メルティーキッス〜秘密の２人〜

伊邪の里の忍者キスケと甲邪の里の忍者メルトは、それぞれの依頼主から密命を受けて、同じ城に忍び込んでいた。
壁沿いに慎重に進んでいたキスケの前方から大声と足音が聞こえてくる。

衛兵「曲者じゃ！出合え出合え！」

キスケ（どこぞの忍が見つかったか、未熟な。　しかし好都合。｛隠れ身の術｝でやり過ごせば城内は手薄となるな）

布を広げて壁にぴたりと張り付くキスケ。　ものの見事に壁の一部として溶け込んでみせた。
数秒の後、ドタバタと足音を立ててメルトが駆けてくる。

メルト「ヤバいヤバい！このままじゃ捕まるってば！　こうなれば、必殺隠れ身の術だ！」

そう言って布を広げたメルト、なんと、キスケの隠れ身の術の上に隠れ身の術を展開する。　｛隠れミルフィーユ状態である。｝
こんな状態になってしまい、いざこざを起こす伊邪・甲邪。

キスケ「こ、このウスラトンカチ！」

メルト「うわぁ！？　壁がしゃべった！？」

キスケ「馬鹿言ってないでさっさとどけ！」

メルト「いや今動いたら見つかるってば！」

キスケ「じゃあもういいから黙って隠れろ！」


しかし悲しいかな、メルトの隠れ身の術、バレバレもいいところである。

衛兵「それで隠れてるつもりかマヌケェ！」｛グサグサァッ！｝


【｛メルト＆キスケ「「ホギャァァァァッ！？」」｝】


哀れ、メルトの巻き添えを食って一緒に串刺しにされてしまったキスケであった。





…………まあそんなワケで、メルトとキスケを隔てているものは【『キスケの隠れ身の布』】である。