さらちゃんの一日！

コンコンと窓をノックする音がする。
「すみません、警察の者なんですけど」
「何ですか？」
「免許証とその画面見せてもらっていいですか？　イヤホンも。何聞いてるの？」

イヤホンを外して振り向くと、そこにいたのは二人の警察官。そしてさらちゃんの先輩、コンビニにでも行ったんじゃなかったのか？

「何かあったんですか？」
「ちょっと、ストーカー事件が」
あ、これガチであかんやつ。

私は脱兎のごとく飛び出した。
最後に一目だけでも、さらちゃんに会いたい。あわよくば抱きしめて頬擦りして……とにかくナマで見たい！
道を突っ切りマンションに飛び込み、一路階段を駆け上がる。待っててさらちゃん！
しかし、階段の上には人影が……さらちゃん！　ああ私の女神が迎えに来てくれた！　先週LEDになった後光が眩しいよ！

私の胸元に手を伸ばすさらちゃん。
潰さないようにそっと抱きしめる私。
密着する私とさらちゃん。
「せいッ！」
見事に決まった一本背負い！

「はーいお見事、逮捕しまーす」
「……広辞さんの出番はなかったか」
「さらが強すぎたんだよ。ピアノと柔道を両立する人なんて聞いたことないわ」

まって、そんな情報なかったよ……！