【月刊らてらて〜あなたが選ぶ今月の一杯〜】2021-1月号

No. ⑦『ネガ感情』（甘木さん）に1票

[感想]（ネタバレあり）
あるあるネタをウミガメのスープにするのは、意外に難しいことだと私は考えています。
解説を読んで「なんだ、そんなことか。つまらないな。」という反応になってしまうこともありえますし、問題文だけで誰にでもわかる、謎がない状態は絶対に避けたい。
「ああ、なるほど。」と、「これがわかったら気持ちいい。」と、思わせなければならないのです。
日常のワンシーンを切り取って描写している故に、演出された謎よりももっと。
高いところから綺麗に着地する、その落差が納得感。
誰にでもできるわけではないバランスは、出題者様の技術あってこそです。

No.（3）怖いもの知らずの運転手（ブラダマンテさん）に1票
No.（10）『ダヴィンチの猜疑』(マクガフィンさん) に1票
[感想]（ネタバレあり）

（３）ミスリード一発勝負ですが、これだけ情報を出して隠し通したのはやはり、文章が巧妙だからだと思います。文章力がスゴい。
(10)世界観が独特で、正解を見たときの納得感は一番です。模範的な問題という感じがしました。

②と⑩に1票ずつ投票させていただきます。前者はチャームと納得感の高さが魅力的で、後者はトリックが鮮やかでまさしく「芸術的」なスープだと思います。
(ついでに、③はやたら問題文が長いし微妙なスープだと思います)

＜投票＞
②冬休みの宿題はクロスワード（ほずみさん）

⑩ダヴィンチの猜疑(「マクガフィン」さん)

に１票ずつでお願いします🙌


＜感想＞（すべてにおいてネタバレを含みます。）

②冬休みの宿題はクロスワード（ほずみさん）

私、実際にはこの問題には参加できなかったんですけど。
終わった後、全文読ませていただいて「あー…これは『綺麗』なウミガメだ」って思いました^ ^

キャノーさんがコメントをつけていたように、この問題は参加者の『逆転の発想』を試される超王道のウミガメのスープです。問題全体から受ける雰囲気と180度、『綺麗』に正反対の状況をFAとすることで、上質な解読後感を提供できているように思います。きっと解いていて楽しかったんだろうなぁ ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )

そして何より文章の圧倒的フェアさ、これが一番『綺麗』だと思いました。

用意されたFAを見る限り、解答に必要な情報は全て問題文に内包されています。
出題者目線だとハイリスク。危ういくらいに全て曝け出している感じ。おそらく、人によっては十分スナイプ可能な難易度でしょう。No1で終わっていても、おかしくない。しかし47個の質問をひらりひらりとかわしていくうちに参加していた10人が見事なまでに『綺麗』に騙されていく。非常に素晴らしい進行です^ ^（No1にNO‼︎と答えた瞬間に、ほずみさんはニヤッ(￣▽￣)としたんだろうな、と。景品付きという設定がじょうずにささったのでしょうね！）

というわけで完成された『綺麗』なウミガメに１票投じてみたいと思います。


⑩ダヴィンチの猜疑(「マクガフィン」さん)

ひとことで述べるなら「マクガフィン」さんの物語スープ職人としてのプライドが垣間見える作品、と私は表現します。その職人としてのプライドとは『ウミガメをウミガメとして終わらせない強い気持ち』だと考えていますね。

らてらてで出題される物語スープは大別して、
１登場人物が物語の中で何を考えたのかを当てる水平『思想』クイズタイプ
２水平『思考』クイズの最後に新たな物語を提示するタイプ

の二種類がありますが、今回は後者の方になります。（メタい話をして世界観を壊してしまわないか恐縮ですが）おそらく「マクガフィン」さん視点で考えるなら、「このウミガメ、ただのクイズとして終わらせてもいい。だけど、少しでも面白い・味わい深いと思ってもらいたい！！」そんな参加者に対する思いやりの気持ちの塊が、最後の『ツーブロック』という物語を生んだと推察できます。

物語スープとは、ただ解説の長いウミガメのことを指すわけではないのでしょう。クイズの中で生まれた世界観を大切にしながら、最後まで参加者を楽しませる作品のことを指すのだと考えさせられる一杯でした。ご馳走様。 [編集済]

No.②『冬休みの宿題はクロスワード』（ほずみさん）に1票
No.⑦『ネガ感情』（甘木さん） に1票


[感想]（ネタバレあり）








①サラダ取り分け女（油獣さん）


最近、問題文における言葉の適切な使い方について考えていたことがあったので、このスープには感銘を受けました。文字通り青ざめた状況を、忘年会やサラダという普通のシーンで描いているのが秀逸です。


②冬休みの宿題はクロスワード（ほずみさん）　投票


こういう真っ向勝負な問題文が大好きです。最初から答えは提示されているというのに、その答えに辿り着くのは至難の業です。


③怖いもの知らずの運転手（ブラダマンテさん）


これぞ逆転の発想です。あまりにもタクシーと幽霊の親和性が高すぎて、それが真実へのベールとして機能しているのが興味深い。長文の問題文に見合うだけの納得度の高い恐怖の解説には、背筋が凍る思いでした。


④30m/min（ギー太さん）


らてらてでしか出題できないネタですが、だからこそ輝いているヒュンガラモッケ。非推奨問題例をここまで上手く扱われているスープも中々ないでしょう。


⑤TV（ぷらすちっくさん）


人間の想像力は勝手なことを推定し、事実だと思い込んでしまいます。『楽しみにしている』という文字を読んだだけで、カメオのことを決めつけてしまうのは危険でした。


⑥勇者アルカディオと魔城伝説🦇（弥七さん）


ファンタジーという非現実要素が全面に押し出されており、人間の価値観だけでは解けないと分かっていながら、勇者視点でこの物語を勝手に読み解こうとしてしまうあたり、問題文の凝りが伺えます。


⑦ネガ感情（甘木さん）　投票


高価な玩具とお気に入りの服という、一見すると繋がりが無いように思える２つのアイテムが、どうしてここまで「容易に想像できるあの光景」へと繋がるのでしょうか。容易に想像できる納得度の高い光景が、一筋縄では想像できない問題文に仕上がっていることに、出題者様の腕の凄さが感じ取れます。


⑧燃えよ必殺剣（Zeekpecさん）


物語でありがちな天才、秀才、チート系、そういった者たちの悩みや理念を上手く切り取った秀作だと思います。必殺剣を使えない状況は天才ゆえ特殊ですが、それを質問で解き明かせる難易度であることと、解き明かす楽しさが十分にありそうです。


⑨扉の○○（ぷらすちっくさん）


一応スナイプはできる難易度ですが、ただの謎解きではなく「扉」という概念があるこのサイトだからこそ、綺麗に成立している謎解きだと感じました。


⑩ダヴィンチの猜疑(「マクガフィン」さん)


『彼の絵が新たに発見された』とハッキリと提示されているのに、まずここで躓きます。これを解き明かしたとしても、更に何故教科書にも載るのかという二段構えの謎に悩まされるという、徹底的に構成が練られた問題文でした。教科書という視点から見ると、マクガフの絵がいかに凄いかが分かります。 [編集済]

1＋

③『怖いもの知らずの運転手』(ブラダマンテさん) に2票

[感想]（ネタバレなし）
長文が苦手な私でもスラスラと読めてしまう、チャーム抜群の作品でした。嘘や無理のある表現は一切ないにもかかわらず、解き手を誤認させてしまう。そんな絶妙な問題文を生み出せるブラダマンテさんには脱帽です。

③『怖いもの知らずの運転手』(ブラダマンテさん) に1票
⑩『ダヴィンチの猜疑』(「マクガフィン」さん) に1票

[感想]（ネタバレあり）
③『怖いもの知らずの運転手』(ブラダマンテさん)
「いかにも何かありそうだ」と思いっきり斜に構えて臨んだのですが、そのうえで騙されました。これは上手い。
非常にフェアな問題文にも関わらず、読めば読むほど真相から遠ざかっていきます。
叙述トリックのお手本としたい良問です。

⑩『ダヴィンチの猜疑』(「マクガフィン」さん)
「彼の絵」「実物」「教科書」など、クルーが素晴らしい仕事をしています。
問題文に違和感が無く、解説を見るまでまったくトリックに気づけませんでした。お見事です。
あと、これは問題に直接関係ないのですが、鍵括弧の色を変えて発言者を表すの良いですね。視覚的にもわかりやすいですし、何かに使えそうです。