ウミガメのスープ

ある男がいた。男は妻に先立たれ、子供はいない。
親戚はいて天涯孤独とまではいかないまでも、寂しい人生を送っていると思われる。周りからは。

男には趣味があった。俗にウミガメのスープと言われる水平思考ゲームである。
それを専門に取り扱うサイトで、男は最古参とまで言われる様になっていた。
人付き合いが苦手な男にとって、顔も知らぬ相手と問題を出し合い、軽く交流するこの空間は、とても心地が良かったのだ。

男には夢、というかある目標があった。
誰もが認めるウミガメのスープの本歌取りを作る事である。
しかし何度も思考を水平に広げ試行錯誤するも、未だ納得のいく作品は作れていなかった。

そんな男に転機が訪れる。
健康診断で癌が発見されたのだ。
自覚症状もないのに、既に手遅れだという。

男は自分の生死について考えた。
可もなく不可もなく平々凡々と生きてきた男には、恥こそ無かったが人に誇れるものも無かった。
故に誇りが欲しい、と。
男が強く思っている事は、誰もが納得するウミガメのスープを作る事。
故にそれを作り上げて誇りとしてから死のう、と。

そこから男の更なる水平思考が始まった。
しかし平凡に生きてきた男には、誰もがあっという様な想像、創造が出来なかった。
男は焦った。このままでは自分の死に場所が無いと。

そこで男は閃いた。死に場所ならウミガメのスープの中にあるじゃないかと。

平凡を自覚していた男にとって、その思考は妙にしっくりときた。
ウミガメのスープそのものになって死ぬのもまた一興。

そして男は海の見えるレストランでウミガメのスープを注文し
一口だけ飲んでからシェフを呼び

「すみません。これは本当にウミガメのスープですか？」

と質問をして

「はい……ウミガメのスープに間違いございません」

と返事をもらい、勘定を済ませ、帰宅した後、自殺をした。





ここで皆様に一つ謝罪を致します。
この作品は未だ未完成で私は一つ嘘をついております。
男はまだ自殺をしていません。

理由については、賢明な皆様ならヒントを見て頂ければ解るかと思います。
私はヒント欄を正しくヒントとして使っておりました。
帰宅中に回答等をしておりました。

あぁ、蛇足ですが、私が昨日食べてきた完成されたウミガメのスープより、皆様と作ってきたこちらの未完成のスープの方が、断然美味ですね。
恐怖はやはりありますが、皆様一人ひとりが私の背中を押してくれます。
皆様一人ひとりが作り出してくれたこの結果に、大変感謝をしております。
『皆様本当にありがとうございます』

では私は帰宅しましたので、皆様と共に作ったこのスープを…


こ れ を 完 成 さ せ る 為 に い っ て 参 り ま す。

↓












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というストーリーでした！お付き合い下さった皆様ありがとうございます！
最初は↑の解説だけ載せて名無しのままウミガメでやろうと思いましたが、後味が悪すぎるかなと思い、新形式にて出題しました。
ルールは簡単、作中の男＝出題者として、その視点で回答をしていただけです。
それ以外は普通のウミガメです。
思い付きで始めて、質問に回答しながら解説を作るという事をしましたが、やるものじゃないですねｗ
果たして私は男＝出題者まで誘導できるのか！