冤罪男の災難

ある日の満員電車で女子高生のラテコは痴漢被害にあった。
幸か不幸か、気が強かったラテコは怯むことなく犯人であるウミオの手を掴み痴漢の容疑者としてホームへと引きずりだしたのだ。
駅員を交えて話をするも、ウミオは自分は「痴漢などしていない、冤罪だ」と言って聞く耳を持たない。

すると突然、電車内では少し離れた場所にいたはずのカメコが「私もこの人にお尻を触られたの」と言ってやってきた。
誰が見てもウミオがカメコに対して痴漢をすることが不可能であるにも関わらずだ。
「私から離れたと思ったらこんな若い子にまで……」などと言いながら、ラテコが位置関係を証言しようが警察や駅員が間違いではないか確認しようがカメコは頑として譲ろうとしない。
ラテコが被害者であるはずなのに現れたカメコに状況が混乱する中、ウミオがとんでもないことを口にした。

「こんな婆さん誰が痴漢するか！俺がやったのはそっちの女子高生だけだ！」

誰がどう見てもカメコはお婆さんであった。
しかしそのウミオの言葉を聞くなりカメコ婆さんはラテコへと話掛ける。

「やれやれやっと認めたかい。娘さん怖かったでしょう？この変態男からたっぷり慰謝料取ってやんなさいね」

ラテコに痴漢をしていた罪を自白してしまったウミオはあっさりとお縄についた。
カメコも「あの男も婆さんに手を出すとは思われたくないだろうからね」と笑って事態を混乱させたことを駅員や警官に謝罪して去っていった。
カメコの「自分も触られた」という嘘は事件を明後日の方向に対し大袈裟にすることでウミオに本当の罪を自白させるためのものだったのだ。

痴漢も冤罪も恐ろしいですが、全く関係ない人から「デブ専」や「ババ専」の疑惑を掛けられて事実を自白したアホな痴漢は結構実在するそうな。