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そんなに【簡易】でもない【解説】

大嫌いなウミオがかかったラテラル病に対し、すでに開発されていたＣタートルを使用せずに見殺しにしていたことのあるカメオ。

一方、カメオの息子とウミオの娘は結婚し、三人で仲良く暮らしていた。
ただし、カメオはウミオのことが大嫌いなこと、そしてＣタートルを投与しなかったことだけは隠していた。

しかし、ノーベル賞受賞のニュースが流れ、Ｃタートルが何年に開発されたかが、ウミオの娘＝カメオの息子の妻の耳に入った。
「あれ、この年ってお父さんまだ生きていたよね…？」
と呟いているのを聞くと、どうしようもない気持ちになり、
翌日、カメオは「ごめんね」と書き残して、家を出ることにした。


【解説】

カメオは、マンションの隣の住民、ウミオと、ひどく仲が悪かった。
タバコの臭いがひどいと文句を言ってから、様々な嫌がらせを受けては返して、廊下ですれ違うたびに暴言を言い合う始末。
あるときにはウミオがカメオに殴りかかってきたこともあった。

さて、カメオがＣタートルを発見したあと、ウミオがラテラル病にかかった。

ウミオにＣタートルを投与する話が出たが、カメオが絶対にこんなやつに使いたくないと断固拒否し、使われないままウミオは亡くなってしまった。

一方、カメオの息子はウミオの娘、カメコと付き合っていた。

そうとは知らないカメオは、いつもカメオの息子の事を想っているカメコの事を気に入っていた。
しかし結婚の挨拶の時、ウミコがウミオの子供だと知り、衝撃を受けたカメオ。
カメオは、ウミコの父親、ウミオのことを知っており、さらにウミオのことが大嫌いだと告げることはできなかった。
ましてや、ウミオにＣタートルを投与しなかったことなんて言えるわけがなかった。
ウミコ本人はウミオが亡くなったときは幼かったし、そこまでＣタートルやラテラル病に詳しくないようだった、このことは絶対にウミコに伝えられない秘密にしようと考えた。

月日は流れ、カメオすらウミコがウミオの娘であることを忘れつつあったころ、Ｃタートルの発見でノーベル賞を受賞したことが分かった。
カメオはまさか自分がノーベル賞をもらえるとは思わず、喜んでいたが、

Ｃタートル発見の年がニュースで報道されているのを聞いたウミコが、ぽろっとこぼした一言を聞いて青ざめた。
「あれ、この年って私のお父さんまだ生きていたよね…？」

そう、カメオはウミオを大嫌いだったどころか、Ｃタートルを与えず殺害したといっても過言ではない。

ウミコともはや合わす顔などなく、荷物をまとめたカメオは、
「ごめんなさい」
とだけ書き置きをのこして家を出た。

もう二度とウミコに会わない覚悟をして。

学園祭で劇をすることになったケンゴとマリのクラス。
演劇部に所属しているマリと一緒に演じたいと思ったケンゴだが、見事主演のジョセフ役を勝ち取ることができた。
さて、その舞台で、マリ演じるキャロルのセリフ。
「ねぇジョセフ、私の親友っぽく見えてると思うけど、実はジョディの事が大嫌い。でもこのことは絶対に誰にも言わないで。他に誰にも言ってないの」
これを聞いていたケンゴ演じるジョセフのセリフ。
「そうだったの！　全然知らなかった…　とてもびっくりしたけど誰にも言わないよ。」
と誓った。

そしてすぐ、キャロルが舞台からはけ、一人舞台に残ったジョセフ。
衝撃的な秘密を暴露されて、
「キャロルがジョディのことを大嫌いだったなんて！！　僕はジョディにキャロルとの恋を相談して、僕たちが付き合えるように画策してたのに！！」
と、ケンゴは大声で次のセリフを叫んだ。

ぼくはかつお節だから

ヤブ医者のウミオが、カメオに嘘の余命宣告をした。
「癌です。あなたの命はあと1年もつかどうかです。しかし、この手術をしたら、もしかしたら命が助かるかもしれません」
とカメオに伝えたところ、手術をすることを決意。

結果、麻酔だけかけられて一切手術をされず、100万円を支払ったカメオだが、
「手術成功です！！」と言われて、喜んだ。

あれから15年。

今もカメオは元気に暮らしている。

カメコは保育士。
絵や字を書くのが得意で、園での子どもたちの様子を記したお便りの作成は他の先生よりも早かった。

ところが、今まで手書きで書いていたお便りや諸々の書類を、園の方針で今日からパソコン入力で作成するようになった。

パソコンが苦手なレトロ人間カメコは四苦八苦。
「ワードって何？」「改行はどうやるの？」「写真はどうやって入れるの？」などなど、一人でてんやわんや。

他の先生方がサクサク仕事を進める中、その三倍の時間をかけてやっとの思いでお便りを完成させたのだった。