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教師のカメオは、夏休みの宿題をチェックしていた。
ハッピーで溢れる生徒たちの絵日記を読んだカメオは、
1人寂しく過ごしてアンハッピーだったにも関わらず、
自分より幸せなやつはいないと優越感を覚えた。
一体なぜ?
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カメオの誕生日は8月10日。
あいにくと友人たちは旅行中で、恋人もいないし、
帰省して親戚に会うお盆休みには少しばかり早い。
つまりカメオは、1人寂しい誕生日を過ごしたわけだ。
もう良い大人だし、誕生日なんて別に祝わなくてもいい。
そう思いたかったけど、やっぱりちょっと寂しかった。
そんな夏休みもあっという間に終わってしまい、
カメオは職員室で宿題のチェックをしていた。
黙々と手を動かしていたカメオの手が止まったのは、
カメコの絵日記を読んでいた時だった。
『ハッピーバースデー!カメオ先生!』
それは、カメオの誕生日に描かれた絵日記だった。
カラフルな色遣いで、笑顔のカメオの絵が描かれている。
「カメコ…お前いい子だなあ…」
じーんときたカメオは、しばらくその言葉を反芻していたが、
まだ仕事が残っているんだから泣いてしまうわけにもいかないと、
気合いを入れ直してチェックを再開していく。
すると、ウミオの絵日記にもお祝いの言葉が踊っていた。
カメオは、絵日記を掴むと次々に8月10日のページを開いていった。
『Happy Birthday』
『たんじょう日おめでとうございます♪」
『ハッピーバースデー!』
『ハピバ!!!』
どの生徒の絵日記も、8月10日はカメオの誕生日を祝っている。
もうカメオの涙腺は限界だった。
「ほら、やっぱり泣いてるよ!」
「先生おめでとう!」
「おめでとう!」
振り返ると、滲んだ視界に子供達がぼんやりと映った。
顔はよく見えないが、声が楽しそうに弾んでいる。
「おまえだぢ〜!ありがとう…ありがどうぅう!!!」
自分は世界一の幸せ者に違いない。
カメオのアンハッピーだった30才の誕生日は、たくさんのハッピーで書き換えられた。
物語:3票