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おばあちゃんがおしゃれなストールを膝に乗せてニコニコしているのを見たソウタは、同じものをもう一枚買おうと決めた。
一体なぜ?
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雪の降る寒い日。
バス停で、ベンチに座ってバスを待つおばあさんが居た。
隣に腰かけて同じくバスを待つミナト。
背中を丸めてじっとバスを待つおばあさんはとても寒そうだ。
「あの……これ、良かったらどうぞ」
ミナトは首に巻いていた大判のストールを外し、おばあさんの肩にふわりとかけた。
おばあさんは目を丸くして驚いて、わなわなと口を開く。
「いんや、そんな、お嬢さんが風邪ひいちまうよ」
「大丈夫です大丈夫です。私たくさん着込んでますし、カイロも持ってるので」
「あんれ、まぁ。ありがとうねぇ、あったかいよ……」
微笑むミナトにおばあさんは顔をくしゃくしゃにしてお礼を繰り返した。
そのストールは、数日前に恋人のソウタがミナトにプレゼントしてくれたものだ。
大事なストールを手離すのは惜しかったが、おばあさんの嬉しそうな表情はミナトのそんな思いを優しく溶かしてくれた。
その日の夕方。
ソウタがバイトから帰宅すると、いつものようにおばあちゃんが迎えてくれた。
その膝の上には見覚えのあるストール。
「おかえり、ソウタ」
「ただいまー。ばあちゃん、それどうしたの?」
「これかい、聞いておくれよ。今日ねぇ、バス停で親切な女の子がいてね……」
事の経緯を知ったソウタは、おばあちゃんの言う『女の子』が誰なのかを確信した。
あまりの偶然に驚きつつ、あいつらしいな、と心がぽかぽかする。
「ばあちゃん、嬉しそうだね」
「そりゃあもう嬉しいよ。今時あんな子が居るなんてねぇ。これはばあちゃんの宝物さ。生きてて良かったよ」
いくらなんでも大袈裟だろうと言いたくなったが、おばあちゃんの表情を見ればそれが誇張表現などではないという事がひしひしと伝わってきた。
返してやってくれ、なんて言うべきじゃないな。
ソウタは困ったように笑う。
今度、同じストールを買おう。
きっとあいつは、「無くしちゃったの、ごめんね」とか言って申し訳なさそうな顔をするだろうから。
そしたら「ちゃんとうちにあるよ」って教えてやろう。
それで、あいつとばあちゃんを会わせてやろう。
二人お揃いだよって笑いながら。
要約
ソウタのおばあちゃんが持っていたストールは、ソウタが恋人のミナトにプレゼントしたものだった。
外出先でミナトがおばあちゃんに親切心でストールを渡したことを知ったソウタは、その心遣いに感謝しつつ、ミナト自身も大事にしていたそのストールをもう一度プレゼントしようと思ったのだ。
物語:11票良質:18票
物語部門
ぺてー>>
心温まるストーリー!
ウミガメとして見ても、ひとつひとつ思考を積み重ねていくと解き明かせる感じが好みです