戦後間もない冬の頃、一帯を囲む鱗岳という山で人食いの怪物が出た。
ある日は林で娘を襲い。
ある日は沢で子供を襲い。
ある日は自宅にいた一家を襲ってその肉を貪ったそうだ。
その姿は、40~50本ほどの足を持ち、全身には針のような毛が生えた、体躯は十数メートルになる恐ろしい怪物だったそうだ。
多くの被害が出たそうだが、集落の男衆が決死の思いで退治した。
不思議なのは、この伝承は決まって隣山やその周辺の村々において語られており、肝心の虻戸集落にはそのような伝承は存在しなかったということだ。
さて、上記のような伝承が産まれた経緯を、YESかNOで答えられる質問から導き出してほしい。


この伝承は「なまはげ」のように、言い聞かせることで子供に悪いことをさせない狙いがありますか?

NO そのような狙いはありません。

襲撃された者の生き残りはみんな次の襲撃を恐れて転居してしまい、転出先の集落とかで伝承しましたか?

NO 集落がなくなった原因は伝承とは無関係です。過疎化とかで構いません。

「その姿は、40~50本ほどの足を持ち、全身には針のような毛が生えた、体躯は十数メートルになる恐ろしい怪物だったそうだ。」というのは、誇張されて伝わった話でしたか?

YESNO!誇張という見方もできますが、「勝手にそんな噂になった」感じです。 [良い質問]

虻戸集落の生き残りは逃げて周辺の村などで伝承として事件のことを伝えましたか?

NO 虻戸集落の人間が伝承を作ったわけではありません。

ヒグマ騒動は報道されましたか?

YESNO!報道という規模ではないですが、噂として周辺地域には伝わっていました。 [良い質問]

昔のことで、ちゃんとした記録がほぼ残っていないですか?

ある意味YESなんですが、伝承の根本は昔から(事件後まもなく)からあります。

虻戸集落ではヒグマの話をタブーとしましたか?

凄惨な事件だとするとYESな気がしますし、YESの方が成立しやすいですが、そんなに重要ではないです。

伝言ゲームのうちに話が大きくなりましたか?

直接的な原因はNO!「怪物だったんじゃないの?」っていう話が周辺の村で出てきた理由(経緯)が重要です。

縁起物みたいな感じで、あちこちで作られた模造品かなにかが「怪物の足」として売られましたか? [編集済]

縁起物みたいな感じでは無いですが、発想はかなり近いです! [良い質問]

退治されたクマの毛皮とかが売りに出され、買った人が自分の買ったものをベースにして話を膨らませて伝えましたか?

買った人が自分の買ったものベースに話を膨らませた、だと微妙にNO!買った人が話を膨らませた、というより… [良い質問]

集落を襲ったヒグマが殺された後、その話に便乗して肉やら皮やらを「虻戸の怪物のだ」と近隣で売った人がいた。彼の売ったそれらの総数を合わせるとバケモノみたいになりますか? [編集済]

YES!正解です! [正解]
戦後間もない冬の頃。
虻戸集落一帯を囲む鱗岳という山で、人を食う怪物が現れた。
怪物は賢く狡猾で、巧妙に集落の人々を襲い続けた。
いつしか隣山や離れた村にも噂は広がった。
「鱗岳には人食いの怪物が出る」、と。
最初の犠牲から13日後、マタギを含めた村の男衆総出で退治を試み、怪物は仕留められた。
怪物の正体は羆だった。
冬眠に失敗した、いわゆる「穴持たず」だった。
羆は全長2.5メートルにもなる大型の個体だった。
村で話し合い、この羆の肉は集落の内外で売ることになった。
何せ「人食いの怪物」の肉である。その物珍しさから麓でもよく売れ、冬の虻戸に予期せぬ実入りをもたらした。
だが、うまい話があれば悪事を企むものが出てくる。
ある時、ただの熊肉を「人食いの怪物」の肉と偽って売る輩が現れた。酷いときは熊肉ですら無いものもあった。
集落の外では、元の羆では説明がつかない量の肉が出回った。
加えて味も質もまちまち。一部では偽物だと看破する人はいても、それを証明する手段もない。
そうこうしているうちに冬が明け、人食い熊の肉に関する騒動は落ちついた。
だが、あの肉はなんだったのか?という噂は絶えなかった。
偽物を食べたせいで、「そもそも熊の味じゃなかった」と主張する人もいる。
いつしか話に尾ひれがつき、「羆なんかじゃなく、虻戸には本当に人食いの怪物が現れた」のだと囁かれるようになった。
そして出回った肉の量からその姿も勝手に膨らんでいき、「虻戸集落の怪物」の伝承が出来上がった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
以上が「虻戸集落の怪物」に関する有力な説である。
今や、本当のことを知る人は誰もいない。
肉はみんな食べてしまったから、羆の存在を証明できるものは残ってないし、虻戸集落も50年ほど前に高齢化による過疎で失くなってしまった。
もしかしたら、本当に未確認の怪物だったのかもしれない。上記の話もあくまで当時の伝聞から生まれた有力な説というだけで、その真実を裏付けるものは何もないのだ。
なお2025年現在まで、鱗岳周辺で羆の生息は確認されていない。
参加者一覧 5人
















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