【正解を創りだすウミガメ】コンビニの天使【第3回】

正解を創りだすウミガメらてらて鯖版、第3回を開催します!


あなたの考えた解説が『正解』になる!
巷で話題の平成の夏、最後の最後の最後の思い出に、『正解』を創りだしてみませんか?(前回の様子:https://late-late.jp/mondai/show/1202)

夏休みはとっくに終わったのに未だボンヤリしている彼や彼女をハッとさせるような、パンチの効いた解説をお待ちしております。
今回は、要素数”14”で行いたいと思います。

まずは問題文をどうぞ。



■■ 問題文 ■■

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とある町のコンビニエンスストアには天使がいた。

女は天使を抱きしめて、男は涙を流しながら大笑いした。

何故?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この問題には、解説を用意しておりません。皆様の質問がストーリーを作っていきます。

以下のルールをご確認ください。



■■ ルール説明 ■■

 1・要素募集フェーズ  [9/17 20:00頃~質問が70個集まるまで]

まず初めに、『要素募集フェーズ』を行います。
正解を創りだすカギとなる、色々な質問を放り込みましょう。

◯要素選出の手順

1.出題直後から、”YESかNOで答えられる質問”を受け付けます。質問は1人3回まで。

2.皆様から寄せられた質問の数が”70”に達すると締め切り。
 全ての質問のうち、”14”個がランダムで選ばれ、「YES!」の返答とともに『[良い質問]』(=良質)がつきます。

※良質としたものを以下『要素』と呼びます。
※良質以外の物は「YesNo どちらでも構いません。」と回答いたします。こちらは解説に使わなくても構いません。

※矛盾が発生する場合や、あまりに条件が狭まる物は採用いたしません。
[矛盾例]田中は登場しますか?&今回は田中は登場しませんよね?(先に決まった方優先)
[狭い例]ノンフィクションですか?(不採用)
[狭い例]登場キャラは1人ですか?(不採用)
[狭い例]ストーリーはミステリー・現実要素ものですよね?(不採用)

なお、要素が揃った後、まとメモに要素を書き出しますのでご活用ください。



 2・投稿フェーズ  [要素を12個選定後~9/29 24:00]

要素募集フェーズが終わったら、選ばれた要素を取り入れた解説を投稿する『投稿フェーズ』に移行します。
各要素を含んだ解説案をご投稿ください。

解説投稿フェイズでは、要素に合致するストーリーを考え、質問欄に書き込んでいただきます。
らてらて鯖の規約に違反しない限りなんでもアリです。
通常の出題と違い、趣味丸出しで構わないのです。お好きなようにお創りください。
とんでもネタ設定・超ブラック真面目設定もOK!
コメディーでも、ミステリーでも、ホラー、SF、童話、純愛者、時代物、etc....
皆様の想像力で、自由自在にかっ飛んでください。

※過去の「正解を創りだす(らてらて鯖版・ラテシン版)」もご参考ください。魅力たっぷりの銘作(迷作?)・快作(怪作?)等いろいろ先例がございます。
ラテシン版:sui-hei.net/mondai/tag/正解を創りだすウミガメ
らてらて鯖:https://late-late.jp/mondai/tag/正解を創りだすウミガメ

◯作品投稿の手順

1.投稿作品を、別の場所(文書作成アプリなど)で作成します。
 質問欄で文章を作成していると、その間、他の方が投稿できなくなってしまいます。
 「コピペで一挙に投稿」を心がけてください。

2.すでに投稿済みの作品の末尾に終了を知らせる言葉の記述があることを確認してから投稿してください。
 記述がない場合、まだ前の方が投稿の最中である可能性があります。
 しばらく時間をおいてから再び確認してください。

3.まず「タイトルのみ」を質問欄に入力してください。
 後でタイトル部分のみを良質にいたします。

4.次の質問欄に本文を入力します。本文が長い場合、複数の質問欄に分けて投稿して構いません。
 また、以下の手順で投稿すると、本文を1つの質問欄に一括投稿することが出来て便利です。

 まず、適当な文字を打ち込んで、そのまま投稿します。
 続いて、その質問の「編集」ボタンをクリックし、先程打ち込んだ文字を消してから、投稿作品の本文をコピペします。
 最後に、「長文にするならチェック」にチェックを入れ、編集を完了すると、いい感じになります。

5.本文の末尾に、おわりなどなど、「明確に終了とわかる言葉」を必ずつけてください。



 3・投票フェーズ  [9/30 00:00頃~10/1 24:00]

投稿期間が終了したら、『投票フェーズ』に移行します。
お気に入りの作品、苦戦した要素を選出しましょう。

◯投票の手順

1.投稿期間終了後、別ページにて、「正解を創りだすウミガメ・投票会場」(闇スープ)を設置いたします。

2.作品を投稿した「シェフ」は”3”票、投稿していない「観戦者」は”1”票を、気に入った作品に投票できます。
 それぞれの「タイトル・票数・作者・感想」を質問欄で述べてください。
 また、「最も組み込むのが難しかった(難しそうな)要素」も1つお答えください。

※投票は、1人に複数投票でも、バラバラに投票しても構いません。
※自分の作品に投票は出来ません。その分の票を棄権したとみなします。
※投票自体に良質正解マーカーはつけません。ご了承ください。

3.皆様の投票により、以下の受賞者が決定します。

◆最難関要素賞(最も票を集めた要素)→その質問に[正解]を進呈いたします。

◆最優秀作品賞(最も票数を集めた作品)→その作品に[良い質問]を進呈いたします。

◆シェチュ王(最も票数を集めたシェフ=作品への票数の合計)→全ての作品に[正解]を進呈いたします。

なお、見事『シェチュ王』になられた方には、次回の正解を創りだすウミガメを出題していただきます!

※票が同数になった場合のルール
[シェチュ王]
同率の場合、最も多くの人から票をもらった人(=複数票を1票と数えたときに最も票数の多い人)が受賞です。
それでも同率の場合、出題者も(事前に決めた)票を投じて再集計します。
それでもどうしても同率の場合は、最終投稿が早い順に決定させていただきます。

[最優秀作品賞][最難関要素賞]
同率で受賞です。



■■ タイムテーブル ■■

◯要素募集期間
 9/17 20:00頃~質問数が”70”に達するまで

◯投稿期間
 要素選定後~9/29 24:00まで

◯投票期間
 9/30 00:00頃~10/1 24:00まで

○発表
 10/2(予定)



■■ お願い ■■

要素募集フェイズに参加した方は、出来る限り投稿・投票にも御参加くださいますようお願いいたします。
要素出しはお手軽気軽ではありますが、このイベントの要はなんといっても投稿・投票です。
頑張れば意外となんとかなるものです。素敵な解説をお待ちしております!

もちろん、投稿フェイズ投票フェイズには、参加制限など一切ありません。
どなた様も、積極的に御参加ください。



それでは、要素募集フェイズから、スタート!
[ちるこ]

【新・形式】18年09月17日 20:00
正解を創りだすウミガメ
新・形式
No.1[]09月17日 20:0709月18日 22:02

花火があがりますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.2[]09月17日 20:0909月18日 22:02

マジシャンが登場しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.3[]09月17日 20:1009月18日 22:02

ガラスのハートを持ってますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.4[とーとろじー]09月17日 20:1209月18日 22:02

Windows10が動作を止めましたか?

YesNo どちらでも構いません。

No.5[テトメト]09月17日 20:2309月18日 22:02

オカマですか?

Yes 【要素①】オカマ [良い質問]

No.6[テトメト]09月17日 20:2309月18日 22:02

ウサギは登場しますか? [編集済]

YesNo どちらでも構いません。

No.7[ピコピコ]09月17日 20:2309月18日 22:02

召喚士の女の子が登場しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.8[テトメト]09月17日 20:2509月18日 22:02

合気道の達人が登場しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.9[らてすこ]09月17日 20:2709月18日 22:02

誰かが火傷をしていますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.10[らてすこ]09月17日 20:2809月18日 22:02

ウミドリのスープですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.11[こはいち]09月17日 20:2809月18日 22:02

シナモンの入った甘いアップルパイは関係しますね?

YesNo どちらでも構いません。

No.12[こはいち]09月17日 20:2809月18日 22:02

赤いからですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.13[HIRO・θ・PEN]09月17日 20:3109月18日 22:02

ペテン師が登場しますか?

Yes 【要素②】ペテン師 [良い質問]

No.14[こはいち]09月17日 20:3209月18日 22:02

隠しコマンドが実装されてないからですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.15[ピコピコ]09月17日 20:3709月18日 22:02

月の女神であるアルテミスは関係しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.16[やつぎ]09月17日 21:0009月18日 22:02

一番くじのラストワン賞の賞品が魅力的ですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.17[ZERO]09月17日 21:0209月18日 22:02

たらいは出てきますか?

Yes 【要素③】たらい [良い質問]

No.18[ZERO]09月17日 21:0609月18日 22:02

1行目と2行目の天使は、同じ天使ですか? [編集済]

YesNo どちらでも構いません。

No.19[やつぎ]09月17日 21:1009月18日 22:02

カフェラテを買いますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.20[HIRO・θ・PEN]09月17日 21:1709月18日 22:02

瓜二つですか?

Yes 【要素④】瓜二つ [良い質問]

No.21[ピコピコ]09月17日 21:1810月02日 17:29

あの鐘を鳴らすのはあなたですか?

Yes 【要素⑤】あの鐘を鳴らすのはあなた [正解][良い質問]

No.22[ZERO]09月17日 21:2309月18日 22:02

2階建てですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.23[HIRO・θ・PEN]09月17日 21:2909月18日 22:02

キーを落としますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.24[ちくわさん(本物)]09月17日 21:3609月18日 22:02

背中に大きく「夜露死苦」と入れ墨を入れたキャラは登場しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.25[ちくわさん(本物)]09月17日 21:3809月18日 22:02

天使の輪がコンビニで売られていましたか?

YesNo どちらでも構いません。

No.26[ちくわさん(本物)]09月17日 21:4109月18日 22:02

今回の投稿は最低一万文字以上でないと成立しませんか?

YesNo どちらでも構いません。

No.27[やつぎ]09月17日 21:5509月18日 22:02

夏休みは終わったのにまだぼんやりしていますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.28[木貝女]09月17日 22:1109月18日 22:02

幼稚園児が登場しますか?

Yes 【要素⑥】幼稚園児 [良い質問]

No.29[木貝女]09月17日 22:1209月18日 22:02

悪魔が潜んでいますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.30[輪ゴム]09月17日 22:2809月18日 22:02

コンビニエンスストアではなく電話ボックスでも成立しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.31[輪ゴム]09月17日 22:2809月18日 22:02

男は特殊な組織の構成員ですか?

Yes 【要素⑦】男は特殊な組織の構成員 [良い質問]

No.32[パブロン]09月17日 23:2009月18日 22:02

ローソンでないと成立しませんか?

Yes 【要素⑧】ローソンでないと成立しない [良い質問]

No.33[パブロン]09月17日 23:2009月18日 22:02

必殺技を繰り出しましたか?

YesNo どちらでも構いません。

No.34[ひたち]09月17日 23:3509月18日 22:02

来年の話はしますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.35[木貝女]09月18日 01:2109月18日 22:02

寺生まれのTさんますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.36[nitrogen]09月18日 07:3009月18日 22:02

カニバリますか?

Yes 【要素⑨】カニバる [良い質問]

No.37[nitrogen]09月18日 07:3209月18日 22:02

学校は関係しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.38[nitrogen]09月18日 07:3309月18日 22:02

ゴリラは出てきますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.39[残酸]09月18日 08:2109月18日 22:02

天使はドジっ子キャラですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.40[残酸]09月18日 08:2309月18日 22:02

タバコ一箱を千円札で買うのは妙ですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.41[ぎんがけい]09月18日 10:4309月18日 22:02

天使は広瀬すずよりかわいいですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.42[ぎんがけい]09月18日 10:4309月18日 22:02

男は福士蒼汰に似ていますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.43[ぎんがけい]09月18日 10:4409月18日 22:02

男の笑い声は「ナッハッハッハ」ですか? [編集済]

YesNo どちらでも構いません。

No.44[とろたく]09月18日 12:4909月18日 22:02

ラッキースケベますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.45[とろたく]09月18日 12:5509月18日 22:02

男は盗んだバイクで走りだしますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.46[とろたく]09月18日 13:0009月18日 22:02

天使は眠そうですか?

Yes 【要素⑩】天使は眠そう [良い質問]

No.47[grayrad]09月18日 13:2109月18日 22:02

天使とは第1使徒アダム、女とは第2使徒リリス、笑っている男は碇シンジですか? [編集済]

YesNo どちらでも構いません。

No.48[grayrad]09月18日 13:3909月18日 22:02

女と天使は危機的状況に陥っていますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.49[grayrad]09月18日 13:4409月18日 22:02

登場人物は「人間」ではありませんね?

YesNo どちらでも構いません。

No.50[藤井]09月18日 13:5909月18日 22:02

おでんの季節ですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.51[藤井]09月18日 14:0209月18日 22:02

袋詰めがあまり上手ではないですか?

Yes 【要素⑪】袋詰めがあまり上手ではない [良い質問]

No.52[藤井]09月18日 14:0309月18日 22:02

二種類のちくわが並んでいて悩みますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.53[夜船]09月18日 14:3809月18日 22:02

遊園地が好きですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.54[夜船]09月18日 14:3909月18日 22:02

爆発しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.55[夜船]09月18日 14:4009月18日 22:02

金魚は出てきますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.56[輪ゴム]09月18日 15:1709月18日 22:02

嗅覚は重要ですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.57[ひたち]09月18日 16:2109月18日 22:02

ついにハゲてしまいましたか?

Yes 【要素⑫】ついにハゲてしまう [良い質問]

No.58[折鶴聖人]09月18日 17:0409月18日 22:02

ICBM、重要ですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.59[折鶴聖人]09月18日 17:0409月18日 22:02

寄生虫重要ですか?

YesNo どちらでも構いません。

No.60[折鶴聖人]09月18日 17:0509月18日 22:02

集団ヒステリー、重要ですか?

Yes 【要素⑬】集団ヒステリー [良い質問]

No.61[とーとろじー]09月18日 17:4709月18日 22:02

ツナマヨおにぎりが浮遊術で空を飛びますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.62[とーとろじー]09月18日 17:4709月18日 22:02

新・形式ますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.63[迷路王]09月18日 19:2109月18日 22:02

地下迷宮はでてきますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.64[迷路王]09月18日 19:2509月18日 22:02

BGMは関係しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.65[ジリスクム]09月18日 19:3609月18日 22:02

約束しますか?

Yes 【要素⑭】約束する [良い質問]

No.66[ジリスクム]09月18日 19:3809月18日 22:02

穴を掘りますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.67[残酸]09月18日 19:4709月18日 22:02

時差ボケますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.68[コンビニおにぎり]09月18日 19:5309月18日 22:02

コンビニおにぎりますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.69[コンビニおにぎり]09月18日 20:0109月18日 22:02

ルンバ(掃除機)は関係しますか?

YesNo どちらでも構いません。

No.70[OUTIS]09月18日 20:4409月18日 22:02

人形は存在するかナ?

YesNo どちらでも構いません。

要素募集フェーズ、終了します!
選出された14個の要素を22時に発表します。
要素選出完了しました。只今より投稿フェーズを開始します!
唯一無二の正解を目指して、みなさんの投稿お待ちしております。
No.71[コンビニおにぎり]09月18日 22:3309月30日 10:39

タイトル「幼稚な劇と天使」

作・コンビニおにぎり [良い質問]

No.72[コンビニおにぎり]09月18日 22:3309月30日 10:39

ローソンにて、タライの組織の構成員で、かつ幼稚園児である男は、袋詰めがあまり上手ではないために、タライの組織で集団ヒステリーを起こしてカニバることを約束して、女の髪がついに禿げてしまう。女の顔を見た男は、女がペテン師でありオカマであったその構成員の一員であることが気に入ってしまった。その女と瓜二つの幼稚園児の男は、演劇のセリフである(あの鐘を鳴らすのはあなた)という言葉を天使に言ったら、天使は眠そうな表情をした。オカマの女は天使を抱きしめることによって、眠たさが解消されたが、幼稚園児男はオカマが天使を抱いてることに大爆笑したのであった。【完】 [編集済]

No.73[HIRO・θ・PEN]09月19日 13:5409月30日 10:39

 [編集済]

-

No.74[輪ゴム]09月19日 14:4609月30日 10:39

タイトル【天使の秘訣】

作・輪ゴム [良い質問]

No.75[輪ゴム]09月19日 14:4609月30日 10:39

動物愛護活動が奇跡のような三回転半を演じた後に着地した先である、24世紀。現在では、人工栽培した人肉(本人の体細胞クローン肉に限る)のみが食用の肉として公に認められていた。もちろん、肉を食べる人間は激減した。

No.76[輪ゴム]09月19日 14:4609月30日 10:39

閑話休題。

No.77[輪ゴム]09月19日 14:4709月30日 10:39

その男は日本サッカー協会(Japan Sacker Association)鳥取支部の名誉支部会長である(⑦)にもかかわらず、袋詰めが上手ではない(⑪)ことが悩みだった。底の固定されていない袋がどうしても苦手であるため、買い物にはタライ(③)を持参し、袋の底に入れることにしているほどだ。

No.78[輪ゴム]09月19日 14:4709月30日 10:39

不器用な彼は、名誉サッカー支部会長の名に恥じぬサッカーになるべく人知れず努力をしていた。人目を避けて深夜のコンビニ――白いビニール袋を思わせるあのロゴ(⑧)も気に入っている(え?ミルク缶だって?)――に通い、袋詰めの練習をする日々。その様子を眠そうに見ているのはレジに立っている「天使」だけであった(⑩)。

No.79[輪ゴム]09月19日 14:4709月30日 10:39

そう、そのコンビニには天使がいるのだ。艶やかな長い髪に、美しく輝く「天使の輪」...男自身は毛髪をすっかり失って久しい。その髪は、憧れのフィルターを通してさらに眩しく輝いていた。コンビニに通い詰める理由は、彼女の髪を眺めるためでもあったのだ。むしろそっちが本命と言っても過言ではない。髪に見とれながら袋詰めをするため、上達しないのも当然であった。

No.80[輪ゴム]09月19日 14:4809月30日 10:39

そんな日々が変わり果ててしまったのは、集団ヒステリーが原因だった。もっとも、男には知るよしのない話ではある。実はその「コンビニの天使」には、幼い娘(⑥)がいた。娘が通う幼稚園で、集団ヒステリーが発生した(⑬)。霊感の強いらしいある園児が部屋の天井を見つめ、痙攣を起こして倒れたことを発端に、それを見ていた園児たちが次々と恐慌をきたし、病院に運ばれる騒ぎとなったのだ。「天使」の娘もそれに巻き込まれたうちの一人であり、繊細な性格が災いしてなかなか回復しないままだった。

No.81[輪ゴム]09月19日 14:4809月30日 10:39

病院のベッドで、娘は「天使」と約束した(⑭)。「退院したら私、すぐコンビニに行くから、心配しないで待っていてね。」と。「わかったわ、あなたがあの鐘を鳴らす日を楽しみに待ってるいるわ」と、天使は答えた。 [編集済]

No.82[輪ゴム]09月19日 14:4809月30日 10:39

あの「天使」の髪が薄くなっている...ということに、毎晩コンビニに通っていた男は気付いた。半月ほどのうちにどんどん薄くなっていく髪。天使の輪も失われてゆく。それは、回復しない娘を心配するあまりの、ストレスから来るものだった。娘の繊細さは親譲り。「天使」も繊細なタイプであったのだ。その姿を見るのに忍びなく、男の足は遠のいた。

No.83[輪ゴム]09月19日 14:4909月30日 10:39

しかし、そのさらに半月後のある日、珍しく昼間にそのコンビニを訪れた男は驚愕の場面を目にすることになった。弁当とお茶を手にしてレジに向かう男の耳に、入店チャイムの音が飛び込んでくる...と同時に店内に駆け込んできたのは幼い少女だった(⑤)。その顔が「天使」と瓜二つ(④)であることに男が気付いたのと、少女がレジに立つ人物に抱きついたのはほとんど同時だった。「お父さん!私、退院してきたよ!」 [編集済]

No.84[輪ゴム]09月19日 14:4909月30日 10:39

少女に「お父さん」と呼ばれた人物の顔は、少女自身とそっくりな――「コンビニの天使」である。しかし、その頭に輝く天使の輪...どころか美しかった髪は一本も見当たらない。(ついにすっかり禿げてしまったのか(⑫)!というかお父さんかよお母さんじゃなくて?!?!)という、様々な 驚き・落胆・ちょっといい場面を目撃した感 などがないまぜになった感情に打ちのめされた男は「オカマだったのかよペテン師め!(①②)」と呟き、何に泣き、何に笑っているのかもよく分からないままに涙を流しながら大笑いした。 [編集済]

No.85[輪ゴム]09月19日 14:4909月30日 10:39

余談ながら、後日元通りの美しさを取り戻した彼女(いや、「彼」か...)に男が尋ねてみたところ、「きれいな髪を保つ秘訣ですか?お肉をたくさん食べるといいですよ!(笑顔)」とのことであった(⑨)。【完】 [編集済]

No.86[grayrad]09月19日 15:0709月30日 10:39

タイトル「天使の告白-Angel Kiss-」 [編集済]

作・grayrad [良い質問]

No.87[grayrad]09月19日 15:0909月30日 10:39

陽炎がゆらゆらと揺れる猛暑日に、一人の不審者がいた。電柱の隅に隠れ、金髪でセーラー服を着ている男。いくら童顔で少女のような顔付きだからといっても所詮は男。仕草や喋り方まで変装することは叶わない。そもそも、なんでこんな事になったのか。全ての原因はあの憎ったらしいオカマ上司、龍園社長が悪いのだ。



「いや、これが終われば焼肉を奢るという口車に乗った俺も同罪か。しかしどうなんだ?青春まっしぐらの年齢でセーラー服を着てストーカー紛いの事をするなんて。」



男は大きな溜息をついた。そう、彼は現在一人の12歳くらいの身長をしている少女をストーカーしているのだった。少女はアイドル顔負けの綺麗な顔立ちをしており、髪はブロンズ、服は今どきの中学生がきていそうなフリフリの服装だった。特徴的なのはその瞳、赤く輝く目はまるでバラのようである。そんな可愛い女の子に比べて俺の格好といえば、いわゆる女装である。決してそういう性癖があるわけではない。これには事情があるのだ。女装して可愛い女の子をストーカーしている。内容だけみればやばい奴なのだが、これも彼の仕事の一貫なのである。

彼――――田中 明(17)は⑦非正規秘密組織、龍園組(⑧ローソン)の構成員の一人である。注意、断じて犯罪組織ではない。2029年〇月△日、平成が終わり、10年がたったこの時代には問題のある街があった。住民の10.760%が犯罪者の街《OSAKA》。今から10年程前、平成最後の年、この街の犯罪組織に手をやいていた国は一つのある組織を立ち上げた。その名を龍園組。表向きはコンビニエンスストア、⑧ローソンという名目で仕事しているが、国からの極秘任務がいい渡された時、龍園組の本当の仕事がはじまる。彼は御国に忠実な猟犬、国家公務員なのだ。今回はその仕事の一貫で少女をストーカーしているのだ。よって彼は国からの依頼という大義名分で少女をストーカーしている。決して、嫌らしい気持ちはない。



……ざざー……ざざー……。明は手にした無線機を口にあてる。



「こちら、田中。ターゲット、コードネーム《天使-Angel-》は40秒後、捕縛予定地点に移動。これより、任務を遂行する。工作員は仕事に備えておけ。くれぐれも。くれぐれも、俺がいた証拠は残さないように。カメラ系はよく確認するように。……今、笑っているやつはあとで覚えておけ。尚、俺はこの場にいる敵対組織、秘密結社、七北星(セブンイレブン)のメンバーを撒いて潜伏する。その為、通信を行うと位置情報がばれてしまう可能性を考慮し、単独で本拠地に少女を連行する。この後の無線は不要。検討を祈る。」



明は無線機を右ポケットにしまうと、左ポケットからスタンガンを取り出した。そして、ターゲットである少女が捕縛地点に辿りついた瞬間。後ろから近づき、バチバチっとスタンガンを食らわせる。失神した少女の手足を拘束して、直ぐにその場から離れることにする。もう一度言うが、彼は国家公務員。これは正式な仕事なのだ。

少女を抱えようとしたその時。真正面から二人の男が現れた。右手の甲の「llム」とみえるマーク。一見、意味がわからないが、上下逆さまにみると「7 11」と読める。この刺青を彫っている奴らといえば、彼等しかいない。



「秘密結社、七北天(セブンイレブン)のエリート集団。プレミアム………」



明の質問を肯定するかのように、プレミアムと呼ばれた男はニチャっと不気味に笑う。プレミアムの男が走り向かってくる。が、渾身の右ストレートで一瞬にしてダウンさせる。伸びている男の後ろからもう一人の構成員が舌打ちをする。今度の敵も右手の甲に「7 11」の刺青があり、プレミアムのメンバーだとわかる。身につけているオーラから只者ではないと判断し、明は先程よりも精神を集中させ相対する。殴りの軌道に手の甲を添え、相手の攻撃を反らす。今だ。そう思い、隙ができたところを左ストレートのカウンターでぶっ飛ばす。鮮やかに敵を片付けた明は無言で少女を抱えて、早足でその場をあとにした。













明はホテルの部屋についた。キョロキョロと周りに人がいない事を確認すると、ズラをとり――――まだ、ハゲてはいない、あくまで女装用の桂――――、つけまつ毛を取る。そこに現れたのはヤクザもびっくりする程のぎらついた目をした子顔の男だった。身長は170cmくらいだろうか。男は最近、まともな健康診断をうけてないので、正式な記録はない。上下黒の目立たない服に着替えて、椅子に座り、体育座りになって、頭を抱える。



「あああああああああああああ。恥ずかしいわ。なんで女装してストーカーしなきゃならんのだ。しかも、誘拐だろ、これ。いくら国からの依頼だといっても、今回は度を越してるだろ。主に俺の羞恥心が。ぐわああああ……」



「……………あのぉ…」



………あ。しまった。この子のこと忘れてた。色を変えた顔を見られないよう手で顔を覆う。人生で1番の後悔をしている。なぜ、この子がいるのを忘れていたんだろう。そもそも、俺が誘拐したんじゃないか。余りにも無責任すぎるだろ。だいたい、俺は……。



「………ぷっ、あはははは、なんなのお兄さん。ほんと、変。面白い。あははは。女装して、私を誘拐しといて、なんで顔真っ赤にして今更後悔してるのよ。あははは。」



――――ぐうの音も出ないです。はい。ごめんなさい、僕が悪いんです。お巡りさん、僕です。ん?いや、まて、なんでこんなに明るいんだ?まるで誘拐される事を期待してたような口振りだな………。俺は思い切って質問する。



「あ、あの、つかぬ事をお伺いしますが、あなたは誘拐されると分かってたんですか?」



少女――――天使と呼ばれる彼女は、主に羞恥心でいまだに顔を覆っている明の手を柔らかい手で握る。



「あー面白い。……いいえ。いつかはこうなる運命だとは思っていたわ。覚悟はあった。今日だとは思わなかったけどもね。あ、もしかして女装の方が心配だったり?でも、大丈夫よ。私はどんな性癖あったとしても、ちゃんと人と同じように接するから。」



悪魔のような笑みを浮かべて、天使は言った。そんな性癖ねえよ。そんな事を考えながら、俺はこの作戦の当初から疑問に思っている事を聞くことにした。



「ずばり、聞きたい。君は何者なんだ?」



天使はその透き通るような綺麗な声で答える。



以下回想。



――――この国は現在、不老不死の研究をしている。そんな馬鹿げたことを、なんていう在り来りな考えは余所に置いておきなさい。それは古代からの《人間》の願いであり、永遠の願いでもあるのよ。

きっかけは、今から10年前に遡る。悪魔の実験と呼ばれた不老不死研究は行き通りを感じていた。そんな時、名のあげている冒険家が日本のとある島で不老不死の生物が発見した。これが全ての始まりだった。その生物は見た目は人間そのもの。でも、中身は全く別のものだった。新しく発見された生物は普通、DNAが取られるんだけど、その時になって驚くべき事実が発覚したの。なんとその生物は100%人間と一致するDNAを持っていたの。通常、人間は他人と99.9%の組成が一緒なんだけど、その生物は普通じゃなかった。一切の無駄を捨てた人間の祖というべき存在、その存在と同等のDNAをもつ彼女は人を食べることで、組織を活性化させることができる事を本能で悟わ。その力はあなた達が奇跡と呼ぶ力を生み出すことができるのよ。彼女は人間の年齢で⑥幼稚園児だった6歳の頃、⑨人を捕食 することで不老不死という奇跡を得た。けど、事件が明るみになり、国に目をつけられてしまった。それが彼女の1番目の不幸ね。

そして、研究者達は彼女の細胞を人体実験によって移植させることが決定したわ。彼女の細胞を取り込み、キメラと化した《人間》はもはや《人間》ではなくなった。キメラになった《人間》は一人を除いて、全員死んでしまった。生存したものも、死の恐怖に怯えて、寝不足と栄養不足で、みてもいられないような姿になっていったわ。

生き残った者は《悪魔-evil-》というコードが与えられた。《悪魔》は不老不死の力を手にいれたわ。ここで、彼女の2番目の不幸が訪れる。彼女の奇跡、不老不死は不老不死である者の血肉を浴びると死ぬことを本能的にさとるの。対発生したものは対消滅させられるから。そして、その勝負に《天使》が勝つという事も。この世に奇跡の力をもつのは一人だけでいい。彼女はその衝動を抑えたけど、《悪魔》は違った。1度、不老不死になるという欲望を叶えてしまった《悪魔》は彼女が感じたものを抑え込むことができなかった。だから、《悪魔》は彼女を殺そうとした。だけど、彼女は《悪魔》を殺すつもりなんてなかったの。彼女は悲しんだわ。とてもね。

でも、それでも、どうにか開き直ったのよ。これで普通の生活を送れるって。そして、彼女は社会へ溶け込み一般人と生活する。彼女は逃げたわ。でも、そうは問屋が卸さない。

年月が立ち、国は考えた。《悪魔》と同等の存在を残していいのか?この国に、道徳なんてありもしない科学者に《悪魔》を渡せば、どうなるかは目にみえている。碌でもないことに使うつもりだろう。戦争、食料、労働。彼女はそう考えて、国の貴重なサンプル体である《悪魔》を殺すに違いない。国は彼女がそんな風に考えられていると思ったのね。被害妄想甚だしいわ。そして、今、彼女は国の息がかかった者に誘拐された。その彼女ってのが私。コードネーム《天使》よ。













俺は絶句した。不老不死の研究?人体実験?とても理解できない。もし、本当ならこの国の⑬集団ヒステリーはとんでもないものだ。映画のような話。最近は映画をみていないが、きっと、安い予算で作られたB級映画はこんな設定だろう。この国は一体なにをやろうとしているんだ。この痛いけな少女が、人を食べたり、殺したりするなんて思えない。が、………なるほど、筋は通っている。この際、不老不死だとか、人体実験だとかは許容範囲にしよう。それを前提に考えれば、国の不老不死者《悪魔》を守るために、浮浪者の不老不死者《天使》である彼女を捕縛するように命令したのも納得だ。でも、疑問が浮かぶ。



「あなたは誘拐されることを分かっていて、大人しくする理由はあるのか?」



答え次第では拘束をきつくしなければならない。なぜなら、彼女は国にとって有害なだから。そして俺はその国に忠実な猟犬なのだから。そんな事を考えての緊張感ある質問………のつもりだったが、等の本人である天使はお気楽に返事する。



「いや、みんな勘違いしてるだけなのよ。私は《悪魔》を殺すつもりなんてないわ。だって、そんなことをしてもなんの利益もないじゃない。それとも、なに。DT君は可憐な私が人殺しをするような怖い《人間》にみえるの?あなたも怖いなら私を袋にでもいれて閉じ込めればいいのに。」



「ハハ、俺は物を⑪袋に詰めるのは苦手だからさ。それに、俺がそんな酷いことするわけないだろ?」



………こいつの頭の上に③タライでも落ちればいいのに。いっその事、本当に袋にいれてやろうか。確かに俺は経験者ではないが、それとこれとは別だろ。明は人生で初めて女殴りたいと思いながら、彼女の話に矛盾がないと判断する。明は揺れている。この《天使》を救うべきじゃないのか?俺が国の仕事を、このまま国に仕えるだけの猟犬として続けるべきなのか?いや、でも……。思考のループに陥りそうになった明に天使は甘い声をかける。



「大丈夫よ。私は覚悟したって言ったでしょ?あなたは私を秘密組織、龍園組に連れていく。私はそこで代表と直談判して反逆の意思がないと示す。これで解決。はい、おしまい。じゃあ、もう、質問はいいね?私眠たいし、寝たいんですけど。」



「おい、まだ聞きたいことが……」



ぐーすーぴー。返事がない。天使はただの屍のようだ。それにしても、まさか、俺の所属してた組織がそんな恐ろしいことを考えていたとは驚きだ。んーーー、龍園社長に相談してみるか。困った時は彼に聞けば何とかなるだろう。連絡手段はないものかな。どうにかして、あの人に会いたいな。明が信頼している龍園社長とは、一体何者なのか?その正体は、明の上司であり、コンビニエンスストア、ローソンの社長兼、国直属の秘密組織、龍園組の会長である。見た目はアメリカの某ハリウッドスター並の筋肉を持ち、顔も外国人特有のイケメンであった。しかし、彼は①オカマであった。そう、彼はオカマだったのだ。(大事な事なので2回言いました。)ちょっと残念な上司だったが、実力は本物である。数々の犯罪組織を壊滅させた功績は素晴らしいものだ。オカマでさえなければ、完璧な人間になれただろう人物である。現在、明は犯罪組織共の追ってに追われているため、気軽に本部にいる龍園社長と連絡を取ることはできない。どのようにして連絡するかを考えていたその時だった。



――――バンッ!!!!!!来たわよぉぉぉぉおおおおお♡♡明ちゅああああああああん♡♡



――――しゃ、社長!?ちょ、ま、くぁw背drftgyふじこlp;@:「」



大きな音を立てて扉を開けて、入ってきた変態に明は押し倒された。それは明が信頼をよせている上司、龍園社長だった。







――――――







透き通るようなブロンズの髪、その名に相応しい天使のような整った顔。こうして見ると、ほんと可愛いよなあ。ロリコンみたいな発言をする彼の名は、田中 明(17)DT。ロリコンではない。勿論、女装癖もない。現在、ホテルで一匹のオカマ上司と共犯で一人の少女を誘拐している。内容だけみれば、大阪に稀によくいるただの変態犯罪者だが、彼は国家公務員の仕事をしているのでセーフなのだ。大丈夫か?国家公務員(笑)。さて、昨日の夜の事を話そう。は?お楽しみでしたね、だと?タライ落とすぞ?あ゙?………冗談はさておき、昨日、龍園社長と相談したことを簡単にまとめると、ずばり、彼女をどうするか、だ。だが、これは社長と意見が一致した。勿論、彼女を助けることになった。ここで助けの手を差し伸べないのは主人公失格。だが、もしも失敗してこれから謁見する《悪魔》とやらに《天使》が殺されそうになったら、俺達を逃がしてくれることになった。流石は社長。………と、天使が起きたようだな。⑩眠そうな目をこすりながら、彼女は口を開く。



「………しね。ロリコン。」



――――言い訳させてください。お願いします。いや、そんなこと考えてる場合ではないな。



「お、おい。いきなりだな。俺はDTだが、ロリコンじゃないぞ。ましてや、女装癖があるわけでもないぞ。そんなことはどうでもいいんだ。それより、お前を助ける手筈だが………」



俺は社長と相談した内容を彼女に話した。すると、なぜか、彼女は紅の瞳をキラキラさせている。え、もしかして泣いてるのか?いや、どこに感動する要素があった?あまり、人との関係をもたない明はなぜ涙しているのか分からず、オロオロしていた。すると、今までどこにいたのか。――――おそらく風呂だが――――助け舟がやってくる。髪は緑、所々にピンクの布の入った目立つ服装をしている筋肉ムキムキの変態紳士に明は感謝する。流石、社長。でも、口紅とオネエ口調は残念だ。



「あらあら、明ちゅわん。女の子には優しくしないと。天使ちゃん、大丈夫よ。私とこのお兄さんがあなたを殺させないわ。絶対にね。」



「…………ぐす……うん」



彼女が泣き止んだ頃、俺達は《悪魔》のところへ行く前に龍園組本部兼、大型チェーン店コンビニエンスストア、ローソンへと向かうことにした。直接、《悪魔》に直談判しに行ってもいいのだが、今回は巨大な影がみえる物との戦いとなるので、準備が大切だ。今、俺達は私営バスに乗っていた。いつ敵対組織、秘密結社、犯罪組織が俺達を襲うか分からないという冷や汗をかいているというのに、お気楽な天使は歌を歌う。



「⑤あの鐘を鳴らすのはあなた~♪」



古い歌だ。確か今から30年程前に流行った歌だったか。御歳55歳の龍園社長も好きな歌だよな。ババくさいマセガキだな。



「おい、その歌をやめろ。お前、状況理解してるのか。そんな呑気なことしてて死んでもしらんぞ。」



「うっさいよ。いいじゃん。別に。逆に人生楽しまないと行きつまって死んじゃうよ?それに私は不死身ですから、死にませーん。」



なんか、機嫌が悪いな。可愛い顔が台無しだぞ?いや、こっちが素なのか?昨日はかなり睡魔が襲っていたようだし、昨日が通常運転ではなかったのかもしれん。どうやら、やめる気はさらさらないらしい。まあ、人生楽しまないとってのは少し賛成できるかも。今まで楽しまずに生きてきた結果が現状だしな。そんな感想を抱き、俺は視線をバスの外に向ける。と、明の視線が一点に集まる。黒済みの車、相対して走っていて、常人なら移動している車の運転手を見ることなどできないが、明は気づく。運転手のハンドルを握る手の甲に「7 11」の刺青があることに。そして、助手席にいる黒ずくめの男が大型の銃火器を構えていることに。絶叫をあげる。



「伏せろおぉぉおおおおおお」



――――ババババッ、ババババッ、ババババ。キーー。



軽快なリズムをだす爆音にさらされて、バスがスリップする。が、何とか転倒せずに停止できたようだ。一安心するのもつかの間、龍園社長から命令が下る。



「明、今すぐ逃げろ。俺のことはほっとけ。」



不安に感じた明は隣をみると、そこには足が挟まって動けない龍園社長の姿。



「私は一人で大丈夫だ。なーに、心配はいらん。すぐ追いつく。本部はすぐそこだ。歩いて2分程。早くいけ…!………それにしても、どうして秘密結社、七北天のプレミアム会員のクソどもがこんなところに。」



俺と天使は社長の最後の方の言葉、疑問を聞く間のなく行動を開始した。入口のドアをこじ開け、2人でバスから脱出する。どうやら、脱出しているのは俺達だけのようだけ。セブンプレミアム共に見つからないように物陰から物陰へ移動し、少しずつ本部を目指す。物陰を移動する時、一人の戦闘員の異変に気付いた。セブンプレミアムが携帯式対戦車擲弾発射器――――RPG-7を持っていることに。このRPG-7はあのバスを粉砕するためのものだ。そうなると、乗客の命、社長の命が危ない。分かったのに、分かっているのに、伝えることはできない。ここで大声をだせば、見つかってしまう。俺がそんな事を考えている合間に、遂にRPG-7は発射準備に入った。俺は思わず、叫んでしまう。



「ろぉぉぉぉぉぉおそん社長ぉぉぉぉぉぉお!!!!」



――――ドーン



大地を揺るがす轟音が響き、バスは粉々に散った。中にいた者はどうなったのか。今、そんな分かりきったことを考えている暇はない。明は舌打ちをして、走る。自分の不手際で、あの憎たらしい奴らに見つかってしまった。奴らの武器が銃火器なら、俺の武器はこの足のみだ。天使の足の速さは分からないが、おそらく鈍足だろう、と見た目で判断し、天使を背負って走ることに決める。後ろからは風を切る銃火器の音が絶え間無く聞こえてくる。日本で生きていれば絶対にみることはないだろうと思う程の綿密な弾幕が張り巡らされているのが容易に想像できたが、当たるかもしれないという不安を抑えて、怯むことなく走る。



運がよかったのか。はたまた、これこそが天使の言う奇跡なのか。一発の銃弾も浴びることなく本部にたどり着き、正面ゲートを閉鎖。機械のだす重音を響かせ地獄と天国の門は閉じる。これで暫くは大丈夫だ。一息ついて安心しきった明は今回の作戦で初めて、油断してしまった。背後から近づく者に気づくことができなかった。バチバチッというスタンガンの空気を割く音が響く。ああ、彼女もこんな気分だったのかな。全く見当違いの感情を抱き、明の意識が飛んだ。





――――――――



頬の冷たく硬い感触に、彼は自分が地面に伏していることに気づく。手足を動かそうとするが動かない。怪我のせいで動けないという訳ではなく、どうやらロープや手錠等でガチガチに拘束されているのだろう。最後の記憶を頼りに自分が何者かに襲われたことを思い出し、犯人を推理する。本当は推理するまでもないのだが、信じたくない彼は無理矢理覚醒して間もない頭を必死に働かせる。ここのセキュリティは完璧で抜け目がないのは、かつて、仕事をサボろうと脱走を試みた時に嫌という程思い知らされていた。他の可能性も考える。しかし、どれだけ考えても、犯人は身内であるという結論になる。



――――ここは、どこだ。天使はどうなった。



次にでた疑問はそれだった。天使の無事を確認しようと思い、目を開ける。こういう場合、目を開けるタイミングというのは重要である。明の耳には金属が擦り合わせてでる音は聞こえなかった。よって、俺を拘束した連中は俺を殺す気が無いのだと結論する。目を開けるのに、不安はなかった。そこは本部の地下にある広大な空間だった。道理で夏なのにこんなに冷たいわけだ。ここは確か、龍園組を創設した時からあって、なんの為にあるのか分からないのに、物資を置くなと言われていた場所だ。だが、前にみた時とは違う。床には直径10m程の巨大な魔法陣が描かれており、その中心には《天使》の姿。それを囲うような形で三角形を組んで2人の人間が立っていた。一人は俺も知っている人物だ。黒のスーツをビシッと決めた半分禿げているやつは、この国の大臣だ。もう一人の少女は、《天使》と④瓜2つの少女だった。顔は似ているが、髪の色が黒く、瞳は全てを見通すアメジストのようだった。誰がみても違いは明らかだ。そして、おそらくこいつが《悪魔》その人だろう。俺はその陣の一角にいるようだ。



「ようやく目を覚ましたか。貴殿は今までこの国に忠実に仕えてきたのに、突然牙を向いた。これは《悪魔》にそそのかされたからに違いない。この②ペテン師の娘め。今すぐに《悪魔》を処刑すべしだ。」



なにを言っているのかは理解できないが、そこに立っていたのはこの国の大臣ではなく、龍園組の創設者としての大臣だった。



――――彼が黒幕だったとは……。まて、今、《悪魔》と言ったのか。俺が今まで接してきたのは《天使》だったし、そもそも俺は《悪魔》の顔をみたことすらないんだぞ。嘘にも程がある。《天使》は閏るして今にも泣きだしそうな顔でこちらをみて言った。



「……明………ごめんね。」



――――どういうことだ。



「こいつ、まだ気づいてないのか。頭も悪くなったのか。仕方ない。我が《天使》よ。この愚か者に真実をお伝えください。」



大臣はニヤリと笑い、もう一人の少女に話の主導権を渡した。



「彼女は《天使》の名を語る悪魔よ。」



不気味なことに、声まで《天使》と全く一緒だ。自称《天使》は語る。



以下回想。



――――今から、10年前、悪魔の実験と呼ばれた不老不死研究はとある発見で進歩することになる。それは《天使》がみつかったこと。《天使》は奇跡を起こすのに人の血肉が必要だったけど、生贄はたくさんいた。

成長した《天使》は政府と契約した。その後も《天使》は数々の奇跡を起こした。でも、人間の欲望はそこで終わるような安いものではない。

政府と契約して暫くした頃、《天使》を独占しようとするものが現れる。それがここにいるこの大臣だった。大臣は自分の娘が不治の病にかかっているので直して欲しいと言った。なので、《天使》はその願いを叶えることにした。でも、《天使》の願いには生贄が必要。大臣は自分の妻を生贄に娘を不老不死にした。大臣は妻を生贄にしたことの罪悪感で髪が抜け落ち、シワが増え、どんどん老いていたわ。

そして、《天使》も初めての過ちに気づく。それは不老不死の者が生まれたこと。自分と同格の存在が生まれたことだった。私はそのものを《悪魔》と呼んだわ。そいつを殺そうと思ったけども、それは大臣に阻止されてしまう。そう考えた私は大臣を洗脳することにした。結果として、《天使》は忠実な下僕と国を動かせる力を手に入れた。思ったより手間取って、5年もたったけど、この忌々しい《悪魔》を殺せるのなら問題ないってもんよ。

そして、計画は実行されようとしている。そう、全ては不老不死を殺す儀式。《堕天使の昇格の儀(エンゼルフォール)》のために。













彼女の話はとても説得力のあるものだった。この計画に参加している大臣を筆頭に秘密結社、七北天プレミアムの連中がなぜ非人道的実験に参加しているのかという点。それが集団ヒステリーではなく、洗脳されているだけならば。中心で涙目をしている彼女が《悪魔》で俺を安心させるために《天使》だと騙ったのなら。そして、自称《天使》の容姿が明らかに10歳以上であること。全て納得がいく。それでも、俺はたとえ、彼女が《悪魔》であっても彼女を救う。



「明、彼女の話は本当なの。私は《悪魔》なの。私は死ぬためにここに来たの。だから………」



――――俺にはもう、そんなことは関係なかった。



「仮にそれが真実だとするなら、俺はお前を許さない。それが嘘だとしても、彼女、自称《天使》を泣かせたお前を許さない。」



――――だって、彼女が好きなんだから。今、この瞬間に言わないといけないと思う。ここで言わないとチャンスはもうないと思ったから。



「《悪魔》よ、君の事がす……」



――――俺は告白しようとした。しかし、その言葉は伝えようとした本人の言葉で遮られる。



「………なんで、このタイミングなの。それに、そんなわけない。それはあなたの勘違いよ。あなた、1度でも私の事を知ろうとした?コードじゃなくて、名前を聞いた?私のことをお荷物としかおもってないんじゃないの?それはただの偽善でしかないのよ。」



愕然とした。部外者の大臣と《天使》でさえ、なにも言えない。場が硬直する。



――――あ。振られた?ち、違うんだ。言い訳をさせてくれ。聞こうとしたけど、タイミングが。でも、本当は……。



俺は心の内で言い訳をする。喋ればきっともっと酷いことを言われる。これ以上は言わぬが仏だろう。静寂を打ち破ったのは大臣の笑い声だった。



「ははははははは。愉快、愉快。実に愉快だ。ふひひ…。さあ、天使よ、《堕天使の昇格の儀》の準備を。」



大臣は頭をかきむしる。まともならば、そんなに少ない髪の毛を大事にするだろうが、既にまともではなかった彼の髪は一瞬にして抜け落ち、⑫遂に禿げてしまう。



《悪魔》は何か吹っ切れたのか、俺のことが嫌いだったのか。《天使》と《悪魔》の儀式が始まる。《悪魔》に抱きついた《天使》は、その美しい首筋を噛んだ。すると、神々しい光が二人を包む。これが儀式なのか。これが奇跡なのか。美しい。この美しさのためなら、俺は一生奴隷として生きても構わない。俺と同じことを考えたのか、大臣は不気味な高笑いをする。



「あははははっ。遂に、遂にか。やっとこの時が……ふひひ、」



[問]ローソンの地下で《天使》と《悪魔》が抱き合い、大臣が高笑いをする。そんな異常な光景に見守ることしかしていなかった俺は、あることに気づく。



彼女が、《悪魔》が泣いていることに。そして、口パクでこう言った、死にたくない、と。



意気消沈だった俺だが、その光景だけで十二分に気合いを取り戻せた。彼女は死にたくないのだ。ならば、救わないと。彼女は俺を助けるため、無理に自分を傷つけたのではないか。まだ縁はある。そんな期待もあった。拘束具を腕を捻じることでぶち壊し、俺は儀式を行う二人の間にはいる。そして、《天使》から《悪魔》を奪いとり、そのまま抱えて、本部から逃げ出した。逃走ルートはかつて、サボりを行った時にセキュリティの抜け穴をつかった道があったはずのでなんら不安はなかった。《悪魔》は首筋から大量の出血をしている。血だらけで範囲がわからないが、かなりの量の首肉が無くなっていた。重症で息も絶え絶え。でも、助ける宛はある。連合、円産玖(サークルKサンクス)、あそこならば、きっと助けることができる。彼女を治すこと、そして、《天使》を倒すことを愛しい彼女と⑭約束して、彼は走る。



「俺が必ず………」



――――君を助ける。



その約束が天に届いたのか、明は全身に漲る力を感じる。明はただの愛のパワーだとでも考えているのかも知れないが、これこそが奇跡の力なのである。《悪魔》の願いは《天使》の願いよりも強い思いだった。なので、《悪魔》の願い、死にたくないが勝ったのだ。しかし、成就したのは死にかけの本人ではなく明の方だった。ウサイン・ボルト並の足の速さで駆ける。

どれくらい待っただろう。壁は白色、窓からは月光が降り注ぎ、ただ1つ、集中治療室の看板だけが残酷な赤で輝く。明は、連合、円産玖に到着した後、何時間もここで待たされている。彼女は集中治療室に入れられ、今は顔を見ることができないが、きっと助かると信じている。そして、彼女にもう一度思いを告げるのだ。明はこの時、初めて神に誓う。



――――神よ。もし、いるなら、どうか、彼女を救ってくれ。俺はどうなってもいいから。



その願いが聞き届けられたのか、集中治療室の電源マークがoffになり、中からは緊迫感のあまり、やせ細ってしまった少女が寝ていた。どうやら、一命を取り留めたようだ。明はほっと一息を吐く。が、すぐに警戒を再開する。もう二度と間違えないために。あらゆる失敗という名の経験を積んだ俺は今日から変わる。そう決意した彼が、愛しの天使のような《悪魔》の寝顔を見に行くのを見送って、我々はこの場を後にしよう。これは、2人の恋の物語なのだから、部外者は関わるべきではない。まあ、私は除き見は趣味だがね。君達もそうなんだろ?

[完]

(11,913文字)



14要素+No.26「1万文字」



[編集済]

No.88[葛原]09月20日 00:2409月30日 10:39

タイトル【天使もどき】

作・葛原 [良い質問]

No.89[葛原]09月20日 00:2509月30日 10:39

 天使とは神聖なものではなく、単なる神の下僕である(と、私は考える)。『かの時には晨星あいともに歌い、神の子等みな歡びて呼わりぬ』。創世の際、天使が喜びの声をあげた? 何たる人間の不遜! 唾棄すべき傲慢! この一節を読むときほど、聖書が人の手によるものであると考えざるを得ないことはない。『汝の隣人を愛せよ』の教えを心得ているはずの十字軍が、汝の隣人であるところのムスリムを襲った――それを聖戦として。そして、同じキリスト教徒の中でさえ、十字軍に志願した少年を二束三文で売り払った者がいる。いや、現在においては、いっそそれが明らかである。このような世界の誕生になぜ「歡びて呼」うことがあるであろうか。本来であれば『かの時には晨星あいともに嘆き、神の子等みな言の葉をなくして叫びぬ』とでも記述されなくてはなるまい。
 すなわち、私の天使への印象は、おおよそ次の通りであった。
 彼ないし彼女は人間のなす殺人、同性愛、売買春、窃盗、人肉食、戦争――等の禁忌をスイーツでも頬張るがごとく愉しみ、怨嗟の声を清純な音楽であるかのように聴く。そして彼ないしは彼女は「神の子」であるがため、遭えば「歡びて呼わ」ざるを得なくなる。
 そして私は、コンビニエンス・ストアで彼女に遭ったのである。
 そのとき、特殊部隊員であったという男が、私の行きつけの店のカウンター席で私に語った言葉が思い出された。…………
「私は天使を見たことがある。彼女は眠そうで、しかも悪魔と瓜二つだった」
 私が多少、英語を解することができると分かると、男は私の隣の席に場を移した。そして上の言葉を述べたのである。私は、私の拙い語学力のなかで、彼の言葉から三つの情報を読み取ることができた。ひとつ、彼は天使と悪魔の存在を信じていること。ふたつ、天使は女であるということ。三つ、彼はヤク中か、ペテン師だ。しかし、いまの私には、彼から、たったひとつの情報しか読み取ることができないであろう。すなわち――彼は正常であったのである。
 私は、宗教ないしそれによって生み出された概念を集団ヒストリーのひとつであると、固く信じていた。人間の価値観は時代や地域によって容易に変わり、人間は自身の有する価値観が完璧なものであると、常に思いたがる。そしてそれは私にも例外ではないのである。私は、彼にいった。
「聖書の読みすぎだろう」
「聖書を熱心に読む奴は、こんな場所にこない。『男色を行う者、盗する者、貪欲の者、酒に酔う者、罵る者、奪う者などは、みな神の國を嗣ぐことなきなり』だ。男色も酒も、こそ泥と同じさ」
 あいにく記憶力は悪くないがね、と男はカクテルをいじった。〈セックス・オン・ザ・ビーチ〉。私はカフスボタンに触れた。緊張すると、私はよくそれに触れた。あと数年でメッキが剥がれてしまうのではないかと思っていても、なかなか、買い換えるまでの損傷にはならなかった。
「君もどうだ」男はグラスを差し出す。「泳ぎたい気分だろう?」
 私は、彼の差し出した琥珀色のカクテルを嚥下した。喉の奥が焼き付くようだった。気分は確かに、夏の浜辺だった。…………
 まさか天使が幼稚園児であったとは――? 誰が想像しよう。天使がコンビニエンス・ストアの列にならぶ女の、揺籃めいた腕の中に収まっているとは? なるほど、であれば、彼女は「言の葉をなくして叫」ぶことはなく「みな歡びて呼わ」るはずである! 彼女なら殺人、売買春、窃盗、人肉食、戦争、そして同性愛をこの上なく愛し、喝采をするに違いない。
 正しかった。彼の言葉は正しかった。私は「ハレルヤ」と叫びたくなった。神を賛美せよ! なるほど、彼のいった通り天使は「悪魔と瓜二つ」である。
 私はカフスボタンをいじっていた。つるりとした触感が、私を落ち着かせる。
「あなたは、おいくつですか?」
 彼女の母親は面倒臭そうな顔を一瞬、浮かべた。しかし母親としての役割を思い出したのか、不審者から彼女の天使を遠ざけるべく、
「五つです。五つになったばかりです」
 と愛想よい風をよそおって答えた。
「違う。あなたに聞いているのではない。彼女に聞いているんだ。……分かりますね?」
 私の敬語の逆転は、彼女の母親の目に相当、奇異に映ったであろう。
「たらいの水を、ワインに替えてちょうだい!」
「すみません、この子はよく妄言をいうんです。夢を見ているんですよ」
「違う、啓示だ」
 彼女の母親は、いよいよ怪訝な表情を隠そうともしなかった。
「すみません、順番がきましたので」
 私と天使との邂逅は、無情にも遮られた。私は手早く会計をすませようとしたのだが、店員が袋詰めをすることに手間取っていたため、商品を置いたまま彼女を追いかけた。
「彼女ともう少し、話をさせてください。彼女は私の死んだ娘に似ているんです」
 私は嘘をついた。彼女の母親は明らかに不審な表情を浮かべたが、拒否した後の禍根などを想像したのか「はぁ、構いませんが」と極めて凡庸な返事をした。
「あなたは、神さまの国には行けないわ」
「そこは、どういう場所なんですか?」
「死ぬほど退屈な場所! まるでこの身体のよう」
「つまり『男色を行う者、盗する者、貪欲の者、酒に酔う者、罵る者、奪う者などは、みな神の國を嗣ぐことな』いというのは?」
「観音様が生まれ持った残酷さと同じよ!」
「それは喜ばしいことであると?」
「たらいの水を、ワインに替えてちょうだい! そこの店のじゃなきゃ嫌よ!」
 カフスボタンがざらりとした感触に変わった。
「わかりました。買ってきましょう。話を終えてからでも?」
「約束よ! 破ったら地獄に落ちるわ! 地獄に落ちるわ! 地獄に落ちろ! ……そういえばあなた、蝶々が本からできているって、知っている? ほら、おあつらえ向きに翅がふたつついているわ!」
「はじめて知りました。あなたはどんな本を読みますか?」
「『星の王子さま』は素敵ね」
「テグジュペリは真実を語っていると思いますか?」
「ええ! たくさんのね!」
 彼女が「真実」という言葉を否定しなかったことに、私は感動した。
「私はヘミングウェイが好きです」
「簡潔な言葉からは何も生まれないわ! 地球さえも生まれやしない」
「『誰がために鐘は鳴る』――ご存知ですか?」
「誰がために鐘を鳴らすかが大事よ! あなた、ヘミングウェイとは真逆ね。饒舌だわ! 饒舌だわ! そしてくだらないの!」
 私は哄笑した。涙がほとばしった。彼女は精神病を抱えている少女にすぎないのだと、私は知った。そして私は彼がヤク中でも精神疾患でもなく、単に私と同じく集団ヒステリーにかかっていただけにすぎないことを知ったのである。私は彼女の母親に断ると振り返らずに立ち去った。
「たらいの水を、ワインに替えてちょうだい! たらいの水を、ワインに替えてちょうだい!」
 怨嗟にも似た純粋さを帯びた声が、響いている。

(了)
[編集済]

No.90[ハシバミ]09月20日 16:2609月30日 10:39

タイトル「天使とペテン師」

作・ハシバミ [良い質問]

No.91[ハシバミ]09月20日 16:2709月30日 10:39

 幼稚園児(⑥)の時分から、女と見紛う容姿をオカマ(①)とからかわれていた男は、特殊詐欺グループの一員(⑦)としてペテン師(②)を生業としていた。
 今日の仕事は、タライ(③)を売ることである。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 取り出したるはこのタライ! このご時世にタライを何に使うかって? 馬鹿言っちゃあいけないよ、このタライはただのタライじゃあない、特殊な素材でできているのさ!」
 無論、真っ赤なウソである。
「このタライはうんと丈夫だからね、集団ヒステリー(⑬)が起こったってこれを被れば安心! ゾンビに襲われて食べられる(⑨)心配だってありゃしない!」
 ゾンビが集団ヒステリーに含まれるのかとか、そもそもゾンビは人肉を食らうのとか、タライで防げるのかとか、そんなことは些細な問題である。
「無論普段は洗濯に掃除、汚れた足だって洗えるし子供のプールにもなる。さあさあ買った買った! 早い者勝ちだよ!」

 無事商品を売り切った男は、いつものようにコンビニに寄る。三度の飯より唐揚げが好きな男が買うのは勿論からあげクン(⑧)だ。
「いらっしゃいませー」
 いつものようにレジに直行しようとした男は、弁当コーナーにいる少女に目が留まる。
 大きな碧い瞳、緩やかなウェーブを描く細い金の髪。
 絵本で読んだ天使そのものだ。
 だが男が何より驚いたのは、その天使が男に瓜二つ(④)であったことである。
 容姿で褒めそやされたりからかわれたりしていた頃は今は昔、年月と共に髪は抜けていき、ついにはすっかり禿げてしまっていた(⑫)。
 そもそも男は金髪碧眼ではないが、それを除けば若い頃の男にそっくりなのだ。
 自分の知らないところで子供でもできていたのだろうか、いや、心当たりは全くないが。
 夜も更けてきた時間だからか、天使は眠そうに何度も欠伸を噛み殺していた(⑩)。
 いつまでも見つめている訳にはいかない。
 男は誤魔化すように、自分と天使の間にあるスナック菓子を手に取る。
 ついでにビールも持って、レジに向かった。無論、からあげクンも注文する。
「ありがとうございましたー」
 袋詰が上手ではない(⑪)、以上に雑な店員だったので、冷たいビールと温かいからあげクンがくっついしまっている。
 スナック菓子を間に挟めばいいのに。男がレジ前で袋に手を突っ込んでいると、女が入店してきた。
 店内を見渡した女は、ハイヒールの靴音を響かせて弁当コーナーに向かう。
「ああ、エミリー。こんなところにいたのね。もう、あまりママを困らせないで」
 女は天使を抱きしめる。
 が、そんなことはあまり重要ではない。
「……お袋?」
 小さくこぼした男の言葉を、女は耳ざとく聞きつけて振り向く。そうして天使と、そして男とよく似た大きな瞳を更に大きく見開いた。
「あ、なた、どうして……ちょっといらっしゃい! エミリー、ちょっと待っていてね、すぐに戻るから」

 女に腕を掴まれ、男は店の外に出る。
 両親が離婚をして30年、連絡を取ることもなかったが、間違いない、男の母親だ。
「お袋、さっきの子、エミリーって」
「何も聞かないでちょうだい。もうあなたには関係ないことでしょう」
「いや、でも」
 離婚した時には男もすでに就職していたし、確かにすでに関心もなかった。だがあんな、10代半ばの、明らかに外国の血の混じった少女に「ママ」と名乗っていては、気にならないはずもない。
「とにかく、もう関わらないでちょうだい。約束よ(⑭)。ああそうだ、これをあげるから、今日のことは忘れてちょうだい」
 女は男に何物かを押し付けると、さっさと店内に戻ってしまう。
 男が唖然としているうちに天使――エミリーを連れて、男の家と反対方向へ去っていった。

 呆然と背中を見送っていた男はふと我に返り、女に押し付けられた物に目をやる。
「あの鐘を鳴らすのはあなた」(⑤)。
 CDだ。
 ……何でこれで口止めできると思った。何でこれを持ち歩いている。
 言いたいことはたくさんあったが、男の口から出るのは乾いた笑い声だけだった。
「は、はは、ははははは」
 何故か涙まで溢れてくる。
 滲む夜空を見上げ、ふと男は決意した。

 ――足を洗おう。
 無関係と言われたって、あんな天使のような異父妹がいるんだ。こんな商売はやめて、まっとうに生きよう。
 まずは、そうだ。このコンビニで働いてみよう。
 いつかまた、天使が訪れるかもしれない。

【了】
[編集済]

No.92[パブロン]09月21日 17:2810月02日 17:29

タイトル「リーインカーネイション」

作・パブロン [正解][良い質問]

No.93[パブロン]09月21日 17:2910月02日 17:31

2013年。世間を震撼させるある事件があった。
事の起こりはとある新興宗教団体にある。
その団体は自然とともに暮らす事を良しとする教えの元、信者は山奥に出家し、自給自足の共同生活を営んでいた。
電気を使用することを禁じており、①おかまでご飯を炊き、③タライで洗濯をするような原始的な生活。
もちろん電話も無く、世間から隔絶した集団となっていた。

夏も終わろうかというある夜、その事件は起こった。
信者達の大合唱が山中に響いた。
何を言っているかは分からないが繰り返し響く唱和。何度も、何度も呪文は続く。
やがて呪文は悲鳴、怒号、哄笑などがない交ぜになり、仕舞いに音一つしなくなった。
付近の住民はその異常事態に慄然とし、身を竦ませるばかりだったが、漸く我に返ると慌てて通報した。

警察が到着した時、そこに広がるのは地獄絵図だった。
焚火を囲うように地面に転がる信者たちの死体。それらは皆まともに人の形をしていなかった。
必ずどこかが毟り取られている。いや、嚙み千切られているのか。
折り重なる死体の山の中で、ただ一人、教祖だけが満足そうに恍惚とした笑みを浮かべていたという。

警察の捜査の結果、熱狂的な信者達が儀式に没入するあまりに起きた⑬集団ヒステリーと位置付けられた。
教祖は普段より人を食す事は神へと近づく行為であると諭しており、信者たちは洗脳状態にあったのではと専門家は考察した。
この事件は「新興宗教団体⑨カニバリズム事件」として世間に知れ渡り、連日ネットやテレビを騒ぎ立てることとなった。
教祖の男は鬼だ悪魔だ稀代の②ペテン師だと叩かれたが、会話の成り立たないこの男に届くことはなかった。



事件より5年後。



男は「⑦カニバリズム事件被害者の会」の本部から重い足取りで出てきた。
あれから一向に裁判は進まない。
教祖の男は相変わらず薄笑いを浮かべながら訳の分からない証言しかしない。
妻と娘の凄惨な姿が頭から離れない。
妻が娘を連れて家を出て、あんな団体に入り、あんな死に方をしていたなんて。
何故妻ともっと話をしなかったのか。何故家族を大切にしなかったのか。
何故妻が怪しげな宗教に嵌るほど追い詰められていた事に気付かなかったのか。
何故。何故。何故。
5年間、男はずっと堂々巡りをしている。後悔をし続けている。
娘の遺品のおもちゃを握りしめる。当時流行っていたアニメのキャラクターが印刷されていたはずだが、ずっと持ち歩いていたせいでインクは完全に⑫はげてしまっていた。
「もし生まれ変わったら新しいのを買ってあげるよ。⑭約束する。」
我ながら愚かな独り言だと思う。何が生まれ変わったら、だ。

食事を取るのも面倒臭い。
せめて飲み物だけでも買おうと、手近なコンビニに入った。
午後9時の店内は客もまばらだった。
飲み物に手を伸ばすも家族の事ばかり考えている。
その時だった。


「大丈夫だよ」


後ろから少女の声が聞こえた。
振り向くと、そこには⑥幼稚園児位の少女が立っていた。
目を疑った。その少女は亡くなった娘に④瓜二つだったからだ。
男は何が起こったか暫し理解出来ず言葉を失ったが、落ち着きを取り戻すと他人の空似であると言い聞かせた。
「今、『大丈夫』って言った?」
「ううん。」少女は首を振った。
「そうか・・・。じゃあおじさんの聞き間違いだね。お母さんは?」
少女が黙って指さす方を見ると、そこにはローソンの店員がいた。
店員はこちらに気付くと「いらっしゃいませ」と笑顔で近づいてきた。
「ほら、お客さんの邪魔しちゃダメでしょう。」
女はそう言うと少女を抱き上げた。
「すみません、母子家庭なもので家にも置いておけなくて。仕事が終わるまでここで待っててもらってるんです。ご迷惑をおかけしませんでしたか?」
「いいえ全く。可愛いお子さんですね。」
「ありがとうございます。私の天使なんです。ね。」
そう言って親子は笑いあう。その姿が亡くなった妻子に重なる。
幸せそうな。あんな事がなければ、妻も、娘もこんな風に笑ったのか。

知らず、男は泣いていた。
女は驚いた様子で「大丈夫ですか」と声をかけた。
「すみません、大丈夫。大丈夫です。・・・あの、また来てもいいですか。変に思われるかもしれませんが、僕、ここの⑧ローソンじゃないとダメみたいです。」
男は泣きながら笑う。
女はそんな男の様子に驚きながらも、またお越しくださいと言った。⑪袋詰めはあまり上手くないですけど、と付け加えて笑った。
天使は少し⑩眠そうに小首をかしげた。
男はまた笑った。


1年後


「今日の新郎新婦さん、子連れ結婚なんですねー。」
「再婚同士ですって。娘さん可愛いわねえ。」
「本当、天使みたい。」
「さ、そろそろチャペルから三人が出てくるわよ。早く行って。⑤あの鐘を鳴らすのはあなたの仕事でしょ。」
「はあーい。」

祝福の鐘が鳴り響く。
きっと、ゆっくりと、傷も癒えていく。
「大丈夫だよ」
また、声が聞こえた気がした。

【おわり】
[編集済]

[良い質問]

No.94[ハシバミ]09月22日 00:0709月30日 10:39

タイトル「幸せが乗っている」

作・ハシバミ [良い質問]

No.95[ハシバミ]09月22日 00:0709月30日 10:39

「ねえ、今日がなんの日か知ってる?」
「今日? ……何かあったっけ?」
「今日、というか毎月ね。22日。分からない?」
「毎月って……何だよ」
「んもう、ちゃんと考えてる? 今日はね、ショートケーキの日」
「ショートケーキ? 何で?」
「ふふふ、ほら、カレンダー見て。22日の上は?」
「15日。それがどうかしたのかよ」
「もう、だからちゃんと考えてってば。15。いちご。ね、上に苺が乗っているでしょう?」
「いちご……それでショートケーキ? ははっ、無理矢理にも程があるだろ」
「まあたそんなひねくれた言い方して。じゃ、約束しよ?」
「約束?」
「毎月22日。一緒にショートケーキを食べるの。ほら、指切り」
「何だよ、それ」
「いいから、ほら。約束するの(⑭)」
「ったく。指切りげんまん、ほら、これでいいのか?」
「うん! じゃあ早速、ケーキ買ってこ!」


 そんな子供染みたやりとりをしたのは、25年以上前の話だ。
 当時中学生、男も女も紛うことなき子供だった。
 世の中のままならなさを悟りはじめたような頃に出会った女は、男にとってはある種の救いでもあった。

「いらっしゃいませー」

 もう20年も前に、女は突然男の前から姿を消した。
 一緒に成人式に行こうね、一生に一度なんだから、ちゃんと来ないと駄目だよ。
 そんなことを言っていた女は、成人式の会場にはついぞ現れなかった。
 それでも男は、毎月22日に、ケーキを買う。

「Pontaカードはお持ちですか?」

 ケーキはいつも近所のケーキ屋で買っていたが、この1年ほどはローソン(⑧)でロールケーキを買っている。
 22日だけ苺が乗っているロールケーキだ。
 甘いものが特別得意ではない男にとって、歳を重ねる毎にケーキ1片は少々重たくなってきていた。
 だが、ローソンに通うのはそれだけが理由ではなかった。

「1,000円、お預かりします」

 20歳くらい、大学生だろうバイトの店員。
 たまたま見かけた時、男は酷く驚いた。
 男の前から姿を消した女と、瓜二つ(④)だったのである。
 目元のほくろまで、まるで鏡写しのようだ。
 胸の名札には、「あまつか」。
 あまつか――天使、だろうか。
 少なくとも男にとって彼女は、20年ぶりにまみえた天使(てんし)であった。

「ありがとうございましたー」

 お釣りと袋を受け取って、男は店を出た。
 袋の中を確認すれば、一緒に買った缶コーヒーにロールケーキが潰されている。
 接客も丁寧で笑顔の綺麗な天使は、相変わらず袋詰だけは全く上達していないようだ(⑪)。


 家につき、さあ夕食の準備をしようというところで、男の端末が鳴る。
 緊急呼び出しだ。
 ちらとコンビニ袋を見下ろすが、仕方がない。
 ロールケーキを冷蔵庫に仕舞い、缶コーヒーを飲み干す。
 端末に届いた任務内容を確認すると、日時と場所が機密事項となっていた。
 いつ、どことも知れない仕事場も、男にとっては珍しいものではない。
 端末を操作し、男は仕事場に飛んだ。

 男は、時空管理局歴史保護部隊の一員(⑦)である。
 タイムマシンが開発されて十余年、早くから過去改ざんの危険性は指摘され、特別な許可がなければ時間遡行は許されていなかった。
 しかしどんなものにも抜け道は存在し、いつの間にか無許可に時間遡行を行うものが現れていた。
 彼らは時に利己的に、時に利他的に時間遡行を行い、過去改ざんを繰り返す。
 現状を危惧した政府は、タイムマシンの開発と同時に作られた時空管理局の中に新たに歴史保護部隊を編成、直接彼ら――違法時間遡行者の取締りに乗り出したのである。



 数秒にも数分にも感じられる暗転の後、男は目を開ける。
 どうやら、目的地に到着したようだ。
 見渡せば、そこは幼稚園のようだった。
 昼下がりの園庭を幼稚園児(⑥)たちが駆け回る。
 室内に目を向ければ、絵を描いたり折り紙を折ったりしている園児もいる。
 1人の園児の姿に、男は目を見開いた。
 天使だ。
 名札の文字は見えない、だが間違いない。
 幼稚園時代の天使が、そこにいる。
 天使は他の園児や教諭から離れたところで、絵本を開いている。
 だが、うつらうつらと船を漕ぎ、いかにも眠そうだ(⑩)。
 いつまでも見つめていそうになり、男は任務内容を思い出す。

 この時代に起きる過去改ざん、内容は――集団ヒステリー(⑬)。

「きゃあああああああ」

 突然響く悲鳴に、男ははっと振り返る。
 園庭を駆け回っていた園児たちは、突如として互いを食い合っていた(⑨)。
 その小さな口で、生えかわっていない乳歯で。どこにそんな力があるのか、一心不乱に噛み千切っている。
 悲鳴を上げて腰を抜かしていた教諭が、やおら立ち上がる。
 ふらふらと園児の方に歩き、その手を取って、口に運んだ。
 慌てて室内に目を戻せば、そこも一面が血の海であった。
 まだ天使には脅威が及んでいないようだが、惨状に震えている。
 せめてこの場から引き離したかったが、そうは行かない。この時代の人間である天使に、時間遡行者が直接関わることは禁じられている。
 突然の異常事態だ、近くで違法時間遡行者が操りでもしているのだろう。元凶を叩くしかない。
 
「くっそ」

 この場にいない違法時間遡行者に毒づき、男は天使に背を向けて走り出した。

 門に近づいたところで、端末がアラートを鳴らす。
 この時代に存在しないはずの人間を感知したのだ。
 見れば、門の外に女――いや、男がいた。
 長い髪にスカート。顔には化粧も施されている。
 だが、その体格は間違いなく男のものだ。いわゆるオカマ(①)、なのだろう。
 何にせよ、違法時間遡行者――敵である。

「これは、お前の仕業か」
「ふふ、そうよ。これは私の仕業」
「何の目的――いや、今はいい。とにかく止めろ」
「止める? 何を?」
「とぼけるな。お前が園児や教諭を操っているんだろう」
「ふふふ、ええそうよ。全く、便利な世の中ね、こーんな小さな機械で沢山の人を操れるんだもの」
「それを、寄越せっ!」

 オカマはポケットから、手の平ほどの機械を取り出す。
 押収品の中に見たことがある。電波を出し、人の加虐性を増進させる機械だ。
 押収された男が自分で作ったものだと言っていたが、量産されていたのか。
 何れにせよ、この状況を作り出している現況である。
 本来ならば証拠品として押収しなければいけないが、この状況を収めるほうが先決だ。
 男は銃を抜き、機械に向けて撃つ。
 だが、オカマは小さな動きでそれを躱した。
 2発、3発。
 機械に、オカマに向けて男は発砲を続けるが、オカマは難なく躱してみせる。
 男の動きは、完全に読まれていた。

「くっそ」

 仕方なく男は懐を探る。
 敵は生きて捕らえる、が原則だが、背に腹は代えられない。
 対犯罪者特殊小型自動追尾爆弾――手榴弾である。
 幸いにも周囲に人影はない。市民を巻き込まないのであれば、始末書も最低限で済むだろう。

「おらあ!」

 思い切り振りかぶる。
 後は自動追尾をし、一定距離に入れば爆発する――はずだった。

「あら、危ないわね」

 オカマは機械を投げ捨て、ポケットから何かを取り出す。
 ガラスの小瓶に見えたそれを、軽い動作で放る。
 空中で手榴弾にぶつかり、その場で爆発した。
 男はとっさに手で顔を覆う。
 小瓶の中身だろう液体が、爆風とともに男に降り注いだ。
 爆風が収まり視線を戻せば、オカマは変わらず涼しい顔で立っていた。
 爆発のせいで壊れたらしい機械が足元に転がっている。

「何、だ、今のは」
「ふふふ、何かしら。ちゃんと効果はあったようだけど」

 オカマは笑いながら髪の毛をいじる。
 ……髪の毛。
 男がそっと己の髪に指を通せば、ズルリと髪の毛が落ちた(⑫)。

「なっ……!」
「ふふふふふ、なかなかいいじゃない、男前よ」
「このっ……」

 思わず銃を向けるが、引き金を引く指を何とか押しとどめる。
 機械は壊れた。ということは、集団ヒステリーは収まっているはずだ。
 オカマには積極的に危害を加える様子はない。
 この場では、対話が優先される。

「一体、何のつもりだ」
「あら、これはあなたのためでもあるのよ?」
「……何を言っている」
「あなたの愛する人。幸せになってほしくないの?」
「……は?」

 オカマの言葉に眉をひそめる。

「気付いているんでしょう、本当は。あそこにいる子供が、誰なのか」

 子供。天使のことだろうか。
 誰も何も、天使である。目鼻立ちも、目元のほくろも――いや。
 あの子供は、右目の下にほくろがあった。
 天使は――そう、天使は、左目の下。

 まるで、鏡写しのように。

「ま、さか」

 覚えていた。覚えているはずだった。

 右目の下にほくろがあるのは、女だ。

「ここにいるのは、あの女――いや。だからどうした! こんなことをして、何が幸せだ!」

 震える右手を左手で支え、銃を構え直す。
 オカマは、悲しげに目を伏せた。

「あなたがあの子に出会ったのは中学生の時だから知らないでしょうけど、この幼稚園では暴力が横行しているのよ。職員同士、職員と園児、そして園児同士。さっきだって、年少さんの男の子。ちょっと粗相をしてしまっただけで、縛られて逆さにしたタライ(③)の中で、2時間よ。
 そんな環境に晒されて、心に傷を負ったあの子は毎晩悪夢にうなされる。かわいそうに、昨日も眠れなかったのね」

 男が息を飲む。オカマは男をまっすぐに見据え、言葉を続けた。

「人を信じられないまま大人になったあの子は、ペテン師(②)に騙されて20歳で子供を身ごもる。あなたの前から姿を消したのも、その頃ね?
 子供ができた途端にペテン師もあの子の前から姿を消したけれど、数年後に急に戻ってきて、今度はあの子から子供を取り上げた。
 今のあの子はひとりぼっち。こんなこと、許される? あの子は何も悪くないのに」

 何も知らなかった。否、知ろうともしていなかった。
 毎月ケーキを食べながら、けれど男は、女のことを忘れていっていたのだ。
 何故姿を消したのか。どこに行ったのか。
 考えないようにして、女の存在を、過去に追いやっていた。

「全部全部全部、私が壊してあげるの。あの子を傷つけるもの、全て」

 涙を浮かべることもなく、鋭く見据えられた瞳。

「お前は……何者だ」
「もう分かっているんじゃなくて?」

 そう、見覚えがある。その目。その鼻。その口。
 オカマはおもむろにカツラを脱ぐと、男に放った。


 カチリ。
 世界が音を立てる。歴史が変わった音だ。
 古い時計台のように低い鐘の音が響く。
 暗転する世界の中、男は声を聞いた。


「あの鐘を鳴らすのは、あなたよ」(⑤)



 男は辺りを見回す。
 歴史が変わり、強制的に過去から追い出されたのだ。
 戻ったのは現代、2018年9月22日だろう。
 そして、ここは。
 場所を探ろうと歩き出し、1軒の家が目に留まる。
 正確には、その家に入ろうとする、天使の姿。

「ただいまー」
「おかえりなさい」

 家から出てきた女が天使を抱きしめる。
 20年の歳月が重ねられた表情は、男の記憶にあるよりもずっと幸せそうだった。
 2人は共に家に入る。
 男はとっさに庭に周り、窓から中の声に耳を澄ませた。

「ママ、今日が何の日か知ってる?」
「今日? ……何かあったっけ?」
「今日、というか毎月ね。22日。分からない?」
「毎月って……何よ」
「んもう、ちゃんと考えてる? 今日はね、ショートケーキの日」
「ショートケーキ? 何で?」
「ふふふ、ほら、カレンダー見て。22日の上は?」
「15日。それがどうしたのよ」
「もう、だからちゃんと考えてってば。15。いちご。ね、上に苺が乗っているでしょう?」
「いちご……それでショートケーキ? ふふっ、無理矢理にも程がない?」
「まあたそんなひねくれた言い方して。じゃ、約束しよ?」
「約束?」
「毎月22日。一緒にショートケーキを食べるの。ほら、指切り」
「何よ、それ」
「いいから、ほら。約束するの」
「っもう。指切りげんまん、ほら、これでいいの?」
「うん! じゃあ早速、ケーキ買ってきたよ!」
「あら! って、これロールケーキじゃない。バイト先のね?」
「えへへ、でもほら、ちゃんと苺乗ってるよ?」
「あらほんと。それにしても、これ、あなたが自分で袋詰したの?」
「うん、そうだよ」
「まったく、袋詰下手くそねぇ。潰れているわよ」
「え、嘘! ……大丈夫大丈夫、味は変わらないよ!」
「まったくもう。紅茶を淹れるから、手を洗っていらっしゃい」
「はーい」

 幸せそうな女と子供の姿を眺め、男は笑う。

「ふ、はは、ははは、そう、これでいいんだ。俺が、あの子を幸せにしてやるんだ」

 男は寂しくなった頭にカツラを被る。
 こんなことで、どれだけ組織の目を欺けるかは分からないけれど。
 確かに成功したことを、男は知っている。

「じゃあな。……約束、ちゃんと守れよ」

 女に背を向ける男の頬が濡れる。
 それは男の涙か、それとも――。


【了】
[編集済]

No.96[もっぷさん]09月22日 09:1810月02日 17:29

タイトル「その純粋さにはかなわない」

作・もっぷさん [正解][良い質問]

No.97[もっぷさん]09月22日 09:1910月02日 17:29

「動くんじゃねえぞ!おとなしく金出せ!」
男は相棒を従えて怒鳴りちらしながら来店した。強盗だ。
深夜3時のとある町のコンビニエンスストア。
男たちは客のいない頃合いを見計らって店に入った。今店内にいるのは女性店員ひとりだけ。
楽勝な仕事。のはずだった。

初っ端から予想は外れた。
「くそっ、何故人が……」
外からは見えなかったが店内には客がいたのだ。
老人と若い女。しかも女は幼稚園児(⑥)と思しき小さな子供を連れていた。
――こんな時間にガキをつれて外を出歩くなんて、まったく最近の若い親は……
男は舌打ちしながら、客を一箇所に集めて見張っておくよう相棒に指示した。


◆◆


その老人の名はゲンゴロウ。
見た目はよぼよぼだが、実は根っからのペテン師(②)で、常日頃からカモになりそうな人間を探している。

――あの母子、最近深夜によくこの近辺をうろついている。特に何か買うわけでもなく、店を巡っているみたいだ。
帰る家がないのか? はたまた金がないのに夜遊び癖が抜けなくて出歩いてしまうのか?
とにかく心に闇がある人間ほど騙しやすい。次のターゲットにしてやろうじゃねえか。
出没はローソンが多いようだ。さりげなく接触を試みよう……

そんなわけで彼は2時ごろにここへやってきた。
親子に話しかけるタイミングを見計らっていた際に事件に巻き込まれたのだった。


◆◆


恐怖でがくがくと震える老人とすっかり腰を抜かした若い母親を見て、強盗達はひとまず安堵した。計画続行だ。もし屈強な男性客がいたら諦めざるを得なかっただろう。

男はレジの前に向き直り、拳銃を店員の女に向けながら袋を差し出した。
「あるだけの金をこれに入れろ。はやく」
店員の女は冷静だった。男を軽蔑するようにじっとり見たあと、気怠げにレジを開けた。
――なんだその態度は?
男はイラついた。別れた女房を彷彿とさせる。まったく胸糞が悪い女だ……

さらに具合の悪いことに、店員の女は手に障がいがあるのか動作が遅かった。
「チッ、貸せ!」
しびれを切らした男は店員から袋をひったくって、カウンター越しに自らレジの金を詰め始めた。
しかし、拳銃を構えながらでは上手く袋詰めできず(⑪)、袋に入り損ねた札がバラバラと床に散っていった。

「…おじちゃん、はいどうぞ」

無邪気な声が聞こえ、男は手をとめた。
見ると男の足元で幼稚園児が札を差し出している。床に散らばった札を拾って男に渡そうとしているのだ。
「マー君!!こっち戻って」
店の奥から幼稚園児の母親が泣きそうな悲鳴をあげている。しかし、子供はその場でじっと男を見上げたままだ。

“落し物を拾って届ける”。幼児がとった思いやりある行動の、その場違いさに、男は動揺した。
「なんだこの坊主!じっとしてねえとぶっ…食っちまうぞ!!」(⑨)
ぶっ殺す、と言おうとしてやめた。純粋な瞳に見つめられて、物騒な言葉を発することがためらわれたのだ。代わりに昔話の鬼が言いそうなセリフが自然と口をついて出てしまった。

幼稚園児は恐れることなく、きょとんとした顔で言った。
「怒るとだめよ〜。幸せが逃げるわよ〜」

突然のオカマ(①)口調に、男はこんな時にもかかわらず噴き出しそうになった。きっと普段の母親の口調を真似しているのだろう。

よく見るとなんて愛くるしい子だろう。
やわらかそうな巻き毛。白い肌に火照った赤い頬。
まるでそう。天使みたいだ。

うちの娘に似ている。
うちの娘もこんなくるくるの天然パーマだった。この子と同じく、汚れを知らない天使のような素直な子だった。
今はもうとっくに成人しているはずだが、一体どんな子に育っているだろう…


◆◆


男は決して、根っからの極悪人ではなかった。
かつては愛する妻と娘、貧しくてもとても幸せに暮らしていた。
娘はアカネという名だった。
『あの鐘を鳴らすのはあなた』という曲の題名からから「あ」と「かね」をとった名前だ(⑤)。
曲の歌い出しは“あなたに逢えてよかった”。生まれてきた娘と出会えた喜びをこめて名付けた。
あの歌声のように、力強く生きて欲しいという願いもこめられていた。

男の転落人生が始まったのは、アカネが4歳の時。誤って揚げ油がかかり、アカネは右腕に重度の火傷を負ってしまった。
さらに不幸なことに、病院をたらい回し(③)にされ、処置が遅れて化膿してしまったのだ。

治療には金が必要だ。男は金を欲した。
そんな弱みにつけ込まれ、儲け話にまんまとひっかかり(あとから噂で聞いたが、詐欺師のゲンというやつらしい)、それからは地獄の日々だった。
借金を返すためにまた借金。債務はどんどん大きくなる。男はストレスですっかり老け込み、いつのまにか禿げ上がってしまった。(⑫)

やがて、妻から軽蔑のまなざしを向けられるようになり、ついには別れを切り出された。
――仕方がない。俺の力では妻子を幸せにできないのだから。
男は諦めて素直に応じた。

別れ際、男は娘をしっかりと抱きしめ、ある約束をした(⑭)。
それっきり、もう20年会っていない。

家族を失った後も、男は死にものぐるいで生きた。しかし、真っ当な仕事の稼ぎではどうすることもできなかった。
仕方なく強盗団などという特殊な集団に所属することとなったわけだ(⑦)。


◆◆

「アカネ……」
男は無意識につぶやいた。
――俺は何故こんなところで強盗などしているのだろう。俺の人生どこで間違った?

娘によく似た天使の登場によって、男の心はざわめいていた。
右手には拳銃の重厚感。左手には天使から受けとった札束。悪行の象徴と善行の証をそれぞれの手に収めて、男はまるで自身が天秤となって両者をはかっているかのような錯覚に陥った。

男に札を渡したあとも天使はその場を動かず、眠たそうに目をこすっている(⑩)。その腕にアザがあるのが見え、男は愕然とした。
――あの母親、深夜に子供を連れ歩くだけでなく、まさか暴力まで振るっているのか?
こんなに小さな天使のような子供をどうして傷つけることができるのだ……

突然音楽が流れ出した。

♪ひとは〜み〜な〜

男にとっては思い入れのある曲、『あの鐘を鳴らすのはあなた』だ。
驚いて見まわすと、客の老人が携帯を取り出してあたふたしている。着信のようだ。
「電話に出るなよ」
すかさず男の相棒が釘をさした。


◆◆


女店員は、強盗が店に入ってきた瞬間から生きた心地がしなかった。
男の目には平静に見えたが、実際はそんなことはない。拳銃を突きつけられて放心状態だった。
周りの音も耳に入ってこなかったのだが……


…………

店員はハッと我に返った。誰かに自分の名前を呼ばれたような気がしたのだ。
いつのまにか店内には音楽が流れていて、目の前の覆面の男はそちらに気を取られていた。

――これは、パパが好きだった曲だ。きっとパパが私の背中を押してくれているんだ……!

店員は行動に出た。ケガの後遺症で腕がやや不自由だったが、精一杯の力を込めて、カウンターのホットスナック什器を男の方へ押し出した。
「危ない!」
強盗の男は、とっさに足元の園児をかばいながらしゃがみこんだ。
ガシャン!!ものすごい音が店内に響く。

いまだ!

店員の女は「あの鐘を鳴らす」が如く、防犯ベルを鳴らした。


◆◆


防犯ベルがけたたましく鳴り響く店内は、さながら集団ヒステリー状態だった(⑬)。

「でてけドロボー!!!」
店員の女が叫びながら手当たり次第に強盗に物を投げる。なんと力強い女だ。
「兄貴!どうしよう!!」
「ずらかれ!!」
男は相棒に呼びかけた。
相棒が店外に駆け出ていく。

しかし、男自身はもう逃げることができなかった。先程幼稚園児をかばった際に腰をひねってしまったようだ。
――ああ、俺は警察に捕まるのだ。あの曲に気をとられたばかりに。

覆面をとってカウンターにもたれかかると、目線の高さに天使がいた。
見れば見るほど我が娘と瓜二つな気がする(④)。
「おじちゃん、あのね。さっきは助けてくれてありがとう!」
天使はキラキラとした瞳で男にお礼をいった。そして母親のもとにかけていった。

「ママ〜!!」
「マー君!マー君!!」
女は我が子をしっかりと抱きとめた。
男は女の両腕に大量のあざや火傷の痕があることに気がついた。
――ああそうか。子供に暴力をふるっていたのは母親の方ではなくて、きっと……

「マー君、なんであんな危ないことしたの!」
「ママ、怒っちゃだめだよ?幸せが逃げちゃうよ。なんで泣いてるの?泣かなくてもいいよ。僕が守ってあげるからね」
そんなやりとりを見ていた男の目から涙がこぼれた。
親子の絆。なんだか20年前の自分と娘をみているかのようだった。
男は、何年も前に失くした温かい心がじんわりと戻ってくるのを感じた。

男の耳に別の声が聞こえてきた。
老人が先程の電話に出て話をしているのだ。
「おう!ゲンだ!今よう、事件に巻き込まれててよう!
……あん? ああ。あの親子はカモにはできねえよ。子供がよ。まるで天使みたいなのよ、悪を知らないような。だましたらバチが当たっちまうよ。とにかく、今それどころじゃなくてよう……」

男はハッとした。
この声、話し方。忘れもしない、俺の人生をどん底に追いやった詐欺師の……
何という運命のめぐり合わせだろう。またこいつのせいで俺の将来を狂わされることになるとは。
呆れて恨む気にもならなかった。
男は老人の背中をみつめた。通話相手はおそらくペテン師仲間だろう。

「……だからぁ、天使だよテンシ!ペテンシじゃない!耳腐ってんのかお前。」

なるほど、「テンシ」とペ「テンシ」。
ここには二人のテンシがいたわけだ。
所詮ペテン師は天使の純粋さにはかなわないのだ……

男は大笑いしながら、涙をふいた。
これから捕まるというのに、なんだか清々しい気持ちだ。俺もあの天使の純粋さに、心の汚れが洗われたんだろう。

俺は罪をつぐなおう。やりなおそう。
そして、何年後になるかはわからないが、必ずあの日の約束を果たすのだ。




◆◆◆◆



余談だが、男はこの場にもう一人の天使がいることに気がついていない。
20年間会いたくてたまらなかった天使が……



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




女はひどく疲れていた。
結婚した頃は優しかった夫。いつしか、気にくわないことがあるとすぐに暴力を振るうようになった。
ぶたれるのが自分だけならばまだよかった。酷いことに最近では息子にまで手をあげはじめた。
夫が癇癪を起すと、女は息子をつれて逃げるように外出し、夫が眠った頃に帰宅する。そんな生活がもうずっと続いていた。

深夜、何度か通ううちにローソンの女性店員と顔なじみになった。ミナという名前の子だ。女と同じく腕にケガがあることにも親近感が湧いた。
ミナは、事情があるなら何時間でもいてください、何も買わなくていいです、といってくれた。
ほかのコンビニは長時間滞在していると怪しい目を向けられる。女にとって唯一安らげるのはこのローソンだけだった(⑧)。

女は自身の人生の不幸を呪っていた。
幼少期のケガ、両親の離婚、火傷跡をきっかけとしたいじめ、新しい父からの虐待、逃げるように結婚した男からのDV……

辛くてどうしようもないとき、いつも思い浮かぶのは、実父の別れ際の言葉だった。

「絶対に幸せになるんだぞ。幸せを逃がさないためにはね、ずるいことをしたり怒ってばかりいてはいけないんだよ。辛いことがあっても、小さな幸せを見失わないようにすれば大丈夫。どうしても幸せが見つけられなくなってしまったら、お父さんのことを思い出して。お父さんは、何があってもお前の味方だから。離れ離れになってもずっとずっとお前のお父さんだから。また絶対会いに行く、約束するよ。」

結局父が会いに来ることはなかった。
それでも、この言葉は女の救いだった。
自分を心から愛してくれる人がこの空の下の何処かにいるということ。それだけで幸せな気持ちを思い出すことができたのだ。

そして今。
女は息子を抱きしめながら強く感じている。
――お父さん、私は幸せよ。絶対不幸なんかじゃない。
「僕が守ってあげるからね」
勇敢で心優しい天使のような我が子。こんな誇らしい子がいて不幸なわけがない。
この子がいる限り、私は世界一の幸せ者だ。

お父さんも、私の存在を幸せに思ってくれていたかしら?


彼女の名前はアカネ。
今も父の言葉を胸に刻んで生きている。


【おわり】
[編集済]

[正解]

No.98[とろたく(記憶喪失)]09月22日 12:4109月30日 10:39

タイトル「空と骨の天使」

作・とろたく [良い質問]

No.99[とろたく(記憶喪失)]09月22日 12:4709月30日 10:39

 青と白の縦縞の制服(⑧)は、男にとって忌まわしい過去の証だった。
 男がいた組織(⑦)は食用の人肉を扱う工場(⑨)を運営していた。青と白は天空に飛んでいく骨を表し、食糧危機に瀕する今では、食人を推進するために一役買っていた組織であり、上層部は「神の使い」と呼ばれていた。
 女は工場に勤務していたが人肉に嫌悪感を抱く彼女は袋詰めすらもままならなかった(⑪)。

 そんな中、「天使」と呼ばれる組織の指揮官のひとりが組織の運営に疑問を抱き、ついに反旗を翻す。男は天使を慕っていたので天使に従事した。女も天使についていった一人だった。
 だが、食人の文化があまりにも広まりすぎた。天使の一派は集団ヒステリーを起こし狂ってしまった異常者の集まり(⑬)として虐殺されはじめた。

 ついに遺されたのは男、女、天使の三人となる。だがもう手遅れだ。天使はついに致命傷を負う。命からがらで追っ手をまいたはいいが、天使は虫の息だった。

「天使! しっかりしろ! まだ生き延びれる! あんたがいなくなったら……」
「いいんだ……どのみち私はそう長くもたない……なあ、お願いがあるんだ」
「なんでもいって、私たちにできることなら……!」
「組織が恐れるもの……それは人肉の安全性を脅かすものだ……危険があると知りながら、事実を隠蔽してそのまま売りに出している……」
「危険がある……!? だけど、どうやってそれを証明するの……?」
「鍵は……私の娘だ。私の娘を探すことだ……まだ幼稚園に入ったばかり(⑥)だがな……ずっと隠してきた……」
「アンタの娘……一体どんな鍵が……?」
「会えばわかる……必ず、何年かかったとしても、見つけるんだ……」
 息が絶え絶えになりながら天使は続けたが……もう、限界のようだ。
「ああ……血が少ないせいか、眠くなってきた(⑩)……いいか、絶対に……食人文化を絶やさねば……ならない。私が眠る今……その警鐘を鳴らすのは、あなたたちしかいない(⑤)……」
「やだ……目を閉じないで! まだ……!」
 男がそっと制止する。天使は満足そうに笑う。
「わかった。約束する(⑭)……そうだ。あんた、好きだったよな、タライ(③)」
「タライ……?」
「よく歌ってただろ、故郷を想いながら。桜吹雪の、タライの空へってさ」
「ああ……そういうことか。そいつはタライじゃなくてサライ……ぐふっ」
 天使がもう流せるものもないだろうと思っていた血を吐いた。
「……桜吹雪か……死ぬ前に、故郷の桜を……見たかったなァ……」
 そうして、天使が目を覚ますことは二度となかった。

 あの時から15年もの歳月が流れる。女は数少ない非食人主義の仲間と身を隠すために長い髪の毛を刈って尼僧になった。女はもともとの体躯がいかついためハゲ(⑫)のオカマ(①)に見えるようだったが。一方で男は天使の遺志を継ぎ、情報を手に入れるために口八丁手八丁で人を騙すペテン師(②)となった。しかし、いくらお金を手に入れても天使の娘の情報は雲をつかむようで、半ばあきらめていた。

ある日ローソンに二人が立ち寄った時に、青と白のストライプが目に留まる。相変わらず忌まわしい制服だと男は思ったが、店員がほかの店員を呼びかける声が響く。

「『天使』ちゃーん! レジ応援お願い!」
「はーい」
顔を見た時に二人はハッとした。
 ――天使と瓜二つ④の顔だ。いや、むしろ天使そのものだと言っていい。

 思わず女は『天使』を引き留めた。そして、天使が愛した娘が無事であることを確かめるために抱きしめた。
 ……ああ、確かにいる。天使の忘れ形見が――。
 
 思わず男は涙を流しながら高笑いした。
 ……ああ、まるでそのものだ。これが天使の遺志なのだ――。

 女は『天使』を守ることを決意した。これから彼女に起こるであろう危険に立ち向かうために。
 男は『天使』を利用できることに喜んだ。これから自分の大事な人を殺した人間に復讐を果たすために。

 3人に起こる闘いの行方を、彼らはまだ知らない――。


《俺たちの戦いまだまだこれからEnd》
[編集済]

No.100[ごがつあめ涼花]09月22日 17:5409月30日 10:39

タイトル「失ったもの」

作・ごがつあめ涼花 [良い質問]

No.101[ごがつあめ涼花]09月22日 17:5409月30日 10:39

あなたの覚えている限り最も古い記憶は、いつ頃のことだろうか?

少なくとも、私にとってのそれは、幼稚園の時のことだった。
先生に言われたように、紙いっぱいに自分の「しょうらいのゆめ」についての絵を描いた。
もう何十年も前のことだ。
しかし、それでも私は、あの時のことを鮮明に思い出すことが出来た。

それは、きっと…

『天使』が、居たからなんだろうな。
___________________________________


そいつが初めて私の前に現れたのは、まさにその時。幼稚園の頃、絵を描き終わった瞬間だった。

絵が急に光を放ったかと思うと、絵の中から、手のひらに乗るくらいの大きさの少年が出てきたのだ。


姿はよく覚えていないが、その時に絵に描いた自分の服装だったと思う。
そして、小学生から中学生くらいに見える少年の顔立ちは、どこか私に似た面影を持っていた。

「きみは、だあれ?」
『僕は君だよ。君の、なりたい自分さ!』

そう言って、疑問を投げる私に、はにかみながら宙に浮く姿は、幼稚園の頃の私にはどう映ったのか、

「てんしだ!!てんし!」

と、驚きを持ちながらも歓喜して、そいつを『天使』と形容していた。

「てんしはどうしてここにいるの?」

天使は言った。

『君の夢を願う力の強さが、僕を形にしたんだ。』
「ふうん、よくわかんないなぁ。」
『そっか。でも、僕を生んでくれて嬉しいな!

ねぇ、一緒に遊ぼう!』

それから私は毎日、この『天使』と一緒に遊んだ。
ある時は、私が積み木で城を作って、その中に天使を入れて。
またある時は、一緒におままごとをしたりして、夢のような時を過ごした。


それからどれくらい経っただろうか。
それは、いつものように私と天使が幼稚園で遊び終えた後だった。

『約束!』 天使はそう言って、両手で私の小指を握った。

『僕を、夢を。忘れないで。僕は君の未来の可能性だから。
君は、これからなんだって出来るんだってことを、信じ続けていて。』

私は天使が何を言っているか分からなかった。
けれど、私に向ける顔がどこか悲しそうに見えたから、

「うん。やくそく!」
と指切りをした。



ああ、
あの約束がこびりついて離れない。
___________________________________


それから何年か経ち、私は小学校に入学した。
天使は他の人には見えないようで、だから私は『独り言の多い変な子』のように思われていた。

普段からそういう扱いであったため、友達と当時の流行____確か、ZARDの『負けないで』や、和田アキ子の『あの鐘を鳴らすのはあなた』がよく話されていた気がする____ についての話をする事もなかったが、私は天使と毎日を過ごすだけで満足していた。

ただ、私のような奇異な存在が、きっと、この歳特有の、『遊び道具』を求める彼らにとっては僥倖のように感じられたのだろうのだろう。

つまるところ、いじめの標的となったのだ。

まず、上履きを隠されるところから始まった。
次に、机の上に落書きをされた。
2人組を作る時に余りになった。3人組を作っている人達がケラケラ笑っていた。
給食のスープを運んでいる生徒がわざとらしく私の前でこけた。私の制服はスープまみれになり、家に帰った時、親に酷く叱られ、外に締め出された。
筆箱の中の鉛筆が折られて入っていた。
タライにためた水をかけられた。また外に締め出された。風邪を引いた。


歳を重ね、彼らが悪知恵をつけるにつれて過激になっていくそれらが私にどう影響を与えたのだろうか。そして、私はどう感じたのだろうか。彼らをただひたすら嫌悪した?悲しみを抱いた?
実のところ、あまり覚えていない。

ただ、天使は私をいつでも前向きに慰めてくれたのだ。
そうだ。天使はいつだって前向きだった。それだけは思い出せる。

そして、その前向きさが、私には、何より……

___________________________________


この事がきっかけで、父と母はよく言い争いをするようになった。
2人の間に生まれたたった1人の子供が脅かされているのだから、動揺しているのだろう、ということは私にも理解出来たし、2人の様子からもそれが見て取れた。

私ははじめは叫ぶ2人の邪魔をしないように2階に上がって宿題をしたりしていた。天使がそうするように勧めたのだ。私のことを心配して、この現実を私が直視しないようにしてくれたのだろう。

しかしある時、私が宿題を終え、喉の渇きを感じて下へ降りようとして、
おそるおそる階段から下の様子を覗き、見てしまった。

父が何か叫びながら近くにあった椅子を振り上げ、母へと叩きつける様を。母が顔から血を流し、歯が床に落ちる様を。

【あぁ……あぁぁぁぁぁ、ぁァアァアァァァァァアァァァァ!!!!!!!】

家の中に叫び声が反響する。母親が、痛みに耐えられず。父親が、自分の罪を悔いるかのように。
ただ、叫び続ける。

私は、その光景を呆然と上から見下ろしていた。
天使は何も言わなかった。もしかしたら何か言ったのかもしれないが、私の耳に入ることは無かった。

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

私は自分の部屋に戻り、親のように泣き叫んだ。

何かが壊れた気がした。

あの日、集団ヒステリーが起きたが如く、叫び声が連鎖したこの家も、私も。直すことが出来ないほどに、ヒビが入ってしまったのだ。
___________________________________


中学生になったら、天使と外見が瓜二つになるのだろうな、と小学生の私は期待していた。

だが、実際はどうだろうか。髪は伸びたままで整っておらず、目の下にはクマができ、身体は傷だらけで、とても似ているとは言い難い自分がいた。
だからこそ、私は天使の顔を見る度に劣等感を感じずにはいられなかった。何だか、自分が夢とはかけ離れてしまったようで、辛かった。

『大丈夫だよ。君はなんだって出来るよ。』

『君は誰よりも、くじけない心を持ってるんだから。』

『僕は君なら夢を切り開くことができるってことを知ってる。』

そんな前向きな言葉を、私が中学生になってからも天使はかけ続けた。


そんな日々が終わりを告げたのは、お互い疎遠だった両親が正式に離婚してからのことであった。

母親が引き取ることになった私は、今の家を出るため、段ボールに私物を詰めていた。
段ボールの個数は少なく、私は手先が不器用であったため上手く詰められず、いくつかの物は持って行くことが出来ないと諦める必要があった。
ようやく荷物を詰め終わったと思った時、天使は私に言った。

『新しい家かぁ、楽しみだね!』


「……楽しみ?」

私は手で天使を弾き飛ばした。衝動的な行動だった。それほどまでに、私は『楽しみ』という言葉が、今までの言葉の数々が、耐えられなかったのだ。

『えっ…』

「何が楽しみだ……誰からも馬鹿にされて……家族までバラバラになって!
何を楽しめばいいんだよ…どうしたら、どうしたらそんな風に出来るんだよ!!!」

『やめて……それ以上、言わないで…』

天使が苦しそうに言う。

「僕はお前とは、違うんだよ。お前みたいには、なれないんだよ!!」

……

返事は、なかった。

「え…?」

辺りを見渡す。そこに天使はもういなかった。

「どうして…________!!!」

______僕を、夢を。忘れないで。僕は君の未来の可能性だから。
君は、これからなんだって出来るんだってことを、信じ続けていて。____

あの時の約束が脳裏によぎる。

私は、確かに、『自分と天使は違う』ことを口にした。自分の未来の可能性を否定してしまったのだ。

自分が約束を破ってしまった。幼い無垢な自分が交わした約束に、汚れてしまった私がペテン師紛いの嘘を被せてしまった。

それに気づいた途端、全身の力が抜け、身体が動かなくなった。暗闇に飲み込まれていく感覚が、私を蝕み続ける。

私を慰めてくれる人は、いなかった。

もう、前に進めないのだと悟った。

___________________________________


わずか二年後、母が衰弱死した。
頼るものが無くなった私は、1人で生きていかなくてはならなくなった。

痩せこけ、見るからに不健康な私を雇ってくれる場所はどこにもなかった。ただ、このまま死ぬわけにはいかないと、私は強く感じていた。


そして私は、生きるために、まっとうな道を外れることを選んだ。


なんとか職についた私が最初に受けた仕事は、ある女性を殺す事だった。
人通りのない道で1人になるのを待ち、背後から首を絞め、気絶させた。
そして、女を鎌で切り裂き、削いだ肉を袋に詰める。バラバラになった部分は指定された丘まで運び、そこに埋める。(①)
肉は組織に渡す。食用に加工されるらしいが、私が関われる範囲のものではなかった。

それから私は仕事の通り、何人も人間を殺した。

私がこれほどのことをしてまで生に執着したのは、死に対して人一倍臆病な心を持っていたから、だろうか。

当時はそれだけだと思っていた。

だが、違ったのだ。
___________________________________

それに気づいたのは、数十年も後の話で、家の近くにあるローソンに昼食を買いに行った時だった。
長かった私の髪はもはやすっかり禿げあがってしまい、ヒゲが目立つ。
当時のような仕事はしなくなったが、未だに特定の会社に就職する、ということはできていなかった。

ふと、赤ん坊を抱いた母親に目がいった。

そして、驚愕した。

母親が抱いているのは、赤ん坊だけではなかった_____天使が、そこにはいたのだ。
一体何故、と叫びたくなったが、その前に、その顔立ちがあの天使と違うことに気がついた。

あぁそうだ。
天使は自分を『未来の可能性』だと言っていたじゃないか。
それがわかると同時に、自分の執念についても気づいた。

思うに、天使がいなくなって、自分の人生に可能性が無くなったことを否定したかったのだろう。
そのために、人を殺すなどという真似をしてまで、生きようとしたのだ。

そして、私の生のために、私は多くの人の人生を、可能性を奪ってしまった。それが実感として私を襲ってきた。
そんなことをしてまで得た人生に価値はあったのだろうか?
何も生み出さず、奪い続けた、私に……。私の、人生は……

私の天使が、あの頃と変わらない姿で、私を哀しげな表情で見た気がした。
もう居ないというのに。居なくしたのは自分だというのに。私は嘲笑した。自然と涙が零れた。


赤ん坊は母親の腕に抱かれながら、満足げに眠りにつく。その傍らにいた天使は眠たげにしていたが、赤ん坊が眠りについたのを見届けると、幸せそうに微笑んだ_________


(了)
[編集済]

No.102[ぎんがけい]09月27日 14:1209月30日 10:39

タイトル「唐揚げの真実」

作・ぎんがけい [良い質問]

No.103[ぎんがけい]09月27日 14:1409月30日 10:39

彼らの住む街には皆にはほとんど知られていない恐怖の風習があった。
「犯罪を犯した者は死刑。さらにその者の肉を唐揚げにして③タライに乗せ⑧ローソンに出荷する。」というものだ。
いわゆる、生贄や⑨カニバリの文化である。
なぜ、ローソンなのか。それは人肉販売業者「ブルーホワイト」と裏でつながっているからだ。
だから、ローソンのアルバイトも「ブルーホワイト」の構成員が多くいる。⑦男もその一人だ。
男は興味本位でローソンのアルバイトに応募したのが間違いだと悟ってしまった。
強制的に「ブルーホワイト」に加入させられてしまい、風習の全貌を知らされる。
これを聞いた男はその後、この仕事を辞めようとすると自分も唐揚げにされてしまうのではないかという恐怖で常におびえていた。
ともにアルバイトをしていた仲間と⑬集団ヒステリーを起こすこともあったという。
その影響は日常生活にも広がり、ストレスで⑫髪がほとんど抜け落ちてしまう。
さらに、ローソンの業務でこの唐揚げを注文される度にその恐怖を思い出し、
唐揚げを⑪袋詰めする際に手が震え、袋詰めが下手だと文句を言われることもあった。
その恐怖から、逃れたいと思った男はアルバイト仲間と⑭約束した。
「いつか、ここから生きて抜け出そう。」

ある日、一人の太った男が詐欺容疑で逮捕された。
調べに対し「長時間労働低賃金で疲れていた。楽してお金が欲しかった」と供述していた
彼はどうも見た目がテレビでよく見る「コマツ・エクストラ」と④瓜二つだったことから、
ニュースを見た人々は彼を「①オカマ②ペテン師」と呼んだ。

後日、男の働くローソンに冷凍された唐揚げの乗ったタライが届いた。
パッケージを確認すると、例のオカマペテン師の肉だった。
そして間もなく、店頭に例のペテン師の唐揚げが並び、それを買う人が現れた。
男はチャンスだと思った。買いに来たのは女と⑥幼稚園児の娘だったのだが、女は警察の服を着ている。
警察にこの不当な労働の闇を打ち明けて救ってもらおうと考えた。
「すみません、あなた警察ですよね、助けてください。不当労働させられているんです。」
「えっ?私ですか。警察じゃないですよ。ただのコスプレイヤーですよ。」
「えっ?そうですか。すみません。」
そのとき男の背後から店長の声がした。
「君、話があるから、あとで私のところに来なさい。」
男は悟った。この後殺され、唐揚げにされる運命を。
仲間との約束を果たせないと思った男は、その女の唐揚げの注文に目に涙を浮かべながら、対応した。
すると、どこからか愉快な声が響いてきた。
「ちょっと~。そこのコスプレ女さ~ん。私のお肉食べてくれるの~?嬉しいわ~!
 これから、私は彼女の一部になるのね~。楽しみ~。」
男にははっきり見えた。天使の輪を頭につけた⑩なんだか眠そうなオカマペテン師の霊というか天使が。
女はその天使の存在に気づきはしなかったのものの。何か温かいものを感じ、
「ここ、なんかよく見えないんだけどチョーあったかい、抱きしめチャオ。
うわー、これ見えないカイロじゃん。」と天使を抱きしめた。
なんとも異様な光景である。
涙ぐんでいた男はこの光景を見て吹き出しそうになっていたが、
オカマペテン師の
「この女温かいわ~。最近、働いてばっかで寝てなかったから、この腕の中で寝させてね。」
という言葉と、天使が見える幼稚園児の娘の
「お母さんが抱きしめてる人、⑤あの鐘を鳴らすのはあなたを歌ってる人に似てるー。」
という言葉を聞いて、思わず吹き出して大笑いしてしまった。
[編集済]

No.104[夜船]09月29日 04:5009月30日 10:39

題名 代償と約束

作・夜船 [良い質問]

No.105[夜船]09月29日 04:5009月30日 10:39

とある町にリンゴと金魚が好きなごく普通の女の子がいた。名前は「萩 未搗 (はぎ みつき)という。彼女は昼間は学校に通い、夜はコンビニエンスストアのローソンでバイトをしていた。家との距離の都合上コンビニは⑧ローソンしかなかった。彼女自身はファミマが好きなのだが仕方がなかった。初めて日が浅いこともあり、⑪袋詰めがまだ拙かったり、ポンタカードの有無を聞き忘れたりとミスも多かったが,それでも彼女は持ち前の明るさと、根性で一生懸命に頑張っていた。

そんなある日彼女の働くコンビニに一人の女性客が現れた。やってきたのではない。現れたのだ。時間帯的に客がおらず、気が抜けていた可能性はもちろんある。しかし入店すればあの特徴的な入店音が鳴るはずであるし、彼女の容姿は⑩眠そうにはしていたが見逃していたことが信じられないほどきれいであった。

驚きながらも挨拶をすると、その女性はよくわからないことを言ってきた。
「わたし、、、天使なのよ」
突然の告白に動揺した。しかし客であることに何らかわりはない。話を聞くと、この女性は⑥幼稚園児のころに天使の声を聴き、その時その天使に④瓜二つの容姿と天使の力を手に入れたそうだ。その時周りはみな発狂したらしい。結果として⑬集団ヒステリーに陥ったため、彼女は周りに憎まれ、独りぼっちらしい。よくわからない話だったが話事態は興味深かったため、聞き入っていた。

そうしえいると今度は普通にお客がやってきた。いや別に普通ではなかったった。スーツを着たスキンヘッドの男性だ。そこまでは別にいいのだが、持っているものがおかしかった。まずは左手。大の大人がポンタのぬいぐるみを持っていた。つぎに右手。金髪のズラを持っていた。そして男性は一言
「そこの店員さん、大丈夫ですか?」
(いやお前が大丈夫なのか...?)
そう思ったがそこはバイトの身として言わずに心にとどめておいた
「私ですか?私は大丈夫ですけど…どうかなされたんですか?」
「そこの女は人の生気を食らう悪魔だ」
「悪魔だなんて失礼ねぇ 天使と呼んでほしいわよ」
「はっ 何が天使だ そこの店員さん この女の正体を教えてやろう。
「いや、、、今聞きましたけど、、、」
「  …どこまで聞いていたが知らないが反応を見るにこれは知らないだろう。
彼女は人を食うんだよ⑨」
「え...いまなんて?」
「この男の言うことは正しいぞ。しかし言い方が悪い。この②ペテン師め。私は人間の生気を吸い取るだけだ。そうじゃなけりゃ眠くて眠くてしかたない」
「ペテン師とは失礼な。大体あっているだろうが。おまえが食ったやつらはみんな死んでいる。
そのせいでお前の被害を防ぐために私たち組織は駆り出されているんだ。」
(組織…???)
「あのー...組織って何ですか?」
「あぁ説明がまだだったな。ついでに自己紹介だ。俺は対楽園異形部隊 通称”③たらい部”のコードネームオッカムだ」
「①おかま?」
「おかまじゃない。オッカムだ。まあ仕事上このズラをかぶって女装することはあるがな
変装と隠密が主な仕事だ。結構有能なんだぜ。変装のために面の皮なんて⑫ついに剥いじまったからなあ」
(ゾクッ)気楽に放たれる恐ろしい言葉におじけづきながらも懸命に言葉を紡ぐ
「サラッと重要そうなことゆうんですね」
「まあ今の姿なんてばれたところで何にもないからな。」
「それでいきなり何の用だい?」
「お前さんの蛮行が目に余ったからに処理に来たんだよ」
オッカムが手に持った機械のスイッチをおすと、店内が突然光り輝いた。店の外に突如大きなライトを掲げたUFOが現れたのだ。
「あいにく戦闘は苦手なんでね。兵器を使わせてもらいますよ」
そう言ってオッカムが右手を掲げる。するとUFOの下部が開きライフルとガトリングが現れる。
「ちょお店壊さないでくださいよ...」
「はっ のんきなもんだな お前も死ぬんだよ」
(え… )
そういうとガトリングから無数の砲弾が放たれる。死を覚悟したその刹那天使が少女と銃口との合間に立ちふさがった。天使は数秒耐えたのちその場に倒れこむ。
「大丈夫ですか?なぜ私なんかを?」
「回避すれば楽なんだが...あんたは何にも悪くないからね。とはいえあんたには迷惑をかけることになってしまうよ。天使というのは不老であり老衰、病死がないだけで外傷には弱いんだ。だから回避能力が高く、ある程度の障壁も張れるんだが。しかしガトリングは無理だったねぇ」
動揺する少女に天使はなおも続ける
「⑭一つだけ約束して。つらいこともあると思う。でもしっかり生きて。生き延びて。わたしはもう長く生き過ぎた。あとは任せたよ」
天使はそう言うと息を引き取った。少女はかつて天使だった亡骸を抱きしめる。
その様子にオッカムが笑い出す。笑いすぎてもはや涙を流している。
「人を食らう天使の末路が誰かを守って死ぬとはな
結局こいつも殺されるってのによぉ」
そう言ったオッカムの横で少女の体が光り輝く
「許さない 天使さんは確かに人の人生を狂わせてしまったかもしれない。でもね 天使さんが一番の被害者なんだ。幼少期に天使に会って訳も分からないうちによくわからない力を与えられ、周囲が発狂し、それを咎められた。そのせいでずっと独りぼっちだったんだ。それなのに命まで狙われて...絶対に許せない」
そういった小女の目は赤く染まっていた
血のように赤く光るその眼光に底知れぬ恐怖を感じたオッカムは
UFOのライフルを打った。それは少女の右目をかすめていった。
しかし少女は歩みを止めずオッカムに近づく
少女は紡ぐ。


…あなたに会えてよかった
あなたには絶望の呪いを送ろう
つまずいて 傷ついて 泣き叫んでも
逃れえぬ絶望を知るが良い
人はみな眠りの中
あの鐘を鳴らすのはあなただ…

少女がそう唱え終わるとオックスとUFOは機能を失ったように落ちていった。それと同時に少女は自分がどうなったのかを理解した。

その後、小女のバイト先のコンビニは閉鎖された。その日の夜のことは何か強大な権力によってもみ消され、事の真意を知る者はいない。天使の力を引き継いだ少女の行方も闇に消えた。オックスのいた組織は何者かの手によって壊滅。とらえられていた異形たちは解放されたそうだ。
その数百年後。遺跡で金魚とのんびり暮らす隻眼の少女がとある青年と出会うのだがこれはまた別のお話。
~FIN
[編集済]

No.106[パブロン]09月29日 16:5009月30日 10:39

タイトル「ズル満載でお送りします」

作・パブロン [良い質問]

No.107[パブロン]09月29日 16:5009月30日 10:39

 高岡真理【①】には秘密がある。
 「真理、赤坂にバル【⑨】が出来たんだけど、一緒に行かない?」
 同僚の誘いを丁重に断り、大事な用があるからと走り出す。
 今日は今一番お気に入りのアニメ、「あの鐘を鳴らすのはあなただがこの銅鑼を鳴らすのは俺だ」【⑤】通称「カネドラ」の一番くじが発売されるのだ。しかもローソン限定で。【⑧】同僚に見つからずに済むローソンは結構遠い。真理は脇目も振らずに走る。そう。彼女は隠れアニメオタクなのだ。
 狙うはラストワン賞、「死天使アズライール」のフィギュアだ。売り切れる前に向かわねば。
 20分ほど走った所で漸く速度【⑭】を落とす。ここまで来れば良いだろう。彼女は入店した。

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 御手洗誠二【③】には秘密はない。
 「課長!今日はカネドラの一番くじの発売日なのでこれで失礼します!」
 「お前本当に明け透けだな・・・。」
 宣言するや否や走り出す。そう。彼は公然アニメオタクなのだ。
 狙うは特賞の「命天使スルーシ」の特大クッションだ。早く向かわねば。

--------------------------------------

 誠二が最寄りのローソンに駆け込む。するとそこには・・・・・・何とラストワン賞の眠そうな顔した悪役のフィギュア【⑩】を抱きしめ、満面の笑みを浮かべている女が立っていた。
 何という事だ。くそぅ・・・今朝電車が遅れさえしなければ・・・。誠二は今朝の出来事に思いをはせる。
 電車が20分遅れたため総務に遅延申請したのだが、担当の女性の「申請は要遅延時証明書【⑥】だって言ってるじゃないですか。」の一言であえなく却下され、フレックス扱いとして定時より20分遅い退社となってしまったのだった。
 鉄道会社を逆恨みしても仕方ない。何とかならないかと女の方を見ると、女の手に下げた大きな袋に乱雑に詰め込まれた【⑪】景品の中に、特賞のクッションがちらりと見えた。
 (こいつ、買い占めやがったなあ!!)
 しかし背に腹は代えられない。誠二はいきなり女に話しかけた。
 「すみません、その特賞のクッション、僕に譲ってもらえないでしょうか!」
 「嫌です。」即答する女。
 「なら僕にも考えがあります。」
 学生時代から所属している演劇集団「ヒステリー・ミステリー」【⑦】【⑬】で鍛えた演技力を、今こそ発揮する時!誠二は突然女の目の前で土下座した。
 「お願いします!この日を待ちに待ってたんです!クッションだけ!スルーシちゃんのクッションだけどうかー!!!このままでは僕はストレスで禿げて【⑫】しまいます!今なら胡瓜二つ【④】もお付けしますからー!!」
 泣きながら取りすがる男に真理は本気で引いた。
 「やめてよ気持ち悪い!!もうわかった!!わかったから!!」
 「うおー!!ありがとうございます!!」
 「5万でどう?」

 こうして、誠二は財布の中身全部とプライドとを引き換えに、特大クッションを手に入れることが出来たのだった。
 ・・・そんだけ出せるならロット買い出来たんじゃないか?

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 え?要素がズルばっかりじゃないかって?
 すみません、私ペテン師【②】なものですから、ズルは得意なんです。ふふふ。

【おわり】
[編集済]

No.108[輪ゴム]09月29日 18:5009月30日 10:39

タイトル【コンビニの天使 第108話 寿司飯の危機】 [編集済]

作・輪ゴム [良い質問]

No.109[輪ゴム]09月29日 18:5109月30日 10:39

オカマ(①)を頼まれたはずの兄貴が持ってきたのは、タライ(③)だった。電話に出た、兄貴の息子に伝言を頼んだのが失敗だったか。「まだ幼稚園児(⑥)だしな...。」と呟く。
 目の前にはタライが二つある。並んだタライは無駄に瓜二つ(④)である。タライが余分にあるのは構わないが、釜は無いと困る。飯が炊けないではないか。50人分の寿司飯どうすんだ。
 男の実家は寺である。父が寺の住職。兄貴は、寺から車で4時間ほど離れた町に住んでいる。男自身は、実家で暮らしていた。最近ついに禿げてしまった(⑫)せいか、寺を継いでくれとしきりに言われるようになったが、そんな気は毛頭ない。毛頭ないのだ。超過激動物愛護団体スカイシェパードの幹部(⑦,No.75)として、組織活動に忙しいのだ。
 それはさておき寺は今、正月の準備に忙しい。男は釜を確保するべく、行動を開始した。
[編集済]

No.110[輪ゴム]09月29日 18:5109月30日 10:39

【予告】除夜の鐘を鳴らすべく、男は急ぐ(⑤)。女ペテン師(②)は怪しげな福袋の準備に手間取って(⑪)いる。新年の到来と同時に決行される黒い陰謀(⑨)が集団ヒステリー(⑬)を引き起こす中、退屈そうに(⑩)待つ天使との約束(⑭)を果たすことができるのは誰だ?!――「えっ、ローソンさん...!コンビニの名前じゃなくて人の名前(⑧)だったの?!」――次回「女は天使を抱きしめ男は泣き笑いした」お楽しみにっ☆【次号へ続かない】 [編集済]

No.111[こはいち]09月29日 20:3909月30日 10:39

タイトル【俺「露雨尊……?」】

作・こはいち [良い質問]

No.112[こはいち]09月29日 20:3909月30日 10:39

俺「ローソンにでも行くか」
女?「ねえそこのあなた。頼まれてくれない?」
俺「(声が男だ……①)はい、なんでしょう」
男「今手が離せなくて……代わりに、瓜を1つ買ってきてくれない?お金は渡すから」
俺「良いですよ。じゃあ買ってきますね」⑭

ピンポ-ンピンポ-ン
店員「イラッシャ-セ-」
俺「俺も瓜が食べたいな……そうだ!」
俺「瓜を2つ④買って、レシートの×2表示を消せば……」②
俺「おお、完璧だ! 感熱紙加工の練習が役にたったな!」
俺「……ん? 店員の袋詰めが下手⑪で、レジ袋に瓜二つ分の凹みがついてしまっている。彼女(?)のお金で瓜をもう1つ買ったことがバレてしまうな。仕方無い、袋はバッグに入れておくか」

テクテクテクテク……
俺「ん? あれはお隣の幼稚園児ちゃんだ⑥。こんなところで何をしているんだろう」
ハゲ「……?…………」
園児「…………! ……?」
俺「妙なハゲと喋っているけど、声が遠くて聞こえないな」テクテクテクテク……

ハゲ「ヒヒ……ターゲット捕獲完了ですね……」
園児「すやぁ」


男「ありがとう。助かったわ」
俺「いえ、どういたしまして」
ハゲ「……ヒヒッ……」スタスタ
園児「ぅう……ん……」
俺「っ!?」
俺(白い布袋が円錐型になっている。ちょうど、布の底に大きなタライ③が入っているような形だ。あの大きな袋の中から園児ちゃんの声がしたような……気のせいか?)


俺「うーん、さっきの人なんか気になるな。……あっ!」

――「タライを袋の底に入れると、中に何が入っているか分からなくなりますよ。これが以外に便利で」――

俺「そうだ。あいつ、パラフィリアコミュニティの『やべー奴』だ。嗜好は確か――食人性愛⑨」


俺「園児ちゃんはまだ帰ってきてないらしい。やっぱりあれは園児ちゃんだろう。早く見つけないと、あいつの命が危ない!」
俺「しかし、俺はただの一般人だ。立ち向かうには危険すぎる。どうすれば……」
男「――ねえ、あなた?」
俺「!?」

俺「……お茶です」コトッ
男「ありがとう。私の話を聞いてくれる?」
俺「……ええ」
男「本題からいくけどね」
俺「ごくり」
男「貴女、レシートを加工したわよね?」
俺「……はい(バレてるのか)」
男「私は貴女が能力者じゃないかと思っているの」
俺「……はい?違いますけど……」
男「そうなの?じゃああのレシートは……」
俺「あのっ!」
男「!?なっ、なにかしら?」
俺「その質問をしたってことは、能力者保護組織――露雨尊(ローソン)のメンバーだと思っていいんですよね?」
男「……知っているのね?能力者のことも、露雨尊のことも」
俺「はい」
男「そう、どこで知ったか聞きたいところだけど、貴女は」
俺「全て教えます。助けてください!私は、『露雨尊に能力者の保護を求めます』」

男「!……ご契約ありがとうございます。露雨尊構成員ID67番です⑦。トラブル防止のため、担当者IDとご契約内容はお控えくださるようお願いいたします。ご契約内容は、能力者の保護1名様でよろしかったでしょうか?」
俺「ええ、お願いします。……この案件は、露雨尊(ローソン)にしか解決できない。露雨尊の一員である貴方でないと成立させられないんです」⑧
男「ふむ、詳しいお話をお聞かせ願えますか?」

俺「俺は、パラフィリアコミュニティに財産愛好として参加していました」
男「なるほど」
俺「何かを察しないでください。瓜代なら払いますよ。……そこで、食人性愛の天使と出会ったんです。外見はイケメンなおっさんでした」

 おっさんは、とある女神様に仕えていたそうです。いくら天使とはいえ歳はとるもので、前髪が後退し始めたんだそう。それを見た女神様に「ハゲ予備軍いらなーい」と解雇されたので下界におりてきたと言います。あっ、そういやおっさんついに頭頂部がハゲたな、可哀想に⑫。露雨尊のこともそのおっさんから聞きました。地上のことで彼らが知らないことなど無いそうです。
 ええと、天界では様々なグルメが揃っていて、彼はその中でも人肉料理が大好物だったんです。それを下界におりてから拗らせて、食人性愛になってしまった、ということでした。ここじゃあ基本食べられないですからね。
 そしておっさんには、時々人間を攫って食べている、という噂がありました。今日私はその現場を見ました。知り合いの幼稚園児が攫われていたのです。ほぼ確実だと思います。
 そしてその幼稚園児がヤバいんです。
 彼女が喋れば小鳥が囀り、彼女が笑えば花が咲き、彼女が泣けば大地は怒り、地面はヒビ割れ、半径1km以内の人々がパニック状態になって訳も分からず怒り狂います。集団ヒステリーです⑬。そんな能力者の園児ちゃんが、食べられるなんて恐怖体験をした時には――

男「……なるほど、事情はよく分かりました。幼稚園児の保護ですね。お任せください」
俺「お願いします!」

******

俺「天使さーん、天使さーん!いますかー?」
男「未来視の結果では、ここにいるはずです」
?「お、お姉ちゃん……?」
俺「その声は園児ちゃん!」
園児「うえーん、お姉ちゃんだあ!おうち帰りたいよお」ギュムッ
男「な、泣いているようだけど大丈夫ですか……?」
俺「安心の涙だからおそらくセーフです。よしよし、お姉ちゃんが来たからもう大丈夫」

「女神様っ!」

俺「お、おまえは!」
ハゲた天使「女神様!帰りますよ!女神様!」
園児「ふえ……いや」
天使「そんなぁ!困りますよ女神様……」
男「幼稚園児の外見をしているが、実は女神だったのね……!」
園児「はげ嫌い! このお姉ちゃんと一緒にいるの!」
天使「くっ、寝不足で力が出ない⑩。抑えるので精一杯だ。そうだ、俺さん手伝ってください!」
俺「えっ」
天使「このハンドベルを番号順に鳴らすだけでいいんです! 報酬は出しますから!」
俺「喜んで!」
園児「お姉ちゃん!?」
俺「あっ園児ちゃん取らないで! この鐘を鳴らすのは俺なの!」
天使「そうです、貴女なんですよ!」⑤
園児「いやあああああああああ」

リーン リーン リーン……

園児「ああ、天界に強制帰還の音…………」シュワァ
男「彼女は本当に女神様だったのですね。能力者の分類上、このような〜ブツブツ」
天使「……やりましたね!」
俺「そうですね報酬ください」
天使「ああ、こちらをどうぞ」
俺「わあい!……なにこれ」
天使「天界で作られたビードロです。持っているだけで神の御加護がありますよ」
俺「……は?」
天使「地上で持っている人はほとんどいませんよ! 貴重品です……!?」
俺「ええええ!」ギュッ
天使「ちょっ、何しがみついてんですか!?私にそういう趣味は……」
俺「なんでー!普通金でしょ!それか宝石!意味分かんない!」
天使「し、知りませんよそんなの。痛い痛い重い、離してください!」
俺「詐欺だあああうえええん」
男「あはははは!神の御加護に不満を持つ人なんて初めて見ましたよ!あっはは……お腹痛い……ふふっ」

1人の守銭奴の不運と引き換えに、世界の平和は保たれましたとさ。おしまい。

男「あ、露雨尊へのお支払いに関してなんですが……」
俺「もうや゙め゙でえ゙え゙え゙!」

〜完〜
[編集済]

No.113[やつぎ]09月29日 21:0509月30日 10:39

タイトル『赤い星と天使』 [編集済]

作・やつぎ [良い質問]

No.114[やつぎ]09月29日 21:0609月30日 10:39

 それは数か月前、そう、今年の早すぎて暑すぎる夏が始まった頃のことだった。

 からんからんからん!
 思い起こせばあの、商店街のパーマ屋(美容院、ではない。間違いなくパーマ屋と呼ぶのが相応しい)『あなた』の、自称『時代先取り男性美容師』の主人が鳴らした鐘(要素5)が発端だった。
「出ました一等! 豪華温泉旅行大当たりー!!」
 奥さんに尻に敷かれ続けてストレスでついに禿げてしまった(要素12)美容師にあるまじき頭と鐘を輝かせながら張り上げる声。さびれた昔ながらの商店街に、ちょっとした集団ヒステリー(要素13)のような歓声があがった。
 今から思えば、何が『豪華温泉旅行』だ、と文句を言いたくなる。高速を使えば2時間弱、それはそれは近場の温泉地、一応ペアだが宿泊券のみの賞品。しかも夏休みシーズン前に期限が切れるという、大変残念な一等賞だった。まあ、現地まで自力で行かなくてはいけないのだから、近いのも拘束が混む時期でないのも悪くはないのかもしれないが……。
 『特務部隊N-K団』こと、ニコニコ商店街振興会会長の、風呂桶屋のオヤジ(要素7)のペテン師(要素2)じみた喰えない笑顔が浮かぶ。この宿泊券の旅館も、タライ(要素3)でも卸している付き合いのあるところのものなのだろう、きっと。
 まあそれでも、当てたものは当てたものだ。使わなくてはもったいない。そう考えてしまう自分も大概なのだが。

 高速を降りる。インターから旅館まではまだ30分はかかるはずだ。妻も娘も眠そうにしていた(※)。
 口数の少ない車内。一休みをした方が良さそうである。私は、北関東特有の、だだっ広い敷地にスーパーやらドラッグストアやら安い衣料品店やらが並んでいる、自称『ショッピングモール』に車を入れた。
「少し休憩するけど、何か買い物とかある?」
 妻に尋ねると、思っていたより暑いので衣料品店でタオルを買い足しておきたいと答えが返ってきた。チャイルドシートの娘はすっかり眠ってしまっているので、私はすぐそばの自販機でコーヒーを買うだけで車に戻り、クーラーを入れたまま娘と一緒に妻を待つことにした。

「あれー? パパ、ママはー?」
 ……はっ!! 娘の声で、うとうとしていたことに気付く。時計を見ると、30分以上たっていた。
 おかしい。タオルを買うだけでこんなに時間がかかるはずがない。もしや、だだっ広い店内かだだっ広い駐車場で、迷子になっているのではあるまいか?
 妻は方向音痴なのである。様子を見に行くことにしよう。私は、娘の手をひいて車を降りる。
「たくさん車があるからなー、パパの手離しちゃだめだぞー」
「だいじょうぶだよ! らいねんはいちねんせいになるんだもん、ちゃんとするよ!」(以上により娘は幼稚園児、要素6)
「おー! もうおねーさんだもんなー! じゃあお手手つなぐの約束だぞ!」(要素14)
 北関東の駐車場は修羅の地だ。油断してスピードを落とすとオカマ(要素1)を掘られかねない勢いで車がかっとんできたりする。とにもかくにも娘の安全を第一にしながら、駐車場をざっと見まわす。
 妻の姿はない。
 では衣料品店を……と視線をやると、私はそこに、信じられないものを見てしまった。
(S-ブ・Oん!? なぜ! なぜセーB・おNがあるのだ!?)
 北関東を中心に展開する……否、していた、なんとなくビミョーな品ぞろえと、コンビニにあるまじき安いアイスが特徴のコンビニエンスストアが、そこにはあった。
 ありえない。ここに存在するのは、L-ソンでなくてはいけないはずだ(要素8)。ローSンに買収され、全店舗ローソNになっているのだから。現に、私の家の近所の店舗も、つい先日青い看板に生まれ変わっている。
 そこでハッと気付く。ここはグンマー。日本に残る最後の秘境、現在も人喰い部族が宿敵をカニバる(要素9)祭りを繰り広げる神秘の地にして、S-ブ・オNのお膝元である。
 セーB・Oンが生き残っていてもおかしくないのと同様に、妻が人食い部族の手に落ちていてもおかしくないのだ……!
 焦る心を抑え、私はまず、コンビニの様子をうかがうことにした。私はどうなってもいい、妻と娘だけは守らなければ、と自分を奮い立たせながら。

「……!!」
 私がそこで見たものは。

 コンビニのカウンター越しに抱きしめあう、瓜二つ(要素4)の二人の女性の姿だった。
 いや、よく似ているが私にはわかる。カウンターの外側の女性は私の妻だ。では、カウンターの中、店員であろうもう一人の彼女は一体……?
 私は娘とコンビニに入る。入店のメロディーで、彼女たちはハッとこちらに気付いた。
「私ったら……ご、ごめんなさい!」
 妻が声を上げる。店員の女性は、焦っているのかあまり上手とは言えない手つきでカウンターの上の品物を慌てて袋に入れた(要素11)。
 彼女の名札には……『亀田 赤星』と書かれている。名字に名字?
 いや、違う。おそらく『赤星』は名前だ。私には思い当たることがあった。
「あの、失礼ですがあなたは……」
「私の双子の姉なのよ、あなた。離婚して、父に引き取られたきり、会えなかった……アン姉さん」
 彼女に話しかけた私に、答えたのは妻だった。
「亀田は父の名字。名前は……『赤星』と書いて、『アンタレス』で、アン。……あなたなら、納得でしょ?」
 やはりか。顔が瓜二つなだけではなく、その名の読み方を聞いて、私は妻の言うとおり、彼女が妻の双子の姉なのだと深く深く納得する。
「ああ……会いたかった、会いたかったわ、ミカちゃん!」
「私もよ、アン姉さん! まさかこんなところで会えるなんて……!」
 二人はもう一度、カウンター越しに抱きしめあう。
 私の妻の名前は、『天使』。これで『ミカ』と読ませる。天使=ミカエル=ミカ。まあ、なんというか、同じ法則の名前だ。
 娘は妻と初めて見る伯母の顔──同じ顔なわけだが──を、妻の服の裾をつかんだまま神妙な顔をして見上げている。
 私も、感動の再会にほろりと涙がこぼれるのを感じながらも、ある意味諦観を込めた笑いがこみあげてくるのを、抑えられずにいた。

 自分たちがとんでもないキラキラネームをつけられて、しかもその元凶の親は離婚してずっと会えなかった。それが心に大きな傷を残すのはわかるぞ、妻よ。
 でも……でもな。

 だからって娘に『亀子』は……やっぱりしわしわネームすぎるんじゃないのかなあ?

(おしまい)

追記:要素10→※参照、天使さん眠そうにしてます。
また、この物語は実在のコンビニ、商店街、ショッピングモール、および群馬県をモデルにしたものではありません。
群馬県民の皆さん、ごめんなさい! 投稿主もその辺りだからお許しくださいませ!
[編集済]

No.115[HIRO・θ・PEN]09月29日 22:4109月30日 10:39

タイトル【いつか、君の隣に】 [編集済]

作・HIRO・θ・PEN [良い質問]

No.116[HIRO・θ・PEN]09月29日 22:4109月30日 10:39

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 先生へ
 お久しぶりです。お元気ですか?
 僕は今ここで働いてます。
 よかったら先生もお越しください。
 海原隼人
———————————————————————————

私は手紙とスマホを持ちながら、海亀駅前に来た。
手紙の住所を見つつ、私は彼らに思いを馳せる。
彼らは元気にしているのだろうか。



「あなたの弁護を担当することになりました。よろしくお願いします。」
「…また弁護士かよ。めんどくせぇな…何度やっても一緒だっつってんだろ?」
私に生意気な返事をしてくれた隼人は、あのときはまだ19歳だった。他の弁護士には手に負えない、そして私が心理カウンセラーの資格を持っているということで、私のところに連れられてきたらしい。確かに彼は見た目も心も荒れていた。しかし何よりも、彼の瞳は、幸せを受け入れられるはずのないほど曇っており、悲しく閉ざしていた。彼には何か事情がある。このままでは彼は一生幸せになれない、私は彼を不幸から救わねばならない。私は弁護士の勘でそう感じ取った。

私は、彼の過去を知るために、まず私の過去をすべて話した。どこで生まれてか、どう育てられてきてたか、何が好きで何が嫌いか、どうして弁護士になったのか、どうして心理カウンセラーの資格を取ったか、大きいことから小さいことまで全てを彼に話した。彼は、最初はあまり話を聞いていないように見えたが、そのうち私の話に興味を持ってくれるようになり、私がすべてを語り終える頃には、仲がいいと言えるくらいに打ち解けてくれた。そして彼は、自分から過去の話をしてくれた。

「あの…。俺も、喋っていいすか…?」


華道の家元の長男として生まれた彼は、両親のもとで大切に育てられてきた。しかし、自分がどうしても女の子を好きになれないということに不安になり、自分の気持ちと葛藤していた。決心した彼は、中学1年の時に、「自分は男が好きだ、女の子とは結婚できない、だから俺には子供もできないし、跡継ぎ出来ない、今まで隠してて申し訳なかった」と告白した。今まで親の愛情に押しつぶされ言い出せなかった感情を、勇気をもって告白した。

しかし彼の両親は、彼を拒絶した。両親は次の日から彼を親戚の家に無理矢理引き取らせた。その親戚も彼のことをあまりよくは思わず、数々の親戚の家を③たらい回しにされた。彼はさらに息苦しい数年間を過ごすことになる。

中学卒業後、彼はすぐに家を出て、食品の袋詰め工場に勤めた。しかし彼は手先が不器用で⑪袋詰めがあまり上手でなかったため、工場や先輩から暴言を吐かれ、すぐにやめてしまった。行き場を失った彼は、路地裏の雑居ビル内にある②ペテン師の下で働くようになった。今回逮捕されたのは、運び屋の仕事に失敗して警察に見つかったかららしい。


「隼人君。世界には色んな人がいる。世界は広いんだ。君の味方になってくれる人は、絶対にいるはず。もし世界に1人しか味方がいなかったら、その人のことを人生をかけて全力で探しに行けばいいんだ。少なくとも、私はあなたの味方よ。⑭約束する。だから、まずは罪を償って。幸い、貴方の罪はそれほど重くはならないでしょう。その間に、いろんなことを知ってほしいの。そうすれば、きっと大切な仲間が見つかるはずよ。」
話し終えた彼に向かって私はそういった。彼は私の言葉を聞き終えてから、静かに涙を流し始めた。



「貴方の弁護を担当することになりました。よろしくお願いします。」
「…よろしくお願いします。」
当時17歳だった純は、小さい声で私に返事をした。彼もまた、数日前に来た隼人と同じ理由で私のところに連れられてきたらしい。彼の顔は暗く、下をうつむいたままだった。彼の瞳は、自分の存在を否定するような暗くて重い目をしていた。彼にもきっと事情があるのだ。私は隼人にした時と同じように、自分のことを話した。純も同じように私に心を開き、ぽつりぽつりと自分の過去を語ってくれた。

「あの…。僕、実は…」


彼は非常に真っすぐで明るい人柄だった。クラスの人気者で、誰にでも仲良くできる生徒だった。彼はある日、クラスメイトのある男子に恋をした。真っすぐな彼は、自分の正直な気持ちをまっすぐに伝えたいと思い、すぐに告白した。その時は言葉を濁されてしまい、返事を聞くことができなかった。また明日、頑張ろうと思った矢先に、事件は起こった。

その日の帰り道、クラスメイトは誰も挨拶をしてくれなかった。話しかけようとすると、無視された。彼は、初めて誰とも会話せずに下校した。その夜、クラスメイトのLINEグループで「今日何かあったの?」と聞くと、しばらく既読無視が続いたあとに、「お前、①オカマなんだろ?」と返信が来た。どうやら告白した男子が、他の人にそのことを話したらしい。彼は絶望した。好きな人に告白しただけで、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。

次の日、怒りの感情を抱えたまま教室に入ると、突然クラスメイトが大騒ぎしだした。突然の出来事に彼は思考を停止してしまったが、後で聞いたところによると、彼が男が好きだということで、それを不快に感じた人たちが⑬集団ヒステリーを起こしてパニックになったらしい。そのことを知ってしまった彼は、今までの明るい性格から一転して、自己否定の強い性格になってしまった。怖くなった彼は、クラスに迷惑をかけまいと思い、学校を休むようになった。それでも癒えぬ心の傷がストレスとなり、ところどころ⑫髪の毛が抜けてきた。

担任の先生は、彼を学校に登校させようと毎日家を訪問してきた。彼にはそれすらもストレスでしかなかった。その押しに負けて学校に行ったものの、クラスメイトの冷ややかな態度は一切変わっておらず、怒りが最高潮に達した彼は、校内で暴行事件を起こし、そして今ここにいるというわけだ。


「純君。自分のこと、責めちゃダメ。確かに君は暴行事件を起こした。その罪はちゃんと償って反省しなきゃいけない。けれどね、君にはまだまだ人生があるんだ。あのね、純君の真っすぐなところ、凄く魅力的だ。私も君みたいな真っすぐな子、好きよ。だから、諦めないで欲しいんだ。自分のことを大切にして。いつか君に大切な人ができた時に、自分を大切にする意味が分かると思うわ。」
話し終えた彼に向かって私はそういった。彼は落ち着いた声で短く「はい」と返事をし、真っすぐとこちらを見つめた。



隼人と純、二人の担当を終えてから数週間。突然、私の弁護士事務所に、屈強な男が何人も乗り込んできた。どうやら、隼人が働いてたペテン師集団は、上で⑦暴力団の一人と繋がってたらしい。隼人を連れていかれた腹いせに、うちの事務所を襲いに来たようだ。こちらには何の負い目もないのだが、警察を襲撃できない以上、一番簡単に襲えるうちを選んだというわけだ。そしてその日から、謎の団体から⑨カニバリズム関連の事件の弁護を頻繁に任されるようになった。私に事件のショッキングな写真をわざと見せることで、私を退職させようとしているようだった。
そして私はそのストレスで本当に弁護士を退職することになった。悔しかった。でも、私の人生は、私のものだ。事務所をたたみ、少し離れた場所にある自宅でゆっくり過ごすようにしたおかげで、今は心も体もずいぶん楽になった。そんな毎日を過ごしているときに、一枚のはがきが届いたのだった。





私は手紙に書かれていた住所にたどり着いた。そこは、私の元の職場からそう遠くないところにあるローソンだった。私は、弁護士の仕事のストレスを抱え切れなくて退職してから、とにかく仕事を思い出してしまうものはなるべく見ないようにしていた。いつしかそれが自然になっていた。ローソンは店の入り口に「LAWSON」と書かれている。⑧私は「LAW(法律)」の文字を見ただけでも仕事を思い出すくらいに心身が敏感になっていたので、ローソンには行かないようにしていた。こんなに近くで働いていたのか、今まで全く気がつかなかった。

退職してから初めてローソンに入る。そこには青い制服を着た隼人がいた。
「いらっしゃいま……先生!来てくれたんだな!」
彼は笑顔で私を迎えてくれた。初めて彼と出会った時は考えられなかった様な、生き生きとした顔をしていた。今はコンビニの店長として、毎日経営を頑張ってるらしい。元気そうでよかった。あの時は見られなかった彼のまぶしい笑顔は、燦燦と輝いていた。
立派に育った彼としばらく話し込んでいると、他の人が店に入ってきた。
「ただいま……あれ、先生?先生ですよね?」
それはなんと純の声だった。そして私が純に話しかけるよりも先に、隼人は自慢げに話してくれた。
「先生、俺たち結婚したんだぜ?すげえだろ!」
私は驚いた。彼らはいつの間にか。話を聞くと、施設の中で知り合って、私の話をしているうちに打ち解けて、数年の交際の末に結婚したらしい。そして何よりも、表情や瞳の輝きから、二人が幸せであることがひしひしと感じられた。彼らは私の見ていない間に、お互いを助け合い、そしてお互いに成長していたようだ。

「先生、ちょっと待って頂いてもいいですか?」
少しばかり長居しすぎたので、私がそろそろ帰ろうとすると、純が私を引き留めた。しばらくすると、彼は恐らく5歳くらいであろう男の子を連れて戻ってきた。
「僕たちの子供です。優斗です。養子里親なんですけどね。先生、僕たちは先生のおかげで今すごく幸せなんです。本当にありがとうございます。」
「この子は俺たち二人にとって天使なんだ。先生には感謝してもしきれねえ。ほら優斗、先生に挨拶できるか?」
「せんせい……?」
優斗君は⑥幼稚園に通っていて、ちょうど今がお迎えの時間だったらしい。幼稚園で遊び疲れたのか、すこし⑩眠たそうだ。ふらふらと私のほうに歩いてきて、私の身体にもたれかかるとそのまま寝てしまった。倒れてケガをしてしまわないようにすかさず私は優斗君を抱きしめた。どうしてだろう、優斗君の顔は、隼人にも純にも④瓜二つのように見えた。
「おい先生、先生!なに泣いてんだよ!なんか先生のこと見てたら俺も涙出てきたじゃねえか…」
腕の中ですやすや眠る天使の穏やかな顔を見ていると、私の目には自然と涙があふれてきていたようだった。
「なんだか先生、優斗のママみたいですね!」
「おい純、優斗は俺らの子だぞ!」
「うん…そうだね、隼人!」
隼人と純はお互いの顔を見つめ合って笑い始めた。


陽も落ちて、辺りも暗くなってきた。ちょうど5時の鐘が鳴った。涼風の中に、優しい音がこだまする。
「ねえ君たち。結婚式は挙げた?」
「結婚式…?そういえばまだやってねぇ!やんなきゃな!」
「えっ…僕たちが、結婚式?」
「そりゃそうよー!結婚したのに結婚式挙げないのはもったいない!⑤君たちがチャペルの鐘を鳴らすのよ!まずは式場を決めましょう。小さめでいいなら確かここから車で少し行ったところに綺麗な教会があるわ。タキシードのレンタルと、写真を撮ってもらって…優斗君の分もいるわね!私がプランたてて予約もしてあげるわ。メールアドレス貰えるかしら?そうだ、私もお花とか注文しなきゃ、それにあとはハネムーンもその感じたとまだよね、お祝いってことで旅行代ぐらい私が出してあげるわ、行先は箱根?軽井沢?ヨーロッパでもいいわよ~あとそれとそれと……」
「(…相変わらず先生は先生だね!)」
「(そうだな!それにしても、先生の行動力マジすげぇわ…)」
[編集済]

No.117[もっぷさん]09月29日 23:4010月02日 17:29

タイトル:怪人百面相の不思議な暗号

作・もっぷさん [正解][良い質問]

No.118[もっぷさん]09月29日 23:4110月02日 17:29

彼の名は明智大五郎。数々の難事件を解決してきた名探偵だ。
彼の武器は頭脳だけではない。ある時は警察官、ある時は医者、ある時はオカマ(①)。どんな人間にも変装できるのだ!

さて、今回の依頼は……。

「天使の人形……ですか」
明智は依頼人・羽柴豪太郎が差し出した写真を眺める。
乳児ほどのサイズの人形。金髪が印象的だ。白い服をまとい、背中には羽が生えている。
「うむ。かつて北関東でおこった食人事件(⑨)を悼むために、さる人形師がつくったという人形でしてな。先月とある筋から手に入れたのです。」
羽柴豪太郎は『日本いわくつき骨董品コレクターの会』会長をつとめる蒐集家だ(⑦)。
羽柴氏は、立派なあごひげをなでながら続ける。
「昨夜、その人形が我が家のコレクションルームからなくなっているのに気がつきました。そして今朝、このような手紙が届いたのです。」



“ 羽柴豪太郎殿

天使の人形は頂戴し、ある場所に隠しました。

私と知恵比べを致しましょう!
天使の人形を探し出してください。
人形を奪い返せばあなたの勝ち。
我が宿敵、明智君ならすこしは役に立つかも
しれない。不安なら御依頼されてはいかがかな?

キーワードはふたつ。

ひとつ。
ローソクを吹けば火が去り、
川を荒らせば魚が去る。
ではタライを返せばどうなる?(③)

ふたつ。
鐘を「鳴らす」のが「あなた」なら、
鐘つきを「ご依頼」するのは誰?(⑤)

むずかしく考えてはいけない。
ご健闘を祈る!
怪人百面相 ”


「怪人百面相……!やつめ……!」
怪人百面相とは、最近巷を賑わせている怪盗だった。明智以上の変装の名人で、どんな人にも瓜二つに化けてしまうという(④)。
「明智先生、お願いします。必ずや取り戻していただきたいのです。」
「お約束いたしましょう(⑭)。私としても、このように喧嘩を売られては放ってはおけませんからね。」
明智は立ち上がりながら、ジャケットを羽織った。
「天使の在り処はもうわかりました。ローソンです。誰かに取られないうちに、早速行きましょう!」

そしてローソンに駆けつけた。天使は確かにそこにいた。が、一足遅かった。
客の幼稚園児(⑥)が天使の人形を抱きしめているではないか!
明智は極めて優しく語りかける。
「お嬢ちゃん? そのお人形はこちらのおじさんの物なんだ。かえしてあげてくれないか?」
「やだ。」
幼稚園児はふいっとそっぽを向く。
「なにを〜!人形の価値もわからん小娘が!」
羽柴氏が怒りで沸騰し始める。
「おじさんこそ失礼ねっ!そんなこというならこうしちゃうもんねっ!」
「ああっ、こらやめたまえ!」
幼稚園児は天使の髪の毛をむしりはじめた。
むしっ…… むしっ……
「あああ……!」
羽柴氏は目に涙を浮かべながら、その光景を眺めていた。
やがてすっかり禿げ頭(⑫)になった天使の人形をぽいっと投げ捨てると、
「やっぱいーらない」
と幼稚園児は去っていった。

しばらくの沈黙。
天使は眠そうにうつ伏せに横たわっている(⑩)。
天使を拾いあげた明智は、頭髪を失った人形の顔を見て噴き出した。
それはどこからどう見てもキューピー人形だった。羽柴氏はペテン師(②)に騙されてキューピー人形を加工しただけのパチもんをつかまされていたのだ。
……ハハハ…….ハハハ……
明智から始まった笑いは集団ヒステリー(⑬)のように伝染し、見知らぬ客もつられて笑い始めた。
羽柴氏も笑った。大笑いだった。やけくそだった。

◆◆

「ところで明智先生、なぜ天使の人形の隠し場所がローソンだとわかったんです?」
「単純な暗号です。
まず、一つ目のヒント。タライがひっくり返ると水が去ります。さんずいに去るという字で『法』です。
続いて二つ目のヒント。手紙の「あなた」の文字の下に「ならす」の字があることから、「ご」「依」「頼」のそれぞれの上の字をみてみると、『むすこ』。
法(law)と息子(son)。
つまりlawsonでないと成立しないということですよ。(⑧)」
「なるほど!」
「正直、下手なパッキングのような詰め込み方で、かーなーり、お粗末な問題と言わざるをえません(⑪)。きっと百面相の奴も価値のない人形を盗んでしまったことに気づき、羽柴さんに返そうと、慌ててあのような手紙を書いたのでしょう」

こうしてまた一つ事件は解決された。
なぜこんな適当な暗号で明智探偵は謎を解くことができたのか?
大いなる謎の答えはきっとあなたならわかるはず……


おしまい
[編集済]

[正解]

シェフのみなさん、お疲れ様でした。
投稿フェーズ終了&投票フェーズ開始します![編集済]
投票期間は10/1 24:00までです。
結果発表は10/2にこちらの本会場で行う予定です。

参加者一覧 31人(クリックすると質問が絞れます)

全員
母(3)
とーとろじー(3)
テトメト(3良:1)
ピコピコ(3良:1正:1)
らてすこ(2)
こはいち(5良:1)
HIRO・θ・PEN(6良:3)
やつぎ(5良:1)
ZERO(3良:1)
ちくわさん(本物)(3)
木貝女(3良:1)
輪ゴム(18良:3)
パブロン(6良:4正:1)
ひたち(2良:1)
nitrogen(3良:1)
残酸(3)
ぎんがけい(5良:1)
とろたく(3良:1)
grayrad(5良:1)
藤井(3良:1)
夜船(5良:1)
折鶴聖人(3良:1)
迷路王(2)
ジリスクム(2良:1)
コンビニおにぎり(4良:1)
OUTIS(1)
葛原(2良:1)
ハシバミ(4良:2)
もっぷさん(4良:2正:4)
とろたく(記憶喪失)(2良:1)
ごがつあめ涼花(2良:1)
正解を創りだすウミガメコンビニの天使第3回にご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
そして大変お待たせいたしました。いよいよ結果発表のお時間です!



最難関要素賞

『あの鐘を鳴らすのはあなた』(6票)

『たらい』(3票)

『ローソンでないと成立しない』(3票)

『オカマ』(2票)

『カニバる』(1票)

『ついにハゲてしまう』(1票)


……というわけで、ピコピコさんの『あの鐘を鳴らすのはあなた』が最難関要素賞に選ばれました!おめでとうございます。

『たらい』や『オカマ』といったシンプルな要素から『ローソンでないと成立しない』という特殊な要素まで、数々の要素がシェフの頭を悩ませたのではないでしょうか?
その中でもどうしても特に某歌手が頭をよぎる『あの鐘を鳴らすのはあなた』。使いこなしたシェフのみなさん、おつかれさまでした。



最優秀作品賞

「リーインカーネイション」(作・パブロン)(8票/8人)

「その純粋さには敵わない」(作・もっぷさん)(7票/7人)

「怪人百面相の不思議な暗号」(作・もっぷさん)(4票/4人)

「天使もどき」(作・葛原)(3票/3人)

「失ったもの」(作・ごがつあめ涼花)(3票/3人)

「唐揚げの真実」(作・ぎんがけい)(3票/3人)

「幸せが乗っている」(作・ハシバミ)(2票/2人)

「ズル満載でお送りします」(作・パブロン)(2票/2人)

「俺「露雨尊……?」」(作・こはいち)(2票/2人)

「いつか、君の隣に」(作・ひろぺん)(2票/2人)

「天使とペテン師」(作・ハシバミ)(2票/1人)

「赤い星と天使」(作・やつぎ)(2票/1人)

「天使の秘訣」(作・輪ゴム)(1票/1人)

「天使の告白-Angel Kiss-」(作・grayrad)(1票/1人)


総投票数42票、投票者数18人。おかげさまで多数の作品に票が入りました。
その中で最も多くの票を獲得して最優秀作品賞に選ばれたのは、パブロンさんの「リーインカーネイション」でした!おめでとうございます。

実は投票会場で19作品と書いたのですが、一覧にZEROさんの前回の作品が紛れ込んでおりまして、実は18作品でした。
この場を借りてZEROさん、並びに参加していただいたみなさんにお詫び申し上げます。

そんなわけで全18作品を14人のシェフのシェフのみなさんから投稿していただいたのですが、魅力的な作品揃いで投票する際にも悩んだ方がたくさんいると思います。
悩みながらも選んで投票したであろうそのコメントも、力作揃いで読んでいてとても楽しかったです。シェフのみなさん、必見ですよ!



シェチュ王
もっぷさん(11票)

「その純粋さには敵わない」「怪人百面相の不思議な暗号」の2作品、そのいずれもが多数の票を獲得したもっぷさんが3代目シェチュ王に輝きました!
短期間で高クオリティな作品を複数、しかも問題文と14の要素が固定された中で全く違うストーリーを考え出す……、本当に凄いことです。

更に、2位は10票獲得したパブロンさん、3位は4票獲得したハシバミさんという結果になりました。
奇しくも1位から3位までの御三方は、2つの作品を投稿していずれの作品も票を獲得しておりました。素晴らしい!



もっぷさんとパブロンさんは、シェチュ王、最優秀作品賞共に接戦で、主催者であるわたしも固唾を飲んで見守らせていただきました。

また集まった18の作品はそれぞれ個性が出ていて、「なるほどこの要素をそう使うか」「ここからそんなストーリー展開に持っていけるのか」と、何度も唸らされました。
たくさんの方に精力的に参加していただき、主催者冥利に尽きます。

それでは3代目シェチュ王・もっぷさんに王冠をお渡しして、正解を創りだすウミガメコンビニの天使第3回を締めさせていただきます。
もっぷさん、第4回の開催よろしくお願いします!


みなさん、本当にありがとうございました。
次回もみんなで正解を創りだしましょう!
18年09月17日 20:00 [ちるこ]
相談チャットです。この問題に関する事を書き込みましょう。
ぎんがけい
ちるこさん、主催ありがとうございます。もっぷさんさん、パブロンさん優勝おめでとうございます。皆さんのストーリーの作り方を見て非常に勉強になりました。今後のスープづくりに役立てていきたいです。[18年10月03日 12:11]
ちるこ
みなさん労いの言葉ありがとうございます。もっぷさん、パブロンさん、重ねてお祝い申し上げます。
もっぷさん、第4回の開催不安ですよね……。わかります、一ヶ月前のわたしもめちゃくちゃ不安でした。でもやるしかなければどうにかなるものです。わからないことなどあればいつでもご相談くださいね。わたしもまだまだ初心者ですが、わかる範囲でご協力します。第4回も、たくさんの人に参加していただきましょう〜![編集済] [18年10月03日 06:27]
もっぷさん
次回第四回、がんばって運営しますので皆様どうかご参加お願いします…!(私まだ出題したことがないので、まずは出題システムをしるべく、近日中にどうでもいいようなスープ作って出題練習しますね…) 最後にもう一度、ちるこさんありがとうございました。時間にきっちりされていて物腰もやわらか、本当に素晴らしいMCでした(*´꒳`*)[18年10月03日 01:14]
もっぷさん
投稿直前に「明智=百面相の変装 なら不完全な暗号を解読できた理由になるし、変装の名人という伏線も回収できる」とひらめきましたが、時間がなく、思わせぶりなラスト2行を追加して終了… 。そんな不完全燃焼な感じでしたが、結果投稿してよかったです。きっかけを作ってくださった輪ゴムさんに、この場を借りて御礼申しあげます。[編集済] [18年10月03日 01:12]
もっぷさん
初代シェチュ王のHIRO・θ・PENさんにならって製作裏話を。実は、輪ゴムさんの2作目の投稿がなければ「怪人百面相の〜」はお蔵入りになるはずでした。締切日前日にLAWSONのロゴをみて構想を思いつくも、筋が通った暗号を作ることができず…「捨てるよりは」ということで適当にまとめて投下しました。[18年10月03日 01:11]
もっぷさん
改めまして、名作揃いのなか拙作に投票してくださった皆様、本当に本当にありがとうございました。そもそも票をいただけると思っていなかったので、軽い気持ちで携帯開いて卒倒しかけました。こんなに沢山の票をいただけるなんて感激の極みです…!そしてパブロンさん、最優秀作品賞おめでとうございます!納得の最優秀作品です(^^)[18年10月03日 01:06]
輪ゴム[◇ビブリ王◇]
ちるこさんMCお疲れさまです&ありがとうございました!!今回初めて参加しましたが、とても楽しかったです!もっぷさんさん、パブロンさんおめでとうございます!(追記:もっぷさん、そんな事情がΣ(・・ ) 嬉しい限りです!)[編集済] [18年10月02日 23:47]
パブロン
ふ、ふおぉ……。さ、さ、最優秀作品賞を頂いてしまった……!貴重な票を投じて下さった皆様、本当にありがとうございます。皆さんが書いてくれたコメント、大切にします。そしてもっぷさん、シェチュ王おめでとうございます!二作品とも素晴らしかったです。最後にMCちるこさん、開催運営ありがとうございました!お疲れ様でした![18年10月02日 22:50]
もっぷさん
ええええ!衝撃で手が震えております…!まだ帰宅の電車なので、後ほどまたコメントします! まずはちるこさん、MCお疲れ様でした![18年10月02日 22:04]
ハシバミ
ちるこさん、MCありがとうございました。もっぷさん、パブロンさん、おめでとうございます! 拙作へ投票、コメント下さった皆様、ありがとうございました。ありがたいお言葉と皆様の素敵な作品を糧に、是非また次回も参加したいです![18年10月02日 21:50]
ZERO[10問出題]
ちるこさん、MCありがとうございました。パブロンさん、もっぷさん、ピコピコさん、受賞おめでとうございます。投稿されていない謎の作品に票を入れる物好きな人がいることを期待して指摘しませんでしたが、そんな人居るはずなかったですね。次回は投稿したいと思います。[18年10月02日 20:59]
ピコピコ
ちるこさん、主催&運営お疲れ様でした!パブロンさん、もっぷさん共におめでとうございます!次はもう少し簡単なやつにします......。[18年10月02日 20:54]
やつぎ
シェチュ王モップさん、最優秀作品賞パブロンさん、おめでとうございます! そしてすべての参加者さんと、なにより運営ちるこさん、どうもお疲れさまでした! また、拙作に貴重な票を二票も下さったパブロンさん、感想を下さった輪ゴムさん、どうもありがとうございました![18年10月02日 19:18]
HIRO・θ・PEN
モップさん、パブロンさん、おめでとうございます〜そしてちるこさんMCお疲れ様です・θ・拙作に投票してくださった方もありがとうございます・θ・[18年10月02日 17:59]
ちるこ
拙い主催者でしたが、みなさんのご協力を得てどうにか完走できました。ありがとうございました。今後わたしはあらゆる企画の主催者への敬意を絶対に忘れないと思います、本当に凄い……。[18年10月02日 17:41]
ちるこ
みなさん、本当にお疲れ様でした!もっぷさん、パブロンさん、おめでとうございます!参加していただいたみなさん是非この場を使って、作品にかけた想いや次回への熱意などなど、ぶちまけちゃってください〜。[編集済] [18年10月02日 17:38]
ちるこ
ピコピコさん、投票だけでも是非どうぞ!お待ちしております。[18年09月30日 00:17]
ピコピコ
結局投稿できなかったil||li _| ̄|〇 il||li[18年09月30日 00:12]
ちるこ
みなさん、投稿ありがとうございました!投稿よりもお気軽に、楽しい投票のお時間です。
投稿した方は3票、そうでない方も1票。是非とも権利を行使してくださいませ!別会場でお待ちしております。[編集済] [18年09月30日 00:06]
もっぷさん
昨日ローソンに行ったら思いついたので、せっかくなので投下します!全然煮詰められていませんが……[18年09月29日 23:46]
やつぎ
ほんとのほんとに滑り込み。ぎりぎりですみません、よろしくお願いいたします~。[18年09月29日 23:03]
HIRO・θ・PEN
何とか投稿。誤字校正も推敲も0だよ(掠れ声) 社会派な文章書いてたら途中から自分でも何書いてるのか分からなくなったんですけど、欠席するのもなんだか悔しいので記念投稿。お疲れ様です。[編集済] [18年09月29日 22:50]
こはいち
ふええ(訳:少し前に締切に気づいて焦って投下。完成させてすぐ投稿したから推敲ができてない……おっかしいなあ要素が出終わった2日後にはもう2/3くらい出来上がってたのになあ。勝利するために投稿するんじゃない、投票するために投稿するんだ精神でなんとか間に合いました)[編集済] [18年09月29日 20:59]
ちるこ
みなさん、ガンガン投稿していただいてありがとうございます。残すところ5時間です。ひろぺんさん、他焦っているみなさん、頑張ってください〜![18年09月29日 19:00]
輪ゴム[◇ビブリ王◇]
途中まで考えたんですが、2割程度で匙を投げました。。捨てるよりはと投下させていただきました!('ω')[18年09月29日 18:59]
HIRO・θ・PEN
間に合わねぇ…(半泣き)[18年09月29日 17:40]
パブロン
最終日だというのに最高にろくでもない物を投稿してしまいました。すみませんよろしくお願いします。[18年09月29日 16:51]
夜船
これまでの人生で一番あの鐘を鳴らすのはあなたを聞いた気がします。[18年09月29日 05:07]
夜船
作品投稿させていただきました。主題が終わってからが長くなった...勝手に連作にして自分の難易度上げてるバカは私です。[18年09月29日 05:06]
ぎんがけい
作品投稿しました。だいぶ強引に詰め込みました。[18年09月27日 14:15]
ちるこ
もっぷさん、歓迎します。投稿していただいて大変嬉しいです![18年09月23日 10:10]
ごがつあめ涼花[★歴史の1ページ]
参加しました!要素難しかったです[18年09月22日 17:58]
grayrad
みなさん、言葉の使い方が本当に上手い!関心しました[18年09月22日 13:15]
とろたく(記憶喪失)
二号機で参加します・・・[18年09月22日 12:40]
輪ゴム[◇ビブリ王◇]
わーー力作が続々と!投票先に困りそう...!投稿考えるより真剣に投票させていただきます(`・ω・´)ゞ[編集済] [18年09月22日 10:09]
もっぷさん
ちるこさん、MCお疲れ様です。要素フェーズ参加できなかったのですが、投稿だけでも参加させてください!皆様の作品本当にすごい…![18年09月22日 09:14]
ちるこ
コンビニおにぎりさん、輪ゴムさん、grayradさん、葛原さん、ハシバミさん、パブロンさん、投稿ありがとうございます。〆切まで残り1週間となりました。未投稿のみなさんの作品はもちろん、2作品目、3作品目もお待ちしておりますよ〜![18年09月22日 08:06]
ちるこ
ハシバミさん、歓迎します。既に2作品の投稿、……素晴らしいです![18年09月22日 08:02]
パブロン
>藤井さん ありがとうございます!話の内容よりそっちに力入れているので、そこ誉めて貰えるのは嬉しいです。[18年09月21日 22:49]
藤井
前回も思いましたがパブロンさんの要素の使い方上手すぎ説[18年09月21日 21:46]
パブロン
投稿しました。今回は結構な難題ですねー。要素の一つ一つはそこまでじゃないけど、組み合わせがーw[18年09月21日 17:31]
ハシバミ
参加しました―。短い話にしようと前半詰め込んだのに、どうしても後半が伸びてしまう……。[18年09月20日 16:29]
ちるこ
葛原さん、歓迎します。早速の投稿ありがとうございます![18年09月20日 07:07]
grayrad
どうやっても、和田アキ子が浮いてしまうw鬼門は⑤だなw[18年09月20日 06:24]
葛原
参加します[18年09月20日 00:22]
折鶴聖人
チョッ、超人か!?・・・・・・・・・・・・[18年09月19日 19:50]
ピコピコ
お二人ともすごい......[18年09月19日 16:20]
grayrad
疲れた…[18年09月19日 15:15]
藤井
ひろぺんマンがもう投稿キープしてる、今回はスピード勝負か??……と思いきやただの誤投だったw 昨日辺りからちょいちょい頭の中で和田ア○子が熱唱して困ってます。[18年09月19日 14:33]
HIRO・θ・PEN
間違えて質問欄に書き込んじゃった-θ-申し訳ないです...↑( TДT)ゴメンナサイ 今日は体調があまりよくないみたいだ。元気いっぱいだった子供のころに戻りたい。あの頃は( ゚д゚)ハッ![編集済] [18年09月19日 13:59]
輪ゴム[◇ビブリ王◇]
初めてなんですが、これ投稿が遅くなるとネタが被りそうでジレンマですね!(あと3要素...意外なところで苦労しています)[18年09月19日 12:25]
ちるこ
grayradさん、そんなことありませんよ〜!短いものも長いものも大歓迎です。[18年09月19日 12:08]
grayrad
あれ?これって1万字以外は解説ならないんだよね?[18年09月19日 08:59]
折鶴聖人
9.11.13を独創的に繋ぐのは難しくないか?(特に9と13)
ICBM無くて良かった・・・・・・[編集済] [18年09月19日 07:23]
ぎんがけい
またまたカオスなのが選ばれましたね[編集済] [18年09月19日 07:18]
ちるこ
ごがつあめ涼花さん、歓迎します。曲者揃いの要素をどうか使いこなしてください![18年09月19日 06:36]
nitrogen
要素が多くて難しいですね… カニバリズムがまさか選ばれるとはw [18年09月19日 04:59]
ごがつあめ涼花[★歴史の1ページ]
さんかしたいとおもいます。[18年09月19日 00:25]
ZERO[10問出題]
これ、前回よりも難しいのでは……ってコンビニおにぎりさん早っ![編集済] [18年09月18日 23:13]
やつぎ
コンビニおにぎりさん早い!![18年09月18日 23:08]
コンビニおにぎり[10問出題]
すごい難しかったですな…人系が多かったからですかね…[18年09月18日 22:38]
テトメト[10問出題]
あの鐘の扱いが困る……天使に絡めるか……?[18年09月18日 22:24]
ちるこ
要素提案ありがとうございました!なかなかクセの強い要素揃いではありますが、それでこそ燃えるってものですよね。……ね?それではみなさん、素敵で不敵で無敵な解説を創りだしてくださいませ〜![18年09月18日 22:17]
HIRO・θ・PEN
人物に関する要素が多めかなー・θ・[18年09月18日 22:09]
テトメト[10問出題]
うわぁ。大変だね[18年09月18日 22:05]
テトメト[10問出題]
オカマでペテン師な幼稚園児がカニバる話……?[18年09月18日 22:04]
grayrad
wktk[18年09月18日 22:00]
やつぎ
わくわく[18年09月18日 21:24]
ちるこ
OUTISさん、歓迎します。祝・70個目の要素![18年09月18日 21:01]
ピコピコ
お、ついに70に![18年09月18日 20:53]
HIRO・θ・PEN
wkwk[18年09月18日 20:52]
OUTIS
参加させてもらうヨ[18年09月18日 20:44]
ちるこ
コンビニおにぎりさん、歓迎します。もうすぐ要素が集まります。そこからが本番ですよ〜![18年09月18日 20:13]
ちるこ
ジリスクムさん、歓迎します。要素だけと言わず、投稿もぜひどうぞ……![編集済] [18年09月18日 20:12]
ちるこ
母さん、ありがとうございます……!めちゃくちゃ嬉しいお言葉!今回は主催としてがんばります。[18年09月18日 20:09]
ちるこ
迷路王さん、歓迎します。よろしくお願いしますっ。[18年09月18日 20:08]
コンビニおにぎり[10問出題]
参加できるのですかな?まだ大丈夫なら参加します![18年09月18日 19:51]
ジリスクム
要素参加します。[編集済] [18年09月18日 19:35]

はじめて前出題のちるこさんの作品を見たのですがとても素晴らしかったです!(こなみかん)[18年09月18日 19:21]
迷路王
参加しますっ[18年09月18日 19:21]
ちるこ
折鶴聖人さん、歓迎します。よろしくお願いします。[18年09月18日 18:10]
ちるこ
夜船さん、歓迎します。よろしくお願いします。[18年09月18日 18:10]
ちるこ
藤井さん、歓迎します。要素ありがとうございます。今回もきっと素敵なお話を投稿していただけると信じています![18年09月18日 18:10]
折鶴聖人
参加します。[18年09月18日 17:03]
夜船
参加します[18年09月18日 14:38]
藤井
こんにちは、ちるこさん主催お疲れさまです!今回は本編参加できるか分からないのですが、ひとまず要素投稿参加させて頂きました。前回ヤモリのネックレスで後悔したので扱いやすそうな質問を……(逃げの姿勢)[18年09月18日 14:10]
ちるこ
みなさん1万字に怯えていますが、ま、まあ70分の14ですから!5分の1!……怖いですね?[18年09月18日 13:51]
ちるこ
grayradさん、歓迎します。よろしくお願いします。[18年09月18日 13:49]
ちるこ
とろたくさん、歓迎します。だんだん真面目とネタの境目がわからなくなってきたところです(笑)[18年09月18日 13:48]
ちるこ
ぎんがけいさん、歓迎します。無理をなさらない様に、でも投稿は期待しています……![18年09月18日 13:48]
ちるこ
HIRO・θ・PENさん、ありがとうございます!投稿フェーズに10日残すくらいを目安に様子をみてみようと思います。今の所いいペースで嬉しいです![18年09月18日 13:45]
ちるこ
残酸さん、歓迎します。前回よりもすごいことになっている気がします……![18年09月18日 13:43]
ちるこ
nitrogenさん、歓迎します。よろしくお願いします。[編集済] [18年09月18日 13:42]
grayrad
参加します[18年09月18日 13:38]
とろたく
参加します。 ネタ質問が多いですが、事故りにくいように真面目にします。[18年09月18日 12:49]
こはいち
一万字w このページが短編集になりますね[18年09月18日 12:39]
ぎんがけい
要素参加します。リアル都合もありますが、できるだけ解説も参加したいです。[18年09月18日 10:41]
HIRO・θ・PEN
要素が70揃わなくても、適度なところで切り上げてもいいと思いますよ~・θ・参考までに、前回は次の次の日の朝で60個に到達した気がします。もちろん、70個集まるのが理想ですが!みんな要素を投げ入れるんだ![18年09月18日 09:15]
残酸
参加します。ネタ質問多すぎない…?[編集済] [18年09月18日 08:19]
nitrogen
参加します![18年09月18日 07:29]
ちるこ
ひたちさん、歓迎します。要素が出揃ったその瞬間から頭の中が投稿のことでいっぱいになる魔法をかけておきますね。[18年09月17日 23:41]
ひたち
初参加です、時間さえあれば作成もしてみたいです![18年09月17日 23:39]
ちるこ
パブロンさん、歓迎します。実際、まずは要素が集まるかどうかかすら若干不安です……![18年09月17日 23:34]
パブロン
まずは要素で参加します。宜しくお願いします。[18年09月17日 23:19]
ちるこ
輪ゴムさん、歓迎します。この要素が選ばれたらキツイなって思っていると選ばれるんですよね……(笑)[18年09月17日 22:22]
ちるこ
木貝女さん、歓迎します。前回、前々回をご参照いただくと投稿したくなると思います。初心者大歓迎です!……と、前回初参加のわたしより。[18年09月17日 22:19]
輪ゴム[◇ビブリ王◇]
参加します!楽~に下をくぐれそうなハードルが立ち並んでいますね?(゜゜ )[18年09月17日 22:13]
木貝女
初めてなので要領が分かりませんが参加します…![18年09月17日 22:11]
やつぎ
26ひどいwww いや採用されたら笑ってる場合ではないですがw[18年09月17日 21:54]
HIRO・θ・PEN
26が採用されるとさすがに催眠術が効かなさそうなのでその時は魔術の準備を…[18年09月17日 21:52]
ZERO[10問出題]
26ww[18年09月17日 21:48]
ちるこ
本物のちくわさん、歓迎します。ベリーハードな無茶振り、採用された場合のハードルの高さに主催者側のわたしもビビっています(笑)[18年09月17日 21:46]
ちくわさん(本物)
無茶振り大好きなので参加します。[18年09月17日 21:34]
ちるこ
やつぎさん、歓迎します。前回に引き続き、素敵な解説も楽しみにしています![18年09月17日 21:18]
やつぎ
第三回開催ありがとうございます!ひとまず要素投稿に参加させていただきます![18年09月17日 20:59]
ちるこ
こはいちさん、歓迎します。要素を見ているうちにどうしても投稿したくなる催眠術を……![18年09月17日 20:36]
テトメト[10問出題]
ペテン師いいねぇ。ペテン師好き![18年09月17日 20:34]
ちるこ
HIRO・θ・PENさん、歓迎します。MCとても緊張しています、改めて尊敬します……。催眠術の練習しておきます![18年09月17日 20:33]
テトメト[10問出題]
召喚士の女の子……ウサギ……( ゚д゚)ハッ!![18年09月17日 20:33]
こはいち
参加します。投稿出来たらいいなあ[18年09月17日 20:33]
ちるこ
らてすこさん、歓迎します。よろしくおねがいしま〜す!![18年09月17日 20:32]
ちるこ
テトメトさん、歓迎します。どうぞごゆるりと〜![18年09月17日 20:31]
HIRO・θ・PEN
参加します・θ・MC頑張って下さい~>θ< 要素が集まったら催眠術で投稿者を増やすのですよ(迫真)[18年09月17日 20:30]
ちるこ
ZEROさん、歓迎します。爆弾がうまい具合に爆発してくれれば良いのですが……(笑)そしてその勢いでZEROさんも投稿できますように……。[18年09月17日 20:30]
らてすこ
参加させていただきま〜す![18年09月17日 20:27]
テトメト[10問出題]
参加します![18年09月17日 20:22]
ZERO[10問出題]
待ってました!参加します。要素数14…前回のような爆弾が要素にならないことを祈ります。投稿は間に合えばですね。[18年09月17日 20:21]
ちるこ
ピコピコさん、歓迎します。もし良ければ投稿も、出題練習くらいの気持ちでお気軽にどうぞ![18年09月17日 20:12]
ちるこ
母さん、歓迎します。まずは要素からですね。投稿も軽い気持ちで是非どうぞ![18年09月17日 20:09]
ちるこ
とーとろじーさん、歓迎します。集まる要素を見ているうちに、きっと投稿したくなってしまうはず……![18年09月17日 20:08]
ピコピコ
投稿はできるかどうかわかりませんが、参加します。[18年09月17日 20:08]

参加させてくださいm(__)m要素をあげたい![18年09月17日 20:04]
とーとろじー
参加します。投稿にも参加出来たらしたいですが、リアル厳しめなので分かりません[18年09月17日 20:02]
①オカマ
②ペテン師
③タライ
④瓜二つ
⑤あの鐘を鳴らすのはあなた
⑥幼稚園児
⑦男は特殊な組織の構成員
⑧ローソンでないと成立しない
⑨カニバる
⑩天使は眠そう
⑪袋詰めがあまり上手ではない
⑫ついに禿げてしまう
⑬集団ヒステリー
⑭約束する
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