【ラテクエ０リサイクル】サドネスファイアーワークス

恋人同士のカメコとカメオ。
もうこの花火を見るのも何回目だろうか。
打ち上がる花火は幾度も空を染め、そのたびに歓声が沸く。
しかし、こんなにも激しい喧噪なのに、二人でいるときはまるで誰もいないかのように、打ち上げ花火の音だけが聞こえる気がする。
一つ、二つと大きな花火の美しさ、そして二人をうらやむように大きな怒号を聞き、カメオは心が震えていた。
花火大会が終わり、皆が足早に帰路につく途中、カメオはカメコの手を握って「絶対また来ようね！」と約束をした。

そして数年後……

カメコとカメオは無事結婚。早々に子宝にも恵まれた。
そして、息子カメタが産まれてから数か月後の八月。

「カメコ、今年も花火大会行こうよ」
授乳におむつに大忙しのカメコをしり目に、カメオはのんきに言った。
「はぁ？　まさか外で見るの？　別にここからでも見れるじゃない。それに、今からじゃ絶対混むよ？」
「大丈夫だって、去年だってそんなに混んでなかったじゃん」
「それはそうだけど……って、そういう問題じゃないでしょ！」
「とにかく、準備して」
「はぁ……」
息子がいるのに、と思いながらカメコは自分とカメタの分の準備をした。

カメオの目論見は外れ、会場までの道は激混み。
加えて、カメタは泣き出すわそのたびにカメコは不機嫌になるわ、散々だ。
道が混んだせいで、一足早く打ち上げ花火が上がってしまった。
家から見る花火と大して変わらない花火を見ながら、カメオは思った。

「……育児なめてた。こうなるなら、来なければ良かった……」

要約：生後数か月の子供を連れて激混みの花火大会に行くのはちょっと……