「【正解を創りだすウミガメ】願いの叶う物語【最終回】」「13ブックマーク」
<◆◆ 問題文 ◆◆>
【いつもは通らない道を通った女。】
【その道中、{一冊の本}を見つけた女は、自分の願いが叶うと思った。】
【一体なぜ?】
ーーーーーーーーーー
{正解を創りだすウミガメ最終回}の司会進行を務めさせて頂きます、布袋ナイと申します!
さて、早速ですがルール説明に参ります!
{過去の創りだすについては、タグを参照下さい!}
<☆☆要素募集フェーズ☆☆>
【[1/13(土)21:00頃~]】
要素は{1人4個まで}投稿可能です。
要素が{40個}集まるか、{24時間経った時点}で募集を終了し、その中からランダムに{10個}選出したものを要素として使用します。
<☆☆投稿フェーズ☆☆>
【[要素選出終了後〜1/28(日) 23:59頃]】
選出された要素中{10〜7}個を使用して問題文に対する解説を書いて下さい。
{タイトルと解説}を質問欄に連続で投稿し、最後の行には必ず{完了}の旨を記載して下さい。
<☆☆感想フェーズ☆☆>
【[投稿フェーズ終了後〜2/4(日) 23:59]】
投稿フェーズ後の質問欄にて好きな作品に対する感想を投下して下さい!
感想は、{「好きです!」}など、一言だけでも大丈夫です!
また{感想フェーズでの作品投稿も可}としますが、その際には{タイトルも含めて1コメント分にまとめた文章}を、
─────────────────────────────
{このように書いてください。}
─────────────────────────────
詳しいルールについては【こちら】を参照して下さい!
https://late-late.jp/secret/show/2wgwozfnBGIHYj6XOBB5pAp1m5T6aQIf2Ii8bKsEboA.
今回タイトルに記載した通り、公式に開催される正解を創りだすウミガメは、今回が最終回となります。
その為、普段とはルールが変更されている部分がありますので、ご注意ください!
皆様のご参加をお待ちしております!
【いつもは通らない道を通った女。】
【その道中、{一冊の本}を見つけた女は、自分の願いが叶うと思った。】
【一体なぜ?】
ーーーーーーーーーー
{正解を創りだすウミガメ最終回}の司会進行を務めさせて頂きます、布袋ナイと申します!
さて、早速ですがルール説明に参ります!
{過去の創りだすについては、タグを参照下さい!}
<☆☆要素募集フェーズ☆☆>
【[1/13(土)21:00頃~]】
要素は{1人4個まで}投稿可能です。
要素が{40個}集まるか、{24時間経った時点}で募集を終了し、その中からランダムに{10個}選出したものを要素として使用します。
<☆☆投稿フェーズ☆☆>
【[要素選出終了後〜1/28(日) 23:59頃]】
選出された要素中{10〜7}個を使用して問題文に対する解説を書いて下さい。
{タイトルと解説}を質問欄に連続で投稿し、最後の行には必ず{完了}の旨を記載して下さい。
<☆☆感想フェーズ☆☆>
【[投稿フェーズ終了後〜2/4(日) 23:59]】
投稿フェーズ後の質問欄にて好きな作品に対する感想を投下して下さい!
感想は、{「好きです!」}など、一言だけでも大丈夫です!
また{感想フェーズでの作品投稿も可}としますが、その際には{タイトルも含めて1コメント分にまとめた文章}を、
─────────────────────────────
{このように書いてください。}
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詳しいルールについては【こちら】を参照して下さい!
https://late-late.jp/secret/show/2wgwozfnBGIHYj6XOBB5pAp1m5T6aQIf2Ii8bKsEboA.
今回タイトルに記載した通り、公式に開催される正解を創りだすウミガメは、今回が最終回となります。
その為、普段とはルールが変更されている部分がありますので、ご注意ください!
皆様のご参加をお待ちしております!
24年01月13日 21:00
【新・形式】 [布袋ナイ]
【新・形式】 [布袋ナイ]
らてらてでは52回開催された正解を創りだすウミガメ、公式では最終回です!3/11まで投稿フェーズ中!
解説を見る
【結果発表〜〜〜!!!!】
皆々様、長らくお待たせ致しました!!!!
私のブラウザのトラブルもあり、本当にお待たせしました!!!ごめんさない!!!!
楽しかった祭りは終わり、皆様お待ちかね、結果発表のお時間です。
…とは言えども、今回は発表が必要なことはありませんので、総まとめだけ!
まず、【今回の要素一覧】はこちら!
【①雪が降っています
②いつかまた復活します
③何らかの障害が関係します
④カレー屋さんしか見つかりません
⑤女は間違いを犯しました
⑥労働の喜びを感じました
⑦女はスポーツが得意です
⑧損な性分です
⑨創りだします
⑩あと一つです】
皆さんには、この{【10個】}の要素の中から【7個以上】の要素を使い、解説を考えて頂きました!
次に、【今回の投稿作品】はこちら!
【① 『「パルクール走者にこんな人はいません」』とろたく(記憶喪失)さん
②『誰のための人生なのか?』弥七さん
③ 『注文の多い咖哩店?🌴』弥七さん
④『この素晴らしき視界』みづさん
⑤『「どうだ明るくなったろう」』きはるさん
⑥『〖最終回〗無題.docx』ほずみさん
⑦『 〖絵本を買う老人〗』藤井さん
⑧ 『記憶はいつも一視点だ』葛原さん
⑨『問題を創りだすウミガメ』輝夜さん
⑩ 『いつかまた復活する怪獣』輝夜さん
⑪『つなぐ灰色』さなめ。さん
⑫『鹿は何を食べる?』畦猿さん
⑬『SO HAPPY END』のまるすさん
⑭ 『いつか金メダルを』ぎんがけいさん
⑮『追い抜いて、春』「マクガフィン」さん
⑯『雪は海に溶けて消える』とろたくさん】
{【13人】}のシェフの皆様により、{【16作品】}が創りだされました!!
そして感想フェーズでは、{【11人】}の方が感想を書いてくれました!!!
私のわがままにお付き合い頂いて、ありがとうございます!!!
シェフの皆さんにも、素敵な感想が届いたのではないでしょうか!!!
最後に、最終回を盛り上げて下さった皆さん。そして、今まで創りだすを支えてきて下さっていた皆さんにも。
この場を借りて御礼を申し上げます!!!
拙い司会ではありましたが、最終回を楽しんで頂けたようならば幸いです!!
【それでは、今後もlet'sらてらて〜!】
皆々様、長らくお待たせ致しました!!!!
私のブラウザのトラブルもあり、本当にお待たせしました!!!ごめんさない!!!!
楽しかった祭りは終わり、皆様お待ちかね、結果発表のお時間です。
…とは言えども、今回は発表が必要なことはありませんので、総まとめだけ!
まず、【今回の要素一覧】はこちら!
【①雪が降っています
②いつかまた復活します
③何らかの障害が関係します
④カレー屋さんしか見つかりません
⑤女は間違いを犯しました
⑥労働の喜びを感じました
⑦女はスポーツが得意です
⑧損な性分です
⑨創りだします
⑩あと一つです】
皆さんには、この{【10個】}の要素の中から【7個以上】の要素を使い、解説を考えて頂きました!
次に、【今回の投稿作品】はこちら!
【① 『「パルクール走者にこんな人はいません」』とろたく(記憶喪失)さん
②『誰のための人生なのか?』弥七さん
③ 『注文の多い咖哩店?🌴』弥七さん
④『この素晴らしき視界』みづさん
⑤『「どうだ明るくなったろう」』きはるさん
⑥『〖最終回〗無題.docx』ほずみさん
⑦『 〖絵本を買う老人〗』藤井さん
⑧ 『記憶はいつも一視点だ』葛原さん
⑨『問題を創りだすウミガメ』輝夜さん
⑩ 『いつかまた復活する怪獣』輝夜さん
⑪『つなぐ灰色』さなめ。さん
⑫『鹿は何を食べる?』畦猿さん
⑬『SO HAPPY END』のまるすさん
⑭ 『いつか金メダルを』ぎんがけいさん
⑮『追い抜いて、春』「マクガフィン」さん
⑯『雪は海に溶けて消える』とろたくさん】
{【13人】}のシェフの皆様により、{【16作品】}が創りだされました!!
そして感想フェーズでは、{【11人】}の方が感想を書いてくれました!!!
私のわがままにお付き合い頂いて、ありがとうございます!!!
シェフの皆さんにも、素敵な感想が届いたのではないでしょうか!!!
最後に、最終回を盛り上げて下さった皆さん。そして、今まで創りだすを支えてきて下さっていた皆さんにも。
この場を借りて御礼を申し上げます!!!
拙い司会ではありましたが、最終回を楽しんで頂けたようならば幸いです!!
【それでは、今後もlet'sらてらて〜!】
「千円札の価値は千円」「12ブックマーク」
男が外国人に一万円札と千円札を差し出すと、ほとんどの人が千円札を受け取るという。
どういうことだろう?
どういうことだろう?
18年10月06日 20:29
【ウミガメのスープ】 [らてすこ]
【ウミガメのスープ】 [らてすこ]
解説を見る
男は日本に来たばかりの外国人である。
お札の管理がまだ上手ではなく、千円札と一万円札を区別するのが苦手だ。
レジで咄嗟に判断できない時は、両方をレジ係(=男にとっての外国人)に渡し、
適した方を受け取ってもらうようにしている。
日常生活では一万円札を使う買い物よりも千円札を使う買い物の方が多いため、
必然的に千円札を受け取られることの方が多いのだった。
お札の管理がまだ上手ではなく、千円札と一万円札を区別するのが苦手だ。
レジで咄嗟に判断できない時は、両方をレジ係(=男にとっての外国人)に渡し、
適した方を受け取ってもらうようにしている。
日常生活では一万円札を使う買い物よりも千円札を使う買い物の方が多いため、
必然的に千円札を受け取られることの方が多いのだった。
「芸術家」「12ブックマーク」
カメオの絵は素晴らしく、多くの客が彼の絵を見に来たが、高価なわけでも巨大なわけでないにもかかわらず、誰一人彼の絵を持ち帰ることは無かった。
スナイプ来そうなので闇スープです。
5人正解で終わります。
スナイプ来そうなので闇スープです。
5人正解で終わります。
18年06月05日 19:21
【ウミガメのスープ】 [屈め果亀]
【ウミガメのスープ】 [屈め果亀]
水平思考を意識してみましたが、ちゃんと作れてるかな…
解説を見る
客「いや〜カメオさんの絵は本当に素晴らしい、家に飾りたいぐらいですよ」
カメオ「何言ってるんですか、これは永遠でないからこそ美しいんです。それにうちのラテアートは味も人気の1つなんですよ」
客「はは、そうですね。美しい絵に味も良い、おまけに値段もお手頃とは…。」
カメオ「おっと、早く飲まないと冷めてしまいますよ。」
解説
カメオは、とあるカフェの店員で、彼はラテアートのプロだった
カメオ「何言ってるんですか、これは永遠でないからこそ美しいんです。それにうちのラテアートは味も人気の1つなんですよ」
客「はは、そうですね。美しい絵に味も良い、おまけに値段もお手頃とは…。」
カメオ「おっと、早く飲まないと冷めてしまいますよ。」
解説
カメオは、とあるカフェの店員で、彼はラテアートのプロだった
「それができたら苦労はしない」「12ブックマーク」
少年はちょっとした怪我や体調不良でも学校の保健室に行くのだが、その際保健室の先生とほとんど話さないのは、「保健室の先生が嫌いだから」というだけではない。
では、他の理由とはなんだろう?
では、他の理由とはなんだろう?
18年08月13日 21:16
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
【ウミガメのスープ】 [とかげ]
スープ病
解説を見る
「先生、早見君が怪我しました」
いつもより高い声で隣にいる長井が言うと、多田はいつも通り柔らかく笑って聞き飽きたセリフを口にする。
「また連れてこられちゃったのか。早見君、今日はどこ?」
「腕です、左の。教室で掃除してて。早見君が机を運んでるとき、ふざけた男子がホウキ振り回して。ホウキがささくれてたみたいで、ほら、腕に切り傷ができちゃったんです」
聞かれた俺ではなく、長井がスラスラと説明する。これも毎度のことだ。
「どれ、見せてごらん」
「……大した傷じゃないからいいですよ」
「多田先生にちゃんと見てもらわなきゃダメだよ。血も出てたし。早見君、いつもそうやって我慢するから」
君づけで呼ばれるのが気持ち悪い。長井は小学生の頃からの幼なじみで、ずっと俺のことを呼び捨てしている。
多田は俺の左腕を眺め、袖についた血にちらりと目をやると、またあの笑顔を浮かべた。
「ああ、ちょっと範囲が広いから、血も多かったかもしれないね。もう出血は止まっているし、深くないから大丈夫だよ。念のため消毒はしておこうか」
「お願いします。できれば怪我したってことがわかるように、大きな絆創膏ももらえますか? 怪我させた人に、ちゃんと反省してもらわなきゃ」
長井は口をとがらせて怒っている風を装うが、本当に怒っていたら、この程度では済まない。それはもう般若のごとく恐ろしいのだ。俺は何度も見たことがある。
「そうだね、もし目に入ったりしていたら、大変なことになっていたしね。ちょっと大袈裟だけど、ガーゼにしようか」
「いや、そんなにしなくても――」
「そうしてください! ね、早見君。佐々木君、ヘラヘラ笑って全然悪びれてなかったじゃん。マズイことしたってわからせた方がいいんだよ」
佐々木は中学に入ってから知り合った奴だが、やはり長井は普段呼び捨てしている。
多田は慣れた手つきで俺の腕にガーゼをあて、医療テープで綺麗に止めていく。長井はその様子をまばたきもせずにじっと眺めている。ただでさえ多田に触られるのが嫌なのに、もう痛くもない傷にこの処置は、なんとも居心地が悪い。
「さすが多田先生、本当に器用ですね!」
「ありがとう」
また、笑う。多田は自分の笑顔の効果を絶対わかっている。
「おっと、そろそろ掃除の時間が終わるね。教室に帰って、その佐々木君とやらに説教してやってね」
「はい、先生、ありがとうございました! ……ほら、早見君!」
「……ありがとうございました」
今すぐガーゼを引き剥がしてやりたいくらいなのだが、大人しく従う方が早く退場できそうだ。仕方なく小声で礼を言う。
「長井さんは本当にしっかりしているね」
最後にとびっきりの笑顔と褒め言葉。本当ははしゃぎ出したいくらい嬉しいのだろうけれど、それをなんとか抑えて、お上品な笑みを浮かべつつ、お辞儀をする長井。苛立つ気持ちを、保健室のドアを粗っぽく閉めるだけで、我慢した。
「もう、早見、態度悪すぎ! 先生に失礼でしょうが!」
ふくらはぎに容赦ない蹴りが入る。保健室から出た途端、これだ。そのまま教室へ向かう廊下をずんずん進む。長井の後ろについていく形で、俺も歩き出す。
「言ってるだろ? 多田は嫌いなんだって。あんまり話したくないんだよ」
「あんなに素敵な先生が嫌いなんて! 先生がカッコいいから、僻んでるんじゃないの?」
「……合わないだけだっての」
確かに多田をカッコいいと言う女子はたくさんいる。今年の四月に赴任してきたときは、保健室の養護教諭が若い男ということで、抵抗を感じる女子(と、ガッカリする男子)も少なくなかったはずだが、半年も経たずに生徒からも保護者からも好かれる人気教師になった。あいつを嫌う俺はかなりの少数派だろう。
「俺の態度が嫌なら、自分で仮病使えばいいだろう」
「嫌よ、多田先生に対して嘘つきたくないの」
「多田の前で猫かぶってるのは嘘に入らないのか? ……痛っ!」
今度はすねを蹴られた。
「じゃあもう直接話しかければいいじゃん。保健室に遊びにきました、先生とおしゃべりしたいんですって」
一瞬、その状況を想像したのか、長井はピタリと止まる。パッと振り返った彼女の顔は、真っ赤に染まっていた。
「そ……そんなの無理、無理! それができたら苦労はしないわよ!」
俺が怪我したり具合が悪そうにしたりすると、長井が嫌がる俺を保健室に引っ張っていく……と見せかけて、実は俺も共犯なのだ。俺は必ず、大丈夫だから保健室には行かない、と言う。長井が行った方がいいと説得する。結果、俺ひとりだとちゃんと保健室に行かないので、長井が付き添う形になる。保健室に行く口実ができるわけだ。
「付き合わされて、嫌いな奴の手当てを受ける俺の身にもなれよ」
「悪いってば! でもこんなの頼めるの、長井しかいないんだもん!」
「じゃあ、俺があいつとあんまりしゃべらないのも多目に見ろよ。それに、その方がお前、たくさん話せていいだろう?」
「……あ、確かに、ね」
今まで気づいていなかったのか、こいつ。当然、嫌いだから話したくないというのもあるが、同時に長井にとってもそれがよかろうと思ってやっていたのに。
「早見、ありがとう」
保健室で見せたよそゆきの笑みではなく、気にしている八重歯を遠慮なくのぞかせた笑顔。
たまにこいつは、いやに素直になる。調子が狂う。
「……わかればいい。ほら、もう少し急ぐぞ」
教室まではあと少しだ。早足になる俺に歩調を合わせて、長井も小走りになる。
「かわりにさ、早見に好きな人ができたらいくらでも協力するから。ね、遠慮せず頼んでよね」
お礼のつもりなのだろうが、突然そんなことを言ってくるものだから、ぎょっとする。
「……お前に手伝ってもらうことなんてない」
「なにそれ、役に立たないって意味?」
にらみをきかせて、肩にグーパンチをあてる素振り。
多田の前で見せる澄ました顔より、そうやって目まぐるしく変わる表情の方が良いと思うのだが、それは教えてやらない。
「役に立たないことはないだろうが、お前に誰が好きか教えなきゃならねぇじゃん」
「いいじゃないの、幼なじみの仲なんだからさ。あれ? もしかしてもういるの? ねぇねぇ、ちょっと打ち明けてみなさいよ、ほらほら」
まったく、この女は。
最後の質問を無視して、あと数メートルの距離を走った。後ろで長井が逃げたな、などと叫んでいる。そりゃあ逃げるに決まっている。
好きな奴を打ち明けろだって? 簡単に言ってくれる。
それができたら、こんな苦労はしていない。
END
【要約解説】
少年が片思い中の少女は、保健室の先生に夢中で、少年の怪我や体調不良を口実に保健室へ一緒に来る。恋敵である先生のことはもちろん嫌いなのだが、自分が黙っていた方が少女が先生とたくさん話せるので、少女のためにほとんど喋らないようにしているのだ。
いつもより高い声で隣にいる長井が言うと、多田はいつも通り柔らかく笑って聞き飽きたセリフを口にする。
「また連れてこられちゃったのか。早見君、今日はどこ?」
「腕です、左の。教室で掃除してて。早見君が机を運んでるとき、ふざけた男子がホウキ振り回して。ホウキがささくれてたみたいで、ほら、腕に切り傷ができちゃったんです」
聞かれた俺ではなく、長井がスラスラと説明する。これも毎度のことだ。
「どれ、見せてごらん」
「……大した傷じゃないからいいですよ」
「多田先生にちゃんと見てもらわなきゃダメだよ。血も出てたし。早見君、いつもそうやって我慢するから」
君づけで呼ばれるのが気持ち悪い。長井は小学生の頃からの幼なじみで、ずっと俺のことを呼び捨てしている。
多田は俺の左腕を眺め、袖についた血にちらりと目をやると、またあの笑顔を浮かべた。
「ああ、ちょっと範囲が広いから、血も多かったかもしれないね。もう出血は止まっているし、深くないから大丈夫だよ。念のため消毒はしておこうか」
「お願いします。できれば怪我したってことがわかるように、大きな絆創膏ももらえますか? 怪我させた人に、ちゃんと反省してもらわなきゃ」
長井は口をとがらせて怒っている風を装うが、本当に怒っていたら、この程度では済まない。それはもう般若のごとく恐ろしいのだ。俺は何度も見たことがある。
「そうだね、もし目に入ったりしていたら、大変なことになっていたしね。ちょっと大袈裟だけど、ガーゼにしようか」
「いや、そんなにしなくても――」
「そうしてください! ね、早見君。佐々木君、ヘラヘラ笑って全然悪びれてなかったじゃん。マズイことしたってわからせた方がいいんだよ」
佐々木は中学に入ってから知り合った奴だが、やはり長井は普段呼び捨てしている。
多田は慣れた手つきで俺の腕にガーゼをあて、医療テープで綺麗に止めていく。長井はその様子をまばたきもせずにじっと眺めている。ただでさえ多田に触られるのが嫌なのに、もう痛くもない傷にこの処置は、なんとも居心地が悪い。
「さすが多田先生、本当に器用ですね!」
「ありがとう」
また、笑う。多田は自分の笑顔の効果を絶対わかっている。
「おっと、そろそろ掃除の時間が終わるね。教室に帰って、その佐々木君とやらに説教してやってね」
「はい、先生、ありがとうございました! ……ほら、早見君!」
「……ありがとうございました」
今すぐガーゼを引き剥がしてやりたいくらいなのだが、大人しく従う方が早く退場できそうだ。仕方なく小声で礼を言う。
「長井さんは本当にしっかりしているね」
最後にとびっきりの笑顔と褒め言葉。本当ははしゃぎ出したいくらい嬉しいのだろうけれど、それをなんとか抑えて、お上品な笑みを浮かべつつ、お辞儀をする長井。苛立つ気持ちを、保健室のドアを粗っぽく閉めるだけで、我慢した。
「もう、早見、態度悪すぎ! 先生に失礼でしょうが!」
ふくらはぎに容赦ない蹴りが入る。保健室から出た途端、これだ。そのまま教室へ向かう廊下をずんずん進む。長井の後ろについていく形で、俺も歩き出す。
「言ってるだろ? 多田は嫌いなんだって。あんまり話したくないんだよ」
「あんなに素敵な先生が嫌いなんて! 先生がカッコいいから、僻んでるんじゃないの?」
「……合わないだけだっての」
確かに多田をカッコいいと言う女子はたくさんいる。今年の四月に赴任してきたときは、保健室の養護教諭が若い男ということで、抵抗を感じる女子(と、ガッカリする男子)も少なくなかったはずだが、半年も経たずに生徒からも保護者からも好かれる人気教師になった。あいつを嫌う俺はかなりの少数派だろう。
「俺の態度が嫌なら、自分で仮病使えばいいだろう」
「嫌よ、多田先生に対して嘘つきたくないの」
「多田の前で猫かぶってるのは嘘に入らないのか? ……痛っ!」
今度はすねを蹴られた。
「じゃあもう直接話しかければいいじゃん。保健室に遊びにきました、先生とおしゃべりしたいんですって」
一瞬、その状況を想像したのか、長井はピタリと止まる。パッと振り返った彼女の顔は、真っ赤に染まっていた。
「そ……そんなの無理、無理! それができたら苦労はしないわよ!」
俺が怪我したり具合が悪そうにしたりすると、長井が嫌がる俺を保健室に引っ張っていく……と見せかけて、実は俺も共犯なのだ。俺は必ず、大丈夫だから保健室には行かない、と言う。長井が行った方がいいと説得する。結果、俺ひとりだとちゃんと保健室に行かないので、長井が付き添う形になる。保健室に行く口実ができるわけだ。
「付き合わされて、嫌いな奴の手当てを受ける俺の身にもなれよ」
「悪いってば! でもこんなの頼めるの、長井しかいないんだもん!」
「じゃあ、俺があいつとあんまりしゃべらないのも多目に見ろよ。それに、その方がお前、たくさん話せていいだろう?」
「……あ、確かに、ね」
今まで気づいていなかったのか、こいつ。当然、嫌いだから話したくないというのもあるが、同時に長井にとってもそれがよかろうと思ってやっていたのに。
「早見、ありがとう」
保健室で見せたよそゆきの笑みではなく、気にしている八重歯を遠慮なくのぞかせた笑顔。
たまにこいつは、いやに素直になる。調子が狂う。
「……わかればいい。ほら、もう少し急ぐぞ」
教室まではあと少しだ。早足になる俺に歩調を合わせて、長井も小走りになる。
「かわりにさ、早見に好きな人ができたらいくらでも協力するから。ね、遠慮せず頼んでよね」
お礼のつもりなのだろうが、突然そんなことを言ってくるものだから、ぎょっとする。
「……お前に手伝ってもらうことなんてない」
「なにそれ、役に立たないって意味?」
にらみをきかせて、肩にグーパンチをあてる素振り。
多田の前で見せる澄ました顔より、そうやって目まぐるしく変わる表情の方が良いと思うのだが、それは教えてやらない。
「役に立たないことはないだろうが、お前に誰が好きか教えなきゃならねぇじゃん」
「いいじゃないの、幼なじみの仲なんだからさ。あれ? もしかしてもういるの? ねぇねぇ、ちょっと打ち明けてみなさいよ、ほらほら」
まったく、この女は。
最後の質問を無視して、あと数メートルの距離を走った。後ろで長井が逃げたな、などと叫んでいる。そりゃあ逃げるに決まっている。
好きな奴を打ち明けろだって? 簡単に言ってくれる。
それができたら、こんな苦労はしていない。
END
【要約解説】
少年が片思い中の少女は、保健室の先生に夢中で、少年の怪我や体調不良を口実に保健室へ一緒に来る。恋敵である先生のことはもちろん嫌いなのだが、自分が黙っていた方が少女が先生とたくさん話せるので、少女のためにほとんど喋らないようにしているのだ。
「家に帰るまでが仕事です」「12ブックマーク」
一刻も早く帰りたかったウミ夫は残業を終えるとすぐに退社し、急いで帰宅した。
家の近くまで猛ダッシュで帰ってきたにもかかわらず、ウミ夫は自宅の手前500メートルからはゆ〜〜〜っくり、恐れながら帰ったのだった。
いったい何故だろう?
家の近くまで猛ダッシュで帰ってきたにもかかわらず、ウミ夫は自宅の手前500メートルからはゆ〜〜〜っくり、恐れながら帰ったのだった。
いったい何故だろう?
18年11月22日 21:29
【ウミガメのスープ】 [トキタ]
【ウミガメのスープ】 [トキタ]
久しぶりのスープです。
解説を見る
今日はウミ夫とウミ子の愛娘、ラテ美の4歳の誕生日。
家での誕生日パーティを楽しみにしていたウミ夫に、今日中にこなさないといけない急な用務が入り残業することに。
残業を終え、急いで帰宅したウミ夫。しかしウミ夫にはまだ仕事が残されていた。
そう、家の近くのケーキ屋さんで可愛いウミガメケーキを買って帰るという重大な仕事が。
閉店時間ギリギリに猛ダッシュでケーキ屋に駆け込み、ラテ美の名前プレートが入った可愛いケーキを手に入れたウミ夫は、これまでとは打って変わってケーキを崩さぬよう恐れ恐れ慎重に、ゆ〜〜〜〜っくり家まで帰るのでした。
家での誕生日パーティを楽しみにしていたウミ夫に、今日中にこなさないといけない急な用務が入り残業することに。
残業を終え、急いで帰宅したウミ夫。しかしウミ夫にはまだ仕事が残されていた。
そう、家の近くのケーキ屋さんで可愛いウミガメケーキを買って帰るという重大な仕事が。
閉店時間ギリギリに猛ダッシュでケーキ屋に駆け込み、ラテ美の名前プレートが入った可愛いケーキを手に入れたウミ夫は、これまでとは打って変わってケーキを崩さぬよう恐れ恐れ慎重に、ゆ〜〜〜〜っくり家まで帰るのでした。