カメオは鈍いが褒められる

年に一度、カメオの通う小学校では近所の自動車学校を貸し切り、
自転車安全講習会を開催していた。

そこでは実際に自転車に乗車するところから、道路の左側走行、
駐車車両を避けて運転、右折、信号横断、一旦停止と左折、ジグザグ走行、
そして幅が短いが奥行きがある薄い板の上で足をつけずに出来るだけゆっくり走行をする等、
自転車に纏わる交通ルールの確認や安全確認の徹底、運転技能の確認等を
実際に各々の自転車で運転しながら行なっていた。
これらは全てそれぞれの学年でクラス毎、名簿番号順に行われるため、
ゆっくり走行の場所を担当していた先生は、誰が何秒間板の上に居続けられたか
を記録することができた。

講習会も終盤に差し掛かり、先生が生徒を集合させ閉会式が始まった。
そこではまず、最も時間をかけてゆっくり走行をすることができたカメオが
自転車と共に皆の前に立ち、お手本を見せることになった。
多少緊張はしたもののカメオは何とか前回と同じくらい遅く運転することができ、
やっと板の先端に辿り着いた時、司会をしていた自動車学校の教官が

「はい、ありがとうございました！
みんなカメオ君に拍手〜！！」

と呼びかけると、カメオの学校の子供たちは一斉に拍手を送った。
カメオは照れながら満更でもない様子でそそくさと自分の席に戻っていった。

(正直これって何の意味があるんですかね？
ゆっくり走行しなければいけない場合って、
別に自転車から降りて歩いても良い時だと思うのですが・・・)