「死よりも怖いもの」「4ブックマーク」
ある病院にて、緩和ケアを受けていた男がいた。
もともと穏やかな性格だった男は自分が死ぬことを受け入れたり今後のことを考えたりと覚悟はしっかりとしていた。
ただ男は看護師や見舞い客が{妻の話を出すと手が付けられないくらいに取り乱してしまう。}
もはや死ではここまで恐れなくなっていたはずの彼なのに、どうしてそうなってしまうのだろう?
もともと穏やかな性格だった男は自分が死ぬことを受け入れたり今後のことを考えたりと覚悟はしっかりとしていた。
ただ男は看護師や見舞い客が{妻の話を出すと手が付けられないくらいに取り乱してしまう。}
もはや死ではここまで恐れなくなっていたはずの彼なのに、どうしてそうなってしまうのだろう?
20年09月19日 21:37
【ウミガメのスープ】 [アルカディオ]
【ウミガメのスープ】 [アルカディオ]
出題自粛とは(哲学)
解説を見る
簡易解説
男の妻もすでに亡くなっており男は妻とは違う宗教を信じていた。
男自信はそれに関しては何も言わず受け入れていたが宗教が違えば死生観が違うため『天国で妻と会える』とは思えなかった。
そのため男は自分が死んだあとそれだけが寂しいことであり妻のことを思い出すと永遠に彼女には会えないことを思い出し取り乱してしまうのだった。
解説(以下、問題文上の『男』を『カメオ』、『妻』を『カメコ』とします。)
「よっカメちゃん、来たぞ。」
カメオの昔からの友人のウミオがカメオの病室に遊びに来た。
「おおウミ野郎、さあ座れ。」
カメオも笑顔でウミオを迎える。部屋にはカメオの息子たちもいた。
「カメ、最近生き生きしてんな。」
「みんなのおかげだよ。今はいろいろ好きなこともできてる。もうこの世には未練なんかないさ。」
2人は学生のように語り合う。昔のこと、今のこと、話のタネにならなそうな些細なことまで。
だが…
「しかしカメちゃんが逝っちまったら先に待ってる嫁さんなんて言うかなぁ…。怒られると思うぞお前、久々に。」
ウミオがそう言った瞬間、2人の会話をニコニコ眺めていたカメオの息子たちの表情が一変した。
カメオもさっきまでと違いなかなか返答を返さない。
ウミオの方も『だろうな』とでも返されると思っていたのでこの突然の空気の変化に驚きを隠せなかった。
「おいカメ…」
「あるわけないだろ…」
「は?」
{「会えるわけねえだろカメコになんか!!!冗談じゃない!!!!!」}
カメオは大きな声でそう言うと急に暴れだした。
「おいどうしたんだよカメ!!!」
「うああああああああああっ!カメコ!!!」
もはやカメオは話が通じる状態ではなかった。たまたま通りがかった看護師によりカメオは取り押さえられ、ウミオはカメオの息子たちによっていったん病室の外に出された。
「おい、あいつどうしたんだよ…。あいつならむしろ『天国で嫁に会うのが楽しみだ!』くらいに言いそうだけど…」
「言えないんです。」
「え?」
「ウミオさんには先に言っておけばよかったですね。父は天国で母に会えるなんてみじんも思っていないんです。」
「そりゃまた…なんでだよ。」
「父と母、信仰する宗教が全く違うんです。父も母も互いの信仰を悪く言ったりはしませんでしたし、それで家庭内で争いが起こることこそありませんでした。」
「それが何だってんだ!」
「宗教が違う、すなわち{死生観}が違うんです。そのため{父が行くべき天国に母がいることはない}、そう考えているんです。だから父は極力母のことを思い出さず過ごしてきたんです。思い出すと…ああなってしまうので…。」
「そうか…。それだったらカメオや君たちに悪いことしたな…。」
「いいんです、私たちの方にも責任はあります。」
ウミオはカメオに申し訳なく思うのと同時にカメオのことを思うとどうしようもない気持ちになった。
それからカメオはほどなくして亡くなった。
ただ不思議なことに、カメオの最期の言葉は
{『カメコ、久しぶり』}
だったという。
カメオがカメコと同じ天国に行けたか、それは誰にも分からない。
ただカメオが最期にとても満足していたことはその場にいた全員が分かったことだった。
おわり
男の妻もすでに亡くなっており男は妻とは違う宗教を信じていた。
男自信はそれに関しては何も言わず受け入れていたが宗教が違えば死生観が違うため『天国で妻と会える』とは思えなかった。
そのため男は自分が死んだあとそれだけが寂しいことであり妻のことを思い出すと永遠に彼女には会えないことを思い出し取り乱してしまうのだった。
解説(以下、問題文上の『男』を『カメオ』、『妻』を『カメコ』とします。)
「よっカメちゃん、来たぞ。」
カメオの昔からの友人のウミオがカメオの病室に遊びに来た。
「おおウミ野郎、さあ座れ。」
カメオも笑顔でウミオを迎える。部屋にはカメオの息子たちもいた。
「カメ、最近生き生きしてんな。」
「みんなのおかげだよ。今はいろいろ好きなこともできてる。もうこの世には未練なんかないさ。」
2人は学生のように語り合う。昔のこと、今のこと、話のタネにならなそうな些細なことまで。
だが…
「しかしカメちゃんが逝っちまったら先に待ってる嫁さんなんて言うかなぁ…。怒られると思うぞお前、久々に。」
ウミオがそう言った瞬間、2人の会話をニコニコ眺めていたカメオの息子たちの表情が一変した。
カメオもさっきまでと違いなかなか返答を返さない。
ウミオの方も『だろうな』とでも返されると思っていたのでこの突然の空気の変化に驚きを隠せなかった。
「おいカメ…」
「あるわけないだろ…」
「は?」
{「会えるわけねえだろカメコになんか!!!冗談じゃない!!!!!」}
カメオは大きな声でそう言うと急に暴れだした。
「おいどうしたんだよカメ!!!」
「うああああああああああっ!カメコ!!!」
もはやカメオは話が通じる状態ではなかった。たまたま通りがかった看護師によりカメオは取り押さえられ、ウミオはカメオの息子たちによっていったん病室の外に出された。
「おい、あいつどうしたんだよ…。あいつならむしろ『天国で嫁に会うのが楽しみだ!』くらいに言いそうだけど…」
「言えないんです。」
「え?」
「ウミオさんには先に言っておけばよかったですね。父は天国で母に会えるなんてみじんも思っていないんです。」
「そりゃまた…なんでだよ。」
「父と母、信仰する宗教が全く違うんです。父も母も互いの信仰を悪く言ったりはしませんでしたし、それで家庭内で争いが起こることこそありませんでした。」
「それが何だってんだ!」
「宗教が違う、すなわち{死生観}が違うんです。そのため{父が行くべき天国に母がいることはない}、そう考えているんです。だから父は極力母のことを思い出さず過ごしてきたんです。思い出すと…ああなってしまうので…。」
「そうか…。それだったらカメオや君たちに悪いことしたな…。」
「いいんです、私たちの方にも責任はあります。」
ウミオはカメオに申し訳なく思うのと同時にカメオのことを思うとどうしようもない気持ちになった。
それからカメオはほどなくして亡くなった。
ただ不思議なことに、カメオの最期の言葉は
{『カメコ、久しぶり』}
だったという。
カメオがカメコと同じ天国に行けたか、それは誰にも分からない。
ただカメオが最期にとても満足していたことはその場にいた全員が分かったことだった。
おわり
「【納涼祭】祭囃子のその後で【後の祭り】」「4ブックマーク」
爽やかな秋の風が頬をなでました。
少し寂しいけれど、楽しい納涼祭ももう終わりの時間。
今回、こうして無事企画を出来たのは、みなさんの協力あってのことです。
本当に、ありがとうございました!!
心から感謝……あれ?
あれ? あれ? これって、ヤバくない!?
トトトトトトトラブル発生かも!!
カモじゃない、完全にトラブル発生じゃん!!
みみみなさん落ち着いて!
いや、違うな、なんとか……
あ、あの! お願いがあります!!
【皆さんの力で、このトラブルを解決してください!!】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この問題は亀夫君問題です。
ラピ丸に話を聞いたりしながら、みなさんは、この問題で起こったトラブルが何かを特定し、その解決に挑んでください。
少し寂しいけれど、楽しい納涼祭ももう終わりの時間。
今回、こうして無事企画を出来たのは、みなさんの協力あってのことです。
本当に、ありがとうございました!!
心から感謝……あれ?
あれ? あれ? これって、ヤバくない!?
トトトトトトトラブル発生かも!!
カモじゃない、完全にトラブル発生じゃん!!
みみみなさん落ち着いて!
いや、違うな、なんとか……
あ、あの! お願いがあります!!
【皆さんの力で、このトラブルを解決してください!!】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この問題は亀夫君問題です。
ラピ丸に話を聞いたりしながら、みなさんは、この問題で起こったトラブルが何かを特定し、その解決に挑んでください。
20年09月19日 21:20
【亀夫君問題】 [ラピ丸]
【亀夫君問題】 [ラピ丸]
ああ大変だ! 大変だ!
解説を見る
【解説】
ありがとうございました~。
皆さんがくれた【{明かり}】のおかげで、無事【{停電で暗くなっていた会場}】が、明かりを取り戻しました。
これで、足下もちゃんと見えますね!!
お、とか言っている間に、停電も直ったみたい。よかったよかった。
それでは改めまして、納涼祭は終了です。
足下にお気をつけてお帰りくださいませ。
【FA条件】
・明かりを参加者で出す(花火バッジにする、アイコンを光らせるetc……)
・闇スープが、停電している会場を表していて、現在起こっているトラブルが停電だと気づく
ありがとうございました~。
皆さんがくれた【{明かり}】のおかげで、無事【{停電で暗くなっていた会場}】が、明かりを取り戻しました。
これで、足下もちゃんと見えますね!!
お、とか言っている間に、停電も直ったみたい。よかったよかった。
それでは改めまして、納涼祭は終了です。
足下にお気をつけてお帰りくださいませ。
【FA条件】
・明かりを参加者で出す(花火バッジにする、アイコンを光らせるetc……)
・闇スープが、停電している会場を表していて、現在起こっているトラブルが停電だと気づく
「【非推奨】田中は実はブロンド美女だったのだ!」「4ブックマーク」
田中はエスカレーターを逆走しながら、「ヒュンガラモッケ、ヒュンガラモッケ」と連呼している。
何故だろう?
{※この問題は、当サイトルールの非推奨問題例(https://late-late.jp/main/hanmen)例11の問題文をそのまま出題しています。}
何故だろう?
{※この問題は、当サイトルールの非推奨問題例(https://late-late.jp/main/hanmen)例11の問題文をそのまま出題しています。}
20年09月20日 22:00
【ウミガメのスープ】 [ちーちゃん☆彡]
【ウミガメのスープ】 [ちーちゃん☆彡]
解説はオリジナルです。
解説を見る
【FA:田中はらてらてのサイトを人々に広めるため、「ヒュンガラモッケ」を検索させたかったから。】
田中はウミガメのスープが大好きで、普段からこのらてらてを楽しく利用している。
そこで田中は、もっともっとこのサイトを数多くの人々に広めたい!と思い、その方法を考えた。
しかし「ウミガメのスープ楽しいですよー!」とただ広めたところで、誰も聞かないだろうし限界があると感じた田中は、「人が集まる場所で変なことをし、らてらてに関するワードを叫べば、聞いた人達は自分に注目し、さらにその叫んだワードを検索するおかげで、その検索結果により多くの人がこのサイトに気付き、興味を持ってくれる人がいるのではないか」と考えた。
そしてその考えた方法が、数々のショッピングモールでエスカレーターを逆走し、「ヒュンガラモッケ、ヒュンガラモッケ」と連呼するという方法なのだ。
…お察しの通り、田中は1軒目で実践した時点で係の者に取り押さえられ、危険かつ奇妙な行為はやめるよう怒られ、それ以来は懲りてやらなくなった模様。
田中はウミガメのスープが大好きで、普段からこのらてらてを楽しく利用している。
そこで田中は、もっともっとこのサイトを数多くの人々に広めたい!と思い、その方法を考えた。
しかし「ウミガメのスープ楽しいですよー!」とただ広めたところで、誰も聞かないだろうし限界があると感じた田中は、「人が集まる場所で変なことをし、らてらてに関するワードを叫べば、聞いた人達は自分に注目し、さらにその叫んだワードを検索するおかげで、その検索結果により多くの人がこのサイトに気付き、興味を持ってくれる人がいるのではないか」と考えた。
そしてその考えた方法が、数々のショッピングモールでエスカレーターを逆走し、「ヒュンガラモッケ、ヒュンガラモッケ」と連呼するという方法なのだ。
…お察しの通り、田中は1軒目で実践した時点で係の者に取り押さえられ、危険かつ奇妙な行為はやめるよう怒られ、それ以来は懲りてやらなくなった模様。
「 【個人戦】早いもの勝ち!」「4ブックマーク」
この問題は特殊ルール付き闇20の扉です。
【質問開始は21時30分】からです。
ゆっくりと攻め方をお考え下さい。
<ルール>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
①{質問内容が被った場合、一番早かった方にのみお答えします。}
→他の方には「既に質問されています」とお返しします。
②{答えを当てる質問はこの限りではありません。}
→その際は通常の質問と区別するため{「答えは○○ですか?」}の形でお書きください。
③{リスト聞きは禁止}とします。
(複数の候補を挙げて確認する方法。「答えはA,B,Cのどれかですか?」など)
④質問数制限はありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
要は「やや情報の集め難い20の扉」です。…こう書くとつまんなそう(´・ω・`)
瞬発力で勝負するか、個性的な質問で確実に情報を得るか、プレイスタイルは貴方しだい!
5名の正解者が出た時点で終了とします。
今回皆さまに当てていただくのは…<「乗り物の名前」>です!
はりきってどうぞ!あ、【21時半から】ですよ!
【質問開始は21時30分】からです。
ゆっくりと攻め方をお考え下さい。
<ルール>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
①{質問内容が被った場合、一番早かった方にのみお答えします。}
→他の方には「既に質問されています」とお返しします。
②{答えを当てる質問はこの限りではありません。}
→その際は通常の質問と区別するため{「答えは○○ですか?」}の形でお書きください。
③{リスト聞きは禁止}とします。
(複数の候補を挙げて確認する方法。「答えはA,B,Cのどれかですか?」など)
④質問数制限はありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
要は「やや情報の集め難い20の扉」です。…こう書くとつまんなそう(´・ω・`)
瞬発力で勝負するか、個性的な質問で確実に情報を得るか、プレイスタイルは貴方しだい!
5名の正解者が出た時点で終了とします。
今回皆さまに当てていただくのは…<「乗り物の名前」>です!
はりきってどうぞ!あ、【21時半から】ですよ!
20年09月27日 21:00
【20の扉】 [クラブ]
【20の扉】 [クラブ]
ルールの使用はご自由に。超大変ですけどね!
解説を見る
正解は「{人力車}」でした。
皆さまご参加ありがとうございました!
…え?渾身の質問が既出だったって?
落ち込まず、その質問をした人を探してみましょう。
【あの天才】や【あの奇才】と同じ発想ができたのかも知れませんよ( *• ̀ω•́ )b
皆さまご参加ありがとうございました!
…え?渾身の質問が既出だったって?
落ち込まず、その質問をした人を探してみましょう。
【あの天才】や【あの奇才】と同じ発想ができたのかも知れませんよ( *• ̀ω•́ )b
「厳格な父のイメチェン」「4ブックマーク」
娘の笑顔が見たいと願う父親が、突然「髪を染めたい」と言い出したのは
いったいなぜか?
いったいなぜか?
20年10月01日 23:03
【ウミガメのスープ】 [壱]
【ウミガメのスープ】 [壱]
解説を見る
【簡易解説】
ゆりこは美容師の彼と結婚を前提に付き合っていたが、父親から「見た目が派手だ」という理由で頭ごなしに結婚を否定されてしまう。
傷ついたゆりこは、反抗心から父親と口をきかなくなった。
娘との関係に亀裂が入ったまま日々を過ごしていた父親だったが、やがて娘の彼氏と向き合うために歩み寄ることを決意。「彼に髪を染めてもらいたい」とゆりこに話したのだ。
【本解説】
「ゆりこさんと結婚を前提にお付き合いさせていただいてます、山内匠と申します」
そう言って私に頭を下げた彼は、なんとも派手な容姿をしていた。
明るい髪、無造作に生やした髭、耳や腕にはたくさんの装飾品。
付き合っている人がいるという話は小耳に挟んでいたが、まさかこんな軟派な男だったとは。偶然鉢合わせてしまったため、彼は大いに狼狽えていた。もちろん、私も同じだ。
「ゆりこ、昼間のあの男と結婚を考えているのか?」
夜、娘を呼び出して問い詰めた。
「そうよ。彼は美容師なの。見た目は少し派手だけど、とても誠実な人なのよ」
「少しなんてもんじゃないだろう。私は反対だ」
「どうして!彼のこと何も知らないじゃない」
「知るも何も、一目見ればわかる」
ゆりこの表情がみるみる険しくなっていく。
それでも私は構わず突き放した。
「あんなちゃらちゃらした男と結婚するなど、お父さんは認めんからな」
その日からゆりこは一切、私と口をきかなくなった。
それどころか目を合わせようともしない。
その後も相変わらずあの男との交際を続けているようだった。
私は腹立たしかった。
大事な大事な一人娘をあんな男に嫁にやりたくなどない。
そんなある日、妻のチカが自慢の長い髪を切った。
「おい、どうしたんだ?ずいぶんと雰囲気が変わったじゃないか」
「ふふ、ショートカットにしてみたの。どう?」
「あぁ、似合ってる」
「嬉しいわ。そんな風に褒めてくれるなんて」
チカは心底嬉しそうに微笑んだ。
「これねぇ、ゆりこの彼氏に切ってもらったのよ」
私は一瞬にして固まってしまった。
なんだと?あの男に?
「どんな髪型が似合うか一緒に考えてくれて、すごく気の利くいい子だったわよー。なにより、」
妻のまっすぐな瞳が私をとらえる。
「ゆりこのことを一生懸命に考えてくれてるわ。今のこと、これからのこと、私たち家族のことも」
「……なんだって?」
「あなた、彼のことでゆりこと喧嘩したでしょう。すごく気に病んでたわよ、彼。ゆりこも元気がないから心配だって」
「……ゆりこが、あんな男と結婚するとか言い出すからだろう」
「あんな男って、誰のことを言ってるの」
「その美容師の男だ」
「あなたは彼の何を知ってるの?」
チカまで、ゆりこと同じことを言う。
私は腹が立った。
「あんなちゃらちゃらした男に大事な娘はやれんと言ってるんだ!」
「あら。どの辺がちゃらちゃらしてるの?」
「あんな……金髪みたいな頭で、ピアスだのなんだの、不良みたいじゃないか。わけがわからん」
「そんなに言うんだったら、あなたも金髪にしてみたらどう?」
「バカにしてるのか!」
「してないわよ、ぜんぜん。ねぇ、私だってゆりこのことがすごくすごーく大事よ。あの子に幸せになってほしいの。だから、目を背けないであの子の大事なものとちゃんと向き合ってちょうだい」
綺麗に切り揃えられた髪がふわりと揺れる。
「向き合ってみて、それでダメなら胸を張ってダメだと言えばいいわ。でも、向き合おうともせずに頭から否定してゆりこを悲しませるなら、私が許さないわよ」
いつも穏和な妻のはっきりとした口調に、私は何も言い返せなくなった。
あぁ、男というのは、大事なときに不器用でいけない。
有無を言わせず引っ張っていくのは簡単なことなのに。
向き合うったって、どうやって向き合えというのか。
こちらから呼び出して話し合えとでもいうのか?
あんなちゃらちゃらした男が、ゆりこを守れるのか?
ゆりこが傷ついたり悲しんだりする顔は見たくない。
私は間違っているのか?
私は、
私は…………
「ゆりこ」
娘の華奢な肩がビクリと跳ねる。
「……なに」
こちらを振り返りもせず、低い声でそう尋ねる。
妻ならこういう時、どんな言葉をかけるのだろうか。
「……父さんな、髪を染めてみようかと思うんだ」
「……えっ?」
驚いたように振り返るゆりこ。
実に一ヶ月ぶりに、目が合った。
「あぁー……あの、あんまり派手なのはいかんから、焦げ茶くらいにな。それで、あの、なんだ、彼……山内君だったか?そう、彼に頼んでみてもらえないか」
大きく見開いた目をさらに大きく見開いて、まばたきも忘れて私を見つめる娘の瞳から、やがて大粒の涙が零れた。
「……わかった。お父さんを世界一かっこよくしてって、頼んでおくわ」
ゆりこはしばらく顔を伏せて泣きじゃくっていたが、少ししてゆっくりと顔を上げた。
そこにあったのは、私がずっと見たいと願ってやまなかった娘の笑顔だった。
ゆりこは美容師の彼と結婚を前提に付き合っていたが、父親から「見た目が派手だ」という理由で頭ごなしに結婚を否定されてしまう。
傷ついたゆりこは、反抗心から父親と口をきかなくなった。
娘との関係に亀裂が入ったまま日々を過ごしていた父親だったが、やがて娘の彼氏と向き合うために歩み寄ることを決意。「彼に髪を染めてもらいたい」とゆりこに話したのだ。
【本解説】
「ゆりこさんと結婚を前提にお付き合いさせていただいてます、山内匠と申します」
そう言って私に頭を下げた彼は、なんとも派手な容姿をしていた。
明るい髪、無造作に生やした髭、耳や腕にはたくさんの装飾品。
付き合っている人がいるという話は小耳に挟んでいたが、まさかこんな軟派な男だったとは。偶然鉢合わせてしまったため、彼は大いに狼狽えていた。もちろん、私も同じだ。
「ゆりこ、昼間のあの男と結婚を考えているのか?」
夜、娘を呼び出して問い詰めた。
「そうよ。彼は美容師なの。見た目は少し派手だけど、とても誠実な人なのよ」
「少しなんてもんじゃないだろう。私は反対だ」
「どうして!彼のこと何も知らないじゃない」
「知るも何も、一目見ればわかる」
ゆりこの表情がみるみる険しくなっていく。
それでも私は構わず突き放した。
「あんなちゃらちゃらした男と結婚するなど、お父さんは認めんからな」
その日からゆりこは一切、私と口をきかなくなった。
それどころか目を合わせようともしない。
その後も相変わらずあの男との交際を続けているようだった。
私は腹立たしかった。
大事な大事な一人娘をあんな男に嫁にやりたくなどない。
そんなある日、妻のチカが自慢の長い髪を切った。
「おい、どうしたんだ?ずいぶんと雰囲気が変わったじゃないか」
「ふふ、ショートカットにしてみたの。どう?」
「あぁ、似合ってる」
「嬉しいわ。そんな風に褒めてくれるなんて」
チカは心底嬉しそうに微笑んだ。
「これねぇ、ゆりこの彼氏に切ってもらったのよ」
私は一瞬にして固まってしまった。
なんだと?あの男に?
「どんな髪型が似合うか一緒に考えてくれて、すごく気の利くいい子だったわよー。なにより、」
妻のまっすぐな瞳が私をとらえる。
「ゆりこのことを一生懸命に考えてくれてるわ。今のこと、これからのこと、私たち家族のことも」
「……なんだって?」
「あなた、彼のことでゆりこと喧嘩したでしょう。すごく気に病んでたわよ、彼。ゆりこも元気がないから心配だって」
「……ゆりこが、あんな男と結婚するとか言い出すからだろう」
「あんな男って、誰のことを言ってるの」
「その美容師の男だ」
「あなたは彼の何を知ってるの?」
チカまで、ゆりこと同じことを言う。
私は腹が立った。
「あんなちゃらちゃらした男に大事な娘はやれんと言ってるんだ!」
「あら。どの辺がちゃらちゃらしてるの?」
「あんな……金髪みたいな頭で、ピアスだのなんだの、不良みたいじゃないか。わけがわからん」
「そんなに言うんだったら、あなたも金髪にしてみたらどう?」
「バカにしてるのか!」
「してないわよ、ぜんぜん。ねぇ、私だってゆりこのことがすごくすごーく大事よ。あの子に幸せになってほしいの。だから、目を背けないであの子の大事なものとちゃんと向き合ってちょうだい」
綺麗に切り揃えられた髪がふわりと揺れる。
「向き合ってみて、それでダメなら胸を張ってダメだと言えばいいわ。でも、向き合おうともせずに頭から否定してゆりこを悲しませるなら、私が許さないわよ」
いつも穏和な妻のはっきりとした口調に、私は何も言い返せなくなった。
あぁ、男というのは、大事なときに不器用でいけない。
有無を言わせず引っ張っていくのは簡単なことなのに。
向き合うったって、どうやって向き合えというのか。
こちらから呼び出して話し合えとでもいうのか?
あんなちゃらちゃらした男が、ゆりこを守れるのか?
ゆりこが傷ついたり悲しんだりする顔は見たくない。
私は間違っているのか?
私は、
私は…………
「ゆりこ」
娘の華奢な肩がビクリと跳ねる。
「……なに」
こちらを振り返りもせず、低い声でそう尋ねる。
妻ならこういう時、どんな言葉をかけるのだろうか。
「……父さんな、髪を染めてみようかと思うんだ」
「……えっ?」
驚いたように振り返るゆりこ。
実に一ヶ月ぶりに、目が合った。
「あぁー……あの、あんまり派手なのはいかんから、焦げ茶くらいにな。それで、あの、なんだ、彼……山内君だったか?そう、彼に頼んでみてもらえないか」
大きく見開いた目をさらに大きく見開いて、まばたきも忘れて私を見つめる娘の瞳から、やがて大粒の涙が零れた。
「……わかった。お父さんを世界一かっこよくしてって、頼んでおくわ」
ゆりこはしばらく顔を伏せて泣きじゃくっていたが、少ししてゆっくりと顔を上げた。
そこにあったのは、私がずっと見たいと願ってやまなかった娘の笑顔だった。