昔々。
ウミガメ山に亀吉という若い男が住んでいた。彼はお人好しで有名な男で、多くの人から信頼されていた。
ある冬の日のこと。
獣害に悩む麓の村民からの依頼で、ある猟師が一帯に罠を仕掛けていたのだが、その罠に1羽の鶴がかかっていた。
村に食料を買いに来ていた亀吉はたまたまその様子を見つけ、「かわいそうだ」と思い鶴を罠から逃がしてやった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
激しく雪が降り積もるその夜。
─────コンコンコン。
「ごめんください。」
誰かが亀吉の家を訪ねて来た。
一瞬、人伝に聞いた鶴の恩返しの話が脳裏を過った亀吉。
しかし即座に訪問者の正体が鶴ではないことに気づいた亀吉は、自衛のため家の玄関に立て掛けてあった斧を手に取った。
(…来るなら来い)
そう思い身構える。
しかしその後、「訪問者の本当の目的」に気付いた亀吉は斧を置き、この怪しい存在を家に招き入れてやることにした。
問
訪問者の正体を踏まえて、亀吉の元を訪れた目的を推理して欲しい。
ウミガメ山に亀吉という若い男が住んでいた。彼はお人好しで有名な男で、多くの人から信頼されていた。
ある冬の日のこと。
獣害に悩む麓の村民からの依頼で、ある猟師が一帯に罠を仕掛けていたのだが、その罠に1羽の鶴がかかっていた。
村に食料を買いに来ていた亀吉はたまたまその様子を見つけ、「かわいそうだ」と思い鶴を罠から逃がしてやった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
激しく雪が降り積もるその夜。
─────コンコンコン。
「ごめんください。」
誰かが亀吉の家を訪ねて来た。
一瞬、人伝に聞いた鶴の恩返しの話が脳裏を過った亀吉。
しかし即座に訪問者の正体が鶴ではないことに気づいた亀吉は、自衛のため家の玄関に立て掛けてあった斧を手に取った。
(…来るなら来い)
そう思い身構える。
しかしその後、「訪問者の本当の目的」に気付いた亀吉は斧を置き、この怪しい存在を家に招き入れてやることにした。
問
訪問者の正体を踏まえて、亀吉の元を訪れた目的を推理して欲しい。
前にチラッと原型を話したことがあるかもしれません。知ってる方はお口チャック!
参加者一覧 6人(クリックすると質問が絞れます)
全員
ルーシー(1良:1)
シュガー⭐︎(2良:2)
るょ(2良:1正:1)
アカガミ(2良:1)
異邦人(2良:1)
歩道(1良:1)
簡易解説
鳴き声から、訪ねて来たのが女性に化けた狐であることに気づいた亀吉。「人間に化けて自分をからかいに来た」と思った亀吉だったが、「人に化けて喋れる狐が鳴き声を発する必要がない」ことから、まだ人に化けられない狐を連れており、「化かしに来たわけではない」と判断した。
そして最近起こっている獣害の内容が、「狐による食料庫荒らし」であることから、恐らくこの狐は「厳しい冬の雪で食べ物に困っている」と考えたお人好しの亀吉は、家に招き入れてやることにした。
FAポイント:鳴き声と獣害の内容から「狐が食料を恵んで貰いに来た」ことを明らかにする。
ながいやつ
ウミガメ山の麓にある村。
そこに住む村人達にはある悩みがあった。
村の食料庫が、よく獣に荒らされているのだ。
歯形や足跡から「犯人は恐らく山に住む狐だろう」と言われていたが、猟師が見張っているときに限って狐はなかなか出てこない。
奴らはずる賢いのだ。
現時点での被害自体は極端に多いわけではないのだが、この後どんどん悪化する可能性だってある。
業を煮やした猟師は、辺り一帯に罠を仕掛けることにしたそうだ。
ある時、食料を買いに村に来ていた亀吉は、帰りに罠にかかった鶴を助けてやった。
その夜は激しく雪が降り積もり、亀吉の住んでいる山全体が吹雪いていた。
コンコンコン。
「ごめんください…。」
そんな時、女性の声で亀吉の家を訪ねる者があった。
いや、厳密には女性の声の前に「コンコンコン」と狐の鳴き声が聞こえた。
一瞬人伝で聞いた鶴の恩返しの話が脳裏に過った亀吉であったが、狐の鳴き声を思い返しすぐに考えを改めた。
(狐だ。狐が俺を化かしに来たんだ。)
そう思った亀吉は鍬を持ち、ジリジリと戸に近づいていった。もし訪問者が無理やり入ってくる素振りを見せるようなら、すぐにでも斧頭で打ち据える気だった。
(…来るなら来い)
「……。」
「……。」
「………………。」
おかしい。入ってこない。
まるで律儀にこちらが招き入れるのを待っているようだ。
そこで亀吉は思った。
(そもそも、ずる賢い狐が鳴き声を聞かれるなんてへまをするだろうか?)
人間に化けても鳴き声をあげることがあるのか?それとも、そもそも狐であることを隠す気がないのか?まさか化けられない狐を連れているのか?なんのために???
あれこれ考えているうちに、亀吉の中で一つの思いが浮かんだ。
(こいつ、マジで俺を訪ねて来ただけなんじゃないか?)
そうだ。そもそも疑問だった。
なぜ山に住む賢い狐が、わざわざ麓の村まで畑を荒らしに来たのか?ひょっとして、例年以上に厳しい雪のせいでこの山の食料が枯れ、比較的降雪が優しい麓村まで来るしかなかったんじゃないか?思えばさっきの鳴き声も、少し甲高かった気がする。子供がいるのか?
可能性は高い。村の警備が強化されたもんだからとうとう畑も荒らせなくなって、食料を恵んで貰いに来たのだろう。ひょっとしたら、村で食料を買うところもこっそり見てたのかもしれない。
確証は無かった。でも、彼は亀吉。
お人好しで有名な男である。
斧を置き戸を開けると、そこには美しい一人の娘と─────やはり、その傍らに1匹の子狐がいた。
亀吉が二人(?)を家にあげると、狐はお礼を言いながら変身を解き、食料を恵んで欲しい旨と、その身の上をポツリポツリと話し始めた。
いつも狩りをしていた旦那に事故で先立たれ、冬を越すための食料が集められなかったこと。
例年より厳しい冬で、山の食料が殆ど枯れてしまったこと。
自分は最悪死んでも構わないが、子供だけはなんとか食わせてやりたいこと。
内容は、大方亀吉の予想通りだった。
狐が話し終わると、亀吉はゆっくりと頷き、こう言った。
「わかった。少し食料を分けてやる。」
「…いいのですか?ありがとうございます!」
「ただ、俺も裕福な方じゃねぇし、冬を越すまでずっと、ってなると厳しいだろう。」
「分かっています。2、3日分だけ分けていただければ、どこか別の住みかを探して…」
「いや、麓の村民に分けて貰おう。あそこは麓だからこっちほど雪は酷くないし、食うのにもそこまで困ってねぇはずだ。」
「しかし、私が娘に化けても、見ず知らずの人に食料を分けて頂けるでしょうか…?」
「それは俺から頼んでみるよ。多分、気前良くわけてくれるはずだ。その代わり…」
「今度、ちゃんと謝りに行くんだぞ。付いてってやるから。」
狐は何度もお礼を言って、翌日、亀吉と一緒に麓の村まで謝りに行った。
亀吉から事情を聞いた村民達は、亀吉への信頼故か、今回のことは見逃してくれたそうだ。
その後、村民たちに分けてもらった食料で、狐の親子は無事に冬を越すことができた。
以来狐の親子は山を降りてきては、時折村の畑仕事を手伝っている。最近ではすっかり村民たちと打ち解け、分けてもらった野菜を亀吉に届けたりしているようだ。
それから狐の親子はふたり仲良く、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
鳴き声から、訪ねて来たのが女性に化けた狐であることに気づいた亀吉。「人間に化けて自分をからかいに来た」と思った亀吉だったが、「人に化けて喋れる狐が鳴き声を発する必要がない」ことから、まだ人に化けられない狐を連れており、「化かしに来たわけではない」と判断した。
そして最近起こっている獣害の内容が、「狐による食料庫荒らし」であることから、恐らくこの狐は「厳しい冬の雪で食べ物に困っている」と考えたお人好しの亀吉は、家に招き入れてやることにした。
FAポイント:鳴き声と獣害の内容から「狐が食料を恵んで貰いに来た」ことを明らかにする。
ながいやつ
ウミガメ山の麓にある村。
そこに住む村人達にはある悩みがあった。
村の食料庫が、よく獣に荒らされているのだ。
歯形や足跡から「犯人は恐らく山に住む狐だろう」と言われていたが、猟師が見張っているときに限って狐はなかなか出てこない。
奴らはずる賢いのだ。
現時点での被害自体は極端に多いわけではないのだが、この後どんどん悪化する可能性だってある。
業を煮やした猟師は、辺り一帯に罠を仕掛けることにしたそうだ。
ある時、食料を買いに村に来ていた亀吉は、帰りに罠にかかった鶴を助けてやった。
その夜は激しく雪が降り積もり、亀吉の住んでいる山全体が吹雪いていた。
コンコンコン。
「ごめんください…。」
そんな時、女性の声で亀吉の家を訪ねる者があった。
いや、厳密には女性の声の前に「コンコンコン」と狐の鳴き声が聞こえた。
一瞬人伝で聞いた鶴の恩返しの話が脳裏に過った亀吉であったが、狐の鳴き声を思い返しすぐに考えを改めた。
(狐だ。狐が俺を化かしに来たんだ。)
そう思った亀吉は鍬を持ち、ジリジリと戸に近づいていった。もし訪問者が無理やり入ってくる素振りを見せるようなら、すぐにでも斧頭で打ち据える気だった。
(…来るなら来い)
「……。」
「……。」
「………………。」
おかしい。入ってこない。
まるで律儀にこちらが招き入れるのを待っているようだ。
そこで亀吉は思った。
(そもそも、ずる賢い狐が鳴き声を聞かれるなんてへまをするだろうか?)
人間に化けても鳴き声をあげることがあるのか?それとも、そもそも狐であることを隠す気がないのか?まさか化けられない狐を連れているのか?なんのために???
あれこれ考えているうちに、亀吉の中で一つの思いが浮かんだ。
(こいつ、マジで俺を訪ねて来ただけなんじゃないか?)
そうだ。そもそも疑問だった。
なぜ山に住む賢い狐が、わざわざ麓の村まで畑を荒らしに来たのか?ひょっとして、例年以上に厳しい雪のせいでこの山の食料が枯れ、比較的降雪が優しい麓村まで来るしかなかったんじゃないか?思えばさっきの鳴き声も、少し甲高かった気がする。子供がいるのか?
可能性は高い。村の警備が強化されたもんだからとうとう畑も荒らせなくなって、食料を恵んで貰いに来たのだろう。ひょっとしたら、村で食料を買うところもこっそり見てたのかもしれない。
確証は無かった。でも、彼は亀吉。
お人好しで有名な男である。
斧を置き戸を開けると、そこには美しい一人の娘と─────やはり、その傍らに1匹の子狐がいた。
亀吉が二人(?)を家にあげると、狐はお礼を言いながら変身を解き、食料を恵んで欲しい旨と、その身の上をポツリポツリと話し始めた。
いつも狩りをしていた旦那に事故で先立たれ、冬を越すための食料が集められなかったこと。
例年より厳しい冬で、山の食料が殆ど枯れてしまったこと。
自分は最悪死んでも構わないが、子供だけはなんとか食わせてやりたいこと。
内容は、大方亀吉の予想通りだった。
狐が話し終わると、亀吉はゆっくりと頷き、こう言った。
「わかった。少し食料を分けてやる。」
「…いいのですか?ありがとうございます!」
「ただ、俺も裕福な方じゃねぇし、冬を越すまでずっと、ってなると厳しいだろう。」
「分かっています。2、3日分だけ分けていただければ、どこか別の住みかを探して…」
「いや、麓の村民に分けて貰おう。あそこは麓だからこっちほど雪は酷くないし、食うのにもそこまで困ってねぇはずだ。」
「しかし、私が娘に化けても、見ず知らずの人に食料を分けて頂けるでしょうか…?」
「それは俺から頼んでみるよ。多分、気前良くわけてくれるはずだ。その代わり…」
「今度、ちゃんと謝りに行くんだぞ。付いてってやるから。」
狐は何度もお礼を言って、翌日、亀吉と一緒に麓の村まで謝りに行った。
亀吉から事情を聞いた村民達は、亀吉への信頼故か、今回のことは見逃してくれたそうだ。
その後、村民たちに分けてもらった食料で、狐の親子は無事に冬を越すことができた。
以来狐の親子は山を降りてきては、時折村の畑仕事を手伝っている。最近ではすっかり村民たちと打ち解け、分けてもらった野菜を亀吉に届けたりしているようだ。
それから狐の親子はふたり仲良く、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
23年01月30日 22:31
[だだだだ3号機]
相談チャットです。この問題に関する事を書き込みましょう。
ブックマーク(ブクマ)って?
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!
トリック:2票物語:2票納得:1票良質:6票ブクマ:4
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!