みんなのブックマーク

出られない男「16ブックマーク」
男は車を静かに駐車場へと滑り込ませた。
後ろを確認しながら、慎重に車を停める。
手に取ったスマートフォンは白く光り、消えた。
男は体の力を抜き、所在無げにバックミラーを眺める。

それから数分。微かに聞こえている音は少しずつ大きくなる・・・

よし、と男はドアに手を掛けた。
その時、音がやんだ。
思わずドアから手を離す。
危ない危ない。もう失敗はご免だぞ。
男は深く座り直すと、そっと息をついた。
音は再び聞こえ始めている。
念には念を、だよな。


さて、男はいったい何をしようとしているのだろうか?
状況を推理してみて欲しい。
20年05月26日 17:57
【ウミガメのスープ】 [きまぐれ夫人]

SP靴下さんに最大級の感謝を。




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【簡易解説】
男は、後部座席の息子(子ども)が完全に寝入るのを待って自宅に連れて帰ろうとしている。
以前、眠りの浅いうちに抱き上げて起こしてしまい、その後寝かしつけるのに苦労したことがあるため、かなり慎重になっているのである。
寝息が一瞬途切れただけでビクつくほどに。


【解説】
マンションの駐車場に着いた、と夫からメールがきた。続けて、念のためもうちょっと車の中で待つよ、と。
私は思わず吹き出してしまった。
かなり慎重になってるみたい。まあ、無理もないか。

先日、下の娘の世話をする私を残して、夫は2歳の息子を連れ、車で小一時間のところにある私の実家までドライブ旅行に出かけた。
今日と同じように。
二人だけのお出かけは初めてとあって、夫は少し緊張した様子ながらも、「なんだか王子さまのお供で冒険に行くみたいな気分だなあ」と嬉しそう。
パパ大好きの息子も、いつもよりはしゃぎ気味で出発。

おじいちゃん、おばあちゃんと楽しい時間を過ごし、晩ご飯をごちそうになって、そして二人の冒険は無事ゴールを迎える・・・はずだったのだけれど。

マンションの駐車場まで帰りついた夫は、長旅に疲れて小さく寝息をたてている息子をチャイルドシートから降ろそうとしたのだが、どうやら眠りがまだ浅かったらしい。
寝入り端を起こされた息子はグズりだした。さらに、思いがけない展開にうろたえる夫の不安が伝染して、息子はたちまちギャン泣き。
そうなったら男の人はもう無力だ。
身をよじって泣く息子に顔をペチペチと叩かれながら、夫はショボンと帰ってきた。
それから一時間近くかけてなんとか寝かしつけたのだけど、その間、夫は私と息子に交互に謝っていた。

それがトラウマになったみたい。
今日も出掛けに「今日は楽しく終わりたいなあ」と情けない顔で言っていた。
大丈夫。泣いたって怒ったって、あなたの息子はパパとの冒険をきっと楽しんでいますよ。


よーし。寝床はできたし、お風呂も沸いた。パパのビールも冷えてます。下の娘は白河夜船。あとは二人を待つだけだ。もしも泣いて帰っても、私がなんとかしようじゃないか。

さてさて、今夜の首尾はどうかな?



チャイムが鳴った。



私は立ちあがり、玄関に向かう。

おかえりなさい、王子さま。

そして。

パパ、お疲れさまでした。

暴利と友情「16ブックマーク」
山本は友人である田中に、{無利子で10万円を貸した。}

半年後、山本は田中に{「半年前に貸した100万円、返してくれない?」}と言ったという。

一体どういうことだろう?
20年06月06日 19:33
【ウミガメのスープ】 [やすくん]



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山本「なあ萬田、実は相談があんねんけど・・・。」

萬田「おうどないしたんや。」

山本「高校時代の友達にさ、田中っていただろ?」

萬田「ああ、あの暗かった奴な。」

山本「俺さあ、アイツに金貸してんねん。」

萬田「ふむ、いくらよ。」

山本「・・・10万円。」

萬田「うせやろ!?」

山本「友達やし、困った時はお互い様ってことで、無利子で貸したんやけどな。貸してから半年も経ったのに、連絡すら寄越さへんねん。」

萬田「『あげたことにせえ』って言うには・・・10万円はちと高すぎるなあ。」

山本「うん、さすがにちゃんと返して欲しいわ。」

萬田「借用書は作ったんやろな?」

山本「友達に金貸すのにそんなん作らへんよ。」

萬田「アホか!『そんなん借りてへん』ってしらばっくれられたらどないすんねん!」

山本「せやな、アホなことしたわ・・・。」

萬田「お人好し過ぎやねん、お前。」

山本「明日にでも田中の家に行って、いつ返してくれるんか聞いてみるわ。」

萬田「おう山本、そん時はな、『この前貸した100万円、はよ返せ』って言うんやで。」

山本「え、なんで?」

萬田「そしたらな、{『借りたんは10万円やろ!』って言い返してきよる。それを胸ポケットに隠したボイレコで録音しとき。万が一の時の借用書代わりになる}で。」

山本「あ、なるほどな。お前に相談して良かったわ。ありがとな、萬田。」

萬田「俺やったら地の果てまで追い詰めて鬼の取り立てすんねんけどなあ。」

山本「やめて怖い。」
善問の虎「16ブックマーク」
傍若無人な女王ボージャックの命令により、弓の名手ミノスケは遥か東のアルカディオ王国に旅立った。
恐ろしイ虎、マクガフィンの巣穴に眠る神秘の秘宝「トラコンボール」を手に入れて来いという命令であった。

ミノスケは今までに数々の洞窟を踏破しており、ガラパゴスゾウガメなど数々の猛獣も退治した勇者だった。
今回も当然のように「トラコンボール」を持ち帰るのだろうと誰もが信じていた。

アルカディオ王国についたミノスケは、マクガフィンの凶暴さを人々から聞く。
金の亀を主食とする珍獣のヤスミヅル、闇のスープ職人チクタクなどが一撃でやられてしまったというのだ。

しかしそこは歴戦の勇者ミノスケ。そんなことでは怯えもしない。
万全の準備をして、マクガフィンの巣穴へと向かうのであった。

マクガフィンの巣穴に到着すると、巣穴の前で待ち構える凶獣マクガフィン。
ミノスケは自慢の弓から矢を次々と放ち、マクガフィンに深手を負わせ、遥か彼方へと撃退したのだ。

…撃退したのだが…。結論として、ミノスケは「トラコンボール」を持ち帰ることはなかった。
巣穴に足を踏み入れようとした瞬間、ミノスケは突如として苦しみだし、そこから一歩も先に進めなかったのである。
「ミノスケが唯一踏破できなかった洞窟」として、マクガフィンの巣穴を誰もが恐れた。
いつしか呪いの洞窟だと言われ、近づくものは誰もいなかった。

それから数年後…。アルカディオ王国の少女・魔子が、偶然迷い込んだから洞窟から「トラコンボール」を拾ってきたという知らせが世界を駆け巡った。

あのミノスケが踏破できなかった洞窟で、魔子が「トラコンボール」を手に入れることができたのは何故だろうか?
20年06月21日 22:01
【ウミガメのスープ】 [ちくたく]

SPのマクガフィンさん、休み鶴さん。それと名前を使わせていただいた方に大きな感謝!




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特殊能力「ピンときたガフィン」を持つ凶獣マクガフィン。
ミノスケは離れた場所から弓矢を放つ。深手を負ったガフィンはたまらず逃げ出した。

巣穴に足を踏み入れようとしたとき、ミノスケは大きなくしゃみをした。
「ん?風邪はひいてないはずだし花粉症の季節でもないのにな…」
しかしそれは始まりに過ぎなかった。

目がかゆい、鼻水が止まらない、全身あちこち痒い。
挙句の果てには息ができなくなってきた…。これはいったい何なのだ…!?
自分の体調不良を疑い、症状の治まった後に再び巣穴を訪れるが同じようなことが起こる。

ミノスケはマクガフィンの巣穴に入れず、「トラコンボール」を手にすることになくアルカディオ王国を去った。
その後数々の冒険を成し遂げたが、マクガフィンの巣穴のような出来事は起こらない。
やはり、あれは呪いだったのだ…。

ある日のこと、ミノスケの妻が捨てられた子猫を拾ってきた。
そういえば冒険の連続で、猫に触れることなんて今までなかったな。
やさしく抱き上げると……マクガフィンの呪いと同じ症状が起こるではないか!
もしやこの猫は凶獣マクガフィンの生まれ変わり…。

妻「あなた、ひょっとして猫アレルギーなんじゃない?」

【「要約」】
重度の猫アレルギーであったミノスケは、ネコ科である虎の毛にまみれた巣穴に入れなかった。
少女・魔子は猫アレルギーではないので何事もなく巣穴に入れた。


結構毛だらけネコの毛だらけ…勇者はつらいよ…
返しなさい、いい子だから「16ブックマーク」
昨夜、私は職場の備品であるパソコンを一台盗んだ。
管理もずさんだったので、とても容易に盗み出すことができた。

次の日、パソコンのあった場所には代わりに貼り紙がしてあった。

貼り紙には、
・パソコンを盗んでいる現場を目撃した者がおり、既に犯人は特定されている
・今すぐに返却すれば処分を受けることなく、お咎め無しで許してもらえる
という旨が書かれていた。

私はそれを見て、
「パソコンを返す必要は無いな。」
と思った。


一体なぜ?


※この問題は過去に出した問題のリメイクです。
 ピンときた人はお口にアロンアルファ!
20年07月04日 00:53
【ウミガメのスープ】 [るょ]

※この問題は【過去問リメイク】です




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その貼り紙を見た時、初めはギョッとした。


何故なら、職場の"小学校"のパソコン室からパソコンを盗んだのは他でも無い私であり、
言われてみれば、学校から盗み出すとき誰かに見られたような気がしないでもなかったからだ。
本当に特定されていたとしたら、処分を受ける前に返却するのも賢い選択だろう。

しかし、私はあることに気がついた。
貼り紙には所々"ルビ"が振られ、難しい漢字はひらがなで書かれていたのである。

犯人が"教師"である私だと特定出来ており、この貼り紙が私宛のものであるならば、
わざわざ難しい漢字をひらがなにしたり、ルビを振ったりする必要はない。

つまり、この貼り紙は児童に向けた物であり、
「犯人が特定されている」というのが嘘だというのを見破ることが出来たのである。

さらに言えば、「お咎め無し」というのも児童に向けた言葉であり、
教師の私が犯人であればそういう訳にもいかないだろう。


…やっぱりパソコンを返す必要はないな。

というか返せない。
開き直った私は、盗んだパソコンで堂々とらてらてを楽しむことにしたのだった。


答え:
ルビやひらがなの使い方が明らかに子供向けだったため、
『犯人の特定』が嘘であることを看破したから。


リメイク元
http://sui-hei.net/mondai/show/9496
君だけは連れてゆこう「16ブックマーク」
ある日、山を歩いていたカメオは、
休憩するために腰掛けた岩の陰に、人がうずくまっているのを見つけた。

見れば、行方不明者の男の死体であった。

この山では、毎年多くの行方不明者が出る。

そういった死体を見慣れているカメオ。
いつもは、然るべき機関に連絡を入れるだけで放置するのだが、

この男の死体に関しては、
ロープで自身に括り付けると、そのまま山を下り始めたのだった。

一体、何のため?
20年08月07日 20:14
【ウミガメのスープ】 [るょ]



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数々の登山家たちの挑戦を拒み続けてきた神の山。
世界最高峰、ラテマウンテンの単独登頂成功。

道半ばで力尽きた数多の同志たちの死体を踏み越え、
世界でただ一人、自分が頂上に立ったのだ。

前人未到の大記録を達成し、余韻に浸っていたカメオ。

彼がウミオの死体を発見したのは、
腰掛けた岩から重い腰を上げ、いざ山を降りんとするその時だった。

世界的に有名な登山家であるウミオは、
カメオと同じく、数年前に「ラテマウンテンへの単独登頂」に挑戦し、
そのまま行方不明になっていたのである。

まさか、彼が頂上に辿り着いていたとは…。


背負うことができないほど、ガチガチに凍り付いている。
カメオは、ウミオの死体を自身の体に括り付けると、
息も絶え絶え山を下り、険しい崖の前までやってきた。


ウミオさん。あんたは…。
…そう。あんたは登頂に成功なんかしていない。

あんたはそこの崖から足を滑らせて死んだんだ。

頂上に初めて辿り着いたのは俺だ。
人類で初めて、ラテマウンテン頂上の雪を踏み固めたのは俺だ。
あんたじゃない。俺なんだ。


「悪いが、俺の栄光の邪魔はさせないぞ。」


カメオは彼の死体を、
彼の栄光とともに、崖から捨ててしまったのであった。



答え:
前人未到の大記録『ラテマウンテンの登頂成功』は、
実は数年前にウミオという登山家によって達成されていた。
(彼はそのまま山頂で死亡し、正式な記録は残っていない。)

ウミオの死体が山頂で発見されたことが知れたら、
『ラテマウンテンの登頂成功』の栄光が
『前人未到』ではなかったことになってしまう。

だから、カメオはウミオの死体を、
山頂から離れた場所に移動させることにしたのだった。