
夏の夜に月を眺める女。
その月が満月であった為に私は彼女に刃物の切っ先を向けた。
状況を説明してください。
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創りだすを愛する紳士淑女の皆様、良い夜だネ。
どうも、1年少しぶりに第肆拾伍回正解を創りだすウミガメの司会を務めさせてもらうOUTISだヨ。よろしくどうぞ。
** 前回はこちらだヨ **
https://late-late.jp/mondai/show/16974
第肆拾伍回…不吉な肆を除けば拾伍。
拾伍といえば十五夜満月…なんてネ。
夏は夜、なんていったのは誰だったカ、風流とは程遠い熱帯夜による猛暑…酷暑…否、獄暑の現代を生きる皆様へ、余白に踊る言の葉の上だけでも幾ばくかの涼を感じられるような問題文をご用意できていれば幸いだヨ。
ちなみに、芒という字は鋭利な物の先端といった意味も持っているらしいネ。
※「正解を創りだすウミガメ」って何?という方はこちらを参照してネ→https://late-late.jp/secret/show/d8MCaJqldjB6JV9SOlry2do4DhGUmmpYsCcIDbNu04c.
※主催からの連絡や「創りだす」への疑問はこちらを参照してネ→https://late-late.jp/secret/show/2wgwozfnBGIHYj6XOBB5pAp1m5T6aQIf2Ii8bKsEboA.
★★ 1・要素募集フェーズ ★★
[8/5(金)22:00~質問が40個集まるまでだヨ]
まず、正解を創り出すカギとなる質問(要素選出)をして頂くヨ。
☆要素選出の手順
①出題直後から、YESかNOで答えられる質問を受け付けるヨ。質問は1人4回までで頼むヨ。
②皆様から寄せられた質問の数が40個に達すると締め切りだヨ。
全ての質問のうち"5個"を出題者の独断、さらに"5個"をランダムで選ぶヨ。合計10個の質問(=要素)が選ばれ、「YES!」の返答とともに良質がつくヨ。
良質以外の物は「YesNo どちらでも構わないヨ」と回答するヨ。こちらは解説に使わなくても構わないヨ。
※矛盾が発生する場合や、あまりに条件が狭まるものは採用しないから、注意してネ。
▼矛盾例
田中は登場しますか?&今回は田中は登場しませんよね?(先に決まった方優先)
▼狭い例①
ノンフィクションですか?(不採用)
▼狭い例②
登場キャラは1人ですか?(不採用)
▼狭い例③
ストーリーはミステリー・現実要素ものですよね?(不採用)
要素が揃った後、問題文と共にまとメモに要素を書き出すヨ。
★★ 2・投稿フェーズA ★★
[要素決定~8/21(日)23:59]
要素が決定したら、選ばれた要素を取り入れた解説を投稿する『投稿フェーズA』に移行するヨ。
各要素を含んだ解説案を投稿してネ。
らてらて鯖の規約に違反しない範囲で、思うがままに自由な発想で創りだそうネ!
※過去の「正解を創りだす(らてらて鯖版・ラテシン版)」も参考にしてネ。
** ラテシン版 **
http://sui-hei.net/tag/tag/%E6%AD%A3%E8%A7%A3%E3%82%92%E5%89%B5%E3%82%8A%E3%81%A0%E3%81%99%E3%82%A6%E3%83%9F%E3%82%AC%E3%83%A1
** らてらて鯖 **
https://late-late.jp/tag/tag/%E6%AD%A3%E8%A7%A3%E3%82%92%E5%89%B5%E3%82%8A%E3%81%A0%E3%81%99%E3%82%A6%E3%83%9F%E3%82%AC%E3%83%A1
☆作品投稿の手順
①投稿作品を、別の場所(文書作成アプリなど)で作成してネ。
質問欄で文章を作成していると、その間他の方が投稿できなくなってしまうヨ。
コピペで一挙に投稿を心がけてネ。
②すでに投稿済みの作品の末尾に終了を知らせる言葉の記述があることを確認してから投稿してネ。
記述がない場合、まだ前の方が投稿の最中である可能性があるヨ。
しばらく時間をおいてから再び確認してネ。
③まずタイトルのみを質問欄に入力してネ。
後でタイトル部分のみを[良質]にするヨ。
④次の質問欄に本文を入力してネ。
「長文にするならチェック」がなくなったから、私が長文許可を忘れてなければそのまま質問欄にて改行込みでのコピペが可能のはずだヨ。
⑤本文の末尾に、おわり、完など、終了を知らせる言葉を必ずつけてネ。
⑥ロスタイムに投稿する場合はタイトルに<ロスタイム>とつけてネ。
⑦次回主催者辞退制度、今回も採用するヨ。もしシェチュ王になっても主催を辞退したい場合は投票会場やミニメールなどで主催に伝えてネ。
★★ 3・投稿フェーズB ★★
[8/22(月)0:00~8/28(日)23:59]
今回は本来の投稿フェーズが終わっても更にもう1週間夏休みスペシャルという事で投稿フェーズを設けるヨ。
このフェーズで投稿された作品は、投稿フェーズAで投稿されたものと同様に投票対象になるけれど、シェフ参加賞のコインの対象にはならないヨ。注意してネ。
ただし、投稿フェーズAでも投稿されていた場合にはシェフ参加賞のコイン対象になるヨ。
また、この期間の後でも従来通りメイン投票対象外となるロスタイム投稿は受け付けるヨ
★★ 4・投票フェーズ ★★
[投票会場設置後~9/6(土)23:59]
投稿期間が終了したら、『投票フェーズ』に移行するヨ。
お気に入りの作品、苦戦した要素に投票してネ。
☆投票の手順
①投稿期間終了後に別途、「正解を創りだすウミガメ・投票会場(闇スープ)」を設置するヨ。
②作品を投稿した「シェフ」は3票、投稿していない「観戦者」は1票を、気に入った作品に投票できるヨ。
※ロスタイム、投票対象外作品を投稿したシェフも、持ち票は3票とするヨ。
その他詳細については投票会場に記すヨ。
※投票は、1人に複数投票でも、バラバラに投票しても構わないヨ。
※自分の作品に投票は出来ないヨ。その分の票を棄権したとみなすからネ。
※投票自体に良質正解マーカーはつけないヨ。
③皆様の投票によって、以下の受賞者が決定するヨ。
◆最難関要素賞(最も票を集めた要素)
→その質問に[正解]を進呈
◆最優秀作品賞(最も票数を集めた作品)
→その作品に[正解]を進呈
◆シェチュ王(最も票数を集めたシェフ=作品への票数の合計)
→全ての作品に[正解]を進呈
見事『シェチュ王』になられた方には、次回の「正解を創りだすウミガメ」を出題してもらうヨ!
※票が同数になった場合のルール
◆最難関要素賞
◆最優秀作品賞
→同率で受賞だヨ。
◆[シェチュ王]
獲得票数が同率の場合、最も多くの人数から票を獲得したシェフが受賞するヨ。(投票者の頭数だネ。)
それでも同率の場合、出題者が事前に投じた3票を計算に入れて、再集計するヨ。
それでもなお同率の場合は、最終作品の投稿が早い順に決定させてもらうヨ。
■■ タイムテーブル ■■
☆要素募集フェーズ
8/5(金)22:00~質問数が40個に達するまで
☆投稿フェーズA
要素選定後~8/21(日)23:59まで
☆投稿フェーズB
8/22(月)0:00~8/28(日)23:59まで
☆投票フェーズ
投票会場設置後~9/6(土)23:59まで ※予定
☆結果発表
9/7(日)00:00 ※予定であって、遅れる可能性は十分にあるヨ
◇◇ コインバッジについて ◇◇
シェチュ王……400c
最優秀作品賞…100c
最難関要素賞…10c
シェフ参加賞…15c
投票参加賞……10c
要素採用賞……10c
上記の通り、賞に応じてコインコードを発行する予定だヨ。皆様お気軽に参加していただけると幸いだヨ。
※「最優秀作品賞」および「最難関要素賞」については、1名分のコインコードしか用意できないヨ。
このため同率受賞の場合は、先に投稿された要素/作品の投稿者の方にコインコードを贈呈させてもらうヨ。
毎度、長い説明を丁寧に読んでくれた皆様には感謝の言葉とともに…それでは、これより『要素募集フェーズ』を始めるヨ。質問は一人4回までだからネ。
Are you ready?


現在投稿フェーズA(8/21まで) 毎日小クイズ出題


クッキーを焼きますか?

YESNO 関係ないヨ
クッキーを沢山作り、そのクッキーを使いおばあさんを増やして更にクッキー生産の効率化を目指すゲームの名称は?
[編集済]


ケーキを焼きますか?

YESNO 関係ないヨ
その名前は小麦粉、卵、砂糖、バターという4つの材料を同じ量ずつ混ぜて焼いた事に由来する、質量の単位を冠するケーキの名は?
昨日の答え:クッキークリッカー


タルトを焼きますか?

YESNO 関係ないヨ
その由来はある姉妹がりんごのタルトを作ろうとした際にタルトの生地を忘れて焼いてしまったという、その姉妹の名を冠したタルトの名は?
昨日の答え:パウンドケーキ


手紙を焼きますか?

YESNO 関係ないヨ
「ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いたとき」という楽曲も作曲したとされる、ドイツの作曲家の名は?
昨日の答え:タルトタタン


にぶいですか?

YESNO 関係ないヨ
元は切れ味の鈍い刀を指す、役に立たない人間を指す言葉を何という?
昨日の答え:モーツァルト(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)


蛍がいますか?

YESNO 関係ないヨ
七十二候の一つにもその名が残る、昔は蛍がこれからなったと表現されていたことからついた蛍の異名をなんという?
昨日の答え:なまくら


棒のようになりますか?

YESNO 関係ないヨ
足が「」なる に入れて慣用句になるのは「棒に」
腕が「」なる に入れて慣用句になるのは?
昨日の答え:朽草(腐草)


ももは登場しますか?

YESNO 関係ないヨ
桃が登場する日本神話にて、イザナギが黄泉の国の者に追われ桃を投げ追い払ったとされる、黄泉の国と地上との境にあるとされる坂の名前は?
昨日の答え:なし(腕が鳴る)


どちらかと言えば消極的ですか?

YESNO 関係ないヨ
安楽死の中でもどちらかというと消極的な安楽死である、延命治療を行わないことで患者の苦痛を長引かせない対処の事を漢字3字でなんという?
昨日の答え:黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)


どこまでも伸びますか?

YESNO 関係ないヨ
遠近法において、視線と平行な線などをどこまでも伸ばしていった際にそれらが交わる点のことをなんという?
昨日の答え:凍


青いですか?

YESNO 関係ないヨ
古く日本では色は「青・白・赤・黒」の四色でありその意味は赤は明るい、黒は暗い。では青の意味は?
昨日の答え:消失点
要素選定するからちょっと待っててネ
問題文中で採用された要素には「Yes」で返答すると記述していたけれど、今回No良質採用も行わせていただくヨ
それでは、これより解説投稿フェーズAに入るヨ。
10の要素すべてを用いて解説を投稿してネ。
今回は文字数制限・簡易解説の縛りは無いヨ。
各種項目はまとめもにまとめておくから活用してネ。[編集済]


初っ端から景気が悪くて申し訳ありませんが、万が一の場合、開催に不安があるので【投票対象外】の投稿です。
なので、読んでも読まなくてもどちらでも構いません。
----------
きゅうけつ-き【吸血鬼】
〔英・仏・羅〕vampire 〔伊〕vampiro 〔独〕Vampir
生物の血を吸う妖魔。提喩としてドラキュラと呼ばれることもある。多くの作品では、人の形をしており、こうもりに変身が可能とされる。また、招き入れられないと家に入れない、鏡に映らないなどの特徴もあわせ持つ場合がある。弱点は、太陽光・大蒜・流水・銀の杭など。バンパイア。(大原大志ら編『創作のためのビジュアル架空生物事典』より)
【Vampire Syndrome】ヴァンパイア・シンドローム
一九二一年、イギリスの民俗学者エバンズと、医師ミルトンが連名で報告した稀な病。重度の光線過敏症・軽度の恐水症状・偏食・貧血などの症状に吸血衝動が伴う。ミルトン=エバンズ病。ミルトンは病の原因を、栄養素、特に鉄分の欠乏であるとした。二人は風土病と考えたが、Lady Mと二人が仮称する少女の他、イギリスで四例、フランスで一例報告されている。ミルトンの誤診もしくは捏造、少女による詐病、などの批判が相次ぎ、二人は報告を取り消した。最後の報告はLady Mの治療に成功したというものだったが、その方法は残っていない。当時の連載小説で多く題材となったが、現代の主たる医学書には記載のない幻の病である。医師であり作家のエミリー・キャロル(一九七七~)はエッセイ「吸血鬼として生きた少女」で、精神疾患の一種と述べている。(Osmand Corder, "Diseases as Culture", 拙訳)
◎
一九一八年、秋。
依頼の帰り、無人のはずの書斎で音がした。何かを蹴るような音だ。しまったとばかりに音はやんだが、目撃者がいたなら面倒だ。仮面はつけているが、油断して、声を出してしまった。
一つの本棚の前で立ち止まる。何か違和感があった。本を抜き取ろうとしたとき、違和感の正体に気がついた。この本棚だけ、すべての本が接着されているのだ。私は試しに本棚をこちら側に倒してみた。すべての本を接着する理由は、散らばったときに面倒だからだろうと考えたのだ。
予感は的中した。本棚の後ろには檻があり、中には少女が一人。一二歳くらいだろうか。彼女は、怯えたような表情で私を見ていた。
こういう反応には慣れている。
私は近づき、ナイフを振り下ろそうとした。
が、その眼を見て躊躇った。その眼は私に怯えているのではなく、世界そのものに怯えている眼だった。
仕事を知らなかった、昔の私の眼。
私は机の引き出しにあった鍵を檻へと乱暴に放り、その場を立ち去ろうとした。
「……待って! わたしも、連れて行ってください……」
そんな声が聞こえるまでは。
◎
少女はミラと名乗った。
本名かどうかは分からないし、どうでもいい。私は隠れ家へ、彼女を連れ帰った。
ミラにパンを与えたが、食べようとしない。私は、オレンジをかじりながら訊ねた。
「食べないの?」
「わたし、血しか飲めないんです」
「そう、可哀想だね。オレンジも食べられないなんて」
「オレンジがお好きなんですか」
「血がオレンジの香りだったら、いくらでも飲むよ」
「わたしにとってはオレンジの香りです」
ミラは、わずかに笑みを浮かべながらいった。冗談のつもりではなかったので心外だったが。
「怖くないんですか?」
「血ならいつも見ているから」
「いつもこんなことを?」
「仕事だからね。あの変態に捕まったのは、それが理由?」
「私、昔から変なんです。日にあたると肌がただれて、肌も青白くて。八歳のとき、ペットの犬が怪我をしたとき、その血を啜りたくなりました。……両親は、不気味がりました」
ミラの説明によれば、私が殺した男とミラの両親は、ミラが八歳のときにはすでに契約をしていたらしい。潰す動物の値段と車一台分の値段。それがミラを売る条件だった。一二歳の誕生日に出荷(と男はいったらしい)するように。そして送られたばかりのミラを、わたしが無料で拝借したわけだ。
「でも噛まないでしょう?」
ミラは苦笑した。
「ふつうの人はそうやって割り切れませんよ。噛まないから安心ってわけじゃないんです」
暴力を振るわないだけマシだと思うのだが、そういうものなのだろうか。
◎
数か月して、冬になった。
「はい、ご飯」
仮面を外すと、スイッチがオフになる。
私は、革袋に入れた血を、いつものようにミラに差し出した。
「ありがとうございます。ここにいれば、お腹がすく暇もありませんね」
逃げたら殺すと警告していることへのあてこすりかとも思ったが、そういうわけではなさそうだった。
相変わらずほかの人間の表情は読めないが、ミラの表情の変化は読めるようになってきた。
「……でも、その。私は、ルーナさんが心配です」
「きみに心配されることは、何もないよ」
ルーナは私の名前だ。私が名乗らないので、勝手につけられた。
「ルーナさんは辛くないんですか?」
「こうして温かい場所で、温かいパンを食べられれば、充分だよ」
「でも、ふつうなら、そんなことをしなくても――」
「それに、きみもだけど、私も逃げられないんだ」
「え?」
「ずっと、監視されている」
◎
「最近、ペットの世話で忙しいようだな」
春になり、監視人がいった。
「ええ、まあ」
「仕事を断ることが増えたのは、そのせいか?」
「そういうわけでは」
「ボスは、獣臭いのが苦手だ。いくらグズでも、この意味はわかるだろう?」
タイムリミットだ。
◎
私はミラを連れて町を出た。
打ち捨てられた山小屋で動物を狩り、暮らした。ミラも跳ねる兎を捕まえることができるようになった。
組織による山狩りが行われたのは、そんなときだった。
ミラの風邪薬を買いに町へ降りた私を、組織の人間が見たらしい。私のミスだ。
まだこの小屋は見つかっていないが、見つかるのは時間の問題だろう。
私はミラが眠っている間に仮面をつけ、小屋を出ようとした。
「ルーナ」
「……」
「どこへ行くんですか? その仮面は」
「ミラには関係ない」
「関係あります!」
大きな声を出し、喉を痛めたのか、ミラは咳き込んだ。
「追手が来るからここを引き払う。悪いけど、足手まといはいらないからね」
私は、冷たい声をだした。
「ねえ、ルーナ。また会えますよね」
私は答えなかった。
「わたし、もう一人は嫌なんです。ねえルーナ――あなたと過ごした日々は、本当に楽しかった。いえ、今も楽しいです。だから――」
踵を返し、小屋をでる。
ああ。
私もだよ、ミラ。
●
わたしは、小屋を抜け出すことにした。足手まといがいなければ、殺す必要さえなければ、ルーナなら逃げられるに決まっている。
雨がわたしの身体を鞭打った。雨はずっとやまなかった。それでも、晴れているよりはマシだった。
途中、血の臭いがした。
わたしは血に吸い寄せられるように、その場所へ近づいた。
死体。
ルーナのではない。
わたしは安堵する。ルーナのではない女の人だ。
首をナイフで一突き。ルーナがあの男にやった手口と同じだった。
わたしは血を吸い、その場を立ち去った。
死体は、点々と転がっていた。
血の臭いを辿れば、ルーナに辿りつく。
わたしは、自分がどうしたいのかわからなかった。ルーナの足手まといになりたくないと思いながらも、ルーナのいる場所を辿っている。
体力が消耗したのか、死体の距離は短くなっている。
そうして歩き続けて少し開けた場所へ出たとき、話し声が聞こえた。
「やっと見つけたぞ」
「女一人を見つけるのに、一年がかりか? 組織の力も、落ちたものだ」
やっぱり、ルーナはわたしを守ろうとしている。
わたしは胸がいっぱいになった。
「おっと――二人だ。忘れてやるなよ。監視を殺してまで駆け落ちした仲だろう?」
「……」
「ミラといったな。小屋で捕まえたよ。お前と違って、随分と可愛いらしい娘じゃないか。お前が夢中になるのも無理はない。俺たちにやられる前に、やっておいたか?」
男はルーナを動揺させようとしている……。おそらく、小屋に入ったのは事実だ。でも、わたしはここにいる。名前を知られている理由として考えられるのは、文字の練習をしたノートを読まれたことだ。
だが、そこに勝機があった。向こうのほうが実力が圧倒的に上なら、こんなことをする必要はない。
だから、わたしがするべきことは。
「ルーナ!」
大声をあげて、男の注意をそらすことだ。
男がこちらを向いたその隙に、ルーナは素早く、男の胸を刺した。
「……どうして」
「わたしのせいでごめんなさい、ルーナ」
「どうしてここに来たの? いったでしょ? 足手まといはいらない」
「ルーナ、わたしがそんなに馬鹿に見えますか?」
「……」
ルーナはふてくされたような顔をした。
表情が読みにくい顔だけれど、わたしは、わたしだけはルーナの表情がわかる。
「ねえルーナ……わがままをいいます」
「だめといったら?」
「良いっていうまで離しません」
「……」
「わたし、ずっとルーナといたいです。もし死ぬことになったとしても」
わたしも、きっとルーナも、ずっと一人だった。
それでも二人になることができた。二人の日々は楽しかったから――欲張りなわたしは、それを捨てられそうにない。
そしてまた一人になるまで、ずっと。
◎
あの山をあとにして、べつの国へ逃げた。
この国の言葉はわからないが、だからこそ、追手もない。
山で迷子になっていた民俗学者を助け(何とかという遺跡のフィールドワークに来たらしい)、雑談をよそおって相談すると、信頼できる医師を知っているというので、その縁に頼った。
ミラの症状は、徐々に改善している。
ミラと穏やかな時間を過ごせることは嬉しかった。
満月の夏夜だった。
私は外で月を眺めているミラに話しかけた。
「ミラ、今日が誕生日だったよね」
「……そうなんですか?」
「これ、気にいるかわからないけど」
町で買ってきた髪飾りだった。
「つけていいですか」
私は頷く。
「……ねえルーナ、これ、似合ってます?」
「似合っているよ」
「可愛いですか?」
「確かめてごらん」
わたしはナイフにミラの顔を映し出す。
今夜は満月。
夜でも光は充分だ。
「暗くてわからないです。……ねえルーナ、可愛いですか?」
(おしまい)
----------
①お腹は減らない(9)
▼ここにいれば、お腹がすく暇もありませんね
②「またね」よりも「さよなら」(17)
▼「ねえ、ルーナ。また会えますよね」
▼私は答えなかった。
③そしてまた一人になる(20)
▼そしてまた一人になるまで、ずっと。
⑤晴れなかった(23)
▼雨はずっとやまなかった。
④変化する(21)
▼ミラの表情の変化は読めるようになってきた
⑥うさぎがはねた(27)
▼ミラも跳ねる兎を捕まえることができるようになった
⑦噛まないから安心ではない(32)
▼「噛まないから安心ってわけじゃないんです」
⑧血液はオレンジの香り(34)
▼わたしにとってはオレンジの香りです
⑨仮面は関係ない(38)
▼「どこへ行くんですか? その仮面は」
▼「ミラには関係ない」
⑩楽しい(40)
▼「〔…〕あなたと過ごした日々は、本当に楽しかった。いえ、今も楽しいです〔…〕」
----------
簡易解説:刃物に女の顔を反射させ、髪飾りが似合っていることを確認させた。
(本当の本当に終わり)

回答はまだです。


※AとBには任意の作品のキャラクター名を入れるとたのしいかもしれません。
(なお当方では一切の責任を負いかねます)
【簡易解説】
満月ならもっと光の量が多いはずなので、
漫画キャラのBにかかっている影を表すスクリーントーンを切り取るためにBにカッターの先を向けた。
―――――――
需要と供給。消費と生産。私はいやしくも生産者の側でもある人間なのだけれども、
最近いまいち、こう…自ジャンルの趨勢が変化して(21)、いいやはっきり言ってしまおう、熱量が減ってきたのを感じる。
あんなに何度も読み返していた新刊も本棚へ「またね」よりも古本屋に「さよなら」(17)が増えてきた。買うのも半ば義務というか、惰性というか。
今まで投資し続けてたんだから、最後まで見届けないと勿体ないというか。コンコルドの誤謬的なあれだ。
何というか、公式が好きというよりファンが記号化した二次創作上のキャラクター達が好きなんだろうなぁ。
我がことながら言語化すると微妙な気分になる。おまえそれファンって言えんの?自答するもモヤモヤは晴れない(23)。
人の体は食べたもので出来ているという。
いま血吸われたらエナジードリンク由来でオレンジの香りがする(34)んだろうか?
…ハロウィンに向けて喰種や吸血鬼とかのパロも良いなぁ…
Bだけは喰ったり噛んだりしない人外AとAに対する殺意の高い人外ハンターBの不穏なやつ(32)とか。
結局どっちかがいなくなってまた一人になる(20)死別ENDっぽいなぁ…
おっとその前に今の原稿チェックだ!!
B女体化動物パロのABで(我ながら業の深い設定だ)
夏の終わりの満月を眺めるうさぎのBとその横顔を見つめるオオカミのA、
声を掛けられて肩が跳ねる(27)B、
ん?
満月だったらもっとBに光が当たってるんじゃないか?
よし、、カッターでBのトーンを切り取ろう。
PC持ってるくせに絵はアナログなのですよ。
ネットでいっぱいいっぱいの安ノートですから。
あー危ない危ない…
作品作りに夢中になっている間は空腹も眠気も忘れる(9)程没頭できる。
何故書くのかって、畢竟楽しい(40)からだ。
同好の士からの感想なんか頂いた日には対一般人用の仮面も関係なく(38)、人様にはいっそうお見せできない顔でPCの前でぐへぐへと喜んでしまう。
なんだ、やっぱりまだまだ好きなんじゃないか。どの道まっとうじゃないにせよ。
【おわり】

回答はまだです。


【簡易解説】
夏の夜に、増えるミカンを斬るよ。
-----------
【詳細解説】
彼女、被検体Oは改造ミカンである。
和歌山シェルターの技術の粋を集めて生まれた異端の存在・マザーミカン。
少しでも親しみが持てるように、と仮面で顔を付けてみたものの、
かつてミカン農家だった私以外の人間にとっては全く関係なかった。(38)
僅かな光で光合成し、細胞分裂のごとく増殖するソレは、生産の在り方を変化させた。(21)
マザーたる彼女がいる限り、ミカンは無限に増殖することができる。
倉庫が一杯になるまで放置され。
そして、娘細胞体は出荷され、各地で孫細胞体を生産することになる。
出荷後、彼女はまた一人になる。(20)
彼女がいる限り、シェルターの住民のお腹は減らず、楽しく暮らせることが約束されていた。(9)(40)
しかし、ある夏に各地のシェルターが破損した。
隕石とも、他県からの攻撃とも言われるそれは、各地に重大な損傷を与えた。
日中は晴れていなかったが、それでも僅かな光で彼女達は増殖し続けた。(23)
晩になっても雲が出ていれば、あるいは満月でなければ、結末は違っていたのかもしれない。
しかし、夜には雲一つなく、そして満月だった。
昼も夜も制御を失った彼女達は増殖した。とにかく増殖した。増殖し続けた。
彼女達はミカンだ。ゾンビではない。
溢れかえっても噛んだり感染したりしない。
だが、だからなんだというのか。(32)
増殖し続けたミカンによってシェルター内の破損は更に広がり、最早僅かな光制御能すら失われている。
このままではこのシェルター、いや世界……宇宙の終わりだ。
既に決断のための猶予はなかった。
ミカン農家だった私は。プラズマミカンカッターを手にした私は。
彼女にそれを。かつて「またね」と送り出したあの子にそれを。
彼女に「さよなら」を。(17)
首切りウサギの刎ねる首がごとく、マザーの房は宙を舞い。(27)
噴き出した果汁で、
倉庫内は咽せ返るほどのオレンジの香りが充満していた。(34)
--------------
次回作
しかし、私は気付いていなかったのだ。
倉庫の片隅に、彼女の「種」が残っていたことに。
この宇宙に「さよなら」を。
==============
【お わ り】

回答はまだです。
参加者一覧 14人(クリックすると質問が絞れます)
































夏の夜に月を眺める女。
その月が満月であった為に私は彼女に刃物の切っ先を向けた。
状況を説明してください。
--------------------------------------
①お腹は減らない(9)
②「またね」よりも「さよなら」(17)
③そしてまた一人になる(20)
④変化する(21)
⑤晴れなかった(23)
⑥うさぎがはねた(27)
⑦噛まないから安心ではない(32)
⑧血液はオレンジの香り(34)
⑨仮面は関係ない(38)
⑩楽しい(40)
要素は全て使用・文字数制限無し・簡易解説は必須ではない
