激怒した。
純金製の大きな像を造ろうとすれば、これだけの値段がするのは当然のこと。詐欺師などと言われる筋合いはない。
むしろたったあれだけの金額で像を造ったあの男。彼こそが、安価な金属像の表面を金で覆っただけの詐欺師に違いない。
像をよく調べればすぐにわかるだろうが、疑われている身で何を言おうとも聞き入れてはもらえまい。そう考えたマクガフは、疑いを晴らすことを諦めた。国に残ることを諦めた。
そして国王や広場の像を褒め称えてまわった。こんな噂と共に。
『広場の国王像に願えば、どんな病気や怪我でも治るという。像の患部にあたる部分を撫でれば、その聖なる力があなたの身体を癒すであろう。』
多くの人が訪れるたび、多くの人が手を触れるたび、像の塗装が、詐欺師の化けの皮が、ほんの少しずつ剥がれていく。
そしていつの日か、綺麗に飾られたうわべの奥から、その鈍く光る正体が白日の元に晒されることを願って。
何年、何十年、いや、何百年かもしれない。
王も詐欺師も、マクガフでさえもきっと生きてはいないだろう。こんな事件があったこと自体、もはや歴史上の些事かもしれない。
だがそれでいい。
あの像が偽物だと証明されたなら。
王の誤りに見知らぬ誰かが気づいたなら。
彼の、彼の一家の潔白が、確かなものになるのだから。
国を出るとき、彼は空に向かって叫んだ。
それは未だ見ぬ遠い未来への祈りにも似た、誇り高き男の叫びだった。
《一文解説》
多くの人に像に手を触れさせることで、像の金メッキを少しずつ剥がし、はるか未来にマクガフ一家の汚名を雪ぐため。
純金製の大きな像を造ろうとすれば、これだけの値段がするのは当然のこと。詐欺師などと言われる筋合いはない。
むしろたったあれだけの金額で像を造ったあの男。彼こそが、安価な金属像の表面を金で覆っただけの詐欺師に違いない。
像をよく調べればすぐにわかるだろうが、疑われている身で何を言おうとも聞き入れてはもらえまい。そう考えたマクガフは、疑いを晴らすことを諦めた。国に残ることを諦めた。
そして国王や広場の像を褒め称えてまわった。こんな噂と共に。
『広場の国王像に願えば、どんな病気や怪我でも治るという。像の患部にあたる部分を撫でれば、その聖なる力があなたの身体を癒すであろう。』
多くの人が訪れるたび、多くの人が手を触れるたび、像の塗装が、詐欺師の化けの皮が、ほんの少しずつ剥がれていく。
そしていつの日か、綺麗に飾られたうわべの奥から、その鈍く光る正体が白日の元に晒されることを願って。
何年、何十年、いや、何百年かもしれない。
王も詐欺師も、マクガフでさえもきっと生きてはいないだろう。こんな事件があったこと自体、もはや歴史上の些事かもしれない。
だがそれでいい。
あの像が偽物だと証明されたなら。
王の誤りに見知らぬ誰かが気づいたなら。
彼の、彼の一家の潔白が、確かなものになるのだから。
国を出るとき、彼は空に向かって叫んだ。
それは未だ見ぬ遠い未来への祈りにも似た、誇り高き男の叫びだった。
《一文解説》
多くの人に像に手を触れさせることで、像の金メッキを少しずつ剥がし、はるか未来にマクガフ一家の汚名を雪ぐため。
「かまってくれなくて」「11ブックマーク」
息子が反抗期に入ってからというもの、カメコは毎晩のように抱き枕に話しかけるようになった。
一体なぜ?
21年03月13日 14:20
【ウミガメのスープ】 [るょ]
【ウミガメのスープ】 [るょ]

解説出しました ※ページ重いので注意
解説を見る
「あらあら、またカーテンが開いてるわね」
反抗期に入り夜遊びを覚えた息子は、
夜な夜なこっそりと部屋の窓から外に出かけていた。
その際、彼は外出がバレないように、
大きな抱き枕をベッドの中に入れ、自分のダミーとして残していくのだ。
母であるカメコは、そこに枕が入っているとはつゆ知らず、
なぜかいつも少しだけ閉まりきっていない子供部屋のカーテンを整え、
ベッドの中で眠っているであろう愛しい息子に対し、
いつものように「ウフフ、おやすみ。」と挨拶するのだった。
答え:
ベッドの中に入っている身代わりの抱き枕を息子だと勘違いしているから
反抗期に入り夜遊びを覚えた息子は、
夜な夜なこっそりと部屋の窓から外に出かけていた。
その際、彼は外出がバレないように、
大きな抱き枕をベッドの中に入れ、自分のダミーとして残していくのだ。
母であるカメコは、そこに枕が入っているとはつゆ知らず、
なぜかいつも少しだけ閉まりきっていない子供部屋のカーテンを整え、
ベッドの中で眠っているであろう愛しい息子に対し、
いつものように「ウフフ、おやすみ。」と挨拶するのだった。
答え:
ベッドの中に入っている身代わりの抱き枕を息子だと勘違いしているから
「孤独な放送室と12の椅子」「11ブックマーク」
あーテステス!
みなさまこんばんは、月刊らてらて放送室!です。
『らてらておぶざいやー!』
それは、毎月開催の月刊らてらてで優勝した12作品から、
今シーズン最も注目された問題を決めるユーザー投票型企画、
…らてらての一大イベントです!!!👏👏👏
エントリーされた全ての作品を応援すること、大切にし愛すること。
司会者として、この気持ちは絶対に欠かせません。
ですが、ですが………私、気付いちゃいました。
12作品のどれが優勝をしても、
私が決してお祝いをしてはいけないことがあると。
いったい、なーんだ???
※要知識問題につき、チャット欄にて相談はOKです。
☆『第2回らてらておぶざいやー!〜あなたが選ぶ至極の一杯〜』のエントリー作品はこちら!
①2020-3月号『Salted Samの奇妙な冒険』(弥七さん)
https://late-late.jp/mondai/show/10204
②2020-4月号『スタンプラリー』(元灯台暮らしさん)
https://late-late.jp/mondai/show/10513
③2020-5月号 『Youか一億円か』(Nimieさん)
https://late-late.jp/mondai/show/10912
④2020-6月号『硬貨の効果は幸か不幸か』(甘木さん)
https://late-late.jp/mondai/show/11248
⑤2020-7月号『母と娘のプリン戦争』(ダニーさん)
https://late-late.jp/mondai/show/11602
⑥2020-8月号『君だけは連れてゆこう』(るょさん)
https://late-late.jp/mondai/show/11842
⑦2020-9月号『はかのひ』(るょさん)
https://late-late.jp/mondai/show/12181
⑧2020-10月号『革命の先に見える闇』(ちくたくさん)
https://late-late.jp/mondai/show/12715
⑨2020-11月号『?』(びーんずさん)
https://late-late.jp/mondai/show/12896
⑩2020-12月号『せいなる夜からの脱出2020』(だだだだ3号機さん)
https://late-late.jp/mondai/show/13217
⑪2021-1月号『怖いもの知らずの運転手』(ブラダマンテさん)
https://late-late.jp/mondai/show/13271
⑫2021-2月号『20のA』(ベルンカステルさん)
https://late-late.jp/mondai/show/13586
第1回らてらておぶざいやー!の会場はコチラ
→https://late-late.jp/mondai/show/10250
21年03月23日 00:06
【20の扉】 [月刊らてらて放送室!]
【20の扉】 [月刊らてらて放送室!]

初めて20の扉を出題しちゃいます![月刊らてらて対象外作品]
解説を見る
解答
「結婚おめでとうございます!!」
………前の質問と内容がかぶった時に使う、この言葉。
闇スープの企画なので、他人の投票内容を教えることはつまりネタバレ。
「らてらておぶざいやー!」は一体誰の手に渡るのか…
私以外は、結果が出るまでお楽しみ。
愛ゆえに
操作は絶対
できません
孤独な放送室、心の一句。
(おしまい)
※らてらてにおける「結婚」について(用語解説)
→http://sui-hei.net/app/webroot/pukiwiki/index.php?用語解説#dd63f3e7
(簡易解答:結婚)
「結婚おめでとうございます!!」
………前の質問と内容がかぶった時に使う、この言葉。
闇スープの企画なので、他人の投票内容を教えることはつまりネタバレ。
「らてらておぶざいやー!」は一体誰の手に渡るのか…
私以外は、結果が出るまでお楽しみ。
愛ゆえに
操作は絶対
できません
孤独な放送室、心の一句。
(おしまい)
※らてらてにおける「結婚」について(用語解説)
→http://sui-hei.net/app/webroot/pukiwiki/index.php?用語解説#dd63f3e7
(簡易解答:結婚)
「DEAD OR LIARLOVE」「11ブックマーク」
正直者の村への道がどちらか知らない旅人は、ちょうど片方の道から歩いてきた女性に道を尋ねることにした。
一見地味な女性の俯いた顔は、よく見ると整っており、どこか寂しげな雰囲気が旅人の心を騒つかせた。
旅人は外国人だが日本語がとても上手で、女性の気を引こうと、自分の旅行譚を面白おかしく話して聞かせた。
女性は生まれつき話すことができなかったが、暗かった表情が一変し、目を輝かせて聞き入る様子は好ましく、見ている旅人まで嬉しくなるのだった。
村で腫れ物のように扱われていた女性は、彼女のハンデを気にせず話しかけてくれる旅人と過ごすのが心地良く、一緒に旅をしたらさぞ楽しいだろうと夢想したが、村の掟のこともあり、それを伝えることすら叶わないだろうと切なくなった。
あっという間に時は過ぎ、空は赤く染まり始めていた。そろそろ正直者の村に向かわなければならない頃合いである。
このまま別れるのを惜しんだ旅人は、女性に愛の告白をし、「もし少しでも望みがあるのであれば、旅に一緒について来てくれないだろうか?」と熱心に誘った。
感激した女性は、しばらく悩んだ末に、返事を入力したスマホ画面を旅人に見せた。
本当であれば、告白を受け入れて旅人について行きたかったが、処刑を恐れるあまり、女性は「いぃえ。」としか答えられなかった。
ふられたと思った旅人は酷く落ち込んだが、村の掟のことを思い出し、これは彼女の本意なのか、それとも嘘なのか慎重に見極めなければという想いで、なんとか持ち直した。
女性はなおも必死な様子で、スマホに何度も何度も「いぃえ。いぃえ。いぃえ。」と書き込み続ける。
女性が何かを伝えようとしていると思った旅人は、文字を入力する女性をじっと観察し、やがて女性が本当に伝えたかったメッセージに気づくことができたのであった。
《 問題文 》
女性は嘘つきだったので、旅人からの告白を受け入れたかったのに、
「いぃえ。」としか返事を書けませんでした。
女性は旅人に、何と伝えたかったのでしょうか?
意味の通じる表記に直して、5文字で答えてください。
※ 赤字の部分と問題文以外の文章はフレーバーテキストです。
読まなくてもあまり支障は無いと思います。
一見地味な女性の俯いた顔は、よく見ると整っており、どこか寂しげな雰囲気が旅人の心を騒つかせた。
旅人は外国人だが日本語がとても上手で、女性の気を引こうと、自分の旅行譚を面白おかしく話して聞かせた。
女性は生まれつき話すことができなかったが、暗かった表情が一変し、目を輝かせて聞き入る様子は好ましく、見ている旅人まで嬉しくなるのだった。
村で腫れ物のように扱われていた女性は、彼女のハンデを気にせず話しかけてくれる旅人と過ごすのが心地良く、一緒に旅をしたらさぞ楽しいだろうと夢想したが、村の掟のこともあり、それを伝えることすら叶わないだろうと切なくなった。
あっという間に時は過ぎ、空は赤く染まり始めていた。そろそろ正直者の村に向かわなければならない頃合いである。
このまま別れるのを惜しんだ旅人は、女性に愛の告白をし、「もし少しでも望みがあるのであれば、旅に一緒について来てくれないだろうか?」と熱心に誘った。
感激した女性は、しばらく悩んだ末に、返事を入力したスマホ画面を旅人に見せた。
本当であれば、告白を受け入れて旅人について行きたかったが、処刑を恐れるあまり、女性は「いぃえ。」としか答えられなかった。
ふられたと思った旅人は酷く落ち込んだが、村の掟のことを思い出し、これは彼女の本意なのか、それとも嘘なのか慎重に見極めなければという想いで、なんとか持ち直した。
女性はなおも必死な様子で、スマホに何度も何度も「いぃえ。いぃえ。いぃえ。」と書き込み続ける。
女性が何かを伝えようとしていると思った旅人は、文字を入力する女性をじっと観察し、やがて女性が本当に伝えたかったメッセージに気づくことができたのであった。
《 問題文 》
女性は嘘つきだったので、旅人からの告白を受け入れたかったのに、
「いぃえ。」としか返事を書けませんでした。
女性は旅人に、何と伝えたかったのでしょうか?
意味の通じる表記に直して、5文字で答えてください。
※ 赤字の部分と問題文以外の文章はフレーバーテキストです。
読まなくてもあまり支障は無いと思います。
21年04月01日 22:40
【20の扉】 [霜ばしら]
【20の扉】 [霜ばしら]

最適解を知らない2人の不器用な恋の物語。
解説を見る
泣きながら「いぃえ。」と繰り返し書き込む彼女は、必死で何かを伝えようとしていた。
旅人がじっと女性の指を追っていると、QWERTY配列のキーボードで、「i」「l」「i」「e」「。」のキーをタップしていることがわかった。
I lie.(私は嘘をつきます。)
その隠れたメッセージを読み取った旅人は、彼女が嘘つきであること、そして彼女の本当の気持ちに気づくことができた。
それは、本当のことを話せない彼女からの、精一杯の愛の告白だったのだ。
必死にメッセージを送り続けた女性の手を旅人の手が包み労わると、彼女は自分の気持ちが伝わったことを幸せに思った。
そして旅人は、彼女の案内で仲睦まじく正直者の村へと向かったのであった。
めでたし、めでたし。
旅人がじっと女性の指を追っていると、QWERTY配列のキーボードで、「i」「l」「i」「e」「。」のキーをタップしていることがわかった。
I lie.(私は嘘をつきます。)
その隠れたメッセージを読み取った旅人は、彼女が嘘つきであること、そして彼女の本当の気持ちに気づくことができた。
それは、本当のことを話せない彼女からの、精一杯の愛の告白だったのだ。
必死にメッセージを送り続けた女性の手を旅人の手が包み労わると、彼女は自分の気持ちが伝わったことを幸せに思った。
そして旅人は、彼女の案内で仲睦まじく正直者の村へと向かったのであった。
めでたし、めでたし。
「アルテミスの紅涙」「11ブックマーク」
二児の母である五十嵐詩織は、内気な性格である長女の美月が初めて自宅に連れて来た、クラスメイトの池崎みゆきを歓迎した。
挨拶もそこそこに二人が美月の自室に入ったのを確認すると、詩織は堪えていた涙を流しはじめた。
詩織の次女(=美月の妹)の名前は何か?
※最終解答は漢字表記でお願いします。
※出題者として積極的には推奨しませんが、名前の構成要素を総当たり的に特定しようしても構いません。
(この場合、[良い質問]マークは付けません。)
※ヒントを希望される場合は質問欄でお伝えください。
挨拶もそこそこに二人が美月の自室に入ったのを確認すると、詩織は堪えていた涙を流しはじめた。
詩織の次女(=美月の妹)の名前は何か?
※最終解答は漢字表記でお願いします。
※出題者として積極的には推奨しませんが、名前の構成要素を総当たり的に特定しようしても構いません。
(この場合、[良い質問]マークは付けません。)
※ヒントを希望される場合は質問欄でお伝えください。
21年06月05日 19:04
【20の扉】 [炎帝]
【20の扉】 [炎帝]

6/8(火) 20:00までの出題を予定しています。
解説を見る
答: 美花
初冬。詩織が初めて授かった命は、生まれてくる前に散ってしまった。
悲しみを乗り越えるために、詩織はその子に「美雪(みゆき)」と名付けて水子供養をしていた。
その後、二人の子宝に恵まれた詩織は、二人の娘にそれぞれ「美月」「美花」と名付けた。
「美雪はこの世に生まれてくることができなかったが、それでも美月と美花のお姉ちゃんなのだ」という想いを、雪月花に託したものだった。
月日は流れ、十数年後のとある朝。
「ねぇお母さん。今日、友達を家に連れてきてもいい?」
美月からそんな申し出を受けた詩織は驚いた。美月は内気な性格で、今まで友達を家に呼んだことなんてなかったからだ。
「池崎さんって言うんだけど、その子も本好きなんだ。だから、私の本棚を見せてほしいって・・・」
たどたどしく話す美月の顔は、しかしとても嬉しそうだったので、詩織も快諾した。
その日の午後、美月が連れて来た快活そうな女の子は、「お邪魔します」と丁寧にお辞儀をしてからこう続けた。
「はじめまして!美月さんの友達の、池崎みゆきと申します!」
美月からは「池崎さん」とだけ聞いていたクラスメイトの下の名前が「みゆき」であることに、詩織は不意を突かれた。
美雪が生きていたらこんな風に成長していただろうかと、無意識のうちにみゆきと美雪を重ね合わせてしまう。
悲しいわけじゃないはずなのに。つらいわけじゃないはずなのに。どうしても目頭が熱くなる。
しかし、ここで涙を流したら美月にもみゆきにも不審に思われてしまうだろう。込み上げる感情を押し殺しながら、詩織も精一杯の笑顔で挨拶を返した。
なんとか表情を崩さないまま挨拶を済ませた詩織だったが、美月とみゆきが部屋に入ったのを見届けると、もはや涙が頬を伝うに任せるしかなかった。
初冬。詩織が初めて授かった命は、生まれてくる前に散ってしまった。
悲しみを乗り越えるために、詩織はその子に「美雪(みゆき)」と名付けて水子供養をしていた。
その後、二人の子宝に恵まれた詩織は、二人の娘にそれぞれ「美月」「美花」と名付けた。
「美雪はこの世に生まれてくることができなかったが、それでも美月と美花のお姉ちゃんなのだ」という想いを、雪月花に託したものだった。
月日は流れ、十数年後のとある朝。
「ねぇお母さん。今日、友達を家に連れてきてもいい?」
美月からそんな申し出を受けた詩織は驚いた。美月は内気な性格で、今まで友達を家に呼んだことなんてなかったからだ。
「池崎さんって言うんだけど、その子も本好きなんだ。だから、私の本棚を見せてほしいって・・・」
たどたどしく話す美月の顔は、しかしとても嬉しそうだったので、詩織も快諾した。
その日の午後、美月が連れて来た快活そうな女の子は、「お邪魔します」と丁寧にお辞儀をしてからこう続けた。
「はじめまして!美月さんの友達の、池崎みゆきと申します!」
美月からは「池崎さん」とだけ聞いていたクラスメイトの下の名前が「みゆき」であることに、詩織は不意を突かれた。
美雪が生きていたらこんな風に成長していただろうかと、無意識のうちにみゆきと美雪を重ね合わせてしまう。
悲しいわけじゃないはずなのに。つらいわけじゃないはずなのに。どうしても目頭が熱くなる。
しかし、ここで涙を流したら美月にもみゆきにも不審に思われてしまうだろう。込み上げる感情を押し殺しながら、詩織も精一杯の笑顔で挨拶を返した。
なんとか表情を崩さないまま挨拶を済ませた詩織だったが、美月とみゆきが部屋に入ったのを見届けると、もはや涙が頬を伝うに任せるしかなかった。












