「小さな食卓」「4Good」
物語:3票納得感:1票
1週間の出張を終え、カメオが久しぶりに自宅に帰って来ると、カメコはいつものように夕食を作っていた。
今日の献立はご飯と味噌汁に、カレイの煮付け、筑前煮、白菜の漬物。どれもカメオの大好物だ。もう50歳も近いカメオは、最近は食欲が湧かず、出張前はカメコの作った料理を残してしまうことが多かったが、この日の夕食はとても美味しく、久しぶりに完食した。
「どう?これならちゃんと食べられるでしょう?」
そう言って微笑むカメコを見て全てを理解したカメオは
「カメコ…すまない…本当にすまなかった……」と泣きながら謝罪した。
一体なぜ?
今日の献立はご飯と味噌汁に、カレイの煮付け、筑前煮、白菜の漬物。どれもカメオの大好物だ。もう50歳も近いカメオは、最近は食欲が湧かず、出張前はカメコの作った料理を残してしまうことが多かったが、この日の夕食はとても美味しく、久しぶりに完食した。
「どう?これならちゃんと食べられるでしょう?」
そう言って微笑むカメコを見て全てを理解したカメオは
「カメコ…すまない…本当にすまなかった……」と泣きながら謝罪した。
一体なぜ?
20年07月08日 19:20
【ウミガメのスープ】 [ブラダマンテ]
【ウミガメのスープ】 [ブラダマンテ]
今回の出題以後、8月の例の試験終わりまで再びお暇を頂く予定です。
解説を見る
カメオとその妻のウミコは皆が羨むほどのおしどり夫婦で、その一人娘であるカメコも明るく気立てが良い性格で近所の評判も良い。いつも笑顔の絶えない、とても仲の良い3人家族であった。また、ウミコは非常に料理上手で、下手な飲食店よりもウミコの作る料理の方が遥かに美味しいというレベルであり、カメオは結婚前からその味に惚れ込んでいた。カメオとカメコはいつもウミコの料理を楽しみにしていたのだった。
ところが、カメコが高校生になった頃、突如ウミコは重い病気を患い、そのまま亡くなってしまった。残された二人はとても悲しんだが、特にカメオは深く絶望し、生きる希望すら失ったようだといっても過言ではなかった。
ウミコが亡くなった後、カメコが代わりに料理を作ってくれるようになった。しかしカメコの作る料理は、決して不味くはなかったが、ウミコの料理と比べてしまうと天と地ほどの差があった。最愛のウミコを失い食欲が湧かなかったこともあり、カメオは娘の料理ですら全く食べる気が起きなかった。とはいえカメコの気持ちを無下にする訳にもいかないので、カメオは口ではカメコに感謝していたものの、実際には料理に少し口を付けただけで、残りはカメコにバレないように全て捨ててしまっていたのだ。それからもカメオは、カメコが作った料理を少し食べては残りを全て捨て、完食した振りをし続けた。
それからしばらくして、カメオは仕事で1週間ほど出張することになったが、それを終えて帰ってきた日の夕食のことである。その日の献立はご飯と味噌汁に、カレイの煮付け、筑前煮、白菜の漬物。どれも生前にウミコがよく作ってくれていた、カメオの大好物だ。以前までであれば手を叩いて喜んでいたことだろう。言うまでもなく、出張中もほとんど食べ物が喉を通らなかった。もう一度、ウミコの料理が食べたい…。そうしていつものように一口食べたカメオだったが、そこで衝撃を受けた。
その料理の味は、カメオが心から望んでいたウミコの料理と全く同じだったのだ。まるで、生き返ったウミコが生前と同じくこの料理を作ってくれたかのようだった。どの料理も非常に美味しく、カメオは夢中になって食べ進め、いつの間にか完食していた。
その様子を見たカメコは満足そうに、
「お父さん、どう?{これならちゃんと食べられる}でしょう?私、お母さんのと同じくらい美味しい料理を作るために、一緒懸命勉強したんだよ。お父さん、栄養不足で倒れちゃいそうで心配だったんだから。」と微笑んだ。
それを聞いてカメオはハッとした。カメコは、カメオが本当は料理を全く食べずに捨てていたことに気付いていたのだ。それでもカメコは自分のために料理を作り続けていた。そして、カメオが残さずに食べてくれる…ウミコが作ったのと同じくらい美味しい料理を作るために、カメコはカメオが出張に行っている間、自分の時間も返上して料理を勉強し、努力を重ねたに違いない。ウミコを亡くして悲しかったのは、カメコも同じだったはずだ。それでもカメコは、娘の作った料理を妻の料理と比べてろくに食べずに捨てていた、最低な自分のために……。
「カメコ…すまない…本当にすまなかった……。俺は、父親失格だ……。」カメオはただ泣きながら謝ることしか出来なかった。
「ううん、いいの。これからは二人で力を合わせて生きていこうよ。」
「……そうだな。俺がずっとこんなままじゃ、天国にいるウミコも安心できないよな。ありがとう、カメコ……。」
カメコは決して亡くなった妻の代わりなどではなく、血の繋がった大切な娘なのである。カメオは、カメコが一人立ちするまで責任を持って養うことこそウミコのために自分が出来ることだと考え、悲しみを乗り越えて二人で生きていくことを決意したのだ。
※簡易解説
カメオの最愛の妻ウミコが亡くなって以来、娘のカメコが代わりに料理を作るようになっていた。しかしカメオは抜群に料理上手であったウミコの料理と比べてしまい、妻を失った悲しさもありカメコの料理を食べる気が全く起きなかった。カメオはカメコの気持ちを無下にしないため、いつもバレないように料理をこっそり残して捨てていた。
ところが、ある日カメコの作った夕食はウミコの料理と遜色ないほど美味しいものであった。カメオは、カメコが料理を捨てられていることに気付いていながらも自分のために料理の努力をしていたと知り、カメコに感謝するとともに自らの行為を後悔して泣きながら謝罪した。
※元ネタとして、漫画版の「ミスター◯っ子(作:寺沢◯介)」にこんな感じの話がありました(小声)。
タイトルの元ネタは◯inema ◯taffというバンドの曲名。
ところが、カメコが高校生になった頃、突如ウミコは重い病気を患い、そのまま亡くなってしまった。残された二人はとても悲しんだが、特にカメオは深く絶望し、生きる希望すら失ったようだといっても過言ではなかった。
ウミコが亡くなった後、カメコが代わりに料理を作ってくれるようになった。しかしカメコの作る料理は、決して不味くはなかったが、ウミコの料理と比べてしまうと天と地ほどの差があった。最愛のウミコを失い食欲が湧かなかったこともあり、カメオは娘の料理ですら全く食べる気が起きなかった。とはいえカメコの気持ちを無下にする訳にもいかないので、カメオは口ではカメコに感謝していたものの、実際には料理に少し口を付けただけで、残りはカメコにバレないように全て捨ててしまっていたのだ。それからもカメオは、カメコが作った料理を少し食べては残りを全て捨て、完食した振りをし続けた。
それからしばらくして、カメオは仕事で1週間ほど出張することになったが、それを終えて帰ってきた日の夕食のことである。その日の献立はご飯と味噌汁に、カレイの煮付け、筑前煮、白菜の漬物。どれも生前にウミコがよく作ってくれていた、カメオの大好物だ。以前までであれば手を叩いて喜んでいたことだろう。言うまでもなく、出張中もほとんど食べ物が喉を通らなかった。もう一度、ウミコの料理が食べたい…。そうしていつものように一口食べたカメオだったが、そこで衝撃を受けた。
その料理の味は、カメオが心から望んでいたウミコの料理と全く同じだったのだ。まるで、生き返ったウミコが生前と同じくこの料理を作ってくれたかのようだった。どの料理も非常に美味しく、カメオは夢中になって食べ進め、いつの間にか完食していた。
その様子を見たカメコは満足そうに、
「お父さん、どう?{これならちゃんと食べられる}でしょう?私、お母さんのと同じくらい美味しい料理を作るために、一緒懸命勉強したんだよ。お父さん、栄養不足で倒れちゃいそうで心配だったんだから。」と微笑んだ。
それを聞いてカメオはハッとした。カメコは、カメオが本当は料理を全く食べずに捨てていたことに気付いていたのだ。それでもカメコは自分のために料理を作り続けていた。そして、カメオが残さずに食べてくれる…ウミコが作ったのと同じくらい美味しい料理を作るために、カメコはカメオが出張に行っている間、自分の時間も返上して料理を勉強し、努力を重ねたに違いない。ウミコを亡くして悲しかったのは、カメコも同じだったはずだ。それでもカメコは、娘の作った料理を妻の料理と比べてろくに食べずに捨てていた、最低な自分のために……。
「カメコ…すまない…本当にすまなかった……。俺は、父親失格だ……。」カメオはただ泣きながら謝ることしか出来なかった。
「ううん、いいの。これからは二人で力を合わせて生きていこうよ。」
「……そうだな。俺がずっとこんなままじゃ、天国にいるウミコも安心できないよな。ありがとう、カメコ……。」
カメコは決して亡くなった妻の代わりなどではなく、血の繋がった大切な娘なのである。カメオは、カメコが一人立ちするまで責任を持って養うことこそウミコのために自分が出来ることだと考え、悲しみを乗り越えて二人で生きていくことを決意したのだ。
※簡易解説
カメオの最愛の妻ウミコが亡くなって以来、娘のカメコが代わりに料理を作るようになっていた。しかしカメオは抜群に料理上手であったウミコの料理と比べてしまい、妻を失った悲しさもありカメコの料理を食べる気が全く起きなかった。カメオはカメコの気持ちを無下にしないため、いつもバレないように料理をこっそり残して捨てていた。
ところが、ある日カメコの作った夕食はウミコの料理と遜色ないほど美味しいものであった。カメオは、カメコが料理を捨てられていることに気付いていながらも自分のために料理の努力をしていたと知り、カメコに感謝するとともに自らの行為を後悔して泣きながら謝罪した。
※元ネタとして、漫画版の「ミスター◯っ子(作:寺沢◯介)」にこんな感じの話がありました(小声)。
タイトルの元ネタは◯inema ◯taffというバンドの曲名。
「Ballet mecanique」「4Good」
物語:1票納得感:3票
舞台はちょっと先の未来。
天才バレエダンサーのスバルは、誰にも負けない技術と美貌を持っていたが、役に恵まれず脇役ばかりを演じていた。
ある日、交通事故に遭ってしまったスバルは、足を切断することになってしまった。
今までと同じように踊れなくなってしまったスバル。
しかし、舞台に復帰してからは今までと違い主役を任されることが格段に増えた。
スバルが義足のダンサーだということは公然の秘密であり、それを売りにして主役になったわけではない。
いったいなぜ?
天才バレエダンサーのスバルは、誰にも負けない技術と美貌を持っていたが、役に恵まれず脇役ばかりを演じていた。
ある日、交通事故に遭ってしまったスバルは、足を切断することになってしまった。
今までと同じように踊れなくなってしまったスバル。
しかし、舞台に復帰してからは今までと違い主役を任されることが格段に増えた。
スバルが義足のダンサーだということは公然の秘密であり、それを売りにして主役になったわけではない。
いったいなぜ?
20年07月08日 19:47
【ウミガメのスープ】 [ちくたく]
【ウミガメのスープ】 [ちくたく]
現実には多分ないですが、非現実とまでも言えないかな‥?
解説を見る
天才ダンサー・スバルの悩み‥それは体重だった。
骨格的にどうしても減量に限界があり、男性に持ち上げられることのある主役級の役には恵まれなかった。
事故で足を切断することになり、義足のダンサーとなったスバル。
近未来の義足は見た目や動きを見ても全くわからない。
しかし、細かい動きはスバルにとっては違う‥。
以前と同じ踊りが出来なくなったスバル。
しかし、天才ダンサーのスバルはそれでも周りを圧倒する踊りを見せていた。
変わったことが1つ。
義足はとても軽く、スバルは義足含めての体重が軽くなったのだ。
そのことで体重の問題をクリアし、主役級を演じることが増えたのだった。
骨格的にどうしても減量に限界があり、男性に持ち上げられることのある主役級の役には恵まれなかった。
事故で足を切断することになり、義足のダンサーとなったスバル。
近未来の義足は見た目や動きを見ても全くわからない。
しかし、細かい動きはスバルにとっては違う‥。
以前と同じ踊りが出来なくなったスバル。
しかし、天才ダンサーのスバルはそれでも周りを圧倒する踊りを見せていた。
変わったことが1つ。
義足はとても軽く、スバルは義足含めての体重が軽くなったのだ。
そのことで体重の問題をクリアし、主役級を演じることが増えたのだった。
「矛盾する乙女」「4Good」
物語:4票
友達に誘われてやって来た占いの館。
ウミコは、恋愛運も気になるけれど、なんとなく家族の今後を訊いてみた。
ずっと、ぼんやりとした疑念を胸に秘めているせいかもしれない。
テーブルに置かれた水晶玉に、みんなから癒し系と言われる自分の丸い顔が映っている。
(変な顔…)
「良くないわね!ううん。あなたじゃなくて。血を分けた肉親が二人。親御さんじゃないかしら。なにか硬いものに当って苦しむわ。近いうちにね。気を付けてあげなさい。芋けんぴ食べる?」
よく当たると大評判の、柴咲コウ似の美魔女占い師は言った。
(まさか、…事故?)
ウミコは、母の美しい細面と、父親の端正な顔を思い浮かべて、不安になった。
(イヤだよう。こんな占い、当たらなきゃいいのに)
そう思いつつウミコは、
(でも。当たってくれたら、あたし、救われるかもしれない…)
とも考えている。
ウミコの矛盾する感情に説明を付けていただけますか?
ウミコは、恋愛運も気になるけれど、なんとなく家族の今後を訊いてみた。
ずっと、ぼんやりとした疑念を胸に秘めているせいかもしれない。
テーブルに置かれた水晶玉に、みんなから癒し系と言われる自分の丸い顔が映っている。
(変な顔…)
「良くないわね!ううん。あなたじゃなくて。血を分けた肉親が二人。親御さんじゃないかしら。なにか硬いものに当って苦しむわ。近いうちにね。気を付けてあげなさい。芋けんぴ食べる?」
よく当たると大評判の、柴咲コウ似の美魔女占い師は言った。
(まさか、…事故?)
ウミコは、母の美しい細面と、父親の端正な顔を思い浮かべて、不安になった。
(イヤだよう。こんな占い、当たらなきゃいいのに)
そう思いつつウミコは、
(でも。当たってくれたら、あたし、救われるかもしれない…)
とも考えている。
ウミコの矛盾する感情に説明を付けていただけますか?
20年07月09日 22:39
【ウミガメのスープ】 [きまぐれ夫人]
【ウミガメのスープ】 [きまぐれ夫人]
まだまだ、子ども。
解説を見る
占いが当たって両親が災難に遭えば、自分と血の繋がりがあることが証明される、とウミコは思っているのです。
まんじりともせず朝を迎え、ウミコは重い体を起こした。
超絶美人占い師の元を訪れた日から3日。
(お父さんとお母さん、今日も無事だといいけど…)
のろのろとベッドを出て、鏡を見る。
癒し系の丸顔が、なんだか腫れぼったい。
(変な顔…)
いつからかウミコの心に芽生えた疑念は、今や自分でも持て余すほど大きく膨らんでいた。
両親とは血が繋がっていないんじゃないか、という疑念。
(あんな美男美女の夫婦から、あたしみたいなおてもやんが生まれるはずないもん。それに、あれから3日経つけどなんにも起きないし。どっかであたしの本当のお父さんとお母さんが事故に遭ってるんだ)
溜息を一つついた時、階下から「わーっ!」という声とどんがらがっしゃーん!という音が聞こえた。
慌てて階段を下りる。
ダイニングキッチンに駆け込んだ途端、母と正面から激突し、したたかにおでこ同士をぶつけた。
「なに?どうしたの?」
目から火花を飛び散らせつつウミコが聞くと、母は千鳥足でステップのようなものを踏みながら、
「大変!お父さんがバナナの皮で滑って転んで、落ちてたフライパンに当たっちゃった!」
と、白く美しい細面の顔を父とウミコに交互に向けて言う。
床に目をやると、父が映画俳優並みの端正な顔をしかめて後頭部をさすっている。
父と母、二人の様子を見たウミコは二重の喜びに包まれ、思わず涙した。
(ぐすん。わーい。お父さんとお母さんが硬いものに当たった!ぐすん。あたしと血を分けた肉親だ!あたし、本当の子どもだった!ぐすん。よかった!ぐすん。大事故じゃなくてよかった!おでことフライパンでよかった!わーん)
「イテテ。なんでフライパンが床に落ちてるんだろう?」と呻く父の姿に、ウミコは泣きながら笑った。
そして、心の中で一句詠んだ。
血を分けた 父がイテテと言ったから 七月七日はフライパン記念日
「で?なんで床にフライパン?」
「ゴキブリを閉じ込めてやったのよ。バナナの皮でおびき寄せてね」
おでこをさすりつつ悪戯っ子の笑みで親指を立ててみせる母の顔を見つめて、ウミコは思った。
(神様、この人は本当にあたしのお母さんでしょうか…)
まんじりともせず朝を迎え、ウミコは重い体を起こした。
超絶美人占い師の元を訪れた日から3日。
(お父さんとお母さん、今日も無事だといいけど…)
のろのろとベッドを出て、鏡を見る。
癒し系の丸顔が、なんだか腫れぼったい。
(変な顔…)
いつからかウミコの心に芽生えた疑念は、今や自分でも持て余すほど大きく膨らんでいた。
両親とは血が繋がっていないんじゃないか、という疑念。
(あんな美男美女の夫婦から、あたしみたいなおてもやんが生まれるはずないもん。それに、あれから3日経つけどなんにも起きないし。どっかであたしの本当のお父さんとお母さんが事故に遭ってるんだ)
溜息を一つついた時、階下から「わーっ!」という声とどんがらがっしゃーん!という音が聞こえた。
慌てて階段を下りる。
ダイニングキッチンに駆け込んだ途端、母と正面から激突し、したたかにおでこ同士をぶつけた。
「なに?どうしたの?」
目から火花を飛び散らせつつウミコが聞くと、母は千鳥足でステップのようなものを踏みながら、
「大変!お父さんがバナナの皮で滑って転んで、落ちてたフライパンに当たっちゃった!」
と、白く美しい細面の顔を父とウミコに交互に向けて言う。
床に目をやると、父が映画俳優並みの端正な顔をしかめて後頭部をさすっている。
父と母、二人の様子を見たウミコは二重の喜びに包まれ、思わず涙した。
(ぐすん。わーい。お父さんとお母さんが硬いものに当たった!ぐすん。あたしと血を分けた肉親だ!あたし、本当の子どもだった!ぐすん。よかった!ぐすん。大事故じゃなくてよかった!おでことフライパンでよかった!わーん)
「イテテ。なんでフライパンが床に落ちてるんだろう?」と呻く父の姿に、ウミコは泣きながら笑った。
そして、心の中で一句詠んだ。
血を分けた 父がイテテと言ったから 七月七日はフライパン記念日
「で?なんで床にフライパン?」
「ゴキブリを閉じ込めてやったのよ。バナナの皮でおびき寄せてね」
おでこをさすりつつ悪戯っ子の笑みで親指を立ててみせる母の顔を見つめて、ウミコは思った。
(神様、この人は本当にあたしのお母さんでしょうか…)
「提供時間がリクガメのスープ」「4Good」
良質:3票物語:1票
とある海の見えるレストランを訪れた初老の男は、「ウミガメのスープを1つくれないか。」と頼んだ。
30分後………
「おい、ウミガメのスープはまだかね?」
「すみません、ただ今準備中でございます。」
男は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
1時間後………
「おい、ウミガメのスープはまだかね?」
「申し訳ありません、もう少々お待ちくださいませ。」
男は苛立ちをあらわにした。
2時間後………
「お待たせいたしました、ウミガメのスープでございます。」
「おお、ありがとう。本当に提供が速くて驚いたよ。」
男は満足気な笑みを浮かべた。
男の言葉は本心からのものなのだが、ではそれまで男はどんなことに対して苛立っていたのだろう?
30分後………
「おい、ウミガメのスープはまだかね?」
「すみません、ただ今準備中でございます。」
男は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
1時間後………
「おい、ウミガメのスープはまだかね?」
「申し訳ありません、もう少々お待ちくださいませ。」
男は苛立ちをあらわにした。
2時間後………
「お待たせいたしました、ウミガメのスープでございます。」
「おお、ありがとう。本当に提供が速くて驚いたよ。」
男は満足気な笑みを浮かべた。
男の言葉は本心からのものなのだが、ではそれまで男はどんなことに対して苛立っていたのだろう?
20年07月24日 22:01
【ウミガメのスープ】 [「マクガフィン」]
【ウミガメのスープ】 [「マクガフィン」]
藤井さんとの思い出スープ
解説を見る
A. 時刻を確認する手段がないこと
(レストランに時計がないこと、自分が時計を持っていなかったこと等だけでも大意が合えば可)
その日、男がウミガメのスープが評判のレストランを訪れたのは、昼食を終えた後の午後3時頃だった。
席へと案内してくれた店員にそのまま「ウミガメのスープを1つくれないか。」と注文した男に、店員は、申し訳ありません、と頭を下げた。
「すみません、ウミガメのスープはディナータイム限定のメニューとなっておりまして、17時からしかご提供することができません。」
「おお、そうだったのか。特に用事もないし、時間になるまで待つとしよう。」
鞄から取り出した文庫本を読んで時間を潰していた男だったが、ふとあとどのくらい待てばよいかが気になった。
しかしその時、男はそのレストランの中を見渡しても、どこにも時計がかかっていないことに気づく。
普段から携帯電話など持ち歩かず、腕時計もしていない初老の男は、時刻を確認する手段がないではないかと思い当たった。
「おい、ウミガメのスープはまだかね?」
通りかかった先程の店員に尋ねると、彼は笑顔で答えた。
「すみません、ただ今準備中でございます。現在15時30分ほどですので、ウミガメのスープのご提供開始まではもう1時間半ほどお待ちいただけますか?」
待つのは構わないが、時計さえあれば楽だったのにと、男は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
来店から1時間が経ち、そわそわしている男は再び尋ねる。
「おい、ウミガメのスープはまだかね?」
店員も少し気の毒そうな表情を浮かべた。
「申し訳ありません、もう少々お待ちください。まだ16時前後でございます。」
やはり時刻がわからないと、待ち時間は長く感じるものだなと、男は苛立ちをあらわにした。
そしてようやく17時になった。客のいない席のメニューがディナータイムのものと差し替えられていくのを見て、男もそれに気づく。
すると…
「お待たせいたしました、ウミガメのスープでございます。」
何度も言葉を交わした店員が、湯気が立ちのぼるスープ皿を手に立っていた。
まだメニューも入れ替え終わっていないというのに、なんという速さだろう。店の決まりを守りながらも、あらかじめ用意を進めてくれたのに違いない。
「おお、ありがとう。本当に提供が速くて驚いたよ。」
それが、店員の配慮に感心した男の嘘偽りない本音だった。
その日味わったスープの味は、どれだけ時間が過ぎても忘れられそうにない。
(レストランに時計がないこと、自分が時計を持っていなかったこと等だけでも大意が合えば可)
その日、男がウミガメのスープが評判のレストランを訪れたのは、昼食を終えた後の午後3時頃だった。
席へと案内してくれた店員にそのまま「ウミガメのスープを1つくれないか。」と注文した男に、店員は、申し訳ありません、と頭を下げた。
「すみません、ウミガメのスープはディナータイム限定のメニューとなっておりまして、17時からしかご提供することができません。」
「おお、そうだったのか。特に用事もないし、時間になるまで待つとしよう。」
鞄から取り出した文庫本を読んで時間を潰していた男だったが、ふとあとどのくらい待てばよいかが気になった。
しかしその時、男はそのレストランの中を見渡しても、どこにも時計がかかっていないことに気づく。
普段から携帯電話など持ち歩かず、腕時計もしていない初老の男は、時刻を確認する手段がないではないかと思い当たった。
「おい、ウミガメのスープはまだかね?」
通りかかった先程の店員に尋ねると、彼は笑顔で答えた。
「すみません、ただ今準備中でございます。現在15時30分ほどですので、ウミガメのスープのご提供開始まではもう1時間半ほどお待ちいただけますか?」
待つのは構わないが、時計さえあれば楽だったのにと、男は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
来店から1時間が経ち、そわそわしている男は再び尋ねる。
「おい、ウミガメのスープはまだかね?」
店員も少し気の毒そうな表情を浮かべた。
「申し訳ありません、もう少々お待ちください。まだ16時前後でございます。」
やはり時刻がわからないと、待ち時間は長く感じるものだなと、男は苛立ちをあらわにした。
そしてようやく17時になった。客のいない席のメニューがディナータイムのものと差し替えられていくのを見て、男もそれに気づく。
すると…
「お待たせいたしました、ウミガメのスープでございます。」
何度も言葉を交わした店員が、湯気が立ちのぼるスープ皿を手に立っていた。
まだメニューも入れ替え終わっていないというのに、なんという速さだろう。店の決まりを守りながらも、あらかじめ用意を進めてくれたのに違いない。
「おお、ありがとう。本当に提供が速くて驚いたよ。」
それが、店員の配慮に感心した男の嘘偽りない本音だった。
その日味わったスープの味は、どれだけ時間が過ぎても忘れられそうにない。
「カニバリ問答」「4Good」
トリック:2票納得感:2票
観光客に人気のカニバリ島では、入国時に設問数が1000に及ぶアンケートの提出を義務付けている。
いったい何故?
いったい何故?
20年07月25日 22:48
【ウミガメのスープ】 [休み鶴]
【ウミガメのスープ】 [休み鶴]
天童さん1000問出題に敬意を表して。
解説を見る
合法的に人肉が食べられることで観光客に人気のカニバリ島。
当然、島民の人肉で賄っていたのではカニバリ島がすぐに滅んでしまう。
そこで、カニバリ島は観光客に1000問のアンケートに答えるよう義務付けた。
1000問ものアンケートにまともに答えるのはほんの少数であり、
たいていの者は後半の設問になるにつれて「はい」ばかりを選択することが多くなってくる。
その流れで{929問目「あなたを人肉料理の食材としてもよろしいですか?」}
という設問に「はい」と答えた人を食材として調理し、他の観光客はありがたがってカニバるのである。
当然、島民の人肉で賄っていたのではカニバリ島がすぐに滅んでしまう。
そこで、カニバリ島は観光客に1000問のアンケートに答えるよう義務付けた。
1000問ものアンケートにまともに答えるのはほんの少数であり、
たいていの者は後半の設問になるにつれて「はい」ばかりを選択することが多くなってくる。
その流れで{929問目「あなたを人肉料理の食材としてもよろしいですか?」}
という設問に「はい」と答えた人を食材として調理し、他の観光客はありがたがってカニバるのである。