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思い出した。アタシの事。
アタシが病院で取り違えられた子供だという事は知っていた。あまりにもそっくりだったらしいのだ。
両親もアタシが実の子じゃないって知っていたのだろう。あまり良くはしてもらえなかった。貧乏で、友達もいなかった。

それでもアタシは、苦労しながらも高校生になって、ちょっとずつ本当の両親に興味を持つ様になった。
ーーそういえば、取り違えていると知っているのなら、なんで元の親に返さないのだろうか？というか取り違えって大問題のはずなのになんで騒ぎにならなかったんだ？
疑問も湧いてくるようになった。

一人で調べているうちに、アタシによく似た人をネットで見つけた。名前は鏡原雛。病院に行って聞くと、生まれた病院はアタシと同じだったそうだ。きっとこの子がアタシと取り違えられた人かもしれない。そう思った。

でも看護師達は教えてくれなかった。

「鏡原」についても調べると、ある会社の社長の名前が出た。元政治家で、以前不倫騒動があったとか。その社長の養子が鏡原雛だそうだ。アタシと真逆の暮らしで、羨ましいなと感じてしまった。

そして、こんな噂をネットで見つけてしまった。
『鏡原社長って、もしかして隠し子がいるんじゃね？』
『いやいや、社長のお子さんは養子でしょw』
『いやだから、その養子が隠し子かもって事！』

(隠し子？アタシとあの子は取り違えられた筈...仮に、あの子が不倫相手との子だったとしたら、アタシは？鏡原社長の実の子って言いたいのか？不倫相手の子が欲しくて、ワザと取り違えたのか？)

デマなのかもしれないが、アタシの不安や怒りはどんどん膨らみ、やがて八つ当たりでもするかの様に喧嘩に明け暮れるようになった。

ある日、アタシが道を歩いていると車が突っ込んで来て、撥ねられて死んだ。あとでわかった事だが、この事故はニュースには一切出なかった。一応犯人は捕まった。幽霊になって見て分かった事だ。おそらく、犯人は雇われていて、事故も権力を使って隠したのだろう。病院に行けば、そこで取引をしている人達を見つけたから。

ーーショックだった。ワザと取り違えられて、今まで辛い人生を歩んで、実の親には間接的に殺され、しかも隠蔽された。アタシ、何か悪い事でもしたのかよ。

もう、思い出したくない。そう思ってただ彷徨っていたら、夢李に拾われた。そして今に至る。

ありがとな、名も知らない探偵さん。アタシの記憶を取り戻してくれて。事故の事調べてくれて。礼を言っておく。
これでこの世に思い残しは......ってあれ？


「探偵さん、ありがとうね！私のお願い解決してくれて！この事故については私も他の人達に働きかけてみる。当てはたくさんあるわ！
雛ちゃん、短い間だったけど、なんだかんだ楽しかったy.........ってはああ！？なんかこの世への執着が強過ぎて、しかも私に長い事取り憑いてたから帰れない！？
い、い、今までの苦労を返せえぇぇえ！！」
誰もいない事故現場で、夢李の叫びがこだましたのであった。


それからというと、あの事故は故意による物で、しかも鏡原社長が関与していた事が世間に知れ渡り、鏡原社長は辞任せざるを得なくなったらしい。
流石に取り違え子については報道されなかったが。最後の足掻きってやつか？それともあまりに酷い話だったから報道出来なかったとか？


ーーなんだか眠くなってきた。まだ早いが、一旦寝るとしよう。
目を閉じ、夢の中に入る寸前で、事務所の電話が鳴ったが、何故か眠気は消える事は無く、そのまま眠りについた。

遠距離恋愛中のカメコとカメオは、夜寝る前に｛電話｝をするのが日課である。
いつものようにカメオがテレビを見ながらカメコと電話をしていると、カメコはあまりに眠くなってきたのか、電話中にもかかわらず、寝ぼけて「あれ？私、スマホどこにやったっけ…？」と言い出した。
「いや、今そのスマホで電話してるだろ…」と呆れながらも笑うカメオであった。

カメオは錠剤が水で飲めないので、【服薬ゼリー】を使う。
カメオがゼリーを買ってくると、カメコはカメオの体調を心配するのである。

男は一人暮らしだが、部屋でペットのインコを飼っている。
インコを溺愛している彼は今、インコに自分の住所を覚えさせようとしているのだ。そうすれば、もしインコが逃げ出してしまっても、誰かに保護された先で覚えた住所を喋れば、自分のもとに戻って来るかもしれない。

深夜の海釣りに来ていたカメオは山にふさわしくない『海用のダイビングスーツ』を着た男が焚火をしていたカメオの元へ暖を取りに来たのです。



そして取れたての新鮮な魚を御馳走してあげようとカメオの持ってきた先端が細いナイフを手に海に飛び込んでいったのです。

（｀・ω・´）ウララ～


男の体温はすっかり冷たくなったのですが思わぬ美味しい魚料理にカメオは感謝したのです