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いつも部屋着はズボン派の春子ちゃんは、今日、丈の長いスカートを履いていた。
そのお陰様で春子ちゃんは、お母さんに、殴られた。

状況を説明して下さい。
[さなめ。] [ラテアート]

【ウミガメ】19年09月19日 21:58

ご参加ありがとうございました。

解説を見る
物語になっていて長いです。簡易版は下にございます。



私達は、町では珍しい双子だった。長い髪をポニーテールにしていた、活発だった私、春子。それと、双子の妹、夏子。短いボブカットの、内気でおとなしい子。そう、周りには見えていたと思う。

お母さんは私達に優しく接した。春子と夏子が、と近所のひとに明るく触れ回って、良いお母さんだった。みんなの前では。

お母さんは、双子で生まれた私達を良く思っていなかった。双子で生まれた子は、縁起が悪い。そんな迷信を信じていたらしい。元より、顔も同じ、声も同じ。年齢だってほんの数秒の差しかないのだから当たり前だが、趣味嗜好は二人の間では異なった。

お母さんは、私だけを気に入った。

普段の家での生活は、安泰である。お母さんも機嫌が良いときは、夏子にも私にも明るく接してくれる。優しいし、寛容だ。

それが、何かの拍子に豹変してしまう、らしかった。

私は夏子に聞くまで知らなかった。夏子は、お母さんから、時々、酷い虐待を受けていたのである。それも、ここに記すのも辛いくらいの、罵声を浴びされながら。

夏子は当時、私に対しても無口だった。活発な私に連れられて遊びはするが、あまりものを口にしない。

中学校に入って暫くの頃だったと思う。

夏子は、私に虐待を告白した。お母さんが私の隠れているところで、自身にだけ虐待をしていた。それを教えてくれた夏子は、本当に偉かったと思う。

私は衝撃を受けた。だって、私の前では、ずっとお母さんは優しいお母さんなのだから。

どうにかして、夏子を助けたかった。自分と同じ顔をした夏子の腕に刻まれた傷は、自分の腕が殴られたもののような感覚で、胸より先に、腕が傷んだ。

その日、私は一計を案じた訳である。すなわち、入れ替わるのだ。何も知らず生きていた私と、傷の深く入った夏子。

夏子は無口だから、私が夏子の服、ロングスカートを履けばごまかせるのではないか、ということである。

ポニーテールを夏子にバッサリ切ってもらい、ロングスカートも借りた。本物の夏子は、私が夏子の振りをしている間に逃げる、私があとを追う。

父親はいない中、私達は誰かに助けを求めることにしたのだ。

夏子の部屋着を来たボブカットの私は、無言のまま帰宅するお母さんを迎えた。タイミングの悪いことに、お母さんは見るからに機嫌が悪い。いや、私が今「夏子」だから、お母さんの機嫌が悪いのかも知れない。

案の定、先に逃げた夏子を露知らず、お母さんは私を殴り付けた。何度も何度も。こんなお母さんを見たのは、これが初めてだった。罵声を浴びせられながら、私は夏子に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

あんたなんか、生まれて来なければ良かった。

「春子」に聞こえないようにか、小さな声で吐いたお母さんは、自分の部屋に消えた。

私は、玄関へと出た。先に逃げてと言ったのに、泣きながら玄関に立ち尽くしていた夏子と一緒に、私達は、走った。どこに向かっているか、わからない。結局どこに着いたのか、あまり覚えていない。

私達は今、幸いにも一緒に暮らしている。夏子の友達の家に駆け込み、やがて、知らない人の家に居候するようになった。というより、今もそうである。

前の家より離れたところで、その人は私達双子に、本当に優しく接してくれている。

ボブカットから少し長くなった髪をいじりながら、私は夏子と二人、平和に暮らせている。夏子はまだ私に対しても口数少なで、完全に心を開いてはくれない。夏でも長袖に、ロングスカート姿である。

でも、たまに見せる夏子の小さな笑みは、抱き締めたいくらいの宝ものだ。

Fin.

簡易版
春子は双子。妹の夏子は、母親から虐待を受けている。春子は妹の夏子の服を着て、夏子に成り済ましたので、勘違いしたお母さんから殴られた。
物語:1票
全体評価で良質部門
トリック部門
物語部門
ルーフェ>>なかなかしっかり練られた物語だと思います。
納得部門