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高校生の直翔は、隣の席の女子生徒・芽依に片思いをしている。

ある日、放課後の教室で二人きりになった直翔と芽依。静けさの中、窓から差し込む西日が席に座った芽依の顔を照らす。


「あのさ、直翔くんって…」


不意に切り出されたその言葉に、直翔は思わず息を飲んだ。芽依は直翔のことを苗字で呼んでいたはずである。
意中の相手に唐突に下の名前で呼ばれたとなれば、身構えてしまうのも無理はない。


(なんだろう…まさか、「好きな人いるの?」とか聞かれちゃったりするのか!?)


さて、この後に芽依が直翔にする質問は「好きな人いるの?」ではなく何?
質問の理由と併せて特定してほしい。
[だだだだ3号機]

【20の扉】26年06月27日 21:10
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A、「漢字でどう書くの?」



放課後、クラスメイトが下校し、日直の直翔と芽依だけが残った教室。
黒板の掃除をしていた直翔に、席に座って学級日誌を書いていた芽依が声をかけた。


「あのさ、直翔くんって漢字でどう書くの?」

「えっ?」


(カンジ?カンジって何?感じ?)


「いや、学級日誌に日直の名前を書かなきゃいけないからさ」


「あ、ああ…そういうことね…」


高鳴っていた胸が急速に冷え込んだ。

この間の席替えで、直翔と芽依は隣の席になった。
このクラスでは席順で日直の担当が回ってくる。芽依に片思いをしている直翔は、今日の日直業務を心待ちにしていた。


(二人っきりで仕事していくうちに、仲を深められるかも…なんて、思ってたんだけどなぁ)


そんな折、芽依に下の名前で呼び掛けられたもので舞い上がっていた直翔だったが…現実は非情。学級日誌に名前を書くにあたって、下の名前を漢字でどう書くのかを問いたかっただけのようだ。


「直線の"直"に、飛翔の"翔"だよ」

「おっけー!ありがと」


芽依はOKサインを掲げた後、再び日誌を書く作業に戻る。
その様子を直翔はどこか遠い目で見つめ、また黒板に向かい小さくため息をついた。


(まあ…自分からアピールしなきゃダメだよな、こういうのは。)


決意だけなら簡単だが、行動が伴うかは別問題である。結局その日は特に何のアクションも起こせぬまま、日直の仕事が終わってしまった。

日誌を先生に提出した後、昇降口で芽依に声をかける。


「じゃあ、また明日」

「うん、またね…あっそうだ!」


芽依は大きく振りかけた手を下ろし、満面の笑みで言う。


「明日からさ、直翔くんって呼んでいい?」


直翔はなんと返事をしたのかは覚えていない。肯定したのは確かだが、なんとも不格好な応答だった気がする。声は上擦ってなかっただろうか。


「よかったー!これからも暫く隣の席だし、もっと仲良くなりたいからさ!」

「じゃあ、直翔くん!また明日!」


そんなことを言い残して、改めて手を振りながら芽依は帰り道を歩いていった。

一人残された直翔は、先ほど落ち着いた心臓が再び暴れ出す感覚に、暫く呆然とすることしかできなかった。
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