そんな中で、東国の総帥が病気により危篤となる。死は一刻を争う状態で、精神的支柱を失いつつある東国は次第にまとまりを欠きつつあった。
こうした状況を目の当たりにしていた東国の幹部サグリ。サグリは東国の劣勢を憂い、起死回生の一手として、国に伝わる最終手段をついに用いることを決めた。
『Dyary』という日記帳状の道具で、これに日付・名前・状況を正確に記すことで表紙の紋様が点滅し、記した通りに任意の相手一人を自然な死に追いやることができる。ただし大きな制約として全体の回数制限があり、歴史の中で様々な人々に使われたために、今となってはあと一回しか使えない。
東国の総帥が危篤という今しか使用のタイミングはないだろうという結論に至り、サグリは西国の総帥の名前を綴った。
2023.7.8 ダズ・ライン 病死
さて、サグリがDyaryへの書き込みに際して、通常のペンではなく極太の油性ペンを用いた目的はなんだろうか?
※元ネタとして想起しうるあのノートについては、私がよく知らないくらいですので知識は不要です。
※当然ですが、回答に際して私の前問については閲覧不要です。
「2023.7.8 ダズ・ライン 病死」という書き込みを見た東国の人たちは喜びますか?
Noとします。喜ぶとしたらもっと前の段階です! [良い質問]
サグリは「極太の油性ペン」以外のペンを Dyaryに使うことができる状況下であえて「極太の油性ペン」で書くことを選択しましたか?
Yesですが、状況を広く取ると実質Noと言えるかもしれません。 [良い質問]
Dyaryを見た人は(西国の総帥が死ぬ前でも)Dyaryの効果を信じていましたか? [編集済]
Yes!! [良い質問]
「Dyary」の存在は、サグリ以外の人間も知っていますか?
Yes!! 以外どころか、国中の人が知っています!! [良い質問]
(14)『Dyary』での西国総帥を殺害は大々的に告知されてから行われましたか?
Yes! 国内で予告されます! [良い質問]
一般に公開された状態で書き込まれたので、民衆に見やすいように極太油性ペンで書き込みましたか?
Yes!! 理由の一つはそちらです! [正解][良い質問]
『Dyary』はめちゃくちゃ巨大だったりしますか??
Yes!!!!!!! まとまりますか! [正解][良い質問]
巨大な『Dyary』の一面に大きく書くために極太油性ペンを使って書き、紋様から溢れるその光は明るい未来への道標となるであろう…ますか?
それもとても好きなんですが、Noです! 問題文中のある記述と関係します。 [良い質問]
「日付・名前・状況を正確に記す」ため、めっちゃ長文になりますか?
面白いですが、Noです。「正確」が長さではなく…。 [良い質問]
文字を確実に正確に書くためですか?
Yes! こちらの方がニュアンスがあっているので、こちらを正解でします!! [正解][良い質問]
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国に伝わる最終兵器Dyaryは、ひと一人を葬るほどの強大な魔力を持つゆえ、通常の日記帳より遥かに大きい。そんなDyaryに正確に認証されうる順当な書き込みをするのに、極太のペンは打倒な太さである。
それだけでなく、国の規定によって、Dyaryに書き込みをする際は周囲に観測者を置き、その者らにも書き込み内容がリアルタイムで目測できるようにしなければならないと定められていた。これは幹部による裏切りを阻止するためであるが、その規定に忠実に従うべく、サグリは極太のペンを使って書き込みを明瞭にした。
(FAここまで。詳細は解説へ託す。)
解説:
「今こそ、今でしか使う場面がないはずです。」
会議卓を囲む大勢の幹部に対し、力の限り説得するサグリ。その卓のうち一際大きなスペースを占める総帥の席には、今は誰も座っていない。
東国ハイオンと西国ウェルー。壮絶な戦闘状態である二つの国の関係は、まさに今揺らごうとしていた。東国の総帥ドイ・バレン師が危篤に陥ったのである。西国がその権力を恣にするという時勢に真っ先に反旗を翻し、革命を掲げ、カリスマとしか言いようのない主導力で東国全体をその機運に統一させた、この闘いの立役者。
彼が、父がこの革命から文字通り離脱すれば、我々はどうなってしまうのだろうか、サグリは考えた。家屋が主柱を失うように、羊たちが群れの長を失うように、我らの進む先に迷いが生じてしまいはしないか。
事実、すでに東国はまとまりを欠きつつあった。革命を中断し穏便に降伏しようと宣う者。自分を次期総帥にすべきだと独りよがりな者。さらに国民も、こうした軍の体制に疑問を持ち始めている。
そうした東国の劣勢を救うため。それだけではなく、ドイ総帥がまもなく亡くなるその前に、彼が生涯をかけて追求し続けた我らが自由を実現するため。サグリが幹部として抱く全ての決意のためには、Dyaryの使用が絶対であると固く主張した。
「Dyaryは今やあとたった一度しか使えないんだぞ。たとえひと一人を殺める危険な兵器だとしても、ここでその歴史に終止符を打つべきなのか?」
「だからこそ、今Dyaryを使うのです。悪魔の兵器の最後の一回、という重大な局面を使用に至らしめるには、我々のみならず国民の合意が不可欠でしょう。総帥の命が永くない今、再び国民に、我ら自身に問おうというのです。この革命の、本当の意義を!」
サグリは声高らかに訴えた。Dyaryは、440年もの歴史を持つこの国の誕生の前から伝わっている兵器であり、その強大な力から法による制限が厳しく為されていた。それにも関わらず今や使用制限に達しそうであるという事実は、歴史が表す人類の愚かさであろう。
しかし、そんな愚かな争いが現に起こっている時分にそのような悠長なことは言っていられない。今こそDyaryを用いて、国全体の革命への意志を再び統一させようというのだ。
——————
そして、サグリの提言や病床のドイ総帥の後押し、それに国民投票の大きな総意によって、Dyaryが最後の役目を果たすことが決まった。
記す名前は、議論の余地もなく西国の総帥ダズ・ラインである。西国の独裁者である彼を滞りなく葬ることができれば、体制が緻密な西国の集団といえども一時は混乱に陥るはずである。余談であるが、メディア発達の不十分な周辺地域において西国等には、「東国で悪名高い日記型の兵器は、何年も前に使用回数制限が上限に達した」という間違った言説が流布されている。
最終兵器Dyaryの使用に際して国を挙げて激動の議論を交わし、意志のまとまりが強固になった今の東国であれば、その一時の混乱に乗じて十分な優勢を築き上げることが可能だ。
過去何年も封印されていた巨大な金庫の扉がゆっくりと開かれ、サグリら幹部が少しづつ入場する。一瞬、常時に備え付けられている警報がけたたましく鳴り響いたが、エンジニアの遠隔操作で停止された。
中に収まっていたDyaryは、サグリたちの入場を待っていたかのように妖しくその紋様を顕現させる。軽く見上げるほど大きな日記帳の、表紙の紋様の下に刻まれた「1」の文字。これが今日、0になる。サグリは、Dyary開帳役の幹部が二人がかりでゆっくりとページを開いていく様子を見守った。
計8人全員の幹部の立ち合い、そして金庫内のカメラの監視の下で、サグリを含む三人の幹部は持っていた極太の油性ペンの蓋を開いた。三人はそのまま、天井から垂れ下がったワイヤーを自身の体にくくりつけ、遠隔操作で吊り上げられる。
ページの中央部分まで上がったところで、ワイヤーは止まり三人は宙吊りになる。そして、とうとうDyaryへの書き込みが始まった。
まずは一人が、日付を。そしてもう一人が、死の状況を。最後にサグリが、間に西国の総帥の名前を。
サグリは震える手で、この世で最も憎い人物の名前を荒々しく堂々と記した。幹部の監視の下、とうとうDyaryに書き込みを行うというのだから緊張も尤もであるが、監視などという大層な探りを入れられずとも、父の教えに忠実なサグリが東国への裏切りを起こすなど、天地においてあり得ない事象だった。
2023.7.8 ダズ・ライン 病死
サグリら三人はやがて書き込みを完了する。通常の大きさの日記帳に行うよりも明らかに時間を要して行った書き込みだが、監視員が地上遠くからその字を眺めると、案外小さく収まっており辛うじて読める程度だ。
そして先の開帳役の二人がゆっくりとページを閉じると、表紙の紋様が点滅したのが確認できた。その様子がしっかりをカメラにも収まっているのを見て、サグリはついに安堵の嘆息を漏らす。
ついに私は、西国の牙城を崩すきっかけを自らの主張によって作ってしまったんだ。そのことにただならぬ思いがあったのはもちろんだが、サグリには全く別の達成感もあった。
Dyaryの役目を、この手で終わらせたことである。
革命の執行とはいえ、一般に考えれば日記帳への書き込みによって西国の総帥を自然死に追いやるというのは卑劣は行為といえる。実際、13の使用制限があったとされるDyaryの使用のうち、ほとんどは不当な犯罪に用いられたものと記録されている。このような悪魔の兵器をいつまでも携えていては、ハイオンという国は革命を遂行して自由を訴えることなど到底できない。サグリはしかし、特異に非道な独裁者を打ち砕く、という比較的合理的な理由を以て、その使用制限に至ったのである。使用へ賛成の票を投じた隊員や国民の中にも、あるだけで国の威信を乱すこの悪魔の日記帳を一刻も早く滅ぼしてほしい一心だった者は多いだろう。
畢竟、悪魔の兵器を用いた自分が悪烈なことには変わりないが、だからこそサグリには改めて強大な決意が宿った。
この日記帳を使用した全責任を取るためにも、父の生きるうちに革命を遂行せねばならない。
かつて私が生まれる前に存在していたような、統一された自由の国を再建し、全ての民にそれを見せなければならない。
『この瞬間は、歴史を通して国中で悪魔の兵器と呼ばれたDyaryが、一人の人間に強大な決意という希望の光を与えた、最初で最後の瞬間であった。』
迷いのない瞳を湛えるサグリ。他の幹部らと共に、暗黒の金庫から厳粛に出てくる彼女が、この時も着ていた軍服の胸元には、東国のエンブレムが強く光輝いていた。
『日記帳型兵器の使用及び執行法 第12条1項
:日記帳型兵器に書き込みを行う者及びそれに立ち会う者は、前条に示した特別会議によって選任された者でなければならない。
同2項
:日記帳型兵器への書き込みは、その時点及び後世の者への視認性確保のため、また当該兵器自体への正常な認証のため、別紙の規定に則った筆記具を用いて行う。
同3項
:日記帳型兵器への書き込みを行う際は、その書き込みを三人に分担した上で三人以上の監視の下で行う。』
(12条起草意図:
1項
:1680年代に起きたベルゲート市街連続殺人事件に基づく。(中略)独断や無許可で当該兵器を用いることは、何人も、また国の最高司令部であっても固く禁止されるべきである。
2項
:当該兵器の始めのあたりのページにある書き込みは極めて薄い字で為されており、その使用について詳細が今も不明である。また我が国が起こる以前に、極端に小さな字で書いた書き込みが当該兵器に誤認識され暴走した歴史が確認されている。当該兵器の明瞭かつ慎重な使用という同1条の観念に即し、記載の視認性は必要不可欠である。*一定起草者の反対意見・補足意見あり。
3項
:前2項に同様、当該兵器の慎重な使用及び政体への反旗の目的での使用を防止するためには、(中略)故意または過失により、特別会議での合意と異なる事項が書き込み段階で書かれることがないような監視を置くのが妥当である。)
(終わり。)
簡易解説:
そもそもDyaryは通常の日記帳より規格外に大きい上、書き込み内容は周囲にもわかりやすくなければならないので、正確な認証や周囲への配慮のため視認性の高い極太のペンを使うのは妥当で必然だった。
サグリ:探りを入れる。書き込みに監視がつくことから。
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Goodって?
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