普段は引っ込み思案なアツヤだが、彦星役に立候補した。
完璧に台詞を覚えて挑んだ本番当日。
スポットライトのあたるステージで織姫役のアンナはひときわ輝いていた。
劇はいよいよクライマックス、織姫と彦星の別れのシーンを迎える。
そこでステージに立つアツヤが口にした「さようなら」の一言が、観客はおろか、目の前のアンナにさえも届かなかったのは
練習期間中、アンナが書いている短冊をアツヤが見てしまったからだという。
一体どういうことだろうか?
藤井さんと2ヶ月煮込んだ合作スープ、七夕の夜にいかがでしょう?
アンナの書いた短冊には「アンナが◯◯さんと結ばれたい」という内容の願いが書き込まれていましたか?(◯◯さん≠アツヤさんとする) [編集済]
YES!!『ヒビキくんと少しでも一緒にいられますように』とありました! [良い質問]
アツヤが言った「さようなら」は彦星役の人がセリフを言うタイミングで重ねてこっそり言ったものですか?
YES!!good!素晴らしい! [良い質問]
アツヤはアンナのことが好きで彦星役に立候補したけれど、アンナの短冊には別の人が好きで結ばれたいとの願いが書いており、その人に彦星役を譲ったアツヤは失恋の意味も込めて「さようなら」と言いましたか?
完璧です!congratulations! [正解][良い質問]
アンナが好きなアイツと両想いになったことを知ったアツヤは、舞台上でアンナを刺し殺すと言う暴挙に出ましたか?
NO笑 七夕の日の惨劇にネタ良質を^ ^ [良い質問]
アンナに好意を抱いていたアツヤは、アンナが短冊にアツヤではない人と結ばれたいと書かれていたところを目撃し、アンナの本当の幸せのためならば・・・と彦星役を泣く泣く辞退しましたか? [編集済]
YES!!35と合わせて正解とします! [良い質問]
まとめます!アンナが「ヒビキさんと結ばれたい」と短冊に書き込んでいたところを目撃したアツヤは、アンナの幸せのためならばと彦星役をヒビキに譲り、本番ではヒビキの「さようなら」というセリフに重ねて言ったため誰にも聞こえなかったのですか?;;
完璧です!34と合わせて正解です!! [正解][良い質問]
まとめると、アツヤはアンナの好きな男に彦星役を譲り、舞台上で天の川役をしていて、稽古中に付き合う事になった二人を見ながらさようならとつぶやき、その失恋をばねに中日ドラゴンズの入団試験を受けなんやかんやで三冠王を獲得しますか?
もしかしたらそうなのかもしれないので正解です笑 [正解]
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「はい、僕やります。」
その瞬間、教室の時間が止まった。
そして不自然な間の後、先程までとは少し違うざわめきが教室中に広がった。
「え、あいつがやるの?俺話したことないんだけど」「おいヒビキ、おまえやらないの?」「いやいいよ、誰もいなかったらやってもいいけどやるって言ってんじゃん」
「えーっと、じゃあ彦星役はアツヤ、織姫役はアンナでいいか?」
しかし先生の問いかけに反対する生徒はおらず、自然と拍手が巻き起こる。
みんなが手を叩く中、少し前の席に座るアンナがこちらを振り返って口を動かす。
『よ、ろ、し、く、ね』
声は聞こえなくともそう言ったのだとわかる。はじめて向けられたその笑顔に、アツヤは思わず目を背けた。
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「ねぇ、せっかくだから教室に笹と短冊、飾らない?」
誰かがそう言い出したのは、アツヤが演劇の練習を始めて1週間ほど経った日のことだった。演劇の宣伝になるのではないか、という話だ。
あの日から毎日、放課後に練習を重ねていたアツヤだが、目線は自然とアンナの方へと向く。
情感のこもった台詞や堂々とした身のこなしはもちろん、休憩中の些細な仕草までもがアツヤの胸の奥をざわめかせていた。
七夕の願い事、かぁ…
もちろん星に託したい願い事はすぐに思いついたが、まさか短冊に書くわけにもいかない。
そんなことを思いながらその『願いの対象』の座る方へと目を向けると、アンナがさらさらと鉛筆を動かしているのが見えた。
いささかの罪悪感を覚えながらもアツヤの目はその手元に吸い寄せられていった。
『ヒビキくんと少しでも一緒にいられますように』
一瞬、アツヤの周りから音が消えた、ように感じた。思考が停止していた。
呆然としているうちに、恥ずかしそうに髪をかきあげたアンナは急いだようにその文字を消し始めた。そして書き換える。
『演劇が成功しますように!』
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その日の練習に臨むアツヤは、全く集中できなかった。覚えたはずの台詞は間違え、小道具を持ち忘れ、登場のタイミングを誤る。
言葉にできない思いが胸の中で渦巻いていた。
「アツヤくん、大丈夫?体調良くない?」
そう声をかけてくれたアンナの顔を、アツヤは直視することができなかった。
大丈夫じゃない、と答えたかった。
『ヒビキのことが好きなの?』そう尋ねたかった。
けれどそんなことをしたってアンナは困るだけだろう。アンナのためを思うなら…
『誰もいなかったらやってもいいけど』
『ヒビキくんと少しでも一緒にいられますように』
顔を上げると、アンナの心配そうな顔がそこにあった。彼女には笑っていてほしい、心からそう思ったアツヤは、意を決して口を開く。
「あの、ごめん…僕ちょっと喉が…」
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7月7日、文化祭当日。
「いよいよだね、緊張してる?」
ほがらかに話しかけるアンナは、とても緊張しているようには見えない。
「う、うん。ちょっとね。大勢の人に見られるのなんて慣れてないから。」
この日のための衣装を身につけながらアツヤは答える。
初めて見たときは、これは目立つなぁと思ったものだ。
そんなことを考えながらも、アツヤは舞台に上がった。
そして幕が上がる。
ふと顔を上げると、およそ1000の顔がこちらを見ている。緊張で胸が高鳴り始めた。
そんな中、ナレーションが流れる。
「昔々、あるところに、牛飼いの彦星が住んでいました。」
ここで彦星が歩き回りながら台詞を言うんだ。
段取りは完璧に頭に入っていた。
しかし、アツヤは動けなかった。
否、動かなかった。
夜空にかかる天の川という役どころを演じきるために。
舞台袖からヒビキが現れる。牛飼いの衣装を身につけて。
完璧な動作で、台詞で、演技をこなす彦星に笑いかける織姫の頬は赤く染まっていて、それは緊張のせいにも演技にも見えなかった。
これでよかったんだ。
目の前で逢瀬を重ねる2人を見ながらアツヤは思う。
「君を愛しているよ」
本当はアツヤが言うはずだった言葉だ。そして、言えなかった言葉だ。
「必ず君を幸せにする」
アツヤは口には出さなかったが、ある意味では実践した言葉だ。
そして近づくクライマックス。
アツヤの両側へと隔てられた2人は、悲しい別れを嘆く。
「あぁ彦星様、行ってしまわれるのですか。」
そう問いかけるアンナは本当に悲しそうで、アツヤの胸はちくりと痛む。
次にヒビキが言う台詞を、一週間限りの彦星は覚えていた。
「織姫、また笑い合える日を楽しみにしているよ。」
僕にはもう、『また笑い合える日』なんてない。この舞台を下りたらもう、話すこともないだろう。
でもそれでいいんだ、きっとヒビキと一緒にいることが、彼女にとっての幸せだから。
彦星とは違う本当の別れを感じたアツヤの口は、思わず次の台詞を紡ぎだす。
『さようなら』
二つの口から出たその言葉。
演じられた片方は、アンナに届き、観客に届く。
けれど心からの片方は、天の川の呟きは、受け取る相手もいないまま、舞台裏へと消えていった。
『簡易解説』
片思いの相手、アンナと主役を演じるために彦星役に立候補したアツヤ。
しかし短冊を見てアンナの気持ちに気づいたアツヤは彦星役を降りて天の川の役となり、目の前で演じるアンナとヒビキを見ていた。劇のラスト、ヒビキがアンナに別れを告げる場面で誰にも聞こえないように重ねて呟いた。
ふぁ~~ドキドキした。ペースがめちゃくちゃ速い中、のびのびとネタ質ぶっ込むtsunaさんが見れて楽しかったですwひら魚さんのドンピシャ感もすごかった。 貴重な経験をさせていただき、また非常に勉強にもなりました。ガフィーさん本当にありがとうございました!そして参加してくださった方々ありがとうございました![19年07月07日 21:29]
「マクガフィン」さん出題ありがとうございました!涙が出そうかもしれなかったかもしれなかったのですが、数々のネタ質やネタコメントのおかげ(?)で引っ込みましたw面白かったです![編集済] [19年07月07日 21:22]
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