駆け込み乗車=生きがい

発車ベルが鳴り響く最寄り駅のホーム。
カメオの目の前で閉まる電車のドア。
再びドアが開くようなこともなく、ホームにカメオを残したまま電車は発進した。

ホームから電車が見えなくなった頃、全力で走ったせいで息を切らしていたカメオは、

次の電車を待つことなく帰宅した。

一体どういうことだろうか?
[カラシラ] [10ブクマ]

【ウミガメ】18年07月12日 18:44
No.1[OUTIS]07月12日 18:4707月12日 18:47

カメオは電車に乗ろうとしていたのかナ?

ノー! [良い質問]

No.2[OUTIS]07月12日 18:4807月12日 18:48

カメオは電車を見ることが目的だったのかナ?

ノー

No.3[OUTIS]07月12日 18:4907月12日 18:50

カメオは電車に乗った人物と別れた、要は見送りに来ていただけかナ?

お見事! [正解]

参加者一覧 1人(クリックすると質問が絞れます)

全員
OUTIS(3良:1正:1)
ユイさんが僕にとって「近所の優しいお姉さん」以上の存在になったのはいつからだっただろうか。
「駅まで見送りに来てくれてありがとね、カメオくん。」
それ自体は多分何年も前。
「みんな大げさよね。次の夏休みには帰ってこれるのに。」
ただ、はっきりと自覚したのは最近のことだ。
「不安もあるけどね、今はすごい楽しみな気持ちよ。」
大学進学のために上京するユイさんにまだ想いを伝えられていない程度には、最近のことだ。

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カメオは全く実感できていなかった。
ユイに想いを伝えられていない理由として気恥ずかしさを挙げるのは間違いではない。
別に一生会えないわけではないのも理由の一つだ。
ただ一番カメオの枷となっていたのは、
ユイがいる風景が日常でなくなることを、そうなれば心の距離は否応なしに離れていくことを全く実感できず、どこか他人事のように感じていたことだ。


二人しかいないホームに発車ベルが鳴り響く。
ユイが大きな荷物を持って電車に乗り込んだ。
「じゃあ、またね。」
「うん、また。」
普段と何も変わらない別れの挨拶を交わした二人を別つようにドアが閉まる。

ゆっくりと動き出す電車。
ゆっくりと広がっていく二人の距離。

その、ユイが離れていく現実は、

ようやくカメオに離別の実感をもたらした。

嫌だ。嫌だ。
何が嫌だ?
このまま何もせず離ればなれになるのは嫌だ。
じゃあ何をしたらいい?

カメオは走り出した。

「僕、たくさん勉強するからっ!
たくさんたくさん勉強して東京の大学に合格するから!
だからっ!待ってて!」

たどり着いたホームの端で叫ぶ。

「僕はあなたのことが大好きなんだ!」

電車を見るといつの間にかユイが窓から顔を出していた。
そして似合わない大声で叫ぶ。

「待ってる!」

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電車が見えなくなった頃、全力でホームを走って息を切らしていたカメオはゆっくりと、しかし確かな足取りで家路についた。
駅の花壇に植えられたチューリップの花が風に揺れていた。



要約解説
カメオは駅まで見送りに来ていた。息が切れていたのは発進した電車を追いかけてホームを走ったからで、最後には見送りを終えて帰宅したのである。
18年07月12日 18:44 [カラシラ] [10ブクマ]
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OUTIS
・・・ドンマイ[18年07月12日 18:52]
OUTIS
出題感謝するヨ[18年07月12日 18:51]

おう[編集済] [18年07月12日 18:51]
カラシラ[10ブクマ]
OUTISさんお見事でした!ご参加ありがとうございましたー[18年07月12日 18:51]
カラシラ[10ブクマ]
OUTISさんようこそ[18年07月12日 18:47]
OUTIS
参加させてもらうヨ[18年07月12日 18:46]
カラシラ[10ブクマ]
皆さん歓迎いたします[18年07月12日 18:44]
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