偽りのスープ

幼い姪っ子と砂場で遊ぶ男。
今は竜宮城のレストランという設定でおままごとをしている。

プラスチックの器に泥水を入れ、小石と葉っぱを散らした「料理」が男の前に差し出される。
「いらっしゃいませ！まずはスープをどうぞ！」
「わぁ美味しそう！…これは何のスープですか？」
「はい、こちらはウミガメのスープになります。竜宮城のめいぶつです！」
シェフ役の姪っ子が自信満々にそう答える。

もちろん「いやただの泥水やないかい！」なんて無粋なツッコミを入れたりはせず、男は美味しい美味しいと食べるフリをした。

ちなみに竜宮城のウミガメといえば浦島太郎を招いた功労者のはずだが、最期はスープにされてしまうとは絵にも書けない世知辛さだなと男は思う。もちろんそれも飲み込んでおいた。