「走馬灯すら見えなくて」「4ブックマーク」
十年連れ添った???がご臨終になりました。
???がなければ私は生きてはいられないでしょう。
みにくい、依存心に基づく絶望。
この未来の眺望も、所詮は人の夢にすぎなかったのです。
それでは曲にまいりましょう。ZenigokEで、
「ボロボロの私」
「-2.0度の世界」
二曲続けてお聞きください。
???とは何か?
???がなければ私は生きてはいられないでしょう。
みにくい、依存心に基づく絶望。
この未来の眺望も、所詮は人の夢にすぎなかったのです。
それでは曲にまいりましょう。ZenigokEで、
「ボロボロの私」
「-2.0度の世界」
二曲続けてお聞きください。
???とは何か?
19年01月10日 08:58
【20の扉】 [ZenigokE]
【20の扉】 [ZenigokE]
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ゆっくりまいります。
解説を見る
今日は朝から遠出の予定がございました。
いつもより早起きをしたからか、とても寒く感じます。
布団から出るにも着替えをするにも、相当の精神力が必要でした。
気合いを入れてエイヤッと服を脱ぎます。
その時でした。
バチッともパキッともつかない大きな音がしました。
例えるなら、ジッパーの最後を開けた時のような。
あるいは、火花が飛び散るほどの静電気のような。
それが大きく、つまり耳元で。
眼鏡のつるが折れていました。
「……と、いうような経緯です」
「視力0.05ではるばるようこそ。30分で出来ますので、それまでしばらく……ここで待ちますか?」
「そうさせていただきます」
見えない世界はまことに恐ろしいものでした。
特に下りのエスカレーター。
比喩でなく死ぬかと思った。もう絶対に乗りませぬ。
ついでに行先案内が読めぬどころか、車道と歩道の区別すらつかぬ始末。
心も体も、ついでに眼鏡もボロボロです。
人間はこれほどまでに視覚に依存していたのか。
お先真っ暗とはこういうことかと、魂で理解しました。
30分後。
出来上がった眼鏡をかけた私は気付きました。
優しく真摯に対応してくれていた彼女が存外美しいということに。
ありがとう相棒! 今日壊れてくれて!
そうとも世界は美しい!!
【正解】
眼鏡
【お詫び】
矯正度合いは2.0だと思っていたのですが、本日(10日・出題後)測ると2.25でした。お詫びして訂正いたします。申し訳ございませんでした。
いつもより早起きをしたからか、とても寒く感じます。
布団から出るにも着替えをするにも、相当の精神力が必要でした。
気合いを入れてエイヤッと服を脱ぎます。
その時でした。
バチッともパキッともつかない大きな音がしました。
例えるなら、ジッパーの最後を開けた時のような。
あるいは、火花が飛び散るほどの静電気のような。
それが大きく、つまり耳元で。
眼鏡のつるが折れていました。
「……と、いうような経緯です」
「視力0.05ではるばるようこそ。30分で出来ますので、それまでしばらく……ここで待ちますか?」
「そうさせていただきます」
見えない世界はまことに恐ろしいものでした。
特に下りのエスカレーター。
比喩でなく死ぬかと思った。もう絶対に乗りませぬ。
ついでに行先案内が読めぬどころか、車道と歩道の区別すらつかぬ始末。
心も体も、ついでに眼鏡もボロボロです。
人間はこれほどまでに視覚に依存していたのか。
お先真っ暗とはこういうことかと、魂で理解しました。
30分後。
出来上がった眼鏡をかけた私は気付きました。
優しく真摯に対応してくれていた彼女が存外美しいということに。
ありがとう相棒! 今日壊れてくれて!
そうとも世界は美しい!!
【正解】
眼鏡
【お詫び】
矯正度合いは2.0だと思っていたのですが、本日(10日・出題後)測ると2.25でした。お詫びして訂正いたします。申し訳ございませんでした。
「こんな最新式自動車は嫌だ」「4ブックマーク」
モーターショーにて。
とある自動車メーカーのブースには、
最新の「電炉」を搭載した車が展示されており、
来場者が集まって人だかりができていた。
集まった人々は口々に、
「これは...まさに世も末ですね。」
「あぁ、これは酷い!」
などと言い合っていた。
実は、これはメーカー側の目論見通りの反応だ。
どういうことでしょう?
とある自動車メーカーのブースには、
最新の「電炉」を搭載した車が展示されており、
来場者が集まって人だかりができていた。
集まった人々は口々に、
「これは...まさに世も末ですね。」
「あぁ、これは酷い!」
などと言い合っていた。
実は、これはメーカー側の目論見通りの反応だ。
どういうことでしょう?
19年01月11日 23:53
【ウミガメのスープ】 [輪ゴム]
【ウミガメのスープ】 [輪ゴム]
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長丁場になってしまいました、皆さまありがとうございました!
解説を見る
22世紀のトーキョーにて開催されたモーターショー。
とある自動車メーカーがコンセプトカーとして発表した車は、
革新的な技術の数々と洗練されたデザインを兼ね備え、
世界中から大きな注目を浴び称賛の的となった。
...という表現を彼らは古臭く感じるだろう。
この話の本題は電炉でも自動車でもない。
日本語の変化だ。
「これは...まさに世も末ですね。」
(※まちがいなく最先端だ/人類はここまで来たのか の意)
「あぁ、これは酷い!」
(※なんて素晴らしいんだ! の意)
2019年現在とはかなり日本語が変化している模様。
彼らはその展示を見て感銘を受け、絶賛している。
もちろん、メーカー側の目論見通りである。
※電炉:僅かな固形燃料から膨大な電気エネルギーを長時間に渡り生み出すことのできる謎技術...的なイメージの出題者の造語(実際にある同名の言葉とは無関係ですm(_ _)m)。平凡な21世紀人にはその原理は想像も及ばない。
とある自動車メーカーがコンセプトカーとして発表した車は、
革新的な技術の数々と洗練されたデザインを兼ね備え、
世界中から大きな注目を浴び称賛の的となった。
...という表現を彼らは古臭く感じるだろう。
この話の本題は電炉でも自動車でもない。
日本語の変化だ。
「これは...まさに世も末ですね。」
(※まちがいなく最先端だ/人類はここまで来たのか の意)
「あぁ、これは酷い!」
(※なんて素晴らしいんだ! の意)
2019年現在とはかなり日本語が変化している模様。
彼らはその展示を見て感銘を受け、絶賛している。
もちろん、メーカー側の目論見通りである。
※電炉:僅かな固形燃料から膨大な電気エネルギーを長時間に渡り生み出すことのできる謎技術...的なイメージの出題者の造語(実際にある同名の言葉とは無関係ですm(_ _)m)。平凡な21世紀人にはその原理は想像も及ばない。
「おそいこぐみのうみちゃんは」「4ブックマーク」
〜^ 猫風船の水平思考 ^〜
おそいこぐみのうみちゃんと猫風船は大の仲良し。
ある日うみちゃんは、泣きながら猫風船の上に乗った。
一体なぜ?
※猫風船:空を飛ぶ猫の仲間。そのふわふわな毛の間に、不思議な力で空気中の軽い原子を蓄えて浮遊することができる。
おそいこぐみのうみちゃんと猫風船は大の仲良し。
ある日うみちゃんは、泣きながら猫風船の上に乗った。
一体なぜ?
※猫風船:空を飛ぶ猫の仲間。そのふわふわな毛の間に、不思議な力で空気中の軽い原子を蓄えて浮遊することができる。
19年01月17日 18:25
【ウミガメのスープ】 [弥七]
【ウミガメのスープ】 [弥七]
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Special Thanks !! ZenigokEさん&猫風船
解説を見る
<解説>
保育園のお迎えがいつもより遅くなってしまい、寂しくてうみちゃんは泣いていた。そんなうみちゃんを見て、猫風船が背中に乗せて、お母さんのところまで連れて行ってくれた。
※おそいこぐみ:両親が共働きなどの理由から保育園のお迎えが遅くなってしまう子供たちのこと。「(親のお迎えが)遅い子組」
〜〜〜〜〜〜
うみちゃんは猫風船の長毛を丁寧に時間をかけてブラッシングしていた。猫風船は気持ち良さそうに膝の上でされるがままにしている。
保育士さん「うみちゃん、お母さん来ないねー?どうしたのかなー?」
うみは答えずに、猫風船の毛をゆっくりと撫でた。
(…おかしいな。)
いつもはブラッシングを一回し終わる頃には、玄関に急いで息を切らしたお母さんの声が聞こえてくるはずなのに、なのに。
同じ「おそいこぐみ」のカメオくんも、お兄さんが迎えに来てしまった。ウミコ一人しかいない保育園の遊び部屋にはただただ時計の音だけが聞こえる。ピアノのそばに置いてある振り子時計が、なんだか異様に大きく見えて、とても怖い。
うみは猫風船のふわふわな毛をキュッと掴んだ。猫風船はふぎゃっと飛び起きて目を丸くしていた。
(お母さんが来ない。)
今日は早く迎えにくるって約束したのに。いいこにしてたのに。…がまんしてたのに。
「…お母さんの嘘つき。」
うみの目から小さな涙がぼろぼろと溢れた。
すると、何やら近くで聞きなれない音がした。音は確実に、目の前にいる猫からしている。
「…なんか言ってる」
うみはそっと耳を近づけてその声をよく聞いた。
猫風船「ナクノ、ヤメロ。アト、ノレ。」
ーーーーーー
建設現場で働いているうみのお母さん(ウミママ)はクレーン車のフロントガラス越しに見える光景に目を疑った。
もうすっかり日の暮れた夜空に、自分の娘と、空を飛ぶ猫風船。
「お、が、あ、さ、あ〜〜〜〜〜ん!!!」
うみちゃんは大泣きしていた。
ウミママ「怪我はないの!?...ああそっか、寂しかったよね、怖かったよね。」
もう、一緒に帰りましょうか。そう言った母にも、今はっきりと聞こえた。
猫風船「オマエモ、ノレ。」
ーーーーーー
猫風船(やはり二人は重すぎたか。これじゃあ飛んでるとは言えないな…)
ここは、人間と猫風船が共存する世界。人々は、悩ましげな顔をして地面ギリギリを飛ぶ猫姿を見て口々にこう言った。あれはそう…
「猫風船の水平飛行(水平思考)」だと。
(おしまい)
保育園のお迎えがいつもより遅くなってしまい、寂しくてうみちゃんは泣いていた。そんなうみちゃんを見て、猫風船が背中に乗せて、お母さんのところまで連れて行ってくれた。
※おそいこぐみ:両親が共働きなどの理由から保育園のお迎えが遅くなってしまう子供たちのこと。「(親のお迎えが)遅い子組」
〜〜〜〜〜〜
うみちゃんは猫風船の長毛を丁寧に時間をかけてブラッシングしていた。猫風船は気持ち良さそうに膝の上でされるがままにしている。
保育士さん「うみちゃん、お母さん来ないねー?どうしたのかなー?」
うみは答えずに、猫風船の毛をゆっくりと撫でた。
(…おかしいな。)
いつもはブラッシングを一回し終わる頃には、玄関に急いで息を切らしたお母さんの声が聞こえてくるはずなのに、なのに。
同じ「おそいこぐみ」のカメオくんも、お兄さんが迎えに来てしまった。ウミコ一人しかいない保育園の遊び部屋にはただただ時計の音だけが聞こえる。ピアノのそばに置いてある振り子時計が、なんだか異様に大きく見えて、とても怖い。
うみは猫風船のふわふわな毛をキュッと掴んだ。猫風船はふぎゃっと飛び起きて目を丸くしていた。
(お母さんが来ない。)
今日は早く迎えにくるって約束したのに。いいこにしてたのに。…がまんしてたのに。
「…お母さんの嘘つき。」
うみの目から小さな涙がぼろぼろと溢れた。
すると、何やら近くで聞きなれない音がした。音は確実に、目の前にいる猫からしている。
「…なんか言ってる」
うみはそっと耳を近づけてその声をよく聞いた。
猫風船「ナクノ、ヤメロ。アト、ノレ。」
ーーーーーー
建設現場で働いているうみのお母さん(ウミママ)はクレーン車のフロントガラス越しに見える光景に目を疑った。
もうすっかり日の暮れた夜空に、自分の娘と、空を飛ぶ猫風船。
「お、が、あ、さ、あ〜〜〜〜〜ん!!!」
うみちゃんは大泣きしていた。
ウミママ「怪我はないの!?...ああそっか、寂しかったよね、怖かったよね。」
もう、一緒に帰りましょうか。そう言った母にも、今はっきりと聞こえた。
猫風船「オマエモ、ノレ。」
ーーーーーー
猫風船(やはり二人は重すぎたか。これじゃあ飛んでるとは言えないな…)
ここは、人間と猫風船が共存する世界。人々は、悩ましげな顔をして地面ギリギリを飛ぶ猫姿を見て口々にこう言った。あれはそう…
「猫風船の水平飛行(水平思考)」だと。
(おしまい)
「相対性理論」「4ブックマーク」
男は窓から見える美しい海の景色を楽しみながら、食事をしていた。
男の元に、次の料理が運ばれてきた。
男はそれを見て「これは何ですか?」と料理人に尋ねた。
料理人は、「はい。そちらはウミガメのスープでございます。」と答えた。
男はギョッとしてあたりを見回し、そして絶望した。
どういうことだろう?
男の元に、次の料理が運ばれてきた。
男はそれを見て「これは何ですか?」と料理人に尋ねた。
料理人は、「はい。そちらはウミガメのスープでございます。」と答えた。
男はギョッとしてあたりを見回し、そして絶望した。
どういうことだろう?
19年01月18日 20:22
【ウミガメのスープ】 [ミンタカ]
【ウミガメのスープ】 [ミンタカ]
解説を見る
男はいじめられているカメを助けたところ、お礼に竜宮城へ連れて行ってもらえることになった。竜宮城では大宴会が開かれた。次から次に料理が運ばれてくる。マグロの刺身、エビのカルパッチョ…
男は、周りにいたマグロの踊り子やエビの召使いが居なくなっていることに気づいていなかった。男がやっと気づいたのは、ウミガメのスープが運ばれてきた時だった。
ついさっきまでテーブルの端に座っていた、男を乗せてきたウミガメはもうそこにはいなかった。
男はもう二度と帰れないことに気づき、絶望した。
男は、周りにいたマグロの踊り子やエビの召使いが居なくなっていることに気づいていなかった。男がやっと気づいたのは、ウミガメのスープが運ばれてきた時だった。
ついさっきまでテーブルの端に座っていた、男を乗せてきたウミガメはもうそこにはいなかった。
男はもう二度と帰れないことに気づき、絶望した。
「にくいぜおっさんにほんいち 後編 」「4ブックマーク」
おっさんは島に流れ着いたカメオを、ハダカで迎え入れることにした。
一体なぜ?
※連作となっています。必ず前編を読んでからのご参加をお願いします。
前編→https://late-late.jp/mondai/show/3948
一体なぜ?
※連作となっています。必ず前編を読んでからのご参加をお願いします。
前編→https://late-late.jp/mondai/show/3948
19年01月23日 23:23
【ウミガメのスープ】 [弥七]
【ウミガメのスープ】 [弥七]
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連続ウミガメ小説〜後編〜
解説を見る
「おはよう、おっさん…??なんだよ、その格好?」
次の日の朝。私は浜辺で寝ていた彼を起こした。彼は私の姿を見て、ひどく驚いているようだった。
「…それ、俺のスーツじゃんか。なんで着てんだよ……ん?」
そして次に自分の姿を見たとき、彼の顔は真っ青に染まった。
「…なんだよ、これ。」
次の瞬間、私は渾身の力で叫んだ。
「船を沈めた船長がいたぞーーー!!」
私の後ろから、昨日の夜に島に流れ着いた人々が飛び出して、彼に掴みかかった。
「「「この人殺しがアアアァ!!!」」」
その後の有様は酷いものだった。人々は棒で殴ったり蹴ったり散々して彼を半殺しにした。
彼の周りから人が消えるのを待ってから、私は制服の襟を持って彼を海へと引きずった。
「おいおっさ…説明しろ…よ…」
彼はかすれた声で訴えた。
「…君が目覚めなければ、その場で殺してしまえばいいと思ったんだがね…」
私は彼の頭を海に沈めた。
ーーーーーー
そう。私こそ豪華客船の船長だ。私のミスで、大勢の人々とともに船を沈めてしまった。命からがらたどり着いた島は、全くの無人島であり、それでも随分と絶望したが、もっと恐ろしい事があった。
「人間」だ。
何人かの人間が島に流れ着いた。全て乗船していた客だった。法の及ばぬこの島で、人々が船員と同じ服を着た私の姿を見れば、怒って私を殺すかもしれない。だから私は制服を脱ぎ、人々の意識が戻る前に処理していた。偶然目が覚めてしまったこの男に、私はとっさに偽りの話をしたのだった。
ーーーーーー
「しかし『家』に気付くとはね…一瞬ヒヤリとしたが…君のおかげで私は『善良な人間』として、この島で生活できるよ、ありがとう^ ^」
彼は必死に手足をばたつかせて抵抗していた。私の周りに飛沫が飛んだ。
それはまさに、彼が島に着いて初めて目にした光景と一致していた。
唯一違うのは、私がハダカではないという事だけ。
(おしまい)
〜〜〜〜〜〜
<解説>
おっさんが島の住民というのは真っ赤な嘘だった。おっさんはカメオの乗船していた豪華客船の船長であり、自分のミスで船が沈んでしまったため、客に咎められることを恐れ制服を脱いだ。
次の日の朝。私は浜辺で寝ていた彼を起こした。彼は私の姿を見て、ひどく驚いているようだった。
「…それ、俺のスーツじゃんか。なんで着てんだよ……ん?」
そして次に自分の姿を見たとき、彼の顔は真っ青に染まった。
「…なんだよ、これ。」
次の瞬間、私は渾身の力で叫んだ。
「船を沈めた船長がいたぞーーー!!」
私の後ろから、昨日の夜に島に流れ着いた人々が飛び出して、彼に掴みかかった。
「「「この人殺しがアアアァ!!!」」」
その後の有様は酷いものだった。人々は棒で殴ったり蹴ったり散々して彼を半殺しにした。
彼の周りから人が消えるのを待ってから、私は制服の襟を持って彼を海へと引きずった。
「おいおっさ…説明しろ…よ…」
彼はかすれた声で訴えた。
「…君が目覚めなければ、その場で殺してしまえばいいと思ったんだがね…」
私は彼の頭を海に沈めた。
ーーーーーー
そう。私こそ豪華客船の船長だ。私のミスで、大勢の人々とともに船を沈めてしまった。命からがらたどり着いた島は、全くの無人島であり、それでも随分と絶望したが、もっと恐ろしい事があった。
「人間」だ。
何人かの人間が島に流れ着いた。全て乗船していた客だった。法の及ばぬこの島で、人々が船員と同じ服を着た私の姿を見れば、怒って私を殺すかもしれない。だから私は制服を脱ぎ、人々の意識が戻る前に処理していた。偶然目が覚めてしまったこの男に、私はとっさに偽りの話をしたのだった。
ーーーーーー
「しかし『家』に気付くとはね…一瞬ヒヤリとしたが…君のおかげで私は『善良な人間』として、この島で生活できるよ、ありがとう^ ^」
彼は必死に手足をばたつかせて抵抗していた。私の周りに飛沫が飛んだ。
それはまさに、彼が島に着いて初めて目にした光景と一致していた。
唯一違うのは、私がハダカではないという事だけ。
(おしまい)
〜〜〜〜〜〜
<解説>
おっさんが島の住民というのは真っ赤な嘘だった。おっさんはカメオの乗船していた豪華客船の船長であり、自分のミスで船が沈んでしまったため、客に咎められることを恐れ制服を脱いだ。