みんなのブックマーク

【要知識】スイートスキップ「5ブックマーク」
最近世間で話題になっている商品・エルカリム。

商品の宣伝文句である、誰もが体感したことのない味を味わえるという文言が皆の興味を惹いていた。SNSでは『エルカリム 味』が多く検索され、それに目をつけた配信者がこぞってエルカリムを買い、というまさに話題が話題を呼ぶ状態となっている。

さて、ある有名配信サイトにはエルカリム関連の動画が多くアップロードされたのだが、それら動画のほとんどで、{主役のエルカリムを食べているシーン一部始終が、長尺で用いられないばかりかあっさりカットや早送りばかりされている}理由はなんだろうか?
23年08月03日 23:09
【ウミガメのスープ】 [みさこ]



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エルカリムの正体は、{次に食べる酸っぱいものが甘く感じられる}という{ミラクルフルーツ}の一種である。

レモンや梅干しが甘い、といった誰もが体感したことのない味の操作がSNSで話題にはなったが、当のエルカリム自体の味にはそれほど注目が行かなかった。食べ方もシンプルな為、エルカリムを実際に食べているシーン自体に面白みはない。

そのため、エリカリムの効果を試してみるという趣旨の動画においては、山場たる{「レモンが甘い!」}などの衝撃的な場面の準備として、エルカリムを食べているシーンは一応動画に載せはするが、カットや早送り編集が多用されるのである。
カエルから帰るのは「5ブックマーク」
悪い魔法使いに捕まり、その力によって池のほとりにいた蛙と姿を入れ替えられてしまったお姫様。

囚われのお姫様を助けに勇者が現れ、魔法使いと激しい死闘を繰り広げた。
戦いの末、遂に勇者は魔法の杖を奪い、お姫様にかけられた魔法を解除する魔法を唱えようとする…。

のをお姫様は必死に制止した。なぜ?
23年08月11日 00:01
【ウミガメのスープ】 [みさこ]



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魔法使いがかけていた魔法は、対象お互いの{魂でなく姿}を入れ替える魔法。


魔法使いに捕えられたお姫様は、蛙の姿を手に入れたのち、魔法使いによって{蛙一匹分の小さな檻}に入れられたのである。
もしこのまま、勇者が入れ替わりの魔法を解除すれば…。
お姫様はその檻に入ったまま、元の人間の姿に戻るのだ。頑丈で小さな檻の中に入ったまま、圧死してしまうかもしれない。

すぐそばの大きめの檻に入っている蛙(お姫様の姿)に魂が元へ戻るのだと思っているであろう勇者を、お姫様は必死に制止したのだった。

…なんかこう、ゲコって鳴いたり、あとは手足のジェスチャーとかで。
不思議な海産物×1「5ブックマーク」
あの、この村の方でしょうか?

すみません、私はミサといいます。お尋ねよろしいでしょうか…。

他でもなく、ここに伝わる{不思議な海産物}を求めてやってきたのです。この書物の三節にある通り、その海産物は『ひとたび口に含ませれば、たちまち病人の元気な姿が見られるようになる』と伝えられています。

私の妹は、治すのがなかなか難しい病に臥せっています。ご高明なお医者様に相談し、さらに効能あらたかな薬草などいろいろ探す中で、この村の海産物にも目をつけました。

しかし、肝心のその海産物というのが、どこにあってどんなものなのか、あいにく検討もついておりません。

書物には、『賽銭と共に願えば現れる、頓狂な見た目の海産物』とありますが…。何が何やら…。

お願いです。この海産物探しに、ご協力いただけませんか?

{※}皆さんには村人として、ミサに質問をし一件を解決していただきます!
{※}本問は亀夫君問題ですので、ミサに{YesNoでは答えられない質問}もできます。但し、ミサは自身の知っていることしか回答しません。
{※}本問にはFA条件が{二つ}存在します。

それでは、よろしくお願いいたします。
23年08月13日 21:00
【亀夫君問題】 [みさこ]

ひとたび口に含ませれば、たちまち病人の元気な姿が見られるようになる




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ご親切な村人さん、この間はありがとうございました。

村人さんが仰る通り、この村にあると伝わっていた海産物というのは、{虹色に輝くヒトデ}だったようです。

お賽銭は、村人さんが来られる前に私が行ったもので間違いなかったようですね。こちらでは、100コインという価値でしょうか。それで現れるなんて、不思議なヒトデですね。


ただ、やはりそのヒトデは病を治す効果のあるものではなかったみたいです…。

『ひとたび口に含ませれば、たちまち病人の元気な姿が見られるようになる』

これがまさか、{幻覚}のことを言っていたなんて…。

薬を探すのに躍起になっていて、ついついこの『口に含ませれば』というのを、{病人の口に含ませてあげれば}というように解釈していました。そうではなく、仰っていた通り{自分の口に含ませれば、病人の元気な姿の幻覚が見える}だけのものでした。

よくよく考えれば、虹色なんて酔狂な見た目をしているヒトデですし、この書物の一節や二節にも、良好な視界・豊かな作物など、幻覚じみたものばかり書かれていました。私の早とちりでご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありませんでした…!

また、ご協力いただきありがとうございました。あなたがいなければ、私はもう少しのところで、病に臥せる妹に幻覚を見せるヒトデを与えてしまうところでした。調べていただいたところ身体には障りのない成分のようですが、病気が治るわけではありませんから。

妹のことは、お医者様に任せることにいたします。なので、私はもう少しこの村に残って、妹へのお土産話を探してみますね。

この村には、美味しいスープがたくさんあるのでしょう?いくつか味わってみたいです。


【FA条件】
①不思議な海産物が、{虹色に輝くヒトデ}であることを明かす。(問題に付くハイライト機能のスターのことを見立てている。)
②そのヒトデの効果が、病気を治すものではなく{幻覚を見せる}ものであることを明かす。(問題文中の書物に対するミサの勘違いを正す。)
上下逆の方がおもしろい「5ブックマーク」
小さい頃から親が厳しく勉強ばかりさせられ、漫画やアニメといったものに触れさせて貰えなかったカメオ。
そうして県内有数の難関高校に進学したカメオは、漫画に触れる機会が増え、こんなにも漫画が面白いのかと気付いた。
さて、そんなカメオが基本的に上下逆向きから漫画を読んでいるのは何故?
23年09月06日 18:57
【ウミガメのスープ】 [ベルン]



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通学途中の満員電車で立っていると、前に座っている人がスマホで読んでいる漫画(一日一話無料更新のやつ)がふと目に入り、それがとっても面白かった。
しかしカメオは親が厳しいためスマホなど持たせて貰えるはずもなく、続きが読めなかった。

次の日、その人はいないかなぁと探すと、昨日と同じ場所にいるではないか!
この人も僕と同じ路線で同じ時間に通勤しているらしい。

それからというもの、行きの電車の中ではその人の読む漫画をこっそり上からのぞき込んで(つまり上下逆向きから)読んでいたカメオだった。
この世界から消えるとき「5ブックマーク」
この世に未練がある人間は、幽霊になるという。

「わたし、幽霊になっちゃった」

亡くなったはずの恋人・日向は、樹の元へと現れて言った。

「樹くんとやりたかったことが多すぎたからね」

それを聞いた樹は、日向が満足して消えられるようにと、日向の望みを何でも叶えると決めた。

最近できた遊園地に一緒に行く。
この辺りで一番高い山の山頂から夕陽を見て、2人の写真を撮る。
海の見えるレストランでウミガメのスープを食べる。
……


日向の言ったことを一つひとつ叶えていった樹だったが、その半分も終わらないうちに、日向は消えてしまった。

一体なぜ?


※「この世に未練がある人間は幽霊になる」以外の非現実要素はありません。
23年09月18日 22:31
【ウミガメのスープ】 [輝夜]



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【簡易解説】
日向の本当の未練とは、{日向の死後、家に引きこもるようになってしまった樹}。
見かねた日向は樹の前に現れ、{自分の望みと称して}樹を{外へと連れ出した}。
日向の願いを叶えていく中で、樹が{社会復帰を果たした}ため、日向は満足し、消えた。


【とても長い解説】

「わたし、幽霊になっちゃった」

 昔、樹くんと一緒に暮らしていた部屋。埃の積もったそこに、半透明の足先をつけて着地した。
 樹くんったら、幽霊でも見たような顔しちゃってさ、失礼なんだから。あ、わたし、幽霊だった。
「え、あ、日向……?」
「えー、わたしのこと、忘れちゃったなんて言わないよね?」

 そんなわけない。それは私が一番知ってる。
 部屋はカーテンが締め切られていて薄暗い。床に放ったままにされている通販の段ボールや、はさみはちょっと危なっかしい。ゼリーのゴミは結構汚い。あと流しに積み重なってるカップラーメンのゴミも。わたしが虫嫌いなの、知ってるくせに。

「っまさか! 一瞬だって、忘れたことはっ……」
「うん、忘れないでいてくれたのは嬉しいけどさ、」
 こんなの望んでないよ。
 その言葉は呑み込んで、なんでもないよ、って首を振ると、わたしは宣言する。

「わたし、この世に未練ばっかりなの! 樹くんとしたかったことが多すぎたからね」
「そ、そうか……?」
「そう! だからさ、まず、最近できた遊園地に一緒に行こうよ! わたしが消えられるように、手伝って!」
「けど、俺、」
「なーに、可愛い彼女のお願いひとつ叶えられないの?」

 そう言うと、樹くんは伸び切った前髪の奥で、泣き出しそうな顔で笑った。

「幽霊になっても、日向は日向なんだな」
「当たり前でしょ?」
「そういうやつだったよ。……一週間くれ。絶対連れていく」
「やったー!」
 無邪気に喜んで、洗面所に走っていく樹くんを見送った。


 それから、遊園地に行った。山にも登ったし、水族館にも行った。わたしは食べられないけど、おしゃれなレストランにも連れてってもらったし、一緒に(といってもわたしは見てただけだけど)バンジージャンプも行ってみた。悲鳴をあげる樹くん、見ものだったなあ。
 それだけ遊んでたらもちろん、お金が足りなくなった。樹くんはバイトを始めた。新しい友達ができたらしい。その友達と一緒に、今は仕事を探してるんだって。
 同窓会に行きたいってねだってみた。樹くんはわたしばっかり見ているわけにもいかなくて、昔の友達と話してた。「あいつら、変わってないな」って、呆れたように笑ってた。

 
 それは、ある公園からの、帰り道でのことだった。
 樹くんはばったりあった友達くんと話し込んでて、夕陽が樹くんの髪を照らしていた。
 綺麗に整えられて、つやつやと光っている黒髪。わっと笑った樹くんが、友達くんの肩を勢いよく叩いた。

 もう、わたしはいらないかな。

 そう思った瞬間に、ちょっと体が軽くなった。これは消えるや、と思った。
 
「ごめん待たせた」
「もー、待たせすぎ」
「悪かったって」
「お詫びに、ひとつ願い叶えて!」
「まだ大量に残ってるだろ? 何個あるんだよ」
「まあまあ、一瞬で終わるやつだからさ」
 樹くんの顔を見た。やっぱりかっこよかった。

「あのさ、好きって言われたい」
「後でな」
「だめ!」

 思いの外強い声が出た。わたしの勢いに面食らったような顔をしたけれど、樹くんは、いつものように仕方ないな、という顔をした。
 いつだってわたしの願いを叶えてくれる顔。我が儘で主張ばっかりしてたわたしを許してくれた顔。

「好きだよ。……ほら、これで良いか?」

 心が満たされた瞬間、またふっと体が軽くなった。

「うん。……ありがと」

 また散らかしちゃだめだよ。
 ちゃんとバイト行くんだよ。仕事探すんだよ。
 わたしのことなんて忘れて、ちゃんと幸せになってね。

 ……でも、たまには、年に1回くらいは、あんなやつもいたなって、思い出してくれたら嬉しいな。

 樹くんの顔を見た。その時ちょうど、夕日が沈んだ。


 そしてわたしは、この世界から消えた。