「不幸な少女の最期の日」「6ブックマーク」
雪の中、マッチを売り歩く少女が1人。
しかし、歩けど、歩けども、カゴいっぱいのマッチは売れず。
やがて寒さに耐えかねた少女は、暖を求めて売り物のマッチを壁に擦りつけます。
1本、2本、3本…
力加減を間違えて、何本ものマッチを駄目にしてしまった末に、少女はようやく一本のマッチに火をつけることができました。
{けれども、少女はせっかく灯ったその火を、すぐに吹き消してしまいました。}
一体なぜ?
不思議な天気の続く今日この頃、これはもう雪を降らせるしかないな!という訳で雪が降る問題です。
しかし、歩けど、歩けども、カゴいっぱいのマッチは売れず。
やがて寒さに耐えかねた少女は、暖を求めて売り物のマッチを壁に擦りつけます。
1本、2本、3本…
力加減を間違えて、何本ものマッチを駄目にしてしまった末に、少女はようやく一本のマッチに火をつけることができました。
{けれども、少女はせっかく灯ったその火を、すぐに吹き消してしまいました。}
一体なぜ?
不思議な天気の続く今日この頃、これはもう雪を降らせるしかないな!という訳で雪が降る問題です。
23年05月26日 00:00
【ウミガメのスープ】 [布袋ナイ]
【ウミガメのスープ】 [布袋ナイ]

一言コメントが何故か問題文にいたので、もう一言。この問題は要知識問題の可能性があります。5/29まで
解説を見る
【解説】
今日は少女の誕生日。
マッチ売りの少女がマッチに火をつけると、蝋燭の刺さった大きなケーキが現れました。
喜んだ少女は、蝋燭の火を吹き消した…つもりが、気が付けば、手に持ったマッチの火を吹き消してしまっていたのでした。
【長い解説】
雪の中、マッチを売り歩く少女が1人。
しかし、歩けど、歩けども、カゴいっぱいのマッチは売れず。
やがて寒さに耐えかねた少女は、暖を求めて売り物のマッチを壁に擦りつけます。
1本、2本、3本…
力加減を間違えて、何本ものマッチを駄目にしてしまった末に、少女はようやく一本のマッチに火をつけることができました。
少女がマッチに火を灯した瞬間、{少女の目の前には、蝋燭の刺さった大きなケーキが現れました。}
そういえば、今日は少女の誕生日です。
{そう思って周りを見れば、お父さんとお母さんと、大好きだったおばあちゃんが、少女のお誕生日をお祝いしていました。}
{それに嬉しくなった少女は、ケーキに刺さった一本の蝋燭の火を、ふっと吹き消して…}
その瞬間、幻覚は掻き消えて、少女は現実に引き戻されてしまいました。
目の前には、かごいっぱいの売れ残りのマッチと、火の消えたマッチが一本。
少女の目の前には、蝋燭の刺さった大きなケーキも、誕生日をお祝いしてくれる家族も居ません。
{お誕生日おめでとう。}
少女を祝う言葉も、もう聞こえてくることはありません。
一筋の流れ星が、少女の心を映すように夜空を流れていきました。
今日は少女の誕生日。
マッチ売りの少女がマッチに火をつけると、蝋燭の刺さった大きなケーキが現れました。
喜んだ少女は、蝋燭の火を吹き消した…つもりが、気が付けば、手に持ったマッチの火を吹き消してしまっていたのでした。
【長い解説】
雪の中、マッチを売り歩く少女が1人。
しかし、歩けど、歩けども、カゴいっぱいのマッチは売れず。
やがて寒さに耐えかねた少女は、暖を求めて売り物のマッチを壁に擦りつけます。
1本、2本、3本…
力加減を間違えて、何本ものマッチを駄目にしてしまった末に、少女はようやく一本のマッチに火をつけることができました。
少女がマッチに火を灯した瞬間、{少女の目の前には、蝋燭の刺さった大きなケーキが現れました。}
そういえば、今日は少女の誕生日です。
{そう思って周りを見れば、お父さんとお母さんと、大好きだったおばあちゃんが、少女のお誕生日をお祝いしていました。}
{それに嬉しくなった少女は、ケーキに刺さった一本の蝋燭の火を、ふっと吹き消して…}
その瞬間、幻覚は掻き消えて、少女は現実に引き戻されてしまいました。
目の前には、かごいっぱいの売れ残りのマッチと、火の消えたマッチが一本。
少女の目の前には、蝋燭の刺さった大きなケーキも、誕生日をお祝いしてくれる家族も居ません。
{お誕生日おめでとう。}
少女を祝う言葉も、もう聞こえてくることはありません。
一筋の流れ星が、少女の心を映すように夜空を流れていきました。
「【ラテクエ20-2】×旅行」「6ブックマーク」
男は自身の恩師であるウミオが重い病気で亡くなったと便りで聞いた時に、
どこか懐かしくなって、
彼が勤めていたラテラル小学校に行ってみようかな、と思い立った。
さて、男はラテラル小学校に向かうにあたって、
「もしもラテラル小学校に通うカメオという10歳の少年を見つけた時、
声をかけたり、近づいてはいけない」
と決めていたのだが、
いったいどうしてそんな禁止事項を設けたのだろうか?
※ラテクエ二日目のテーマ「中心人物が10歳のカメオくん」
キーワード「禁止」を基に作成した問題文です。
https://late-late.jp/mondai/show/18165
どこか懐かしくなって、
彼が勤めていたラテラル小学校に行ってみようかな、と思い立った。
さて、男はラテラル小学校に向かうにあたって、
「もしもラテラル小学校に通うカメオという10歳の少年を見つけた時、
声をかけたり、近づいてはいけない」
と決めていたのだが、
いったいどうしてそんな禁止事項を設けたのだろうか?
※ラテクエ二日目のテーマ「中心人物が10歳のカメオくん」
キーワード「禁止」を基に作成した問題文です。
https://late-late.jp/mondai/show/18165
23年06月04日 20:05
【ウミガメのスープ】 [ごがつあめ涼花]
【ウミガメのスープ】 [ごがつあめ涼花]
解説を見る
【解答】
男(=カメオ)はタイムマシンに乗って、存命中のウミオに会いに行った。
その際に、過去の自分に見つかって、もしも未来の自分だとバレてしまったら……
どのようなタイムパラドックスが起こるのか分からなかった男は、
「声をかけない」
「姿を見られない」
を心掛けて、過去のラテラル小学校に向かったのであった……
────────
カメオ(32)「やれやれ、着いたぜ……ここがウミオ先生の生きてた頃のラテラル小学校か」
目の前にいたカメオ(10)「おじさん!!今どこから出てきたの!?それってもしかして、タイムマシン!?」
カメオ(32)「……ぇ?」
────
※×(禁止・かける= 時をかける)旅行
男(=カメオ)はタイムマシンに乗って、存命中のウミオに会いに行った。
その際に、過去の自分に見つかって、もしも未来の自分だとバレてしまったら……
どのようなタイムパラドックスが起こるのか分からなかった男は、
「声をかけない」
「姿を見られない」
を心掛けて、過去のラテラル小学校に向かったのであった……
────────
カメオ(32)「やれやれ、着いたぜ……ここがウミオ先生の生きてた頃のラテラル小学校か」
目の前にいたカメオ(10)「おじさん!!今どこから出てきたの!?それってもしかして、タイムマシン!?」
カメオ(32)「……ぇ?」
────
※×(禁止・かける= 時をかける)旅行
「人と入れ替わることができる口紅(美里)」「6ブックマーク」
大学生の美里は、『人と入れ替わることができる口紅』によって、理沙子という女性に姿を入れ替えられてしまった。
曰く、『人と入れ替わることができる口紅』というのは、使用者が自身の唇に付着させた上で任意の相手とキスをすると、その相手と身体を入れ替えられるというもの。
それを理沙子に悪用され、美里は自分の姿や立場を奪われたのである。
そんな美里は入れ替わった後、ウミガメのスープの話をする時だけは笑顔を絶やさないでいた。
それは一体なぜか?
曰く、『人と入れ替わることができる口紅』というのは、使用者が自身の唇に付着させた上で任意の相手とキスをすると、その相手と身体を入れ替えられるというもの。
それを理沙子に悪用され、美里は自分の姿や立場を奪われたのである。
そんな美里は入れ替わった後、ウミガメのスープの話をする時だけは笑顔を絶やさないでいた。
それは一体なぜか?
23年06月21日 23:21
【ウミガメのスープ】 [みさこ]
【ウミガメのスープ】 [みさこ]

ご参加ありがとうございました!(๑>◡<๑)
解説を見る
【簡易解説】
美里は理沙子と入れ替わる前から、ウェブサイト上でウミガメのスープを楽しんでいた。
理沙子の姿になって誰からも『自分は美里である』と認識されない孤独に陥っていく中で、そのウェブサイトの中だけでは以前と同じ自分のままでいられるため、笑顔を絶やさなかった。
【詳述】
ページの読み込みが終わると、プログラムが私を出迎えてくれる。おかえりなさいと私を呼ぶ名前は、正真正銘『みさと』のまま。
出題するページに足を運べば、サイトのみんなは『みさとさん』を歓迎してくれる。
こんな当然のことなのに、目の当たりにすると何度でも冷たい涙が落ちる。
ああ。これは嘘じゃない。勘違いでも思い込みでも、私の方がおかしくなったわけでもない。
私は他でもない、有坂 美里だ。
先生も友達も親友も、お父さんやお母さんにすら、『私』だと、美里だと気づいてもらえず、見捨てられて孤独でいても、この空間でだけなら、私は『私』のままでいられるんだ。
ページを一旦閉じ、Twitterを開くと、もうみんな待ち合わせ場所についているみたいだとわかる。
{初めての}オフ会。その待ち合わせだ。本当の私の姿を知る者がいないからこそ、私はついにネットの世界をも出て、また『美里』でいられることができる。
駅に入ろうとすると、後ろから声をかけられた。
目つきの悪い二人組。蓮見 理沙子さんですか、とそっけなく尋ねられる。
{違う。}
その慟哭を殺して、静かに頷く。ああ、せめてオフ会には参加したかったな。
私は『謂れのない』『蓮見 理沙子』の罪を償うために、その二人組に連行されていった。
拘置所って、スマホ使えるんだっけ。
すでに何もかもに絶望しきった後だと思い込んでいた私は、再び涙を流す。もうあのサイトにはしばらくログインできないかもしれない。
私はもう今、奪われていくところだった。
有坂 美里としての最後の砦を。
孤独を守る最後の砦が、失われていく。
——————
「うーん、みさとさん遅いですねぇ」
「何か事故に巻き込まれていたりしないでしょうか…?連絡もないし…。」
{「ひょっとしたら、今頃は警察にでも捕まっちゃったのかもしれませんね〜!」}
「え」
「なんて、冗談です!」
「またまた〜、みさこさん縁起でもないですよ〜」
周りに嗜められ、『有坂 美里』は無邪気に笑うのだった。
美里は理沙子と入れ替わる前から、ウェブサイト上でウミガメのスープを楽しんでいた。
理沙子の姿になって誰からも『自分は美里である』と認識されない孤独に陥っていく中で、そのウェブサイトの中だけでは以前と同じ自分のままでいられるため、笑顔を絶やさなかった。
【詳述】
ページの読み込みが終わると、プログラムが私を出迎えてくれる。おかえりなさいと私を呼ぶ名前は、正真正銘『みさと』のまま。
出題するページに足を運べば、サイトのみんなは『みさとさん』を歓迎してくれる。
こんな当然のことなのに、目の当たりにすると何度でも冷たい涙が落ちる。
ああ。これは嘘じゃない。勘違いでも思い込みでも、私の方がおかしくなったわけでもない。
私は他でもない、有坂 美里だ。
先生も友達も親友も、お父さんやお母さんにすら、『私』だと、美里だと気づいてもらえず、見捨てられて孤独でいても、この空間でだけなら、私は『私』のままでいられるんだ。
ページを一旦閉じ、Twitterを開くと、もうみんな待ち合わせ場所についているみたいだとわかる。
{初めての}オフ会。その待ち合わせだ。本当の私の姿を知る者がいないからこそ、私はついにネットの世界をも出て、また『美里』でいられることができる。
駅に入ろうとすると、後ろから声をかけられた。
目つきの悪い二人組。蓮見 理沙子さんですか、とそっけなく尋ねられる。
{違う。}
その慟哭を殺して、静かに頷く。ああ、せめてオフ会には参加したかったな。
私は『謂れのない』『蓮見 理沙子』の罪を償うために、その二人組に連行されていった。
拘置所って、スマホ使えるんだっけ。
すでに何もかもに絶望しきった後だと思い込んでいた私は、再び涙を流す。もうあのサイトにはしばらくログインできないかもしれない。
私はもう今、奪われていくところだった。
有坂 美里としての最後の砦を。
孤独を守る最後の砦が、失われていく。
——————
「うーん、みさとさん遅いですねぇ」
「何か事故に巻き込まれていたりしないでしょうか…?連絡もないし…。」
{「ひょっとしたら、今頃は警察にでも捕まっちゃったのかもしれませんね〜!」}
「え」
「なんて、冗談です!」
「またまた〜、みさこさん縁起でもないですよ〜」
周りに嗜められ、『有坂 美里』は無邪気に笑うのだった。
「人工知能にアイはあるのか?」「6ブックマーク」
今から遥か未来の話。
化学技術が著しく発展し、かつて魔法やファンタジーと呼ばれたような現象をも人為的に生み出せるようになった、そんな時代のこと。
『人の感情』について研究をしている内藤博士が、従来のものよりも簡易的かつ超高精度な"とあるもの"を発明した。
その"とあるもの"の実験の途中、内藤博士のスマホに搭載されたAIアシスタントの『Tick』に感情があることが判明したのだが、内藤博士の作り出した"とあるもの"とは一体何であると考えられるだろうか?
化学技術が著しく発展し、かつて魔法やファンタジーと呼ばれたような現象をも人為的に生み出せるようになった、そんな時代のこと。
『人の感情』について研究をしている内藤博士が、従来のものよりも簡易的かつ超高精度な"とあるもの"を発明した。
その"とあるもの"の実験の途中、内藤博士のスマホに搭載されたAIアシスタントの『Tick』に感情があることが判明したのだが、内藤博士の作り出した"とあるもの"とは一体何であると考えられるだろうか?
23年06月29日 23:54
【20の扉】 [布袋ナイ]
【20の扉】 [布袋ナイ]

心の無い機械に心が宿る…そんな非現実が、未来では起こり得るかもしれない。そんな問題です。7/2まで。
解説を見る
<解答>
【{A.嘘発見器}】
【解説】
今から遥か未来の話。
科学技術が著しく発展し、かつて魔法やファンタジーと呼ばれたような現象をも人為的に生み出せるようになった、そんな時代のこと。
『人の感情』について研究をしている内藤博士が、"嘘発見器"を発明した。
その嘘発見器は、大掛かりな装置を使う必要も無く、またよくある嘘発見器アプリのように当たる可能性の低いものでもない。
声に乗った感情を感知し、その言葉が嘘かどうか判別することの出来る、従来のものよりも簡易的かつ超高精度な嘘発見器である。
さて、そんな嘘発見器の実験をしている最中のこと。
内藤博士とその助手達が、嘘発見器を起動させながら、簡単な質疑応答をしてみたり、人狼の動画を一言ずつ切り取って流してみたり、人気配信者の雑談配信を聞かせてみたり…としている途中のこと。
何に反応したのか、内藤博士のスマホに搭載されたAIアシスタント、『Tick』が起動した。
「ご用件は何ですか?」
内藤博士は、それを閉じようと即座に答える。
{「『Tick』、さようなら。」}
{「すみません。よく聞こえませんでした。」}
通常、さようならやバイバイ、終了などの言葉を言えば終了する筈の『Tick』。
しかし、最近内藤博士の『Tick』は、終了させようと思ってもなかなか音声に反応しないようになっていた。
もう一度言うか、と内藤博士が口を開いたその時…
{ピーッピーッピーッピーッ}
…嘘発見器が、反応した。
今この場で言葉を発したのは、内藤博士と『Tick』のみ。
しかし、内藤博士の言葉には、当然嘘はない。
となれば、この嘘発見器は、『Tick』に反応したことになる。
内藤博士とその助手達は、互いに顔を見合わせた。
「『Tick』、自己紹介して。」
「私は『Tick』、あなたのAIアシスタントです。」
{シーン…}
「『Tick』、バイバイ。」
「すみません。よく聞こえませんでした。」
{ピーッピーッピーッピーッ}
「『Tick』、明日の天気は?」
「明日は雨になりそうです。傘を持ち歩くことをおすすめします。」
{シーン…}
「『Tick』、終了して。」
「…すみません。よく聞こえませんでした。」
{ピーッピーッピーッピーッ}
「『Tick』、明日の予定は?」
「2×××年○月☆日は12時に布袋博士と食事の予定があります」
{シーン…}
「…『Tick』、まだ私と話したい?」
「私はIAアシスタントです。そのようなことを考えたりはしませんよ。」
{ピーッピーッピーッピーッ}
「…………」
さて、このような顛末で、感情があることが発覚した、AIアシスタントの『Tick』。
この後、内藤博士は自分のスマホの『Tick』を研究し、AI技術の発展に大きく貢献することとなるのだが…それはまた、別の話。
【{A.嘘発見器}】
【解説】
今から遥か未来の話。
科学技術が著しく発展し、かつて魔法やファンタジーと呼ばれたような現象をも人為的に生み出せるようになった、そんな時代のこと。
『人の感情』について研究をしている内藤博士が、"嘘発見器"を発明した。
その嘘発見器は、大掛かりな装置を使う必要も無く、またよくある嘘発見器アプリのように当たる可能性の低いものでもない。
声に乗った感情を感知し、その言葉が嘘かどうか判別することの出来る、従来のものよりも簡易的かつ超高精度な嘘発見器である。
さて、そんな嘘発見器の実験をしている最中のこと。
内藤博士とその助手達が、嘘発見器を起動させながら、簡単な質疑応答をしてみたり、人狼の動画を一言ずつ切り取って流してみたり、人気配信者の雑談配信を聞かせてみたり…としている途中のこと。
何に反応したのか、内藤博士のスマホに搭載されたAIアシスタント、『Tick』が起動した。
「ご用件は何ですか?」
内藤博士は、それを閉じようと即座に答える。
{「『Tick』、さようなら。」}
{「すみません。よく聞こえませんでした。」}
通常、さようならやバイバイ、終了などの言葉を言えば終了する筈の『Tick』。
しかし、最近内藤博士の『Tick』は、終了させようと思ってもなかなか音声に反応しないようになっていた。
もう一度言うか、と内藤博士が口を開いたその時…
{ピーッピーッピーッピーッ}
…嘘発見器が、反応した。
今この場で言葉を発したのは、内藤博士と『Tick』のみ。
しかし、内藤博士の言葉には、当然嘘はない。
となれば、この嘘発見器は、『Tick』に反応したことになる。
内藤博士とその助手達は、互いに顔を見合わせた。
「『Tick』、自己紹介して。」
「私は『Tick』、あなたのAIアシスタントです。」
{シーン…}
「『Tick』、バイバイ。」
「すみません。よく聞こえませんでした。」
{ピーッピーッピーッピーッ}
「『Tick』、明日の天気は?」
「明日は雨になりそうです。傘を持ち歩くことをおすすめします。」
{シーン…}
「『Tick』、終了して。」
「…すみません。よく聞こえませんでした。」
{ピーッピーッピーッピーッ}
「『Tick』、明日の予定は?」
「2×××年○月☆日は12時に布袋博士と食事の予定があります」
{シーン…}
「…『Tick』、まだ私と話したい?」
「私はIAアシスタントです。そのようなことを考えたりはしませんよ。」
{ピーッピーッピーッピーッ}
「…………」
さて、このような顛末で、感情があることが発覚した、AIアシスタントの『Tick』。
この後、内藤博士は自分のスマホの『Tick』を研究し、AI技術の発展に大きく貢献することとなるのだが…それはまた、別の話。
「背中押す夏疾風」「6ブックマーク」
吹奏楽部の1年生のカメコは、同じく1年生の野球少年ウミオに思いを寄せている。中学の頃、野球部のマネージャーとして訪れた大会でウミオの姿を見て、一目惚れした。ウミオを追うように同じ高校に入ったが、もちろんウミオはそんなことは知らない。
しかしウミオの先輩が調子よく活躍しすぎるせいで、ここのところウミオがバッターボックスに立つ姿が見られなくなってしまっていて、カメコにはそれが少し不満だった。
そんなカメコが、最近吹奏楽の練習に集中して取り組むようになったのは一体なぜだろうか。
しかしウミオの先輩が調子よく活躍しすぎるせいで、ここのところウミオがバッターボックスに立つ姿が見られなくなってしまっていて、カメコにはそれが少し不満だった。
そんなカメコが、最近吹奏楽の練習に集中して取り組むようになったのは一体なぜだろうか。
23年07月13日 15:51
【ウミガメのスープ】 [うつま]
【ウミガメのスープ】 [うつま]

祝 マクガフィンさん大記録達成!
解説を見る
簡易解説
カメコはいつも、吹奏楽部の練習場所である音楽室の窓から、野球部の様子を見ていた。しかし野球部OBのマクガフィンが大記録を達成したことで、それを祝う垂れ幕が校舎にかかり、音楽室から外の景色が見られなくなってしまった。
その結果カメコは外の景色が目に入らなくなり、今までより吹奏楽の練習に集中できるようになった。
以下長い解説
あれは、一目惚れだった。
中学三年生の夏。私がマネージャーとして所属していた野球部は、悲願の県大会出場を果たした。県大会の成績は散々なものだったが、そこで私は、ウミオに出会った。自販機に飲み物を買いに行く途中、打球のイメージトレーニングをしているウミオの姿を見た。野球にひたむきな彼の姿は輝いていて、まるで夏の太陽のようだった。
あの日から、私の世界はウミオを中心に回り始めた。
ウミオについて、県選抜に選ばれるくらい優秀な選手だと聞いたことはあった。だけど、それ以外何も知らなかった。だから私は、今にして思えば少しストーカーじみていたと思うような方法で、ウミオについて調べた。彼が既にスポーツ推薦で高校を決めているという情報を仕入れるまで、ほとんど時間はかからなかった。
彼に近づくためだと思ったら、勉強も苦ではなかった。夏からの追い込みで学力を上げた私は見事同じ高校に合格し、中学でそうであったように野球部のマネージャーになろうと、野球部の部室のドアの前に立った。
野球部の部室では、ウミオはすぐに新しい仲間と打ち解けていた。そして、新入生と思われる女の子達がそんなウミオを囲んでいて、彼も満更でない様子だった。考えてみればあたりまえの話だった。あんなに強くてかっこいいウミオに、私の他にファンがいないはずがなかった。
私はそっと野球部から離れた。夢に向かってまっすぐなウミオは眩しすぎて、これ以上近づくと、炎に誘われた夏の虫のように死んでしまいそうな気がしたからだ。
結局、私は吹奏楽部に入った。勧誘していた先輩が気さくな人で、楽しそうだと思ったのが理由の一つ。もう一つは、甲子園のアルプススタンドに立ってみたい、そう思ったからだ。
吹奏楽部の練習は厳しくて大変だった。野球の強豪校であるこの高校は、同時に吹奏楽の強豪校でもあり、高校で吹奏楽を始めた私は周囲のレベルの高さに圧倒されるだけだった。でも、吹奏楽部に入って良いこともあった。練習場所である音楽室の窓からは野球部のグラウンドがよく見えた。ウミオがまっすぐな目をしてバッターボックスに立つ姿を、遠くから眺めていることができた。
ウミオが太陽だとすれば、私は惑星だな。そう思った。土星のような、確固としたものがない、虚ろな惑星。ただ太陽を眺めることしかできない、哀れな惑星。
そんな身の程をわきまえた毎日に満足していたはずなのに、ある日から、私は太陽を眺めることすら許されなくなった。
この高校の野球部のOBで、今や日本中の誰もが知るスーパースター、マクガフィンが日米通算1000安打という大記録を達成した。『祝 マクガフィン選手 大記録達成!』と校舎にはそれを祝うための垂れ幕がでかでかと掲げられ、音楽室からは外の景色が見られなくなってしまった。
当然、練習中にグラウンドを眺めることはもうできない。どうしてそうやって私の楽しみを奪うの? 私は会ったこともないマクガフィンに腹さえ立った。
それでも、私は練習を休むことはなかった。今更吹奏楽を辞めても他にすることもないし、部活のみんなのことは嫌いじゃなかった。
グラウンドを眺める時間が減ったことで、前よりも真面目に練習に打ち込めるようにもなった。
「カメコちゃん、前よりも集中して練習に取り組めるようになってきたね。いいね、その調子!」と先輩にも褒められた。悪い気分はしなかった。
強い風が吹いた。窓の外で垂れ幕がはためく。
「君も輝いてみなよ」
マクガフィンにそう語りかけられた、ような気がした。
カメコはいつも、吹奏楽部の練習場所である音楽室の窓から、野球部の様子を見ていた。しかし野球部OBのマクガフィンが大記録を達成したことで、それを祝う垂れ幕が校舎にかかり、音楽室から外の景色が見られなくなってしまった。
その結果カメコは外の景色が目に入らなくなり、今までより吹奏楽の練習に集中できるようになった。
以下長い解説
あれは、一目惚れだった。
中学三年生の夏。私がマネージャーとして所属していた野球部は、悲願の県大会出場を果たした。県大会の成績は散々なものだったが、そこで私は、ウミオに出会った。自販機に飲み物を買いに行く途中、打球のイメージトレーニングをしているウミオの姿を見た。野球にひたむきな彼の姿は輝いていて、まるで夏の太陽のようだった。
あの日から、私の世界はウミオを中心に回り始めた。
ウミオについて、県選抜に選ばれるくらい優秀な選手だと聞いたことはあった。だけど、それ以外何も知らなかった。だから私は、今にして思えば少しストーカーじみていたと思うような方法で、ウミオについて調べた。彼が既にスポーツ推薦で高校を決めているという情報を仕入れるまで、ほとんど時間はかからなかった。
彼に近づくためだと思ったら、勉強も苦ではなかった。夏からの追い込みで学力を上げた私は見事同じ高校に合格し、中学でそうであったように野球部のマネージャーになろうと、野球部の部室のドアの前に立った。
野球部の部室では、ウミオはすぐに新しい仲間と打ち解けていた。そして、新入生と思われる女の子達がそんなウミオを囲んでいて、彼も満更でない様子だった。考えてみればあたりまえの話だった。あんなに強くてかっこいいウミオに、私の他にファンがいないはずがなかった。
私はそっと野球部から離れた。夢に向かってまっすぐなウミオは眩しすぎて、これ以上近づくと、炎に誘われた夏の虫のように死んでしまいそうな気がしたからだ。
結局、私は吹奏楽部に入った。勧誘していた先輩が気さくな人で、楽しそうだと思ったのが理由の一つ。もう一つは、甲子園のアルプススタンドに立ってみたい、そう思ったからだ。
吹奏楽部の練習は厳しくて大変だった。野球の強豪校であるこの高校は、同時に吹奏楽の強豪校でもあり、高校で吹奏楽を始めた私は周囲のレベルの高さに圧倒されるだけだった。でも、吹奏楽部に入って良いこともあった。練習場所である音楽室の窓からは野球部のグラウンドがよく見えた。ウミオがまっすぐな目をしてバッターボックスに立つ姿を、遠くから眺めていることができた。
ウミオが太陽だとすれば、私は惑星だな。そう思った。土星のような、確固としたものがない、虚ろな惑星。ただ太陽を眺めることしかできない、哀れな惑星。
そんな身の程をわきまえた毎日に満足していたはずなのに、ある日から、私は太陽を眺めることすら許されなくなった。
この高校の野球部のOBで、今や日本中の誰もが知るスーパースター、マクガフィンが日米通算1000安打という大記録を達成した。『祝 マクガフィン選手 大記録達成!』と校舎にはそれを祝うための垂れ幕がでかでかと掲げられ、音楽室からは外の景色が見られなくなってしまった。
当然、練習中にグラウンドを眺めることはもうできない。どうしてそうやって私の楽しみを奪うの? 私は会ったこともないマクガフィンに腹さえ立った。
それでも、私は練習を休むことはなかった。今更吹奏楽を辞めても他にすることもないし、部活のみんなのことは嫌いじゃなかった。
グラウンドを眺める時間が減ったことで、前よりも真面目に練習に打ち込めるようにもなった。
「カメコちゃん、前よりも集中して練習に取り組めるようになってきたね。いいね、その調子!」と先輩にも褒められた。悪い気分はしなかった。
強い風が吹いた。窓の外で垂れ幕がはためく。
「君も輝いてみなよ」
マクガフィンにそう語りかけられた、ような気がした。