プライドが高いカメコの「気分転換」は、
幼馴染であり会社の同僚でもあるウミオが、カメコの嫌いな音を出したことと関係しているらしい。
さて、ウミオが出した音とは何の音だろうか?
幼馴染であり会社の同僚でもあるウミオが、カメコの嫌いな音を出したことと関係しているらしい。
さて、ウミオが出した音とは何の音だろうか?
ペーパードライバー講習第二弾です~。
20の扉
No.31[アカガミ]07月08日 23:4107月08日 23:46
カメコはラテオに対して好意を抱いていますか?
Yeees!! ラテオのことが好きでした!!(すいませんウミオと勘違いしてました、修正します) [編集済] [良い質問]
1+
(31)修正しました すみません、人物勘違いです……
ウミオが「啜る音」をわざと出した理由も特定できたら正解差し上げます~
No.74[白]07月09日 10:3007月09日 10:46
延々続くだるい惚気を、嫌いな音を立てて消して、早くどっか(ラテオのところ)へ行けや!と促しましたか? [編集済]
No! ひどすぎるw
No.75[白]07月09日 13:3407月12日 12:34
号泣して鼻水啜る音を聞き取り、瞬時に逆位相の麺啜り音をぶつけることで無音の領域を生み出す絶技でしたか?
3+
これに正解判定せざるを得なくて草((61)と合わせて正解) [正解]
参加者一覧 6人(クリックすると質問が絞れます)
全員
ルーシー(4良:2)
アカガミ(47良:18正:1)
のまるす(10良:5)
わかめ(4良:1)
三浦玲(8良:3)
白(2正:1)
「ぐすん、ぐすん……」
「泣くなよ、泣き虫!」
幼馴染のウミオに、そうやってよくからかわれていた。
それが嫌で仕方なかった。
そうして私は歳を重ねるにつれて、人前では泣かないようになった。
周りは私を「強い人」として見てくれた。
私もそれに応えたくて、すぐに泣いたりなんかしない、心強くて頼りになる人に見えるように振る舞うようになった。
ほとんど腐れ縁になりかけている同僚のウミオも、すっかり落ち着いた大人になった。
「弱い人」と思われたくない私を気遣ってか、昔のことを言いふらしたりもしていないらしい。
一緒にラーメンを食べた時、すする音が大きかったのが不快だったけど、それも言ったら直してくれた。
昔よりも、全然話しやすかった。
「この間作ったプレゼン資料、ラテオ先輩に褒められちゃった」
「へー。良かったじゃん」
「おかげでうまくいったって。次も頼りにしてるって」
「すげー褒めるじゃん。一生ついてきたくなるな~」
「でしょ。全然褒めないあんたとは大違いね」
「はいはい。順調に距離を縮めてるお前はすごいすごい」
「全然心こもってないでしょ! あはは……」
いつしかウミオと私は、仕事の後によく夕飯を共にするようになった。
変にうわべを繕わなくて済むというのもあり、些細な相談にも乗ってくれた。
私が片思いしている上司であるラテオ先輩の話も、嫌な顔ひとつせずに聞いてくれる。
恋愛が絡むと少しからかってくるけど、不快にならないラインをわきまえているように見える。
ウミオはウミオなりに、私のことを応援してくれているらしい。
……なんだかすっかり丸くなっちゃったな。
なんて、一抹の寂しささえ覚えるほどに、ウミオは良き相談相手になってくれた。
そんなある日のことだった。
「あのさ、カメコさん。ちょっとだけいいかな?」
個人的な呼び出しを受けたのは初めてだった。
それにすっかりと舞い上がった私は、淡い期待を胸に先輩の元へと向かった。
そして、先輩は私にこう告げた。
「会社で色々聞かれるのが嫌で言ってなかったんだけどさ……
実は今度、大学時代から付き合ってる彼女にプロポーズしようと思ってるんだ。
喜びそうなプロポーズ、一緒に考えてくれない? カメコさんにしか頼めないんだ」
……
…………
その日は珍しく残業した。
仕事が一段落した時に残っていたのは、ウミオだけだった。
私はウミオに声をかけた。
「ねえ、一杯どう?」
……
「醤油と塩ね~、麺どうします?」
「硬めで」
「同じく」
「あいよぉ~」
カウンター席に座り、それぞれピッチャーの水をコップに注いだ。
水を一口飲むと、ウミオは少し息をついた。
「好きだな、ラーメン」
「残業の疲れには、一番効くのよ」
ウミオは「へー」と気の抜けた返事を返した。
話をちゃんと聞いているのかよくわからないのがあまり好きじゃなかったけど、この時だけはありがたかった。
そして、重たく回る換気扇の音がよく響く店内で、私たちはいつも通り他愛のない話をした。
「はいっ、ラーメンお待ちどお~」
カウンターに二杯のラーメンが乗せられる。
器の中を覗き込むと、私の顔がよく映るほどにスープがよく透き通っている。
そして温かな湯気が、優しく私の鼻を撫でた。
――『カメコさんにしか頼めないんだ』
「……ぐすっ」
そのスープの純粋な透明感と温かさのせいなのか、なぜか涙が零れていた。
耐えられたはずだったのに、堰を切ったように目から水が止め処なく溢れ、そして流れていった。
最悪だ……よりにもよって、この男に泣くところを見られるなんて。
嫌な思い出が、うっすらと蘇っていく。
そんな時だった。
――ズルッ ズルルル
麺を大きくすする音が聞こえた。
私の真横から鳴っていた。
ズルズル、ズゾ、ズゾゾゾッ
さいあく。本当に不快。
「……ねえちょっと、すする音小さくして……」
「冷めるぞ、ラーメン」
「はぁ……?」
ウミオは淡々とした声でそう言った。
顔を自分のラーメンに向けたまま、こちらを見ようともしなかった。
わけもわからず戸惑っていると、ウミオが箸を止めた。
「……俺は何も聞いてないから」
「えっ?」
「ラーメンすすってたから、なんにも聞こえてないし見てないから」
そう言うと、店のティッシュ箱だけそっと私の目の前に置いた。
そしてそのまま、また大きな音を立ててラーメンをすすった。
「……」
私は、ティッシュを一枚取った。
目元だけ拭いて、あとはくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。
ポーチから髪留めを取った。
自分の髪を一つに縛った。
割り箸を割った。
少しだけ歪な割れ方をしてしまった。
「……いただきます」
私は、その箸で麺を多めにつまんだ。
麺の端を口に差し込み、思いっきり大きな音を立てて麺をすすった。
「おお、姉ちゃん。良い食べっぷりだねぇ!」
そして私は、ちょっぴり塩辛いスープを飲み干した。
--
「……今日はありがと」
「別に……よく食べてるだろ」
「ううん。そうじゃなくて……ちょっとだけ元気出た」
「ふーん。ま、嫌なことはラーメンごと全部飲み下してしまえばいいってな」
「……そうね。そうかも」
「それでもダメなら……イメチェンでもしたほうがいいんじゃねーの。コレ、とかさ」
ウミオは右手にチョキを作って、それを顔の横で動かす仕草をした。
「……考えとく」
「ん。そうしとけ」
駅のホームに到着した。
同じ路線だけどホームが真逆なので、どちらかの電車が来たら完全にお開きだ。
そう思っていた時に、私が乗る方面の電車が先にやって来た。
「……じゃ、また月曜」
「ん。気をつけてな」
電車の車両に乗った。
発車ベルと音楽が鳴った。
そしてウミオは、構内アナウンスの声に紛れながらこう言った。
「……泣くなよ、泣き虫」
「もう。やめてよ、それ」
ウミオは、ちょうど閉まったドアの向こうでいたずらっぽく笑っていた。
そして……私は、行きつけの美容院を予約した。
--
「あれっカメコさん、髪切りました?」
「ええ、気分転換に」
「いいじゃないですか~、すごく可愛いです!」
「でしょ? 私も気に入ってるのよ」
◆まとめ
A:麺をすする音。(麵以外でも可)
仕事帰り、二人はラーメン屋で夕食を共にしていた。
失恋したカメコの涙をすする音をかき消すため、あえてウミオはその音を大きく出した。
ウミオの気遣いで元気を取り戻したカメコは、失恋を引きずらないように髪を切った。
理由が失恋だと思われたくないので、「気分転換」と言い訳をすることにしたのだった。
「泣くなよ、泣き虫!」
幼馴染のウミオに、そうやってよくからかわれていた。
それが嫌で仕方なかった。
そうして私は歳を重ねるにつれて、人前では泣かないようになった。
周りは私を「強い人」として見てくれた。
私もそれに応えたくて、すぐに泣いたりなんかしない、心強くて頼りになる人に見えるように振る舞うようになった。
ほとんど腐れ縁になりかけている同僚のウミオも、すっかり落ち着いた大人になった。
「弱い人」と思われたくない私を気遣ってか、昔のことを言いふらしたりもしていないらしい。
一緒にラーメンを食べた時、すする音が大きかったのが不快だったけど、それも言ったら直してくれた。
昔よりも、全然話しやすかった。
「この間作ったプレゼン資料、ラテオ先輩に褒められちゃった」
「へー。良かったじゃん」
「おかげでうまくいったって。次も頼りにしてるって」
「すげー褒めるじゃん。一生ついてきたくなるな~」
「でしょ。全然褒めないあんたとは大違いね」
「はいはい。順調に距離を縮めてるお前はすごいすごい」
「全然心こもってないでしょ! あはは……」
いつしかウミオと私は、仕事の後によく夕飯を共にするようになった。
変にうわべを繕わなくて済むというのもあり、些細な相談にも乗ってくれた。
私が片思いしている上司であるラテオ先輩の話も、嫌な顔ひとつせずに聞いてくれる。
恋愛が絡むと少しからかってくるけど、不快にならないラインをわきまえているように見える。
ウミオはウミオなりに、私のことを応援してくれているらしい。
……なんだかすっかり丸くなっちゃったな。
なんて、一抹の寂しささえ覚えるほどに、ウミオは良き相談相手になってくれた。
そんなある日のことだった。
「あのさ、カメコさん。ちょっとだけいいかな?」
個人的な呼び出しを受けたのは初めてだった。
それにすっかりと舞い上がった私は、淡い期待を胸に先輩の元へと向かった。
そして、先輩は私にこう告げた。
「会社で色々聞かれるのが嫌で言ってなかったんだけどさ……
実は今度、大学時代から付き合ってる彼女にプロポーズしようと思ってるんだ。
喜びそうなプロポーズ、一緒に考えてくれない? カメコさんにしか頼めないんだ」
……
…………
その日は珍しく残業した。
仕事が一段落した時に残っていたのは、ウミオだけだった。
私はウミオに声をかけた。
「ねえ、一杯どう?」
……
「醤油と塩ね~、麺どうします?」
「硬めで」
「同じく」
「あいよぉ~」
カウンター席に座り、それぞれピッチャーの水をコップに注いだ。
水を一口飲むと、ウミオは少し息をついた。
「好きだな、ラーメン」
「残業の疲れには、一番効くのよ」
ウミオは「へー」と気の抜けた返事を返した。
話をちゃんと聞いているのかよくわからないのがあまり好きじゃなかったけど、この時だけはありがたかった。
そして、重たく回る換気扇の音がよく響く店内で、私たちはいつも通り他愛のない話をした。
「はいっ、ラーメンお待ちどお~」
カウンターに二杯のラーメンが乗せられる。
器の中を覗き込むと、私の顔がよく映るほどにスープがよく透き通っている。
そして温かな湯気が、優しく私の鼻を撫でた。
――『カメコさんにしか頼めないんだ』
「……ぐすっ」
そのスープの純粋な透明感と温かさのせいなのか、なぜか涙が零れていた。
耐えられたはずだったのに、堰を切ったように目から水が止め処なく溢れ、そして流れていった。
最悪だ……よりにもよって、この男に泣くところを見られるなんて。
嫌な思い出が、うっすらと蘇っていく。
そんな時だった。
――ズルッ ズルルル
麺を大きくすする音が聞こえた。
私の真横から鳴っていた。
ズルズル、ズゾ、ズゾゾゾッ
さいあく。本当に不快。
「……ねえちょっと、すする音小さくして……」
「冷めるぞ、ラーメン」
「はぁ……?」
ウミオは淡々とした声でそう言った。
顔を自分のラーメンに向けたまま、こちらを見ようともしなかった。
わけもわからず戸惑っていると、ウミオが箸を止めた。
「……俺は何も聞いてないから」
「えっ?」
「ラーメンすすってたから、なんにも聞こえてないし見てないから」
そう言うと、店のティッシュ箱だけそっと私の目の前に置いた。
そしてそのまま、また大きな音を立ててラーメンをすすった。
「……」
私は、ティッシュを一枚取った。
目元だけ拭いて、あとはくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。
ポーチから髪留めを取った。
自分の髪を一つに縛った。
割り箸を割った。
少しだけ歪な割れ方をしてしまった。
「……いただきます」
私は、その箸で麺を多めにつまんだ。
麺の端を口に差し込み、思いっきり大きな音を立てて麺をすすった。
「おお、姉ちゃん。良い食べっぷりだねぇ!」
そして私は、ちょっぴり塩辛いスープを飲み干した。
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「……今日はありがと」
「別に……よく食べてるだろ」
「ううん。そうじゃなくて……ちょっとだけ元気出た」
「ふーん。ま、嫌なことはラーメンごと全部飲み下してしまえばいいってな」
「……そうね。そうかも」
「それでもダメなら……イメチェンでもしたほうがいいんじゃねーの。コレ、とかさ」
ウミオは右手にチョキを作って、それを顔の横で動かす仕草をした。
「……考えとく」
「ん。そうしとけ」
駅のホームに到着した。
同じ路線だけどホームが真逆なので、どちらかの電車が来たら完全にお開きだ。
そう思っていた時に、私が乗る方面の電車が先にやって来た。
「……じゃ、また月曜」
「ん。気をつけてな」
電車の車両に乗った。
発車ベルと音楽が鳴った。
そしてウミオは、構内アナウンスの声に紛れながらこう言った。
「……泣くなよ、泣き虫」
「もう。やめてよ、それ」
ウミオは、ちょうど閉まったドアの向こうでいたずらっぽく笑っていた。
そして……私は、行きつけの美容院を予約した。
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「あれっカメコさん、髪切りました?」
「ええ、気分転換に」
「いいじゃないですか~、すごく可愛いです!」
「でしょ? 私も気に入ってるのよ」
◆まとめ
A:麺をすする音。(麵以外でも可)
仕事帰り、二人はラーメン屋で夕食を共にしていた。
失恋したカメコの涙をすする音をかき消すため、あえてウミオはその音を大きく出した。
ウミオの気遣いで元気を取り戻したカメコは、失恋を引きずらないように髪を切った。
理由が失恋だと思われたくないので、「気分転換」と言い訳をすることにしたのだった。
23年07月08日 23:11
[とろたく(記憶喪失)]
相談チャットです。この問題に関する事を書き込みましょう。
ブックマーク(ブクマ)って?
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!
物語:3票納得:1票ブクマ:1
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!