「ずっと好きだったんだぜ」「5Good」
トリック:1票物語:4票
カナはずっと好きだったユウキから告白されて落ち込んだ。
なぜ?
なぜ?
18年08月15日 22:28
【ウミガメのスープ】 [ちるこ]
【ウミガメのスープ】 [ちるこ]
解説を見る
私は守山カナ、高校2年生。私にはマナという双子の妹がいる。
私はマナと同じクラスのユウキくんに恋をしていた。
「マナはいいなー、ユウキくんと同じクラスで」
「……じゃあ、交換しちゃう!?」
「え?」
私とそっくりな顔でニンマリ笑うマナ。これは、いたずらを企んでいる時の顔だ。
次の日、私はマナのクラスに、マナは私のクラスに登校した。
お互いの髪型を真似て鞄や靴を交換したら、自分でも自分がマナだと信じてしまいそうなくらいの仕上がりになった。
もともと親でも間違うほど瓜二つな私たち。クラスメイトが気づくはずない。
案の定、マナがいつも一緒にいる友達は何の疑いもなく私に接してくれた。
これはなかなか楽しいかもしれないとほくそ笑みながら自分の席に着くと、後ろから声をかけられた。
「守山さん?おはよう」
ユウキくん!
慌てて挨拶を返す。続けてユウキくんが何か喋ろうとしたけれど、すぐに先生が入って来てホームルームが始まってしまった。
残念だけど動揺して顔に出ちゃちそうだし、ちょうど良かったかも……。
誰にも入れ替わりを指摘されることもなく放課後を迎えた。
今日1日、想像していたよりもかなり楽しかった。マナの友達は良い子ばっかりだし。こんなにユウキくんと喋れたのも初めてだし。
またやってみてもいいかもな、なんて思いながら帰る準備をしていると、ユウキくんに呼び止められた。
「守山さん、時間ある?」
「え?」
「話があるんだ」
あれあれ?これはどういう展開なの?
言われるがままにユウキくんの後をついていくと、屋上についた。
ユウキくんは私の正面に立って、何やら緊張した表情を浮かべている。
ちょっと待って、まさか、これって……。
「ずっと好きでした」
……ああ、まさかユウキくんに告白される日が来るなんて。
ユウキくんが私を見て「好き」って言ってくれている。まるで夢のよう。
でも、今の私はマナ。
つまり、ユウキくんが好きなのは……。
ユウキくん、どうしてよりによって今日を選んだの?
これは入れ替わってヘラヘラしていた私への罰なの?
どうすれば良いのかわからなくなった私は、何を答えることもできず、走ってその場を後にしたのだった。
【正解条件】
カナとマナは双子の姉妹で、マナになりすましている時にユウキに告白されたカナは自分の失恋を知り、落ち込んだ。
【解答のその後のおまけ】
カナが帰宅してすぐに、マナはユウキに電話をかけた。
「ちょっと、カナに何したの!?カナ泣きながら帰って来たんだけど!」
「いや、泣きたいのは俺の方だよ……。告白したけど、返事もしないで逃げられた。これ脈ナシってことだよな……」
「はあ?そんなわけないでしょ!」
「なんでそんなこと言えるんだよ?つーかお前、前もって言っておけよな。守山じゃなくて守山さんがうちのクラスにいるなんてビックリするだろ!」
「どっちも守山だから!私の方がビックリしたよ、ユウキ朝一で気づいて私にラインしてくるんだもん」
「いやいや、守山と守山さんは全然違うだろ」
「気づいたのユウキだけなんですけど。……それにしても、どういうこと?告白の仕方が悪かったんじゃないの?」
「俺は『ずっと好きでした』ってハッキリ言ったよ!そしたら守山さん、困った顔になって、涙ぐんで、走っていなくなっちゃったんだよ」
「……ユウキ、ちゃんとマナじゃなくてカナのことが好きって言った?」
「本人に伝えるんだから、わざわざそんなこと言わないだろ」
「バカ……。カナは私になりすましてたんだから、ユウキが私のことを好きだって勘違いしたんじゃないの?」
「……まさか、そんなことあるかよ」
「絶対そう!あー、コソコソ協力しようとした私がバカだった!……カナー!!電話!!」
「え、ちょ」
マナが大声でカナを呼ぶと、目を腫らしたカナが何事かとマナの部屋に入ってきた。
マナは何も説明せずにカナに電話を渡して喋るように促す。不思議そうに電話を耳に当て、相手の声を聞いたカナの泣き顔が驚いた顔に変わった。
やがてその表情に喜びが滲み出す様子を見守って、マナはそっと部屋を出たのだった。
私はマナと同じクラスのユウキくんに恋をしていた。
「マナはいいなー、ユウキくんと同じクラスで」
「……じゃあ、交換しちゃう!?」
「え?」
私とそっくりな顔でニンマリ笑うマナ。これは、いたずらを企んでいる時の顔だ。
次の日、私はマナのクラスに、マナは私のクラスに登校した。
お互いの髪型を真似て鞄や靴を交換したら、自分でも自分がマナだと信じてしまいそうなくらいの仕上がりになった。
もともと親でも間違うほど瓜二つな私たち。クラスメイトが気づくはずない。
案の定、マナがいつも一緒にいる友達は何の疑いもなく私に接してくれた。
これはなかなか楽しいかもしれないとほくそ笑みながら自分の席に着くと、後ろから声をかけられた。
「守山さん?おはよう」
ユウキくん!
慌てて挨拶を返す。続けてユウキくんが何か喋ろうとしたけれど、すぐに先生が入って来てホームルームが始まってしまった。
残念だけど動揺して顔に出ちゃちそうだし、ちょうど良かったかも……。
誰にも入れ替わりを指摘されることもなく放課後を迎えた。
今日1日、想像していたよりもかなり楽しかった。マナの友達は良い子ばっかりだし。こんなにユウキくんと喋れたのも初めてだし。
またやってみてもいいかもな、なんて思いながら帰る準備をしていると、ユウキくんに呼び止められた。
「守山さん、時間ある?」
「え?」
「話があるんだ」
あれあれ?これはどういう展開なの?
言われるがままにユウキくんの後をついていくと、屋上についた。
ユウキくんは私の正面に立って、何やら緊張した表情を浮かべている。
ちょっと待って、まさか、これって……。
「ずっと好きでした」
……ああ、まさかユウキくんに告白される日が来るなんて。
ユウキくんが私を見て「好き」って言ってくれている。まるで夢のよう。
でも、今の私はマナ。
つまり、ユウキくんが好きなのは……。
ユウキくん、どうしてよりによって今日を選んだの?
これは入れ替わってヘラヘラしていた私への罰なの?
どうすれば良いのかわからなくなった私は、何を答えることもできず、走ってその場を後にしたのだった。
【正解条件】
カナとマナは双子の姉妹で、マナになりすましている時にユウキに告白されたカナは自分の失恋を知り、落ち込んだ。
【解答のその後のおまけ】
カナが帰宅してすぐに、マナはユウキに電話をかけた。
「ちょっと、カナに何したの!?カナ泣きながら帰って来たんだけど!」
「いや、泣きたいのは俺の方だよ……。告白したけど、返事もしないで逃げられた。これ脈ナシってことだよな……」
「はあ?そんなわけないでしょ!」
「なんでそんなこと言えるんだよ?つーかお前、前もって言っておけよな。守山じゃなくて守山さんがうちのクラスにいるなんてビックリするだろ!」
「どっちも守山だから!私の方がビックリしたよ、ユウキ朝一で気づいて私にラインしてくるんだもん」
「いやいや、守山と守山さんは全然違うだろ」
「気づいたのユウキだけなんですけど。……それにしても、どういうこと?告白の仕方が悪かったんじゃないの?」
「俺は『ずっと好きでした』ってハッキリ言ったよ!そしたら守山さん、困った顔になって、涙ぐんで、走っていなくなっちゃったんだよ」
「……ユウキ、ちゃんとマナじゃなくてカナのことが好きって言った?」
「本人に伝えるんだから、わざわざそんなこと言わないだろ」
「バカ……。カナは私になりすましてたんだから、ユウキが私のことを好きだって勘違いしたんじゃないの?」
「……まさか、そんなことあるかよ」
「絶対そう!あー、コソコソ協力しようとした私がバカだった!……カナー!!電話!!」
「え、ちょ」
マナが大声でカナを呼ぶと、目を腫らしたカナが何事かとマナの部屋に入ってきた。
マナは何も説明せずにカナに電話を渡して喋るように促す。不思議そうに電話を耳に当て、相手の声を聞いたカナの泣き顔が驚いた顔に変わった。
やがてその表情に喜びが滲み出す様子を見守って、マナはそっと部屋を出たのだった。
「ウミガメの前のスープ」「5Good」
トリック:4票納得感:1票
とある海の見えるレストランに入った男は、窓から見える海が遮るものなくどこまでも青く澄み渡っていたので、「期待はずれだ」と不満げである。
一体なぜ?
一体なぜ?
19年04月07日 21:23
【ウミガメのスープ】 [くらげ]
【ウミガメのスープ】 [くらげ]
作らなければならない気がした
解説を見る
男が訪れたのは海中レストラン。
男は水中を泳ぐ色とりどりの魚を見るのを楽しみにしていたが、どこを見てものっぺりと水色一色の景色を見て、がっかりしたのである。
※ウミガメの前のスープ→海が目の前のスープ
男は水中を泳ぐ色とりどりの魚を見るのを楽しみにしていたが、どこを見てものっぺりと水色一色の景色を見て、がっかりしたのである。
※ウミガメの前のスープ→海が目の前のスープ
「観察眼」「5Good」
トリック:2票納得感:3票
カメオとカメコはとても仲が良いカップルだ。
カメコが髪型や服装を変えればカメオはカメコの容姿を褒める。
カメコはお洒落をして、カメオに褒めてもらう事が嬉しいのだ。
だから、たまにカメオが変化に気づかなかった時には、カメコは怒る。
ある日の事、カメコに明らかな変化があったのにも関わらず、カメオはそれに気付かない。
しかも、カメコはカメオの事を一切怒らなかったのだ。
一体何故?
カメコが髪型や服装を変えればカメオはカメコの容姿を褒める。
カメコはお洒落をして、カメオに褒めてもらう事が嬉しいのだ。
だから、たまにカメオが変化に気づかなかった時には、カメコは怒る。
ある日の事、カメコに明らかな変化があったのにも関わらず、カメオはそれに気付かない。
しかも、カメコはカメオの事を一切怒らなかったのだ。
一体何故?
18年09月27日 17:50
【ウミガメのスープ】 [キャノー]
【ウミガメのスープ】 [キャノー]
時々起こる、日常ミステリー。
解説を見る
カメオとカメコはアニメのキャラクター。
ある日、カメコの声を演じていた声優が亡くなってしまい、
アニメの制作陣はカメコの声優を新たに探さなければならなかった。
こうして、アニメの中に登場するカメコは、声優の交代によって「明らかに声が変わってしまった」が、
声優の交代という事情がアニメ内で触れられるはずもなく、
カメオは声の変化に一切気付かなかった(ストーリー上で触れられなかった)し、
キャラである以上、「自分の声の変化に気づけない」カメコ本人も、カメオに怒るハズが無かった。
質問返答への補足
09→非常に残念ながら、声優さんのご都合により、様々なアニメで、この現象は起きています。
15→声優さんがいなくなったという意味では、あながち喋れなくなったというのも間違いではない。
16→アニメは現実じゃない。
22→怒れるはずが無い。だってカメコ本人は声が変わった事を自覚していないから。
39→人間の視聴者なら、容易に声の変化に気づける。だが、アニメの登場人物達は何があっても気づかないだろう。
62→「何か」とは、アニメのスタッフロールで出てくる声優さんの表記の事である。
66→アニメのキャラであるカメコは、声優さんがマイクを介して喋っている。
ある日、カメコの声を演じていた声優が亡くなってしまい、
アニメの制作陣はカメコの声優を新たに探さなければならなかった。
こうして、アニメの中に登場するカメコは、声優の交代によって「明らかに声が変わってしまった」が、
声優の交代という事情がアニメ内で触れられるはずもなく、
カメオは声の変化に一切気付かなかった(ストーリー上で触れられなかった)し、
キャラである以上、「自分の声の変化に気づけない」カメコ本人も、カメオに怒るハズが無かった。
質問返答への補足
09→非常に残念ながら、声優さんのご都合により、様々なアニメで、この現象は起きています。
15→声優さんがいなくなったという意味では、あながち喋れなくなったというのも間違いではない。
16→アニメは現実じゃない。
22→怒れるはずが無い。だってカメコ本人は声が変わった事を自覚していないから。
39→人間の視聴者なら、容易に声の変化に気づける。だが、アニメの登場人物達は何があっても気づかないだろう。
62→「何か」とは、アニメのスタッフロールで出てくる声優さんの表記の事である。
66→アニメのキャラであるカメコは、声優さんがマイクを介して喋っている。
「死の予感」「5Good」
トリック:1票納得感:4票
最愛の妻を亡くし、高校生の娘を男手一つで育てている男。
男の仕事が忙しい平日はもちろんのこと、
せっかくの休日も娘が出かけているか、自室にこもってスマホをいじっているかで家庭内での会話はほぼなかったが、
愛娘の成長を見守りながら送る平穏な日々は、徐々に妻を亡くした男の心の傷を癒していった。
しかし、再び男を不幸のどん底に陥れる出来事が起こる。
ある日、【震度4】の地震が起こったのだが、その揺れの中で男は{娘の死を覚悟した。}
男の家は特別耐久性に問題があるわけではないのだが、
【何故男は娘の死を覚悟したのだろうか?】
男の仕事が忙しい平日はもちろんのこと、
せっかくの休日も娘が出かけているか、自室にこもってスマホをいじっているかで家庭内での会話はほぼなかったが、
愛娘の成長を見守りながら送る平穏な日々は、徐々に妻を亡くした男の心の傷を癒していった。
しかし、再び男を不幸のどん底に陥れる出来事が起こる。
ある日、【震度4】の地震が起こったのだが、その揺れの中で男は{娘の死を覚悟した。}
男の家は特別耐久性に問題があるわけではないのだが、
【何故男は娘の死を覚悟したのだろうか?】
20年02月11日 00:13
【ウミガメのスープ】 [タリブン]
【ウミガメのスープ】 [タリブン]
解説を見る
ある日曜日、昼寝中に{震度6強の大地震}に襲われた男。
どうにか部屋を脱出して娘の部屋まで行き名前を呼ぶが、返事がない。
部屋に入ると物が散乱していて娘の姿は確認できなかったが、
布団の上にタンスが倒れており、返事がないことを考えてもこの部屋に娘がいたなら{生存は絶望的だろう。}
自分が寝ている間に娘が外に出かけているのかもしれないと思ったが、
回線が混雑しているせいで電話も通じず、確認できない。
そうして娘の安否を不安に思っていたとき、余震が起き緊急地震速報が鳴る。
男は自分のスマホの緊急地震速報を止めるが、部屋中にけたたましく鳴り響く音は止まらない。
【発信源は、間違いなく娘のスマホだ。】
話しかけても無視するほどスマホに夢中になる娘が、スマホを持たずに出かけたとは思えない。
そう考えた男は、【震度4】の地震の中で{娘の死を覚悟した。}
どうにか部屋を脱出して娘の部屋まで行き名前を呼ぶが、返事がない。
部屋に入ると物が散乱していて娘の姿は確認できなかったが、
布団の上にタンスが倒れており、返事がないことを考えてもこの部屋に娘がいたなら{生存は絶望的だろう。}
自分が寝ている間に娘が外に出かけているのかもしれないと思ったが、
回線が混雑しているせいで電話も通じず、確認できない。
そうして娘の安否を不安に思っていたとき、余震が起き緊急地震速報が鳴る。
男は自分のスマホの緊急地震速報を止めるが、部屋中にけたたましく鳴り響く音は止まらない。
【発信源は、間違いなく娘のスマホだ。】
話しかけても無視するほどスマホに夢中になる娘が、スマホを持たずに出かけたとは思えない。
そう考えた男は、【震度4】の地震の中で{娘の死を覚悟した。}
「ウミガメのスープ2.0」「5Good」
納得感:5票
海で遭難してしまった男とその妻や子ども達。救助を待つしかない状況だったが、船に残されていた食料はすぐに底をついた。
そんな空腹に苦しむある日、やっとの思いでウミガメを捕まえることができ、男はそのウミガメでスープをつくった。
お腹をすかせた妻や子ども達をさしおいて、男がそのウミガメのスープを全部自分で食べることにしたのは、なぜ?
そんな空腹に苦しむある日、やっとの思いでウミガメを捕まえることができ、男はそのウミガメでスープをつくった。
お腹をすかせた妻や子ども達をさしおいて、男がそのウミガメのスープを全部自分で食べることにしたのは、なぜ?
18年06月03日 21:13
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
初スープ
解説を見る
遭難した船は、偶然ウミガメの生息する海域に流されてきたらしい。何匹ものウミガメが泳ぐ姿を目にした男は、この奇跡に感謝した。
すでに空腹で体力も限界に近かった男だが、それでも生きるために諦めず、ついにはウミガメを一匹掴まえることができた。さばいで料理をするのにも一苦労だった。しばらく雨水しか入れていない胃袋のことを考え、ウミガメのスープをつくった。
さて、これを――。
男は船に残っていた食料はほとんど食べずに、家族に分け与えていた。それでも、妻や子ども達は日に日に衰弱し、今や体力を使ってしまわないように寄り添ってじっと横たわっているしかなかった。男がウミガメと格闘している間も、彼らは全く気づきもせずに眠っていた。
男は確かに空腹だったし、ウミガメの捕獲と料理で相当体力を消耗した。それでも、この目の前のスープを我慢して、家族に分け与えることができないわけではなかった。
妻の、子ども達の、喜ぶ顔が目に浮かぶ。苦しむ姿を見るのは耐えられなかった。いくら自分が苦しくても、もし死んでしまったとしても、愛する家族のためなら悔いはない。
しかし。
妻も子ども達も、男よりは食事をとっている。今日、このスープを飲まないことで、すぐに死ぬことはないはずだ。一方、男はもはやもう一度海に潜って、ウミガメを捕まえる力は残っていない。命を削ってこのウミガメのスープをつくったのだ。今日明日で死ぬことはないにしても、もう一度ウミガメのスープをつくる余力はない。
男は一瞬の迷いののち、決心してスープを飲み始めた。
久々の食料が、少しずつ男の弱った身体を温めていく。
今、このスープを分け与えることは簡単だ。
しかしそうすると、もうスープをつくることはできない。もともと体力の少ない妻や子ども達にとっては、ウミガメを捕まえて料理するのは困難だ。自分が腹を満たして回復すれば、また海に入ってウミガメを捕まえられる。幸い、何匹も生息しているようだから、しばらくは飢えをしのげるはずだ。家族が眠っている今のうちに、自分がすべていただこう。そして明日には、もっと大きなウミガメを捕まえて、家族の腹を満たしてやろう。それが自分の役目なのだ。
すまない、許せ、と心の中で詫びながら、男は一人、ウミガメのスープをすする。
【要約解説】
男自身が元気になってもっとたくさんのウミガメを捕まえて料理するため。妻や子ども達が元気になっても、ウミガメを捕まえて調理するのは難しいから。
すでに空腹で体力も限界に近かった男だが、それでも生きるために諦めず、ついにはウミガメを一匹掴まえることができた。さばいで料理をするのにも一苦労だった。しばらく雨水しか入れていない胃袋のことを考え、ウミガメのスープをつくった。
さて、これを――。
男は船に残っていた食料はほとんど食べずに、家族に分け与えていた。それでも、妻や子ども達は日に日に衰弱し、今や体力を使ってしまわないように寄り添ってじっと横たわっているしかなかった。男がウミガメと格闘している間も、彼らは全く気づきもせずに眠っていた。
男は確かに空腹だったし、ウミガメの捕獲と料理で相当体力を消耗した。それでも、この目の前のスープを我慢して、家族に分け与えることができないわけではなかった。
妻の、子ども達の、喜ぶ顔が目に浮かぶ。苦しむ姿を見るのは耐えられなかった。いくら自分が苦しくても、もし死んでしまったとしても、愛する家族のためなら悔いはない。
しかし。
妻も子ども達も、男よりは食事をとっている。今日、このスープを飲まないことで、すぐに死ぬことはないはずだ。一方、男はもはやもう一度海に潜って、ウミガメを捕まえる力は残っていない。命を削ってこのウミガメのスープをつくったのだ。今日明日で死ぬことはないにしても、もう一度ウミガメのスープをつくる余力はない。
男は一瞬の迷いののち、決心してスープを飲み始めた。
久々の食料が、少しずつ男の弱った身体を温めていく。
今、このスープを分け与えることは簡単だ。
しかしそうすると、もうスープをつくることはできない。もともと体力の少ない妻や子ども達にとっては、ウミガメを捕まえて料理するのは困難だ。自分が腹を満たして回復すれば、また海に入ってウミガメを捕まえられる。幸い、何匹も生息しているようだから、しばらくは飢えをしのげるはずだ。家族が眠っている今のうちに、自分がすべていただこう。そして明日には、もっと大きなウミガメを捕まえて、家族の腹を満たしてやろう。それが自分の役目なのだ。
すまない、許せ、と心の中で詫びながら、男は一人、ウミガメのスープをすする。
【要約解説】
男自身が元気になってもっとたくさんのウミガメを捕まえて料理するため。妻や子ども達が元気になっても、ウミガメを捕まえて調理するのは難しいから。