【正解を創りだすウミガメ】投票会場【第39回】

【最優秀作品】
・No.2「蟹の爪、蟹の鋏」(弥七さん)
納得度も勿論、語り手の壮絶な体験が素晴らしい描写で表現できていました。
この問題文でここまで重いストーリーを生み出せるのは流石の一言です。

・No.5「いく日」(ハシバミさん)
今大会で一番の納得度の解説を叩き出しており、これが決め手でした。
語り手の心情も上手く表せていてグッド。

・No.6「その後、このネタはいろいろあって優勝した」(とろたくさん)
海亀としての納得もかなりのものでしたが、やはり素晴らしいストーリーが決め手でした。
やはりコメディなストーリーが好きなのかもしれません。

【最難関要素】
⑤「刑事が首を突っ込みます」
他のは割とすぐに発想しストーリーに組み込めたのですが、この要素だけはどうすればいいか分かりませんでした。
強引な解釈に頼ったという点で自分にとってはこれが一番難しかったです。

【匠】
No.1、5、7

【エモ】
No.4、6

【スッキリ】
No.2、5、6、7

【以下各作品への感想】
No.1『子豚と主夫』（きの子さん）
仲睦まじい家庭の一幕という感じです。
各要素の使い方が中々上手かったです。特に⑨の発想は言われてみれば確かに！といった感じで匠と思いました。
ほとんど菓子を作ったことがないためか、焼き途中の生地がバターで滑るのはイマイチピンときませんでしたが、こちら側の問題ですねコレ。
低カロリークッキーもあるみたいですし、身体と相談しつつ食べましょう。

No.2『蟹の爪、蟹の鋏』（弥七さん）
蟹漁業が大変なお話です。
油を気にする→船が転覆したと勘づく→生存者に成りすますために横になる、というロジックがとても納得感が高いと感じました。簡易解説も上手い具合に要約されていてスッキリです。
現代だとなりすましが難しいと思ったので、時代がいつ頃なのか少し気になる感じです。
④が刺されて痛いなのか死んで遺体なのか、何故か少し気になってしまった俺です()。①を「いつ死んでもおかしくない状況」の比喩として使用したのも面白かったです。
蟹漁業は以前ディスカバリーチャンネルで見た「ベーリング海の一攫千金」の印象が強いです。

No.3『金持ちん家の猫とか勝ち確って思うだろ？』（きの子さん）
気ままな猫生を送る話です。
語り手を猫にするという発想が中々面白かったです。
油をラーメンと解釈するのは評価が別れそうです。
⑦をMPPを「マジでポンポンペイン」としたのは少し笑ってしまいました。
猫にラーメンは本当に毒なのか(まあ十中八九毒だけど)気になったので「猫　ラーメン」でググったところ、「猫ラーメン」という漫画がヒットしました。

No.4『ねこなり坂』（弥七さん）
寝子に成るのが猫が鳴るようになるの話です。
寝子成り坂が猫鳴り坂になる経緯が中々秀逸でエモだと感じました。
油の描写ですが、服に油をしみこませて火を点けたということでよろしいでしょうか。読解力の問題かよく分からなかったです。
⑨をこんなバイオレンスな使い方にするのは思いつかなかったです。
坂自体は実在する物でしたか。それを基に話を考えるのは中々すごいと思います。

No.5『いくひ』（ハシバミさん）
自分の行く末を気にする話です。
納得度という点では今回の作品では一番だったと感じました。匠賞に相応しいと思います。簡易解説も簡潔にまとめられていてスッキリ。
武士の顛末や心情に関しては、知識不足もあってかイマイチピンときませんでした。
③を上手い具合にストーリーに組み込めており、これも匠だと感じました。
心情では腹は膨れないが、かといってあっさり捨てきれるものでもない。悩ましいものです。

No.6『その後、このネタはいろいろあって優勝した』（とろたくさん）
SMプレイと火事の話です。
えっと・・・とりあえず簡易解説と本文のテンション雰囲気が違いすぎます()。この混沌をよくぞまとめきれましたね。スッキリ賞です。それはともかくとして、コントを基に作品を連想するのは流石です。シチュエーションはともかく、内容も納得度が高かったです。エモンガ賞に相応しい作品でしょう。
全部の要素を使い切ったのも見事でした。・・・SM関連が半分以上ってマジ？
キングオブコントまだ見れてないですが(結果は知ってる)、この作品を見たことで録画したのを見てみようと思いました。

No.7『醜態』（うつまさん）
刑事が頭をぶつける話です。
短くまとまっており、さながら実際のウミガメの様。スッキリです。
⑦「大きくなる」→「大きく鳴る」はかなり秀逸。とても匠です。
車のメンテは定期的に。

No.8『11月21日のLTW興行』（ｼﾁﾃﾝﾊﾞｯﾄｰ）
Google検索大活躍な作品になってごめんなさい()。
設定や妄想が大爆発した作品となりました。
おかげでやたらゴチャついた感じになったりしたのは良くなかったなと。
プロレス知らない方を完全に置いてきぼりにしてる自覚もあります()。この点は反省してない。
⑥のパイプ椅子を使ってる人が思いのほか少なかったですが、俺はプロレスだったので何度も安直に登場させることが出来ました。

No.9『ガラス越しに。』（布袋ナイさん）
自殺とオイルタイマーの話です。
オイルタイマーに着眼したのは面白かったです。油でこれを発想したのは中々見事だと思います。
落としてからオイルタイマーをひっくり返した理由が少しわからなかったです。こちらの読解力の問題ですね。
⑨実際に淡雪炒めという料理が存在するのは知らなかったです。夜中に書いてるので、図らずとも飯テロを喰らいました()
何となく「謂れの無い罪の十字架」が気になってしまう。

【要素の感想】
今回は最低で5つ、その上文字数制限無し、という形式だったため、難しいのは避けた人が多かった印象です。

①死神は踊ります
→当然ながら死を連想し、「今にも死にそう」「もう少しで死ぬ」といった状況の比喩として使用した形跡が目立ったように思います。
②1分間は80秒です
→思いのほか使用者が多かったです。思い思いの方法で一分を80秒にしてました。
③最後の一枚です
→こちらは全員が使うくらいのつもりだったのですが、そこまで多くなかったですね。
④いたいです
→汎用性が高いからか、全作品で使用されてました。「～していたい」という使用例もありましたが、やはり「痛い」「遺体」が多かったです。①とコレのせいで物語の雰囲気が物騒になった作品が多かったかもしれません()
⑤刑事が首を突っ込みます
→使用したのは9作品中3作品、全要素使用作を除くと1作のみと、こういう要素が成り立ちそうなシチュエーションは多そうにも関わらず難関要素になりました。物語の方向性が限定的になりそうなのが避けられたのかもしれません。
⑥パイプ椅子は登場します
→こちらも⑤同様、使用したのは9作品中3作品、全要素使用作を除くと1作のみの難関要素に。俺が出した要素なのですが、そんなに難しかったでしょうか()。俺はいつもプロレスを想定してるので苦戦しなかったのかもしれません。
⑦MPPがすごい です
→⑤⑥同様以下省略。まあこれは中々処理が難しそうだと思いました。俺は固有名詞として使うことで逃げました。
⑧語尾に特徴があります
→ほとんどが訛りか物の弾みだったので、ハシバミさんの使い方は中々独特だと感じました。
⑨卵の白身の部分だけ焼きます
→料理の手法として使用してる例が多かったです。そのためか弥七さんの両作品、特に「ねこなり坂」のインパクトが強かったです。
⑩大きくなります
→こちらも全作品使用。やはり汎用性が高い要素は重宝しますね。こちらはうつまさんのが見事でした。
⑪ツメのところが１番おいしいです
→蟹の爪ってそんなに美味しいのですか？ほとんど食べたこと無いので分かんないです。
⑫油が滑ります
→「油で滑る」→「その油が気になる」→「横になる」・・・と、問題文と見事にマッチしてたからか、こういう使用法がほとんどでした。
⑬上司のカツラで遊びます
→9作中全要素使用の2作のみと、これが一番使用作が少なかった要素でした。まあ難しいから仕方ないです。
⑭十字架を担ったのです
→これも①④と並んで物語を物騒にした代物。

最後に主催者のクラブさんと参加者の皆様に最大限の感謝と敬意を。ありがとうございました。

メイン投票
②『蟹の爪、蟹の鋏』（弥七さん）
要素が複雑で多様だったからか今回はまとめるのが非常に難しかったかと思いますが、その中でも油と横になるの使い方が上手かったと思った弥七さんに一票入れさせていただきます。

最難関要素
⑪ツメのところが１番おいしいです
これでは無いでしょうか。ツメがカタカナになっているのもなかなかに。つめがならまだ詰めと言う言葉として使えたかもしれませんが、ツメですと指や蟹などの爪しか入れられず、これを入れようとするとスープの背景がもうだいぶ決まってしまうのでかなりの影響が出たものと思われます。

サブ投票
エモンガ賞
⑥

スッキリ賞
⑦（車と油、点検のネタは私も考えましたが、うつまさんに先に越されたのでやられた・・と思いました。警察と犯人の追いかけっこ→犯人の車の油が漏れていて居場所がバレて犯人が捕まる→パイプ椅子に座らせられて尋問という流れで考えてました。）

です。参加出来ずにスイマセン。投票だけさせていただきます。

②『蟹の爪、蟹の鋏』（弥七さん）に1票
蟹の爪から蟹工船に、そして殺人事件に繋がるのが面白かったです。
話が進むに連れて「つまりどういうこと？」と疑問が増えますが、それらがしっかり回収されるのが気持ちよかったです。

③『金持ちん家の猫とか勝ち確って思うだろ？』（きの子さん）に1票
解説としては比較的シンプルで、納得感が強かったです。
油が「気になった」→「急いで」横になったのニュアンスと因果が一番綺麗だと感じました。

⑥『その後、このネタはいろいろあって優勝した』（とろたく(記憶喪失)さん）に1票
卵の白身の方が固まる温度が低いことを利用した目玉焼きプレイは笑いました。
元ネタは今回はじめて見ましたが（絵面がまた強烈で面白かったです）、要素と解説が綺麗に混ざっていて面白かったです。

最難関要素：⑦MPPがすごい です
真っ先に使用候補から外しました。一応造語でなくても使う術はあるようですが。
「すごい」がまた抽象的ではありますが厄介で、逃げずに回収した方々は本当に偉いです……笑

匠：②⑥⑦
エモンガ：⑥
スッキリ：⑦

①『子豚と主夫』（きの子さん）に1票

⑤『いくひ』（ハシバミさん）に1票

⑨『ガラス越しに。』（布袋ナイさん）に1票

最難関要素：⑦MPPがすごい です

匠：⑥⑧
エモンガ：①⑤⑨
スッキリ：①③⑦

②『蟹の爪、蟹の鋏』（弥七さん）に1票
⑦『醜態』（うつまさん）に1票
⑧『11月21日のLTW興行』（ｼﾁﾃﾝﾊﾞｯﾄｰさん）に1票

最難関要素：①死神は踊ります


↓↓↓ここから感想短歌↓↓↓


①『子豚と主夫』（きの子さん）
オーブン前　親子の攻防　微笑まし　それはそれとて　クッキー食べたい

②『蟹の爪、蟹の鋏』（弥七さん）
罪隠し　蟹に紛れる　その赤よ　名作活かす　弥七の神業

③『金持ちん家の猫とか勝ち確って思うだろ？』（きの子さん）
来世猫　その弊害に　つい涙　それはそれとて　ラーメン食べたい

④『ねこなり坂』（弥七さん）
猫が鳴く　闇の向こうは　幻か　好みな話に　蟹爪を添え

⑤『いくひ』（ハシバミさん）
その先が　ゆるめく死でも　捨て置けず　沈む親子は　泥舟のよう

⑥『その後、このネタはいろいろあって優勝した』
さあやるぞ　久々腰入れ　創りだす　よりにもよって　どうしてそうなる　

⑦『醜態』（うつまさん）
納得感　それはそうとて　痛いっぴょ　個人的には　流行語大賞

⑧『11月21日のLTW興行』（ｼﾁﾃﾝﾊﾞｯﾄｰさん）
歪みなく　我が道を往く　ｼﾁﾃﾝさん　ねえもしかして　毎月やってた？

⑨『ガラス越しに。』（布袋ナイさん）
望むもの　食べて眺めて　逝く姿　心のどこかで　惹かれてしまうよ


最難関要素：①死神は踊ります
死神が　踊っているよ　かわいいね　どうあがいても　死亡のフラグ

次点難関要素：⑪ツメのところが１番おいしいです
こういうの　要素がだいたい　限られる　ほら見てこんなに　サブリミナル蟹


たのしかったです　ありがとう

メイン投票

⑤『いくひ』（ハシバミさん）に1票
一人称で語られる独白から、何度も繰り返す言葉を特徴のある語尾だと皮肉るくらいには武士という身分に縋り続ける母にうんざりと思いながらも見捨てる事は出来ずに、2人分の食事を工面する男の苦しい心情が伝わって来るようでした。
また、男が、見捨てられない事を罪だと断じて、自身はパライソになど行けないだろうと言う傍ら、父に対しては一人でパライソなんぞに行ったのだろうか、と言っている辺りに、心のどこかでは父の事も恨み切れていないのだろうなと察せられて、苦しいです。
問題文の解釈が、とても納得感があって素晴らしいと思いました。

⑥『その後、このネタはいろいろあって優勝した』（とろたく(記憶喪失)さん）に1票
元のネタの流れを汲みつつも全ての要素を無理無く折り込み、また文章として読んだ時に面白くなるように自然な肉付けと改変がされていて、とても読んでいて楽しかったです。
特に豚語尾になる下りを読んだ時と、太っているのが堂本さんとなった事で、加護村さんの頭のストッキングが最後の最後まで取れていなかった事に気が付いた時にはとても笑いました。

⑧『11月21日のLTW興行』（ｼﾁﾃﾝﾊﾞｯﾄｰさん）に1票
私は普段全くプロレスを見ないのですが(内容がなんでもありの40人戦での事なので見る人で合っても見た事の無いものとはなると思うのですが)実況解説のお二人の語る試合内容がとても面白くて、読んでいてとても楽しかったです。
30人戦だった筈なのに何故か10人増えてしまっていたところや、警察ユニットの方が手錠で殴り始めた…と思ったらカツラを鞭のようにして叩きつけ始めたところ、果てはサラダ油をぶち撒け、本人含め全員転倒→ デッキブラシで油を排除の流れはとても笑いました。
笑えるところばかりでは無く、最後の一騎打ちでは武器を駆使しての派手な戦いには、思わず胸が熱くなりました。
オチもとても好きです。

最難関要素：⑦MPPがすごい です

エモンガ賞
①『子豚と主夫』（きの子さん）
小さい頃私も妹と2人でオーブンの中のお菓子を覗き込んで、張り付いた事があったな…と懐かしい気持ちになりました。
父娘の日常のワンシーンが上手に落とし込まれていて、娘の脇から横になりながら見たくっつきそうなクッキーを心配しながらも、クッキーの焼き上がりを今か今かとわくわくしながら見守る娘をどかすことが出来ずに逆に謝って退いてしまうお父さんという可愛らしい情景が目に浮かんできました。
帰ってきたお母さんに、おやつの食べさせすぎを怒られてしまうというオチもとても素敵です…
とてもほのぼのした気持ちになりました。 [編集済]