ご馳走様でした！

「……と、いうことがあってさ」
「へぇー。……実は俺もだ」
「マジかよ」
「ほれ見ろ、玉手箱」
「うわぁー」

浦島太郎と弟の次郎、海辺で遭遇。
やべぇ美女に会ったと盛り上がっております。

「でさ、兄貴あれ、見た？」
「どれだよ」
「乙姫様のナマ着替えシーン」
「ちょ、おま、見たのか！　クッソ裏山！　そこ変われ！」
「いやいや、落ち着けよ、餅つけ」
「ぺったん」
「乙姫様さぁ……サメだったんだよね」
「はぁ？」

はぁー撫で方が雑！
報酬がなけりゃやってらんないね。

「おかしいと思わねぇ？　他に居るのは亀か魚だぜ？」
「確かに、海の底に人間の女一人ってのも」
「な？　変だろ？　んで一つ思ったんだけど……」
「何だよ焦らすなよ」
「……兄貴もいろいろ聞かれたよな？」
「薬や酒を飲むかとか、肉を食うかとか？」
「そうそれ。YESの度に残念そうにするじゃん？」
「……言われてみれば、確かに。……まさか」
「キレイな人間を食べたい人喰いサメでしたー、みたいな？」
「……有り得る」
「よな！　俺ら危機一髪！」
「酒煙草やっててよかった！」

……うん？
おーいボス、いろいろとバレてるっぽいぞ。

「ところでよ、開けたか？　玉手箱」
「いや、なんか怖くて開けてない」
「正解だよそれ。昨日、うちの猫がじゃれて開けたんだよ」
「あのクッソふてぶてしいやつ？」
「そう。中から出てきた煙に包まれた後、変になっちまって」
「詳しく」
「拾ってきた直後みたいな？　嫁のことも分かんねぇっぽい」
「……うちの近所の猫もすげぇじゃれてさ、魚やって遠ざけたんだけど」
「まさか猫もグルだったりとか」
「こいつも？」
「こいつは寝てるだけだろ」

ああーエージェントUTICが任務失敗。
回収して解毒してやってくれ。
それからエージェントUJKCが寝返ってるぞ。
ついでに私も拾ってくれ、猫背を伸ばされる。

「そこまでやるってことは、俺達は守備範囲外だったってことかな」
「美女の守備範囲外であることが嬉しいなんてな」
「あ、また亀がいる」
「猫が魚で雇われた記憶処理班？　もう何も信じらんねぇ」
「あ、坊主が助けに行った」
「そういやうちんとこの若和尚、生臭どころか酒もやらねぇな」
「生真面目すぎて、ほぼビーガンだよな」

おい、エージェントSOUP！
演技を止めてさっさと逃げろ！

「「やべえ！！」」

チラッチラしてんじゃねぇよ！！


正解
乙姫様が味的な意味で好みの人間を探していると察したが、自分はその基準に引っ掛からなかったようなので安心した。