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カメコは｛風呂に入るとき｝、普段は体育座りの格好でお湯に浸かっている。

しかし数日前、カメコは料理中に熱湯をこぼしてしまい、両足の甲に大やけどを負ってしまった。
入院するほどの重症ではなかったが、水膨れができて少しの刺激でひどく痛むため、風呂では｛脚を斜め上に伸ばして患部を湯船の外に出すようにした｝。
そのままでは後ろにひっくり返りそうになるので、カメコはさらに腕を前に出し、あたかもＶ字バランスの姿勢でバスタイムを過ごすのだった。

自殺を試みたカメコが線路に飛び込んだ結果、
電車に轢かれてバラバラになったカメコの体の一部が
ホームのこちら側と向こう側で電車を待っていたカメオとウミオに運悪く直撃した。

「この人痴漢です！！」

女にそう叫ばれ腕をつかまれたのは通勤中のカメオ。
同僚や上司もカメオを見ている。スマホを向ける人もいる

(違う、俺はやってない。ふざけるな。俺をそんな目で見るな。)

そう思ったカメオだが、そんなことを主張しても意味がない。ここまで多くの人に見られてしまっては、裁判だの無罪などに意味はない。自分の名誉は毀損されたも同然だ。


(どうせ人生が破滅するのなら徹底的に破滅してやる、お前も道連れだ。)



そして、公衆の面前でカメオはその女を殺害した。



「痴漢に関しては冤罪です。罪を認めるつもりはありません。」

鬼のカメオは、｛ウミオを笑わせて動かそう｝と振り返ったときに変顔をしているのだが、ウミオはそれを分かっているのでカメオを見ないようにしているのである。

カメオは新人で、まだ名前を憶えられていないからである。

ウミオやカメタは「ウミオ先生」「カメタ先生」と呼ばれているが、カメオは自己紹介もしておらず、ほとんどの塾生が名前を知らずに「先生」とだけ呼んでいるのだ。
教える立場なら人の名前を覚えることはもちろん、自分の名前を覚えてもらうことも大切だ。