「サスペンス・ロジック」「13Good」
良質:3票物語:3票納得感:7票
「ヤヨイ〜!また玄関の掃除、忘れてる!だから朝のうちにやっとけっていっつもいつも言ってるだろう!!」
年度末の厄介な仕事をいなしてきた夕方、妻への文句を並べながら靴を脱いだ俺は、彼女の返事がないことに疑問を抱く。健診かどこかに出かけているのか…とリビングに来たところで、衝撃的な場面に遭遇した。
帽子を真深く被って棚を漁る男。強盗だった。
俺を見つけるや否や、持っていた小さなナイフで脅しながら、金目のものの場所を尋ねる男。恐怖に駆られ言いなりになるが、目当ての金品をすぐに探し当てると、男は置いてあった花瓶で俺を殴りつけた。
壁に激突しながら、俺は倒れ込む。視界の端で逃げ出す男を捉えるが、彼を止める術はなかった。
もう一つ視界に映ったものがあった。俺が壁にぶつかった衝撃で、リビングに飾ってあったカレンダーの画鋲が外れていたのだ。側には、当の画鋲とカレンダーが転がっている。
それに気づくと、朦朧とした意識の中、俺は必死に左手のひらを握りしめた。
——————
さて、「俺」が手のひらを握りしめたのはなぜか?
年度末の厄介な仕事をいなしてきた夕方、妻への文句を並べながら靴を脱いだ俺は、彼女の返事がないことに疑問を抱く。健診かどこかに出かけているのか…とリビングに来たところで、衝撃的な場面に遭遇した。
帽子を真深く被って棚を漁る男。強盗だった。
俺を見つけるや否や、持っていた小さなナイフで脅しながら、金目のものの場所を尋ねる男。恐怖に駆られ言いなりになるが、目当ての金品をすぐに探し当てると、男は置いてあった花瓶で俺を殴りつけた。
壁に激突しながら、俺は倒れ込む。視界の端で逃げ出す男を捉えるが、彼を止める術はなかった。
もう一つ視界に映ったものがあった。俺が壁にぶつかった衝撃で、リビングに飾ってあったカレンダーの画鋲が外れていたのだ。側には、当の画鋲とカレンダーが転がっている。
それに気づくと、朦朧とした意識の中、俺は必死に左手のひらを握りしめた。
——————
さて、「俺」が手のひらを握りしめたのはなぜか?
23年10月06日 22:54
【ウミガメのスープ】 [さなめ。]
【ウミガメのスープ】 [さなめ。]
解説を見る
リビングの棚に置いてあった花瓶で殴られ、俺は生死の境にいる心地がした。今まで受けたことのない衝撃。頭の後ろで、血が滲む感覚がする。
割れるように痛い頭。どこから侵入してきた?なんて勝手なやつだ。次々に思考が乱れ、どんどん意識が遠ざかっていく。
そんな中で、俺は壁から滑り落ちていたカレンダーの存在に気づいた。俺がぶつかった拍子に画鋲が外れたのか、その画鋲の行方は知れない。
年度末の{3月}を指し示すカレンダー。殴られた為すがままに倒れ込んでいた俺は、左手を頭の横に位置させ、{図らずもそのカレンダーを指差していた。}
3月、{ヤヨイ}。
俺は必死に、しかし緩慢な動作でやっとのこと、その左手を握りしめ、指を差す姿勢を崩した。
今にして思えば、もし俺があのまま殴られたショックで亡くなっていたら。そこまでいかなくとも、証言できないほどの重傷となっていたら。家にあった花瓶で夫を殴ったとして、真っ先に疑われたのは妻のヤヨイだろう。帰った直後、俺はヤヨイを怒鳴りつけていたし、ヤヨイは普段、夕方や夜にはいつも家にいる。夫婦喧嘩が起こっていたと勘違いする隣人がいて自然だ。
その上に、俺があのカレンダーを指差していたら、どうだろう。訪れた警察か何かは、それをいわゆる{ダイイングメッセージ}だと思うんじゃないか。朦朧とした意識で、必死に妻のヤヨイへの怨嗟をぶつけた、なんて。
第一発見者になるのも、もちろんヤヨイだ。そういう人間が疑われやすいのも、俺は知っている。あのまま俺の息の根が止まっていれば、ヤヨイが捕まっていたかも知れない。
尤も、強盗に襲われたパニックと朦朧とした意識では、生への執着に必死でここまでは考えていない。ヤヨイを指差していたことに辛うじて気づいて、そうじゃない、俺を殴ったのはヤヨイなんかじゃない、と無意識に否定していただけだ。その一心で、必死に人差し指を握ったのだった。
なんて、気を落ち着かせるための笑い話を病室でしたら、「ミステリーの読みすぎよ」と、ようやく落涙も引いてきたヤヨイの震える声に一蹴された。年度末を凌ぐ俺を労おうとスーパーに出かけていた帰りだったヤヨイは、件の強盗と鉢合わせ、女性だからと油断していたそいつを得意の柔道で黙らせたのだという。全く妻には、いつも頭が上がらない。
【要約:】
倒れた姿勢で図らずも、「俺」はカレンダーの3月を指差していた。生死の境で、所謂{ダイイングメッセージのように妻のヤヨイを指している}ことに気づいた「俺」は、ヤヨイに殴られたという{間違ったメッセージを残さないために}、必死に手のひらを握りしめて指を差す姿勢を崩したのである。
割れるように痛い頭。どこから侵入してきた?なんて勝手なやつだ。次々に思考が乱れ、どんどん意識が遠ざかっていく。
そんな中で、俺は壁から滑り落ちていたカレンダーの存在に気づいた。俺がぶつかった拍子に画鋲が外れたのか、その画鋲の行方は知れない。
年度末の{3月}を指し示すカレンダー。殴られた為すがままに倒れ込んでいた俺は、左手を頭の横に位置させ、{図らずもそのカレンダーを指差していた。}
3月、{ヤヨイ}。
俺は必死に、しかし緩慢な動作でやっとのこと、その左手を握りしめ、指を差す姿勢を崩した。
今にして思えば、もし俺があのまま殴られたショックで亡くなっていたら。そこまでいかなくとも、証言できないほどの重傷となっていたら。家にあった花瓶で夫を殴ったとして、真っ先に疑われたのは妻のヤヨイだろう。帰った直後、俺はヤヨイを怒鳴りつけていたし、ヤヨイは普段、夕方や夜にはいつも家にいる。夫婦喧嘩が起こっていたと勘違いする隣人がいて自然だ。
その上に、俺があのカレンダーを指差していたら、どうだろう。訪れた警察か何かは、それをいわゆる{ダイイングメッセージ}だと思うんじゃないか。朦朧とした意識で、必死に妻のヤヨイへの怨嗟をぶつけた、なんて。
第一発見者になるのも、もちろんヤヨイだ。そういう人間が疑われやすいのも、俺は知っている。あのまま俺の息の根が止まっていれば、ヤヨイが捕まっていたかも知れない。
尤も、強盗に襲われたパニックと朦朧とした意識では、生への執着に必死でここまでは考えていない。ヤヨイを指差していたことに辛うじて気づいて、そうじゃない、俺を殴ったのはヤヨイなんかじゃない、と無意識に否定していただけだ。その一心で、必死に人差し指を握ったのだった。
なんて、気を落ち着かせるための笑い話を病室でしたら、「ミステリーの読みすぎよ」と、ようやく落涙も引いてきたヤヨイの震える声に一蹴された。年度末を凌ぐ俺を労おうとスーパーに出かけていた帰りだったヤヨイは、件の強盗と鉢合わせ、女性だからと油断していたそいつを得意の柔道で黙らせたのだという。全く妻には、いつも頭が上がらない。
【要約:】
倒れた姿勢で図らずも、「俺」はカレンダーの3月を指差していた。生死の境で、所謂{ダイイングメッセージのように妻のヤヨイを指している}ことに気づいた「俺」は、ヤヨイに殴られたという{間違ったメッセージを残さないために}、必死に手のひらを握りしめて指を差す姿勢を崩したのである。
「99.99%」「13Good」
良質:3票トリック:1票物語:3票納得感:6票
妻の浮気を疑う相田。
子供のDNA鑑定の結果は、彼の子と証明していたのに、なぜ?
子供のDNA鑑定の結果は、彼の子と証明していたのに、なぜ?
24年01月30日 13:11
【ウミガメのスープ】 [まんと]
【ウミガメのスープ】 [まんと]
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DNA鑑定を依頼したのが妻だから。
「停職と抵触」「13Good」
良質:6票トリック:3票物語:1票納得感:3票
吉田の勤める会社で重大な不祥事が発生して以降、毎朝オフィスに着いた吉田がパソコンの電源ボタンの次に触るようになったものは何だろう?
ただし、パソコンの一部や、周辺機器ではない。
ただし、パソコンの一部や、周辺機器ではない。
24年02月13日 16:31
【20の扉】 [うるち米]
【20の扉】 [うるち米]
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吉田の同僚である佐野が、会社支給のパソコンの入ったカバンを電車に置き忘れ、置き引きにあった。あろうことか、佐野はパソコンにログイン用のパスワードをメモした付箋を貼っており、顧客情報を盗みだされるという大不祥事となってしまった。
事態を重く見た会社は、社員に支給しているパソコンについて、パスワードでのログインではセキュリティが不十分と考え、持ち主の【顔による生体認証】でログインするものに入れ替えた。
それ以降、吉田は出社してPCの電源を押した後、認証画面に映る自分の顔を見て、ついつい{自分の前髪}を触って整えてしまうようになった。
事態を重く見た会社は、社員に支給しているパソコンについて、パスワードでのログインではセキュリティが不十分と考え、持ち主の【顔による生体認証】でログインするものに入れ替えた。
それ以降、吉田は出社してPCの電源を押した後、認証画面に映る自分の顔を見て、ついつい{自分の前髪}を触って整えてしまうようになった。
「お次は君さぁ」「13Good」
トリック:8票物語:1票納得感:4票
犬の首をギリギリと捻る男。
次に男は目の前の犬好きの少女に何をする?
次に男は目の前の犬好きの少女に何をする?
24年04月29日 16:54
【20の扉】 [ナナマガリ]
【20の扉】 [ナナマガリ]

3問目!お手柔らかに!
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完成した犬のバルーンアートを渡す。
後ろの君、お次は君さぁ。何を作って欲しい?
後ろの君、お次は君さぁ。何を作って欲しい?
「神を祈る」「13Good」
良質:6票トリック:2票物語:2票納得感:3票
「・・・よし、ラスト」という田中の呟きは突如リビングに響き渡った電話の着信音にかき消された。
それは妻の訃報を知らせるものであった。
交通事故に遭い意識不明の状態が続いていたのだが、急に状態が悪化してしまったとのこと。
田中はテーブルの上にある紙を広げ、葬儀の段取りなどの必要事項をメモしていく。
(もしかしたら… 首が折れていたら妻は助かっていたのかもしれない)
メモを書きながら田中がそう思った理由はなんだろうか?
それは妻の訃報を知らせるものであった。
交通事故に遭い意識不明の状態が続いていたのだが、急に状態が悪化してしまったとのこと。
田中はテーブルの上にある紙を広げ、葬儀の段取りなどの必要事項をメモしていく。
(もしかしたら… 首が折れていたら妻は助かっていたのかもしれない)
メモを書きながら田中がそう思った理由はなんだろうか?
24年05月05日 21:14
【ウミガメのスープ】 [ダニー]
【ウミガメのスープ】 [ダニー]

のんびり出題して、いい感じのところで締めます→8日23:59まで!
解説を見る
最後の一羽のあと一折りだった。
首の部分を折っていれば{千羽鶴}が完成していた。
その田中の手を止めさせたのは無機質なベルの音。
妻の死を告げる無情な電話。
もしかしたら…
もしかしたら… 首が折れていたら妻は助かっていたのかもしれない
完成させる意味を失ってしまった紙を広げてメモがわりにしながら、田中はそう思わずにはいられなかった。
首の部分を折っていれば{千羽鶴}が完成していた。
その田中の手を止めさせたのは無機質なベルの音。
妻の死を告げる無情な電話。
もしかしたら…
もしかしたら… 首が折れていたら妻は助かっていたのかもしれない
完成させる意味を失ってしまった紙を広げてメモがわりにしながら、田中はそう思わずにはいられなかった。