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[問題]
小さな田舎町の外れに、偏屈な老人が一人住んでいた。
昔は全盲の音楽家として名を馳せた老人は、しかしすでに引退しており
今は音のよく響くこの静かな家で、孤独な余生を送っていた。
そんなある日、ことり、と封筒に入った一通の手紙が老人の元に届いた。
封筒の表に差出人の名前だけ点字で刻まれているが、中の手紙は万年筆で記されていた。
そして、その日から決まって月に一度、老人の元に手紙が届くようになった。
老人は決してその手紙を読むことは出来ないが、その手紙を心待ちにするようになった。
これは一体どういうことだろうか。
久しぶりの出題です。粗があったら申し訳ありません。
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[解説]
・手紙は亡くなった老人の夫人が、生前、作成したものである。
・夫人は、自分の死後老人が孤独に過ごすことを心配しており、一人では読めない手紙を定期的に送ることで
老人が家から出て代読を他者に依頼することで、少しでも人と関わりを持つことを期待していた。
(手紙は、ひと月に一度、家に投函するように親しい友人に依頼していた)
[ちょっと長い解説]
手紙は、彼が数年前に亡くした妻からのものであった。
全盲だからと諦めるには、妻と過ごした時間は重すぎた。
仕方なく、彼は手探りながら衣服を整え、手入れをさぼっていた髭も剃刀を入れ、外套を羽織り
帽子を少しまぶかに被り、白杖をつきながら、古草の生える石畳を抜けて町に唯一ある喫茶店に向かった。
昔、音楽家をやっていたころは、妻とよく通った喫茶店に入ると
以前はよく座っていた一番奥のカウンターに通してもらい、コーヒーを一杯注文する。
コーヒーをゆっくりと飲み終えた彼は、以前と変わらずあまり客の入っていない店内の様子を確認すると
すっかり疎遠になってしまっていた、しかし旧い知り合いであるマスターに手紙の代読を頼んだ。
手紙は、どうも数十年前に書き記されたもののようで
以前に旅行で妻と訪れた、古い教会の思い出や、夕暮れの浜辺を二人で散歩した時のことなど
全盲の彼でもありありと思い描くことが出来るような鮮明な思い出が綴られていた。
手紙の最後はこう締めくくられていた。
「この手紙を読んで下さった貴方へ。
お忙しいのにこんな手紙に付き合ってくれてありがとうね。優しい貴方に祝福がありますように。
そして、もしもお時間があって、目の前の人が貴方を怒らせていないなら、少しの間、話相手になってくださったらとても嬉しいわ。
そして、愛しのダンへ 私、貴方のことが心配よ。ほら貴方って頑固で不器用で、いつも言葉が足りないじゃない?
私が先に死んじゃったら、ずっと一人で家に籠っちゃうんじゃないかって。
たまには外の空気を吸って、いろんな人とお話しなさいな。
貴方が天国に来た時になにも面白い話がないんじゃ、私、退屈で死んじゃうわ。
これからも毎月、お手紙を送るわ。もちろんあなた一人では読めない手紙をね。
愛しているわ。
メアリー」
トリック:1票物語:5票
トリック部門
ダニー>>
[ネタバレ]をベールにすることで、解説の物語にさらに深みをもたらしていると感じる。4行目の割としっかり目のクルーも誠実さがあり好ましい。ちくしょう!好きだ!