ウミガメのスープ

簡易解説
50年ほど前、男が創業した「カメカメレストラン」のメインメニューは、「ウミガメのスープ」で、男が味付けから調理方法まで全て自力で開発し、レストランは大繁盛となった。
30年前、男はその事業から引退し、全て自分の息子に任せた。
しかし息子がウミガメの肉が手に入りづらくなってきて、採算が合わなくなってきたために「ウミガメのスープ」なのにウミガメでなく他の肉を使い、味が大きく変わってしまった。
老齢になった男が30年ぶりに「カメカメレストラン」で「ウミガメのスープ」を頼んだら、全くの別物だった。
今までの誇りと、レストラン創業者としての責任感を感じ、生きている意味を失った男は、残りわずかだった人生にピリオドを打つことにした。

少し長い解説
男は今や有名な「カメカメレストラン」の創業者。

50年ほど前に創業されたそのレストランは、高級料理『ウミガメのスープ』をはじめ、様々な料理を手ごろな価格で出し、大人気レストランとなった。
その創業者である男は、20年間ほど事業に携わり、その後晴れて引退し、自らの子供にレストランの経営などを全て任せた。

そして今日まで、ずっと「カメカメレストラン」は大繁盛、全国に50店舗以上のチェーン店までできた。

引退したものの、その創業者なので色々と周囲からも褒められたり羨ましがられたりと、引っ張りだこの男。
男も、そんな大人気チェーン店を創業したと、鼻の下を伸ばしていた。

そんな男は、老齢となり、食も細くなってきた。
人生の最後に、と創業地である「カメカメレストラン」本店に出向き、30年ぶりに『ウミガメのスープ』を注文した。

そして出てきた料理は、50年前とは全く見た目の違うもの。
こんなものではなかったのに、、　そう思いながらスープを一口。
（こ、、これはウミガメの肉を使っていないどころか味付けや風味まで全然違うスープになっている、、
さては経営を任せた息子が色々といじったな、、

シェフにこれは本当にウミガメのスープか尋ねても「はい」だと。
嘘つきめ。

しかし、俺が作り上げたカメカメレストランがいつの間にかこんな詐欺チェーン店に変わり果てていたとは。。

残念どころか、今までの俺はこんなのを誇りにしていたのか。

こうなってしまったのも、最後までカメカメレストランを見てやれなかった、俺の責任なのかもしれんな。

もう、俺に生きる価値なんてない。。）