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カメコに向かって『お姉ちゃん』と何度も口にするユイ。
そんなユイに、カメコは微笑みかけた。
しかし、しばらくするとユイはもう『お姉ちゃん』と口にすることはなくなった。
「もう一度ユイに『お姉ちゃん』と呼びかけてもらいたい」と思うカメコが、同時にそれを怖いと感じてしまうのは、いったいなぜだろうか?
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解答
また流産してしまうのではないかと怖れるため。
解説
カメコには3歳の娘、ユイがいる。
雪がとけて桜が舞う春、カメコのお腹には新しい命が宿っていた。
ユイはお姉ちゃんになるんだよと、カメコは娘に語りかける。ユイは目を輝かせ、カメコのお腹を撫でた。
「おーい。お姉ちゃんだよぅ。早く一緒に遊ぼうねぇ」
お姉ちゃんだよ。カメコのお腹にそう呼び掛けるのが、いつしかユイの習慣になっていた。
しかしその幸福は長くは続かず、桜の花びらのように儚く散ってしまった。
この世に生まれてくるよりずっと前に、その生命は途絶えてしまったのだ。
流産だった。
ユイはもうカメコのお腹に『お姉ちゃんだよ』と呼びかけることはしなくなった。
静かな日々が流れる。
年月を経て、カメコの心には「やっぱり子どもを産みたい」という気持ちがあった。
ユイがもう一度『お姉ちゃんだよ』と口にするのを、実際にお姉ちゃんになるのを、見てみたいと。
しかし同時に「また流産してしまうのではないか……」という恐怖がカメコを包み込むのも、また事実だった。
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